子どもの歯みがき習慣、ちゃんとついていますか?歯ブラシを持った途端、歯みがきを嫌がって毎日困っている家庭も多いと思います。みがかないと虫歯になってしまうし、困ったものです。
実は歯みがき嫌いの大半の理由が、はじめの段階で嫌な思い!?を抱いたトラウマが原因になっていることが多いんです。そんな時は小児歯科医の推奨する「歯みがきが嫌いにならない正しいブラッシング方法」+トラウマにならない歯みがきにするためのアイデアを取りいれてみましょう。
この方法は赤ちゃんの前歯の生えはじめから、乳歯の生え変わりの時期まで4つの段階ごとにそれぞれみがき方のコツがあり、歯みがき好きな子に改善していきます。
乳歯ケアに知っておきたい知識も吸収して、仕上げみがきの精神的な負担も取りのぞきましょう。
乳歯を虫歯にしてはいけない理由
乳歯は生え変わる歯だから虫歯になっても大丈夫!と思っていませんか?
たしかに時期がくれば抜けるので虫歯になってもかまわないイメージもありますが・・・。でも、その考えはやはりNGです!
虫歯になれば歯が痛くなるのは勿論、乳歯には永久歯が生え揃うまでの間に大切な3つの役割があるからです。
乳歯の3つの役割とは?
乳歯の役割1 永久歯を導く働き
乳歯は永久歯のガイドさんです。永久歯が生えたときに歯並びがガタガタにならないように本来生えるべき定位置に誘導しています。この自然な仕組みの秘密は乳歯の根の部分に隠されています。
永久歯ははじめ小さな形なのですが、乳歯の根の部分を吸収し成長してやがてその根をたどるようにグングンと歯茎の表面に近づいていきます。そして根を吸い尽くしたとき、乳歯は役目を終えて抜け落ち永久歯に生え変わるのです。
抜けた乳歯を見るとそれは実感できます。歯の長い根が見当たらず、乳歯そのものが抜ける以前よりも小さく感じます。
乳歯の役割2 ことばを正しく発音させる
声は声帯を通して最終的に口で発音されて発話するプロセスを持ちます。でも歯並びが悪いと声が口の中でぶつかったり、歯の隙間から漏れてうまく発音できません。歌手を志す人が歯並びの良さを重んじる理由もこのためで、美しい歌声を発声する秘訣に繋がっています。
乳歯期の歯の健康状態も、ことばを正しく発音させる大切な存在であることを覚えておきましょう。
乳歯の役割3 食べ物を噛む働き
食べ物は良く噛まなければ消化不良になります。良く噛むことで唾液が分泌されて消化酵素の働きが活発になり、体内に栄養がまんべんなく吸収されるメカニズムを持ちます。
最近の子どもはあごが小さく歯並びの悪さが目立つと言われますが、それは食事の内容が噛む必要のない形態になっているからです。
繊維質のあるものなど、乳歯でしっかりと噛んで食べられる食事を増やしましょう。咀嚼する力があごの発育を促して、顔の骨格や思考力の神経系統を良好な状態に整えます。
乳歯が虫歯になるとどうなるの?
- 食べ物がじょうずに噛めなくなる。
- 永久歯が虫歯になりやすくなる。
- 発音が正しくできなくなる。
- 消化不良になりやすい。
- 永久歯が正しい位置に生えない。
- あごが狭くなり歯並びが悪くなる。
虫歯になると痛みから噛めなくなったり、噛み合わせ面が失われるので食べたものがきちんと咀嚼できません。それに伴って噛む力で得られる脳の働きも悪くなり、切れやすい子に助長する研究結果も出ているようです。
乳歯であっても虫歯にならないようにしっかりケアしましょう。そして歯みがきが嫌いになる理由も排除して、ストレスなく歯みがきができる環境にしてあげたいですね。
子どもが歯みがきを嫌いになる理由は?
仕上げみがきが痛い
歯みがきを嫌いになる理由№1が仕上げみがきのせいなんです!お家の方はきちんとみがこうと一生懸命なのですが、このとき子ども側では緊急事態が起きている可能性があります。
それは、「痛い!」こと。歯ブラシにかかる力は意外に強くて柔らかい歯茎にあたると痛いのです!力が強いと負荷も大きく、さらに歯ブラシの持ち方が安定していないとぐらついて歯茎にズルっと歯ブラシが滑る危険性もあります。持ち方を安定させるには歯ブラシを鉛筆持ちにして柄の部分を短く握ると、ズルっと滑らなくなります。
さらに気をつけたいワンポイントが上の前歯に隣接する上唇小帯(じょうしんしょうたい)です。弁慶の泣き所のような部分で歯ブラシがあたると痛みが尋常ではありません!
上唇を持ち上げるとよくわかりますが、前歯の中心線に沿って上を見ると歯茎と上唇を繋げているようなスジが見えます。このスジが上唇小帯です。
唇の動きを制限する働きを持っていて、食べ物を口にしたときに上唇の歯茎側に食べ物が流入するのを防いでいます。
子どもは歯が生え揃うまでの間は上唇の歯茎側に食べ物が行きやすいので、上唇小帯が大人よりも長く歯茎まで迫っています。ですので、歯ブラシの毛先があたると引っ張られるような、切れるよな痛みがあって辛いのです。
上の前歯をみがくときには歯茎に沿わせるように人差し指をあてて、上唇小帯に歯ブラシがあたらないようにカバーしてあげましょう。
口の中に唾液がいっぱいでつらい
子どもは唾液の分泌が盛んです。歯をみがいているときにも唾液があふれそうになり、ゴクンと飲んでいる子もいます。でも、歯ブラシが口の中にあると喉の筋肉をへんに使ってしまうために飲みこむことで喉が痛くなるケースもあります。
パパやママが歯医者さんに行った時を思い出してください。治療中、唾液の行き場に困ったことはありませんか?口の中が唾液でいっぱいだとつらいですよね。
歯みがきの前は唾液をペッと吐くようにしたり、軽く水でブクブクと口をすすぐと唾液が気になりません。また、歯みがき粉をつけるときにお水で毛先を濡らすのもNGです。口の中の水分が相乗して泡立ちが増し、唾液量が多くなります。
やりたいことができない
何かに夢中になっているときにそれを中断させて、歯みがきをしていませんか?もしくは歯みがき中にテレビがついていたり・・・。やりたいことが出来ない状態で歯みがきをすると、子どもの中では歯みがきがどんどん嫌なものへとエスカレートしていきます。集中して歯みがきができる環境を整えておきましょう。
歯みがきに集中させる方法
- テレビはつけない。
- オモチャは片付けておく。
- 仕上げみがきに時間をかけすぎない。
- 食べた後に間をおかずにすぐに歯をみがく。
- 何かに夢中になっているときは避ける。
パパやママが怖い!?
仕上げみがきの途中、口を大きく開けなくてついつい怒ったりしていませんか?口を開けるのって心理的にドキドキするものなんです。
悪ふざけしているわけではないけれど緊張した疲れから、大きく空いていたお口がだんだん小さくなったり。歯ブラシをよけようとして舌を動かして口が動いてしまったり。そこで間髪入れずに叱られると、ますます委縮して口を閉じる傾向になります。
時間に追われない、ゆとりを持った歯みがきタイムにしましょう。子どもは大人のような命令調ではうまく理解できません。わかりやすい声がけが重要です。
「バイキン君とさよならしようね!」など子ども目線の声がけで歯みがきを促して、リラックスさせてあげると良いですよ。
恐怖心をとり歯みがきに興味を持たせる実用例!
育児本やママの体験ブログなどから、歯みがきの誘導に成功した実用例をピックアップしてみました!
男の子だったら「砂時計さんと競争しよう!」と声がけをしてどちらが長く頑張れるかを競います。女の子だったら「砂が落ちるまでみがくと砂時計の妖精さんが守ってくれるよ」など、子どもが喜ぶような声がけを考えて砂時計を活用します。
砂が落ちるまでの限定した時間で歯みがきに集中できるので、頑張れる気持ちが育まれます。
やり方は簡単です!悪者キャラを隠しておいて、歯みがきをはじめます。
次に「○○ちゃんのおくちに住んでるバイキンをとってあげるね!」と言って歯みがきをしたら即座に用意しておいた悪者キャラを見せます。
そして「バイキン、つかまえたよ!がんばれたからエライね!」と頑張った評価と、歯みがきが怖いものではなく、悪者を追い出すことができるものだという認識を持たせます。
さらにそのままママの手で子どもの顔に「いないいないばぁ!」をしたりして、親子のスキンシップをはかりましょう。
出典:amazon.co.jp
歯ブラシの列車が主人公たっくんのお口の中をキレイにしてくれます。子どもの歯ブラシもれっしゃさんに見立てて楽しい歯みがきタイムにしちゃいましょう!
ゆっくとすっく しあげにはみがきもういっかい
出典:amazon.co.jp
登場人物がかわいくてたまらないと評判の育児絵本シリーズです。お洋服もオシャレなので女の子はとくに喜びます。
みがいている間に静かだと緊張モードは高まります。ママがお話してあげたり、歌をうたって心を落ち着かせましょう。
Youtube はみがきのうた・東京ハイジほんわか覚えやすいメロディーラインの歯みがきソング。ママが歌えば子どももきっと嬉しいはず。
歯の生え方に応じた正しい歯みがきの仕方を覚えましょう!
ではいよいよ、嫌いにならない正しい歯みがき方法の紹介です。年齢別の4段階に沿って、用意する歯ブラシなどグッズにも目を向けながらお伝えします。
赤ちゃん期‐下の前歯が2本生えたら歯ブラシデビュー!
生後7か月頃になると下の前歯がちょこんと2本生える頃です。このタイミングで歯ブラシデビューを果たしましょう。まだ早くない!?と思われるかもしれませんが、歯みがき嫌いにならない子になるために必要なプロセスなんです。
歯科医の先生によると下の前歯が2本生えてから自分みがきを開始すると、ほぼ100%に近い子どもが歯みがき嫌いにならないそうです。
まずはトレーニングの位置づけで歯ブラシデビューをしましょう。開始する前に赤ちゃんの自分みがき用歯ブラシと仕上げみがき用の歯ブラシの2本を用意しておきます。
用意する歯ブラシはどんなものが良いの?
赤ちゃんが自分の手で持って歯をみがく歯ブラシは毛先がシリコン製で柔らかく、あやまって喉に突かないように柄の部分にリング状のストッパーが付いたタイプにします。
おうちの方の仕上げ用歯ブラシはヘッドが短く毛先がコンパクトなもので、コントロールがしやすいようにグリップが手にしっかり馴染むタイプを選びます。仕上げみがき用の歯ブラシは1本用といわれる種類で赤ちゃん期から8歳ごろまで共通の規格サイズになります。
出典:amazon.co.jp
安心ブランドの乳歯ブラシはグリップが握りやすいとママ達から好評!レンジで消毒もできるので便利です。
ベビーバナナ歯ブラシ 乳児向け
出典:amazon.co.jp
バナナの形の歯ブラシなら、パクッと口にしてくれそうですね。歯科衛生士のママが考えた赤ちゃんが喜ぶデザインは機能面でも優れているので安心です。
出典:amazon.co.jp
ブラシの首元が15度斜めになっているので隙間の多い乳歯もしっかり磨けます。グリップには滑り止めがほどこされているから安心です!
にこピカベビー歯ブラシ仕上げみがき用
出典:amazon.co.jp
大切な乳歯を守りたいパパやママの想いをコンセプトに作られた仕上げ用歯ブラシです。毛先は360℃のリング状で、あらゆる角度からの歯みがきが可能です。
歯ブラシが揃ったところで次は歯みがきの実践です。まずは赤ちゃん本人から。
赤ちゃんが自分でする歯みがきの教え方
この時期は「歯みがきに馴らす」ことを大前提に歯ブラシの存在を擦り込んでいきます。食後の歯みがき習慣を認識させていって、歯ブラシが嫌なものではないスタンスを確立します。
実践法ですが、離乳食のあとやミルクのあとに赤ちゃん用のリング付シリコン歯ブラシを持たせます。みがく行為はしなくても良しとして、持たせるだけでOKです。自然とブラシの部分をパクッと加えるようになります。お口に入れることができたら「上手にできたね~」と必ず褒めてあげましょう。
誘導ポイント- 無理にみがかせようとしないで、ただ持たせるだけにする。
- 離乳食後やミルクのたびに持たせる。
- ママは様子をみるだけにする。
- グリップをしっかり握らせてあげる。
お家の方の仕上げみがきの方法
仕上げみがきなのですが赤ちゃん期では馴らすことが目的なので念入りにみがく必要はありません。きちんとみがくと逆に歯みがき嫌いになってしまいます。
ママが足を前に出して座った状態の上に赤ちゃんを仰向けで寝かせるようにします。不安定なようならば頭を股関節で挟むようなスタイルにしましょう。
まずは仕上げみがき用の歯ブラシを鉛筆の持ち方にして、なるべく柄を短く握ってくださいね。歯磨き粉は使いません。歯みがきスタート!
次に歯ブラシの毛先3列目ぐらいを歯の上にあてて、毛先で歯を挟んだ状態にします。そのまま軽く円を描くようにみがきます。
「1、2、3」と声を出してグルグルするとうまくできます。
表面→歯ブラシの先を使って横にこするようにしてみがく。裏面→たてに歯ブラシを入れてそのままこするようにみがく。
赤ちゃんのはみがきは強くゴシゴシこすらないのが鉄則です!口はすすがなくても大丈夫です。気になるようならガーゼや歯みがき用のシートで、力をかけないで軽く拭き取りましょう。
だんだんと月齢があがってきたら、赤ちゃんの自分みがき用の歯ブラシを適切なものに変えていきます。セットになっている乳児用歯ブラシを用意しておくと便利ですよ。
ピジョン乳歯・歯ブラシセット
出典:amazon.co.jp
レビュー評価が満点の使い勝手がよいセットは3段階のステップで使いやすくて人気!最終ステップは奥歯が生えはじめる頃までになっています。
寝る前の授乳での虫歯の心配について
母乳やミルクには甘い成分・乳糖が含まれるので、寝かしつける前の授乳は虫歯の原因になりそうで気になりますよね。
でも大丈夫です。赤ちゃんの口の中は清潔に保たれていれば虫歯の原因菌は繁殖しないので、寝る前の授乳では先手を打って、授乳直前に歯をみがいておきます。
基本的にこの時期では甘い物の常食がないので虫歯になる確率は少ないそうです。ただ、イオン系の赤ちゃん飲料は虫歯になりやすいので飲ませたらその都度、歯のケアを心掛けましょう。
2歳頃のイヤイヤ期‐うがいにチャレンジ!
自我がめばえ始める1歳過ぎはいろんなことがイヤイヤになります。歯みがきの面では、自分でみがくのが好きなのにママやお家の人がみがこうとすると途端にイヤイヤモードになります。何でも自分の力で成し遂げたいと思う気持ちが強くなるからです。
成長過程では仕方がないことなのですが、親としても必至になるので体力的にも精神的にもぐったりしてしまいます。1歳10か月から2歳を迎える頃が一番わんぱくなイヤイヤ期の到来なりますが、この時期では仕上げみがきを嫌がらない方策の要点を覚えておきましょう。
ちなみに歯ブラシは自分みがき用、仕上げみがき用の2つを用意しておきます。歯磨き粉は使わなくても大丈夫ですよ。
仕上げみがきを嫌いにさせない方法
がむしゃらに嫌がる気持ちを落ち着けて、仕上げみがきに馴らしていきましょう。みがき方→全部みがかずにササッと毛先を数秒動かすだけでやめる。
そして、「すご~い!ひとりでじょうずにできるねぇ!」、「さすがだね!」と、いう感じで頑張ったことを全面的に認めてあげて達成感を味あわせます。
褒めることに甘いとかんじるかもしれませんが、大人の視点で子どもを見るのはNGです。おうちの方の褒めことばが頑張る心の栄養になって、自立心を育みます。
大人が使うものを手にするのがかなり嬉しい年頃です。ママの普段使っている手鏡を仕上げみがきの時に持たせてあげましょう。
「いつもえらいから今日はご褒美に鏡を持たせてあげるね。○○くんが頑張ってる姿が自分で見られるよ」というような声がけで特別感を演出したり。
何でも興味を示す子には、「虫歯がでてくるところを見てみようか!」と手鏡をもたせて、ワクワク感から素直に仕上げみがきに応じる姿勢を作ります。
鏡以外にも、コップや歯ブラシなどの歯みがきグッズで気を引くのも良いですね。
仕上げみがきのロールプレイングロールプレイングとは学習効果を高めるのに適した疑似体験です。早速歯みがき前に、お気に入りのぬいぐるみに仕上げみがきをしてもらいましょう。
「Try role‐playing!」
疑似体験によって、仕上げみがきが嫌なことではないんだという感覚がついてきますよ。
ブクブクペッ!のうがいの仕方はどうやって教える?
2歳を過ぎたら、うがいの練習をしてみましょう。教えなくても早くから自然にできる子もいますが、焦ってできるようにしなくても大丈夫ですよ。3歳になる頃にはいつのまにか上手にガラガラもできるまでに成長しています。
大人の真似をしたがる年齢なので、スキンシップを兼ねた遊び感覚で「ブクブクペッ!」をママが見せて教えてあげましょう。
飲んでしまっても注意しないようにします。上手く出せれたら「スゴイね!」と褒めてあげましょう。
2.エアブクブクぺッ!をさせる
お水を入れたままほっぺを動かすのはちょっと難しいかもしれません。そんなときはエアブクブクペッ!で練習するのが一番です!
ほっぺをフグのようにプクッと膨らませて、そのままほっぺをペコペコするように動かすところを見せましょう。
そして最後に「ペッ!」と口の中の空気を出します。フグさんのもの真似で楽しくやってみてくださいね。
3.エアブクブクぺッ!ができたら水を口に入れて実践
2をクリアしたら、お水をひとくち口に入れて実際に「ブクブクペッ!」をやってもらいます。入れすぎると口がうまく閉じられずに溢れてしまうので、お口が閉じられる程度の水の量にします。難しい場合は、コップに一口分だけの水を入れて馴らしていきます。
4歳から5歳の年中さん期‐自分みがきを極める!
手先が器用になってくる年中さんは歯ブラシの持ち方も一工夫。これまで何となくみがいていた姿勢から、きちんと自分みがきができるブラッシング方法を身につけさせましょう。
歯を決められた順番でみがいていく方法になります。ふだんのお絵かきで正しい鉛筆持ちに誘導していくと手の筋力がついてスムーズに自分みがきに移行できます。
歯ブラシの握り方と歯みがきの順番を次のように教えます。馴れてきたら毛先の使い方=ブラッシングを覚えさせましょう。
みがく順番
2.そのまま歯ブラシの毛先を上にして噛み合わせの右上の奥歯から左の奥歯に進むようにみがく。
3.歯を噛み合わせてもらって「い」の発音をさせて口を横開きにする。今度は「い」の口のまま、左の奥歯から右の奥歯のへ進むようにみがく。
はじめのうちは順番をおぼえさせることを優先しましょう。1ができたら次は2をという感じで、ひとつずつやっていくのがおすすめです。
あいさつで覚える歯ブラシの握り方!
順番通りに歯ブラシを進めていくと、下から上へ歯ブラシを移動するときに毛先の向きが不自然になるので、みがきにくくなります。大人でも歯ブラシの上下の移動では歯ブラシの持ち方を変えますが、こどもにも教えてあげましょう。
福祉保健局が子ども向けに考えた「あいさつで覚える歯ブラシの握り方」がおすすめです!
大人は鉛筆持ちですが、子どもではグッドサインの手で歯ブラシのグリップを握ります。そして下のは歯「こんにちは」。上の歯は「さようなら」のあいさつで具体的な握り方を覚えさせます。
下からみがくときに「こんにちは」、上に歯ブラシが行くときに「さようなら」と声がけしてあげましょう。
噛み合わせて「い」の口で歯の側面をみがくときには「こんにちは」でみがきます。
ブラッシングの方法
歯みがきの順番と握り方を覚えたら今度は毛先のコントロール!歯ブラシを細かく動かすことを教えます。
ほっぺた側の歯の側面は、毛先があたっている面を10秒間左右に細かくずらすようにしてブラッシングします。噛み合わせの部分は歯ブラシが縦に入っているので上下にずらすようにして側面と同じ10秒ブラッシングをします。
一か所みがけたら隣の歯に歯ブラシを移動して、同じように10秒ブラッシングしてもらいましょう。
この一連の流れを上下で繰り返します。少し難しいとおもうので、おうちのかたも一緒に歯みがきをして理解させるように頑張ってみてくださいね。
歯みがき粉を使うタイミングと量について
赤ちゃん期では必要なかった歯みがき粉ですが、いつ頃から使うものなのでしょう?
歯みがき粉は本来使う必要はないといわれています。香料や清涼感で口の中をすっきりさせたり、歯の表面に付着してとれにくい茶渋汚れなどをとるために使います。
大人ではコーヒーなどのし好品の影響や人との関わりあいのなかで歯みがき粉は必要な存在ですが、こどもでは大人のような諸事情はありませんし、食べたらすぐ歯をみがく習慣があれば付着する汚れも気になりません。
また、子どもの歯は歯の表面を守るエナメル質が弱いので歯みがき粉の研磨剤がかえって歯の質を悪くする指摘も出ています。フレーバーで歯みがきを楽しく誘導する、フッ素入りで歯を強化することを目的に歯みがき粉を使うのが良いと思います。
日本口腔衛生学会が歯みがき粉を使うタイミングと使用量について次のように記しています。
- 2歳まで→ちょんと毛先に付く程度
- 3歳から5歳→5㎜以下
フッ素入り歯みがき粉は効果をあげるために仕上げみがきのときに使いましょう。量が多すぎると泡立ちが強くなってみがき残しができるので、つけすぎないように気を付けます。
また大人用の歯みがき粉は刺激が強く子どもの歯には適していません。乳歯がすべて生え変わるまでは使わないでおきましょう。
余談ですが、歯みがき粉は3㎝の量で洗濯洗剤1箱にあたいする洗浄力があるそうですよ!大人でも使い過ぎに注意したいですね。
6歳から7歳の乳歯の生え変わり期‐六歳臼歯を守ろう!
年長さんから小学校1年生にかけては乳歯が抜け始める頃です。そして何よりも気をつけたいのが一番虫歯になりやすい6歳臼歯の出現です!
6歳臼歯は生涯にわたって使う大切な歯ですが、噛み合わせ面の溝が深く磨き残しができやすいスポットを持っているので油断するとすぐに虫歯になります。食べ物のカスが容易に詰まるので丁寧なブラッシングを心掛けて、みがき残しを防ぎましょう。
また、生え変わりによって乳歯と永久歯が混ざった歯並びになるのでブラッシングをレベルアッップする必要があります。
4歳から5歳の年中さん期でお伝えした、自分みがきの方法にプラスして以下のブラッシング法を取りいれましょう。
6歳臼歯のみがき方
歯ブラシを口の横からEラインに沿って入れるのがポイントです。溝に歯ブラシの先を押し当てて細かく円を描くようにしてブラッシングします。6歳臼歯の後ろ側も毛先を使ってしっかり歯垢をかきだしましょう。
シーラントをすれば虫歯にならないという考えを持って処置をうけるのではなく、予防策の一つと捉えて活用するようにしましょう。
永久歯と乳歯のすきまのみがき方
乳歯よりも大きなサイズの永久歯が生えだすと、歯の生える位置が手狭になって窮屈になります。歯の隙間にブラシが届きにくくなるので、つまようじみがきと言って歯ブラシを縦にして毛先を使うブラッシング方法で詰まった食べかすをかきだします。
その他の歯の隙間にもつまようじみがきを心掛けて、定期的にキッズ用のデンタルフロスを使うのもおすすめです。
出典:amazon.co.jp
小さな子の口にも合うフロスは丸い形状で安心です。ネック部分は曲げられるのでフロスを入れにくい個所にも対応できます。
仕上げみがきはもうしなくてもいい?
仕上げみがきはできれば小学生の間はやってあげましょう。高学年では抵抗があるかもしれませんが、永久歯を健全に維持するためにも子どもが嫌がらなければ続けていきます。
成長と共に力も強くなるので、仕上げみがきではちょっとした動きで歯ブラシが予想もしない方向へ滑ることがあります。ブラシを持つ手の小指を子どもの口もとに添えるようにして支えをしてみがきましょう。しっかり安定してみがけますよ。
そしてみがきにくい奥歯は、清潔な人さし指で頬の内側を持ちあげてみがくと歯ブラシが隅々まで届きます。「子どもが自分で歯みがきできるから大丈夫」と過信しないで、乳歯と6歳臼歯を仕上げみがきでサポートしましょう。
さいごに
昨年、歯の健康日本一に輝いた小学校があります。全児童の95%が虫歯が一本もない快挙を成し遂げたのですが、この輝かしい経緯に至った理由には歯科校医さんの継続的な歯みがき指導があります。
指導の内容は、自分がうまくみがけない場所を理解させること。きちんとみがけていると思っても、検知液を塗布するとみがき残しが赤く染めあがるのです。
歯科校医さんの談によると子どもの場合は利き腕の反対側の歯のみがき方があまり上手ではなく、奥歯もみがき残しが多いそうです。でも定期的な検診でうまくみがけない箇所を知ることで自分から正しい歯みがき習慣をつけ、みがき方のクセをなおす気持ちがめばえていくとのことです。
「自分の歯は自分で守らなきゃ!」と実感して、歯みがき嫌いが改善されていくようですよ。お家でもみがき残しをチェックしてみるとよさそうですね。
歯みがきは年数が長くなればなるほど、みがき方にクセが出やすくなります。もし可能であれば利き腕でないもう片方の手でも、歯みがきをする習慣をつけてみましょう。
TOPICS:ウォーターサーバー導入によるママ&赤ちゃんのメリット・デメリット