便秘といいますと大人が悩むものと誤解されがちですが、母乳を飲んでいる幼児期からの問題で、大人~子供までとても関わりのある悩みの種です。
さて、大人であれば便秘の原因について、いくつか思い浮かぶと思いますが、小学生低学年以下の子は、どうして便秘になったのか自分で説明ができません。
その上、便秘であることも自覚していないこともありますし、トイレへ行きたくないので黙っていることもあります。
今回は子供が便秘になる原因、そして便秘なのかをチェックする方法をまとめました。
赤ちゃんの便秘については、下記のページで詳しく解説していますので、参考にして頂ければと思います。
→ 【保存版】赤ちゃんの便秘に役立つQ&Aまとめ~病院リスト付き
子供が便秘になる原因は?
子供が便秘になる理由は後で上げていきますが、子供は便を出す力が大人よりも弱く、大人よりもすぐに便秘になります。
子供の頃から便秘のくせがあると、大腸の機能が弱く便秘症になってしまいます。そのため、便秘の原因を見つけてきちんと対処しましょう。
食生活が原因の便秘
子供の便秘の原因に食生活があります。
お肉が好きで、繊維質の多く入っている野菜を食べない偏食ですと便秘になりやすくなります。
食べ物を食べた際に噛む回数が少ないと、消化作用のある唾液が分泌されませんので、胃や腸に余計な負担がかかります。
その結果、胃や腸が疲労し排便を促す機能が鈍くなるので、排便能力が弱り便秘に繋がるのです。
また、唾液は食べ物と一緒に腸内まで届き水分となるのですが、唾液が少なければ腸は便から水分を吸収し乾燥した硬い便が出来上がりやすくなります。
甘いお菓子や刺激的なスナック菓子は、ご飯よりもおいしく手軽に食べ続けられるので、お腹いっぱいになってしまい、ご飯が食べられなくなってしまいます。
その結果、ちゃんとした量の便がお腹の中に出来上がりませんので、排便をしたいという信号がお腹から出ません。結果として便秘気味となったりコロコロした便になってします。
成長に欠かせない栄養を手軽に補給できる牛乳ですが、飲みすぎると便秘もしくは下痢になります。これは牛乳の成分である「βラクトグロプリン」が腸内で悪さをすることで便秘になります。
β ラクトグロプリンは牛乳やヤギ乳に含まれる成分ですが、加熱処理されていない牛乳では、他の乳酸菌の働きで悪さはしません。
加熱処理をしてしまうと他の乳酸菌は死んでしまい、βラクトグロプリンだけが残り便秘へ繋がります。もし、牛乳や乳製品を多く食べているのであれば、量を減らすことで便秘解消につなが ります。
関連記事:子供に牛乳って必要なの?不必要なの?代わりになるものは?
冷たいアイス、ジュースなどを食べ続けてしまいますと、胃腸が冷えてしまいます。
冷たいものを食べ過ぎると、体温が下がってしまい胃腸の働きが鈍くなり便秘となってしまいます。
米を主食にしている子供とパンを主食にしている子供では、米を主食にしている子供の方が便秘にはなりにくいです。
パンからご飯へ主食を変えることで便秘の解消につながる可能性が高いといえます。
運動不足が原因の便秘
なぜ、運動不足が便秘になるのかといいますと、子供は腹筋が未発達だからです。
腹筋が未発達のままでは、便を排出する腸の機能(蠕動運動)が弱いままであり、スムーズに便が出ることなく腸に便が長く残るようになります。
腸内に便が長時間残っていると便から水分が再吸収されてしまい、便が硬くなり重度の便秘になります。
水分補給をしっかりおこなう
遊ばせた際にしっかりと水分補給をしなければ、水分不足により便秘になります。
子供の必要水分量は、大人よりも多くなります。夏の暑い時期はすぐに水分不足になるので、運動をさせるのであれば、こまめな水分摂取を心がけてください。
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ストレスが原因の便秘
子供は3回、便秘になる時期があります。
- 乳児期に、母乳からミルクや離乳食へ切り替えるとき
- トイレトレーニングを始めたとき
- 幼稚園や学校へ通い始めたとき
上記の3回の内、トイレトレーニングと幼稚園や学校へ通い始めたときの便秘がストレスによる便秘になります。
トイレトレーニングで、うまく排便ができなかったことで親から叱られたという経験も便秘へ繋がります。
トイレに行きたくても、また怒られるのではという恐怖心からトイレを怖がります。この恐怖感から緊張状態になるので腸の動きも鈍化します。
学校のトイレは汚かったり、和式便器のままで洋式便器に慣れた子供は学校でトイレには行きたがりません。また、学校のトイレを舞台にした怖い話がありますので、学校のトイレに恐怖心を持っている子もいます。
さらに、トイレで排便をすることをからかう風潮があり、その結果、トイレに行きたいと思っても我慢することで、それがくせになり便が途中で止まり便秘になってしまうことがあります。
この便秘状態を放置しますと、過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)へ発展する可能性があります。これは、緊張したらお腹が痛くなる、ゲリ、便秘になるという病気です。
子供が小さいときに水分の少ない、石のような便をして肛門が裂けるなどの痛い思いをすると排便をするのが怖くなり、便を我慢し便秘になる可能性があります。
生活習慣が原因の便秘
幼少期より便秘になることが多い場合、成長しても便秘をすることが多くなります。これには、生活習慣が関係している可能性があります。
例えば、肥満気味の子供は便秘になりやすいといわれています。肥満気味の子供は、肉などを好み繊維質の多い野菜を嫌い、運動もあまりおこなわないので腸の働きが鈍くなり便秘になりやすくなります。
スナック菓子を好む傾向がありますので、お腹の中の便の量が増えません。
また、朝食を摂らないと肥満傾向になりますが、朝食を食べないと朝目が覚めてからトイレへ行く理由がなくなるので、便秘になりやすい傾向があります。
関連記事:子供の肥満はいつから気をつけたらいいの?親の責任?チェック法は?
食後にトイレで排便をする習慣がなければ、トイレへ行く習慣が身につかず、食後に排便を促す信号が頭からでません。
食後に排便をする生活習慣のある子供と比較すると、習慣がない子供の方が便秘になりやすい傾向があります。
下剤を使用すると自身で排便する腸の機能が低下していき、薬を飲まなければ排便が促されなくなります。
そのため、下剤の使用は控えましょう。また、浣腸は下剤よりも体にダメージが少なく排便をすることができます。
子供が便秘なのかをチェックする方法は?
子供は大人と異なり、自身で便秘であると言いません。そのため、大人が子供の便の量や回数などを見て、便秘なのかをチェックする必要があります。
コロコロした硬い便を出して痛い思いをしたとき、トイレトレーニングで激しく叱られてしまった、学校のトイレで排便は変という雰囲気のせいで排便せずにいると、排便のリズムが狂い便秘になります。
このような変化に早期に気が付けるように、どのような状態が子供の便秘なのかを紹介します。
便が出ない日数
3日とは医師が便秘であると診断を下す目安の日数です。そのため、3日を過ぎたからといって、普通の便を排便するのであれば個人の排便リズムになります。
便秘の際に見られる症状
便秘の症状が出ますと、子供は様々な症状があらわれます。一見すると便秘とは結びつかない症状も出てきます。
- 食欲減退
- 腹痛
- 嘔吐
- 発熱
- 不機嫌になる
大人は他の病気と間違えないために、子供の便の回数を測っておくといいでしょう。
便の形
便秘気味の子供の便は、腸に長い時間あったために水分がなく、乾燥し硬くなっています。
コロコロした石のような便は乾燥しており悪臭を放ちます。排便の際に、肛門が傷つき子供が痛がる可能性が高くなります。
形は通常の便と同じですが、腸内に長時間あったために水分が体内に再吸収されており、硬く乾燥した便になっています。
これを排便するときは、普通の便と異なり痛みをともなうことが多々あります。臭いに関しても、腸内で便が腐敗しているので、悪臭を放ちます。
便秘が進むと便失禁(便のお漏らし)をするように
重症の便秘の場合、普通の柔らかい便が漏れるようになり、オムツを卒業した幼稚園生になっても1日に何回か便を漏らすようになります。
便秘が悪化して硬く大きくなり自力で排便することができない慢性便秘になると、大量の便が腸内にたまり続けます。
そして、少量の新しくできた柔らかい便が、たまった硬い便の隙間から意志に関係なく漏れ出てしまい、お漏らしをするようになるのです。
日に数回、便を漏らすようになったら重症の便秘の可能性があります。
関連記事:子供の便秘で起こり得る症状は?重症化による影響&病気との関連性
まとめ
子供の腹痛の原因の大半は便秘です。便秘は様々な理由で起きますが、食生活、ストレス、運動不足の3点が関連し便秘となることが多いのです。
病気などが原因で便秘になったわけではないのに便秘になったのであれば、それは、便秘になりやすい生活習慣を送っている可能性が濃厚です。生活を改善すれば便秘も自然となくなります。
放置すると慢性便秘になってしまい、日に何度も便を漏らすようになります。そのような場合は、専門の小児科へかからなければ改善は難しいでしょう。