できることならば、ずっと家の中で育てたい。社会に出すことなく、ずっとずっと家の中に閉じ込めていたい。私は何度そう思ったことでしょう。
ダウン症の我が子はとても愛しいものです。でも社会の中にこの子を出すなんて・・・不安だらけでしたね。
子供にとっての社会デビュー、まずは幼稚園です。
入園してもいいですか?
私たちが住む地域は3年保育の公立幼稚園があります。保育園もありますが、障害児枠は設けられていないとのことで入園は叶わずでした。
そこで自宅から徒歩10分の幼稚園へ入園。3年保育となると3歳で入園ですよね。
3歳のR君は・・・といえば、まだオムツはとれていないし、言葉だってハッキリ聞き取れる言葉は一言、二言。こんな状態で幼稚園に入園しても・・・と思い、R君は2年保育での入園を決意しました。
入園までのスケジュールとしては、まずは入学願書の提出、面談、一日体験、そして入園です。
入学願書を提出する際には「ダウン症なんですが入園してもいいですか?」と尋ねました。今から思えば「入園できるに決まってるじゃない」と思いますが、当時は本当に入園させてもらえるかとドキドキでした。
ダウン症特有の真似っこパワー
さぁ、R君の幼稚園生活が始まりました。年中れんげ組です。
R君にとって同じ年の子供たちの中にまじること、ましてやママと離れて数時間を過ごすなんて初めてのことです。初めてだらけのR君には支援の先生がいつもそばにいて、色々お世話をしてくださりました。
なんだか様子が異なるR君に周りの子は興味津津です。この興味津津こそがR君の成長を促してくれました。
いつもR君の周りにはお友達がいて、あれこれとお世話をしてくれます。会話らしきやりとりもあって、とても嬉しそうなR君の顔が忘れられません。
4歳で入園をしたR君ですが、まだオムツがとれていませんでした。そこで私は支援の先生にあることをお願いしました。
「お友達が立っておしっこをするところをR君に見せてもらえませんか?」
これはダウン症の真似っこをする特徴を利用しようとしたのです。
まさかの光景が・・・
支援の先生はある男の子にお願いをしてくれました。その男の子は得意気な顔で「いいよ!」だったそうです。
男の子が立っておしっこをする姿をR君に何度か見せてもらったところ、ある日、R君がひとりで男の子用の便器の前へ。そして、ズボンを下して(オムツ姿)で立っていたそうです。
ビックリでしょ!
果たしてオムツの中でおしっこをしていたかどうかは不明でしたが、そんなことよりR君の頭の中に「おしっこをする場所」がインプットされた瞬間だったのです。
その話を先生から聞いた私は思わず「嘘でしょ?」と。それもそのはず、R君は当時、尿意を伝えることすらできなかったのですから・・・。
おしっこをしたいなと思い、便器の前に立つ。まさかの光景は大きな大きな成長でした。そして、入園から何と!1か月半でオムツがとれたのです。
不安はあるけれど、それ以上の喜びがある
毎朝、登園して午後2時の降園時間までには様々なことがありました。
お友達とのトラブルもありましたし、先生の指示に従わずに1日中廊下に座り込んだことも・・・。「このままでやっていけるのかな」と不安になることもありましたが、その反面、R君を誇らしく思うこともいっぱいありました。
幼稚園に入園したからお友達の真似っこをして、できたことがいっぱいあります。トイレでおしっこができる、おはしをもつ、一人で靴を履く、上着を脱ぐ、どれもこれもお友達の見よう見真似でできるようになりました。
健常児の中に障害の子をいれると、目立ってしまうのでイヤ!正直な気持ちです。でもあえてその環境に入れるからこそ、得られるものもあります。
私たち親が一生懸命教えてもなかなかできないことでも、お友達の真似っこであっという間にできちゃいます。子供同士の力ってスゴイんですよ。
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イラスト by hiro