赤ちゃんのハウスダストアレルギーによる症状は?原因&対策法まとめ

赤ちゃん育児

アレルギー性鼻炎や小児ぜんそくの原因としてのイメージが強いハウスダストアレルギー。鼻炎やぜんそくの症状は1歳から3歳ほどの間に発症することが多く、乳児の時期にはあまり見られません。

しかし、鼻や気管に症状がみられなくても、実は赤ちゃんの時期から、ハウスダストにアレルギーを示していることがあります。

今回は赤ちゃんのハウスダストアレルギーの症状と、アレルギーになる原因について解説し、アレルギーの症状を起こさない、または改善するための対策を紹介いたします。

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赤ちゃんのハウスダストアレルギーによる症状は?

赤ちゃん

乳児のころからぜんそくや鼻炎を発症することはあまりありませんが、湿疹に悩む赤ちゃんは少なくありません。

頭部の脂漏性湿疹、おむつかぶれやあせものほかにも、肌のあちこちが荒れて、アトピー性皮膚炎と診断されることがあります。

アトピー性皮膚炎はアレルギー性の疾患の一つで、皮膚の中に入った何らかの異物を、体内の抗体が排除しようと働き、そのときに分泌される物質によって皮膚にかゆみと炎症を引き起こします。

アトピー性皮膚炎の症状
  • 耳の裏、首、肘や膝の周りに湿疹ができやすい
  • 顔や足の皮膚がざらざらしたり、発赤ができる
  • 肌荒れにかゆみを伴う
  • 治療などにより治癒しても、発症を繰り返す

原因となる異物は食物、ほこりや微生物や花粉、動物の毛などで、一般的には無害な物質です。このうち、ほこりと、その中にあるダニのふんや死骸、カビなどをハウスダストと呼び、ハウスダストからアレルギーを起こすことをハウスダストアレルギーといいます。

アレルギー性の疾患としてはほかに鼻炎、結膜炎、ぜんそくなどがありますが、アレルギー反応は体の一番弱い箇所に出る傾向があり、まだ皮脂が少なく皮膚のバリア機能の弱い赤ちゃんの時期には、皮膚炎となって現れることが多いです。

ハウスダストアレルギーの赤ちゃんは、ダニのふんや死骸に触れることでアトピー性皮膚炎の症状が出たり、悪化したりします。

赤ちゃんがハウスダストアレルギーになる原因は?

女性

アレルギーを起こす仕組み

赤ちゃんがハウスダストアレルギーを起こす仕組みは以下の通りです。

  1.  赤ちゃんの皮膚の中にハウスダストが入り込む
  2. 赤ちゃんの体が、皮膚の中に入ったハウスダストを異物と認識し、排除するための抗体をつくる(感作する)
  3. 次にハウスダストが皮膚の中に入ってきたとき、抗体がハウスダストを排除するために神経物質を分泌する
  4. 分泌された神経物質により、皮膚にかゆみや炎症がおきる

一度②のように感作してしまうと、ハウスダストが体内に入るたびに③④の反応が起こります。一般的に無害な物質になぜ感作が起こるのかはまだ解明されてなく、どのような物質で感作が起きるかも人により異なります。

感作を起こす物質はアレルゲンと呼ばれます。ハウスダストは、花粉とともに多くの人にみられる、代表的なアレルゲンです。また、花粉とともに、生活環境からの除去が困難なアレルゲンでもあり、やっかいです。

血液検査により、ハウスダストなどのアレルゲンに対して感作しているかどうかを判定することができます。赤ちゃんが何に対して感作しているかを知ることは、アレルギーの予防や症状の改善のために役立ちます。

体質要因

アレルギー反応を起こす抗体を作りやすい体質を、アレルギー体質といいます。遺伝要因もあり、お父さんかお母さんがアレルギー体質だと、赤ちゃんもアレルギー体質である傾向があります。アレルギー体質の人は、近年増え続けており、子供の20%は何らかのアレルギーをもっているといわれています。

環境要因

おばあちゃんの世代にはほとんどいなかったアレルギー体質が、なぜここ数十年で急に増えたのでしょうか。

アレルギー患者が現代になって急激に増加したこと、発展途上国より先進国に多いことから、環境汚染や化学物質の増加が影響していると考えられています。

ディーゼル排気に含まれる物質や、プラスチック製品に使用される添加薬品が、アレルゲンとともに体内に入ると、アレルギー症状がより悪化するという研究もされています。

また、現代の衛生的な生活により、人の免疫細胞であるT細胞のバランスがくずれ、アレルギー患者の増加につながったという説(衛生仮説)があります。

T細胞は、細菌の毒素の刺激を受けるとTh1型に、アレルゲンの刺激を受けるとTh2型に変化します。Th1型は細菌などを攻撃する働きをし、Th2型はアレルギー反応をひきおこします。

現代は衛生的な生活を送るようになったため、細菌性の毒素に触れる機会が少なく、Th1細胞は少なく、T2細胞が多くなり、アレルギー疾患がおきやすくなっていると考えられています。

赤ちゃんがハウスダストアレルギーにならない為の対策は?

黒板

皮膚の炎症を治療し、皮膚のバリア機能を高める

赤ちゃんがハウスダストアレルギーになってしまったら、なるべく赤ちゃんの体内にハウスダストが入らないようにする必要があります。

いったん生産されたハウスダストに反応する抗体は、ハウスダストが体内に入ってこなければ、数か月で減少していきます。抗体が減少していけば、多少のハウスダストに触れても症状は出にくくなります。反対に、大量のハウスダストが入ってくると、抗体が大量に生産されてしまい、症状が悪化します。

皮膚炎を起こしていると、傷ついた皮膚からハウスダストがますます侵入しやすくなるので、まずは治療しましょう。皮膚科の処方に従い、小児用のステロイド薬の塗布、アレルギン散などの飲み薬の服用などで皮膚炎の症状は効果的に改善します。

その後も継続して皮膚を保湿してあげることでバリア機能を高め、皮膚からハウスダストが侵入することを防ぎましょう。

市販のベビーローションはアレルギー体質の子には刺激になることもあるので、皮膚科でもよく処方されるプロペト(白色ワセリン)やビーソフテンなどの保湿剤が、刺激も少なくおすすめです。

赤ちゃんとハウスダストが多いかもしれない環境へ出かける際は、予めアレルギーの薬を用意しておくと、症状が出ても悪化を防ぐことができます。

生活環境からハウスダストを減らす

赤ちゃんの生活環境から、ほこりやダニをなるべく少なくする必要があります。といっても、ハウスダストを完全に除去することはできませんし、ここで挙げるすべてのことを実行するのは大変です。ハウスダストが少なくなればそれだけ症状も出にくくなりますので、できる範囲で心がけましょう。

屋内の湿度は60%以下にする

ダニは高湿度だと活発になり繁殖しやすく、60%以下で繁殖をやめます。除湿機やエアコンなどを活用して、湿度を60%以下に保つことで、ダニの増加を抑えることができます。

ほこりが発生する家具をなるべく少なくする

カーペット、マット、カーテン、布製のクッション、ぬいぐるみなどはダニのすみかになるので、なるべく減らしましょう。カーペットやマットや畳は掃除機をかけ、カーテン、クッション、ぬいぐるみは定期的に洗いましょう。

掃除機や水洗いではダニを退治することは難しいのですが、ハウスダストアレルギーの直接の原因となるダニのふんや死骸はかなり取り除くことができます。

ペットの飼育さける

犬や猫などの毛や皮脂がダニの餌になり、ダニを増やしてしまいます。ペットの飼育はなるべく避け、飼育する場合は、シャンプーして清潔に保ち、抜けた毛などは掃除しましょう。

室内のほこりを掃除する

フローリングはほこりが舞い上がりやすいので、ほうきや掃除機よりも、水拭きをしたほうが効果的にほこりを除去できます。エアコンのフィルターにはほこりが集まるので月に1度は洗うか、掃除機をかけましょう。

赤ちゃんの肌がハウスダストに触れるのを防ぐ

赤ちゃんの肌にふれるものからは、特に念入りにハウスダストを除去しましょう。赤ちゃんの肌に触れるシーツ、衣服、タオルなどは、使用するに水通しをしましょう。

寝具のダニ対策も重要です。赤ちゃんは寝ているときが多く、寝具から出るハウスダストの影響を受けやすいです。

また、赤ちゃんは汗をいっぱいかくため布団に湿気がたまり、ダニが発生しやすくなります。こまめに布団の湿気をとり、週に一回は布団用の掃除機で、ダニや死骸や卵を取り除いてあげましょう。

ダニは高温に弱く、温度が50度以上で死滅します。布団は温度が50度以上になる布団乾燥機をかけると効果的に駆除できますし、衣類についたダニも、洗濯機の衣類用乾燥機で死滅します。

夏には炎天下の車の中は50度をこえるので、車中に布団やぬいぐるみやクッション、衣類を入れておいても、ダニ退治がすることできます。

食事

アレルギー症状を改善する効果がある食品

ヨーグルトや納豆などの発酵食品に含まれる乳酸は、免疫細胞であるT細胞のバランスを整え、アレルギー症状を軽減するといわれています。

また、野菜などに含まれる食物繊維は、腸内細菌の働きを活発化し、腸内細菌がつくる酪酸という物質を増やします。酪酸の働きでT細胞は制御性T細胞に変化し、アレルギーによる炎症を抑制するという研究が報告されています。

離乳食がある程度進んだら、赤ちゃんの消化器官に負担をかけないように柔らかく調理するなど工夫して、徐々に与えてみましょう。アレルギーを起こしにくい体質になっていくことが期待できます。

アレルギー症状を悪化させる危険性のある食品

食用油などに含まれるリノール酸は、人間にとって摂取が必要な必須脂肪酸ですが、体内でアレルギー反応を引き起こす物質を生成する元にもなります。

一般的に離乳食で与える食材はあまりありませんが、母乳の場合は、お母さんの食事でとりすぎないよう気をつけましょう。

リノール酸を多く含む食品
  • 植物油(ベニバナ油、とうもろこし油、ごま油、菜種油など)
  • ナッツ類(ケシの実、まつの実、落花生、くるみ、アーモンドなど)
  • ごま
  • マヨネーズ、マーガリン、ショートニング、ラードなど
  • 大豆、大豆製品(高野豆腐、油揚げ、湯葉、きな粉など)

衛生環境

「環境要因」で紹介した衛生仮説によると、ばい菌にさらされにくい現代の生活スタイルのせいで、赤ちゃんにはばい菌を攻撃する免疫が増えにくく、その分アレルギーを起こす免疫が増えすぎて、アレルギー反応を起こしやすい体質になっているといわれています。

そう考えると、赤ちゃんの時期に触れるばい菌は、ある程度は必要悪とも思われます。赤ちゃんの免疫がまだ弱いからと、周囲を除菌し、ばい菌に触れさせないようにするよりも、多少のばい菌は大丈夫、とおおらかに構えてもいいのかもしれません。

まとめ

ハウスダストアレルギーは、アレルギー性の鼻炎、喘息、結膜炎など患者の多くがアレルゲンとして持っています。皮膚のバリア機能が弱い赤ちゃんのうちは、ハウスダストアレルギーはアトピー性皮膚炎の症状で現れることが多いです。

症状を予防、悪化させないためには、ほこりの中に潜むダニのふんや死骸を体内に入れないことが重要です。赤ちゃんの皮膚を健康に保ち、保湿して肌のバリア機能を高めるとともに、できる範囲で生活環境のほこりを減らしましょう。

また、アレルギー体質には、免疫細胞のバランスの崩れが関係しているといわれています。食事や環境からも、アレルギーになりにくい体質を作っていくように心がけましょう。

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