母子手帳から「日光浴」の推奨が消えてから20年近く経ちます。日光が人体に与えるメリットよりもデメリットの方が多いことが明らかになり、赤ちゃんへの紫外線対策も年々重要性を増しています。
丈夫な骨を形成するために日光を浴びることは必要ですが、15分以上浴びる際には必ず紫外線対策が必要です。
今回は赤ちゃんの紫外線対策の中でも、「日焼け止め」にスポットを当ててご紹介します。赤ちゃんは自分で対策することはできないので、お母さんがしっかりと守ってあげてください。
10年後のお子さんの肌の状態は、赤ちゃん時代のお母さんの紫外線対策にかかっています!正しい日焼け止めの選び方から塗り方、落とし方までを網羅していますので、ぜひ参考にしてください。
赤ちゃんに日焼け止めって必要なの?
赤ちゃんの肌は、皮下組織と真皮と表皮で構成されていて、構成自体は大人と同じですが、真皮の厚さが成人の1/3程度しかありません。
また、外的刺激から肌を守る表皮のバリア機能も不十分で、紫外線のダメージを受けやすい状態です。
子供の頃に浴びた紫外線は体内に蓄積され、10年以上経過してからシミやシワ、皮膚がんとなって表れると言われています。
赤ちゃんの頃からの日焼け対策が、その子の将来を決めると言っても過言ではなく、日焼け止めの活用も必須です。
まずは新生児期~幼児期に日焼け止めをどのように使うべきか、見ていきましょう。
新生児(生後28日未満の赤ちゃん)
新生児の肌は非常にデリケートなので、日焼け止めの使用を推奨しない小児科医が多いです。恐らく、病院で相談をしても、日焼け止め以外の紫外線対策を勧められると思います。
しかし、新生児から使える日焼け止めが販売されているのも事実です。日中に20分以上の外出をする際には、新生児でも日焼け止めが必要と謳われていることが多いです。
新生児期の赤ちゃんへの日焼け止めの使用は、母親の判断に任せるしかないと言えます。どうしても紫外線が気になる場合には「新生児から使える」と明記のある日焼け止めを使用しましょう。
乳児(生後28日~1歳未満の赤ちゃん)
生後6ヶ月を過ぎると、小児科でも日焼け止めの使用が推奨されるようになります。新生児と同じく、日中に20分以上の外出をする場合には、肌が露出している部分に塗ってあげましょう。
ただし、日焼け止めの厚塗りは肌に負担をかけてしまうので、薄目に塗って、1時間に1度は塗り直しをしてあげてください。
そして必ず「0歳でも使用可能」と明記のある商品を選ぶようにしてください。
幼児(1歳~小学校入学前)
一人で長時間外で遊ぶことも多い幼児期は、大人同様の日焼け対策が必要となります。
皮脂の分泌も適量になり、表皮も厚くなってくる1歳以降は「使用できる年齢」を確認した上で、たっぷりと日焼け止めを塗ってあげてください。
2時間に1回の塗り直しは必須で、その他にも大量に汗をかいたり、水遊びをした際にはこまめに塗り直しをしてあげてください。
基本的にはこの時期も、室内や車内での日焼け止めの使用は推奨されていません。
室内や車内では、日焼け止めを塗らず、遮光カーテンなどで紫外線の直撃を避けるようにしましょう。
赤ちゃんに使っても安全な日焼け止めは?
薄く、デリケートな赤ちゃんの肌は、紫外線からの刺激にも弱いですが、日焼け止めの成分にも敏感に反応します。刺激の強い大人用の日焼け止めを使用するのはNGです。
必ず使用可能年齢を確認した上で、下記の点も確認してあげるとより安心です。
日常生活ではSPF15~20/PA++が目安
大人用の日焼け止めはSPF50/PA++++が当たり前ですが、赤ちゃんにはそこまで強い指数は必要ありません。
保育園などの日常生活で使用する際には、SPF15~20/PA++で充分です。
山や海のレジャーの際でも、SPF20~40/PA++~+++を目安に選んであげてください。
紫外線吸着剤不使用
日焼け止めの成分の中で、最も肌に負担をかけるのが紫外線吸着剤です。紫外線を吸収した際に化学反応を起こして熱を持ち、この熱が肌に負担をかけます。
赤ちゃんの肌に紫外線吸着剤はNGなので、「赤ちゃん用」と表記されている商品でも「紫外線吸着剤が不使用」かどうかも確認してあげてください。
お湯や石鹸で洗い流せる
日焼け止めは塗り残しをしないことが必須ですが、ちゃんと落としてあげることも必須です。肌に日焼け止め成分が残っていると、肌荒れの原因となってしまうからです。
専用のクレンジングが必要なタイプは、そもそも肌への負担も強く、洗い残しのリスクも高くなります。お湯や石鹸で簡単に落とせる商品を選びましょう。
防腐剤や香料不使用
防腐剤や香料といった化学成分は、商品を長持ちさせたり、使用感を良くするために加えられた不必要な成分です。
大人の肌にはさほど影響しませんが、赤ちゃんの肌には刺激を与えてしまいます。
防腐剤や香料以外にも、下記のような不必要な成分が入ったものは選ばない方が安心です。
- 界面活性剤
- 安定剤
- 防腐殺菌剤
- 抗酸化剤
- 酸化防止剤
- 合成ポリマー
- 窒素化合物
- リン酸化合物
オーガニックな成分のみで作られた日焼け止めは使用期限が短いですが、赤ちゃんの肌への負担は軽減できます。
ちょっとしたお散歩などの外出程度であれば、下記のような肌に優しく、日焼け止めと保湿、虫除けが1本3役のMAAROという乳液もあります。
伸びが良くて負担にならず、べとつかない、白浮きしない、保湿してくれる、石鹸で落とせる、忙しいママにも嬉しい乳液です。
自然由来原料95%で、お肌の負担も最小限に抑えられるので、皮膚の弱い赤ちゃんや子供にも安心して使うことができます。
MAARO 公式サイト
赤ちゃんへの日焼け止めの使い方は?
赤ちゃんに日焼け止めを塗る際は、説明書をよく読んで使い方を確認するのはもちろんですが、他にも注意が必要です。
肌トラブルを起こさず、日焼け止め効果をしっかりと得るために、正しく使いましょう。
必ずパッチテストをする
赤ちゃんは何にアレルギー反応を起こすか分かりません。初めて日焼け止めを塗る場合、または商品を変える場合は、必ずパッチテストをしてから使用しましょう。
- お母さんの指先に日焼け止めを乗せる
- 赤ちゃんの腕の内側やふとももなど、皮膚の薄い部分に薄く伸ばす
- そのまま24時間放置する
- 発疹や赤みなど、皮膚に異常がないか確認する
動き回る赤ちゃんにムラなく日焼け止めを塗るのは苦労しますが、手軽に塗れるスプレータイプの日焼け止めはNGです。
噴射した際に吸い込むことでの悪影響が検証されていないからです。
赤ちゃん用のスプレータイプの商品もありますが、選ばない方が無難と言えます。既に購入してしまっている場合には、一度お母さんの手のひらに噴射してから塗るようにしてください。
昨今注目を集めている日焼け止めサプリ。手軽で塗り残しの心配もないので優秀な紫外線対策と言えますが、赤ちゃんに服用させることは控えましょう。
ほとんどの商品が天然由来成分で副作用がなく、年齢制限を設けていませんが、赤ちゃんへの影響は未知数です。
成分自体の問題以外にも、カプセル部分に科学物質が含まれていたり、カプセルが喉に詰まったりする危険性も高いです。
顔への塗り方
量の目安はクリームタイプでパール1粒、液状タイプで1円玉1枚分です。
- 上記の量をお母さんの手のひらに乗せる
- 赤ちゃんの両頬、鼻の上、額、顎に乗せる
- 万遍なく伸ばす(目のまわりは避けましょう)
- 同量を同じように重ね塗りする
参照元:日本小児皮膚科学会
腕、足の塗り方
広い範囲に塗る場合には、腕や足に限らず下記の方法で塗ります。
- 塗りたい場所に直接1本線を描くように出す
- お母さんの手でらせんを描くようにムラなく伸ばす
参照元:日本小児皮膚科学会
塗り忘れしやすい場所
赤ちゃんが日焼け止めを塗るのを嫌がると、早く済ませようと雑になりがちです。しかし塗り忘れがあると、短時間でも水ぶくれを起こす場合があります。
下記の場所は特に塗り忘れしやすい場所なので、よくチェックをしましょう。
- 耳(耳たぶ、耳の後ろ)
- 首
- 手の甲、手のひら
- 足の指、足の裏
指しゃぶりで口の中に入るのが心配な場合
赤ちゃん用の日焼け止めは、多くの商品が口に入っても危険の少ない天然成分でできています。
少量舐めた程度では体に害は出ませんが、おしゃぶりが癖で気になる場合には100%天然由来成分でできているものが安心です。
塗り直しの方法
幼児の場合は2時間に1回程度の塗り直しで充分ですが、乳児の場合は薄く塗ってこまめに塗り直すことをおすすめします。
塗り直しの際には、塗りムラをなくすためにも、一度洗い流してから塗り直すのが理想的です。洗い流せない環境にいる場合は、濡れたタオルで拭き取ってから塗り直してあげましょう。
ワセリンとの併用で肌の負担を軽減
昨今その効果が見直されているワセリン。石油を精製して作られた単一の油分で、その他の成分が一切入っていないのが特徴です。
保湿力に優れ、肌への負担も少なく、皮膚に保護膜を作ってくれるような作用があります。ベビー用には、通常のワセリンより更に不純物を減らした商品も出ています。
ベビーワセリンを塗ってから日焼け止めを重ねることで、ベビー用日焼け止めの肌への負担を更に軽くしてくれます。
ただし、ベビーワセリンに関しても必ずパッチテストをしてから使用するようにしてください。
参照元:健栄製薬 ベビーワセリン
赤ちゃんへの日焼け止めの落とし方は?
赤ちゃんの用の日焼け止めは肌に優しい成分とは言え、やはり何も塗っていない状態よりは負担がかかっています。
落とさずに眠らせたり、タオルで拭いたりするだけでは肌トラブルの原因となります。
帰宅したら、なるべく早く、正しい方法で日焼け止めを落としてあげましょう。
顔の日焼け止めの落とし方
まずはデリケートな顔の落とし方です。
- 硬めに絞ったガーゼで顔を2~3回拭く
- ベビー用ソープをしっかりと泡立てる
- 両頬、鼻、額、顎に泡を乗せる
- 手のひらでコロコロと泡を転がす
- 固く絞ったガーゼで泡を拭き取る
- ガーゼにお湯を含ませてしっかりと拭き取る
ゴシゴシと手で擦ると肌を痛めるので、泡で日焼け止めを包むように優しく洗ってあげましょう。
体の日焼け止めの落とし方
体も顔と同様、泡で優しく洗うのが原則です。
- 体全体を濡らす
- ベビー用ソープをしっかりと泡立てる
- 日焼け止めを塗った部位に泡を乗せる
- 手のひらで優しく洗う
- ガーゼにお湯を含ませながら泡を洗い流す
赤ちゃんは脂肪が多く、腕や足首のくびれ部分に汗で日焼け止めが流れ込んでいる場合が多々あります。洗い残し、すすぎ残しのないように、くびれ部分をしっかりとチェックしてあげてください。
入浴後の保湿ケア
日焼け止めを塗った日は石鹸でよく洗うので、赤ちゃんの肌はいつも以上に乾燥しやすくなっています。入浴後にはしっかりと保湿をしてあげてください。
特別な保湿剤を準備する必要はありませんが、入浴後できる限りすぐに、保湿クリームやローションをいつもより丁寧に塗ってあげてください。
赤ちゃんの日焼け止め以外の対策は?
日焼け止めは赤ちゃんにも有効な紫外線対策ですが、肌に直接塗るものなので、なるべく塗る回数や量を減らしたいもの。そこで、日焼け止め以外の対策として有効な方法をご紹介します。
特に室内や車内では、日焼け止めを塗らずに紫外線を防ぐように、下記の対策をしてあげてください。
室内
- UV加工カーテンの使用
- 窓にUV遮断フィルムを貼る
- UVカット加工の衣服を身に着ける
- ベビーベッドの位置を窓から離す
UV加工カーテンは洗濯をすると効果が落ちていくので、洗濯のたびにUV加工スプレーをかけておくと安心です。
車内
- チャイルドシートを設置している側の窓にUV遮断フィルムを貼る
- UV遮断ネットを取り付ける
- チャイルドシード覆うサンシェードを活用する
- ベビーサングラスをかける
車内は長時間窓際にいるため、室内以上に紫外線対策が必要です。紫外線の刺激は目に大きなダメージを与えるため、長時間の移動の際にはベビーサングラスも有効です。
外出時
- 10:00~14:00の外出を避ける
- ベビーカーの幌で日差しをカット
- 太陽と対面させない(移動時は太陽を背にするように意識する)
- つばが大きめの帽子をかぶる
- UVカット加工の衣類を身に着ける
- ベビーサングラスをかける
紫外線が最も降り注ぐ10:00~14:00を避けることは重要です。夏場のこの時間帯とその他の時間帯では倍以上の差があります。
日常の外出も、レジャーも、この時間を極力避けてあげるように意識しましょう。
参照元:気象庁UVインデックス
まとめ
赤ちゃんのデリケートな肌に日焼け止めを塗るのは抵抗がある…というお母さんもいるかと思います。
しかし、日焼け止めによる負担よりも、日光による紫外線のダメージの方がはるかに大きいと言われています。
少し手間はかかりますが、出来る限り肌に負担をかけない日焼け止めの塗り方、落とし方を実践して、赤ちゃんを紫外線から守ってあげてください。
また、日焼け止め以外の紫外線対策も有効です。特に日焼け止めを塗らない室内や車内での紫外線対策を万全にして、紫外線によるダメージを軽減しましょう。
赤ちゃんの日焼け止めについて、下記のページも参考にしてみてください。
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