お兄ちゃんがダウン症だったら・・・弟たちはどんな感情を抱くのでしょうか。
ダウン症を育てる苦労。そして、ダウン症を兄にもつ2人の弟たちにも十分に寄り添わなければなりません。
次男が生まれた時
ダウン症のR君には2人の弟がいます。3歳下と5歳下の弟です。
長男がダウン症であると分かった時には、「子供はこの子だけでいい」と心に誓いました。
でも日々、R君を過ごす中で私の中である感情が芽生えました。
「普通の子も育ててみたい」
そして次男が生まれました。幸せに満ち足りた時間でしたが、生まれてしばらくして、次男の顔を見て「ごめんね、ごめんね」と涙したことを覚えています。
「この子は将来、どんな苦労をするのだろうか」
「産んでごめんね」
お兄ちゃんが障害をもっていることで、他の子なら経験しない苦労を背負うことになる、次男をとても不憫に思いました。そうした苦労を次男ひとりに背負わせてはいけないと思い、苦労を分け合える兄弟がもう一人欲しいと思いました。
そして2年後にもうひとり元気な男の子を授かることができました。
あなたはラッキーよ!
次男が小学校へ入学する時はとても悩みました。すでに小学校の特別支援学級に入級をしているお兄ちゃんをどう思うだろうか・・・そのことでイジメられないかな・・・。
そこで私は先輩ママに相談をしました。先輩ママさんも男の子の兄弟を育てられていました。
「心配することないよ。逆の発想をすればいい!」といった答えでした。
「あなたはラッキーよ!といってあげて」と私には想像もしない答えが返ってきました。
「どうしてラッキーなのですか?」
「だって、お兄ちゃんが学校で目立つ存在なんだから、その弟ならみんなにすぐに名前を覚えてもらえるでしょ」と。
そんな考え方があるのだと、私には目からうろこ状態です。なるほど!
幸い、R君は学校では大の人気者。愛想がよく、お調子モノ、ウケたい!(関西人の気質ですね)そんな人柄なので、他学年からも声をかけられ、人気者になっていました。
次男の入学を前にその話をしました。すると次男は「分かった」とうなずき、その他は何も言いませんでした。入学後は次男の様子が気になりましたが、特に感じるものはありませんでした。
小学校に3兄弟
R君が6年生になると、三男も入学。小学校に3兄弟が揃いました。相変わらず人気者のR君。家にもたくさんの同級生が遊びに来てくれます。
弟たちも一緒に遊ぶことになりますので、自然と仲良くなり、学校でも出会ったら声をかけてくれるそうです。「お兄ちゃんのお陰で、僕、友達多いわ」と三男が言ってくれた時には涙がでました。
全校生徒が揃う場で特別支援学級の生徒たちが発表をする機会が年に数回あります。自分のお兄ちゃんが特別なクラスに入っていることを恥ずかしく思わないかといった不安がありました。
でも、その不安は不要のようです。「今日、兄ちゃん頑張ってたで~」と誇らしげに帰ってくる弟たち。私は胸がいっぱいになりました。
お兄ちゃんに障害があることで、弟たちは様々な思いを抱いて過ごしていると思います。でも頑張ってほしい。親としてはそれしか言えないのです。
強くたくましく、そしてお兄ちゃんの頑張りをそばで見ていてほしい。それが親の願いです。
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イラスト by hiro