赤ちゃんから低学年までの絵本の読み聞かせ効果と心に寄り添う読み方

絵本を読む家族育児

絵本の読み聞かせは子どもの心を育む素敵なコミュニケーションツールです。お話する側にも聴く側にも安らぎをもたらして、お互いが共感しあい絆を深めます。

時折、教育的なイメージからうまく読めないと敬遠される方もみえますが心配はいりません。子どもはお家の人に読んでもらえることが何よりも嬉しくてたまらないのです。大切なのは「子どもの心に寄り添う読み方を心掛ける」ただそれだけにつきます。

今回は読み聞かせが子どもに与える素晴らしい効果をお伝えしながら、心に寄り添う読み聞かせにするためのコツをQ&Aをまじえて紹介します。

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読み聞かせの世界が与える素晴らしい効果について

勉強をしている女の子

子どもに良い影響を与えることが知られる読み聞かせですが、実際にどのような効果があるのでしょう。学力、人間力、精神力など成長とともに必要な能力を高める働きが知られています。

読み聞かせから得られるメリットの例

  • 親子間のコミュニケーションが深まる。
  • 心や感性が豊かになる。
  • ことばを覚える力がつき語彙力(ごいりょく)が増える。
  • 考える力を身につけられる。
  • 人の話をきちんと聞けるようになる。
  • 広い目でものを見る力が育つ。
  • 本を読むのが好きになる。
  • 読書習慣が定着する。

効果のなかでも注目したいのが知性を発達させる力です。絵本の読み聞かせを習慣化すると知性はより豊になり、まわりの環境にも柔軟に対応できる広い心を育みます。

では知性の発達による効果を掘り下げてみましょう。

知性って何!?

知性がある人と聞くと賢そうなイメージが湧きますが、具体的にどのような特徴を持つ能力なのでしょうか?

知性は一つの物事をぐるっと360℃の視点から見つめることができる力。柔軟性に富んだ思考力でオールマイティに物事を見つめられるので、答えがみえなくても類推して考えるアクションに脳が働きます。

子どもの学習面に例えるなら、文脈から察し考える力が必要な文章題も難なくこなせるイメージです。この能力は生涯にわたって様々な場面でぶつかる難題にも立ち向かって行ける力になります。

絵本の読み聞かせを通じて子ども達の知性を豊なものしてあげたいですね。

絵本の読み聞かせが知性を発達させる秘密

なぜ絵本の読み聞かせには知性を伸ばし発達させる力があるのでしょう?それは何気ない読み聞かせのなかで4つの能力が鍛えられているからです。

理解力‐understanding

お話をきちんと聞ける子は賢い子といわれますが、それは聞き流すのではなく話の内容をしっかり受け取っているからです。

食べ物を噛まずに飲みこめば消化不良になりますが、良く噛んで飲みこめばきちんと消化されてしっかりと栄養分が体に行き渡ります。

理解力もまさに同じ原理なのです。読み聞かせを一生懸命に聞いてお話の展開を頭の中でイメージする。そして内容をまとめ理解する一連の作業が子どもの考える力と心の栄養になります。

想像力‐imagination

イマジネーションが豊かな人間性はおおらかで、発想も魅力的です。目に見えないものを心に思い描く力はモチベーションをあげて、次にすべきことも明確にできるので行動力も伴って高まります。

ワクワクすること、ドキドキすること、怒ったり、悲しかったり。色々な感情は想像力があるからこそ生まれます。

子どもは成長と共にお友達とのいざこざもありますが、想像力に長けていると相手の状況をイメージできるので思いやる心がめばえて、仲たがいしてもすぐに仲直りできます。たくさんのジャンルの読み聞かせをして、楽しい夢にあふれた想像の時間を作ってあげましょう。

学力‐achievement

まだ小さなお子さんでは学力と聞いてもピンとこないかもしれませんが、読み聞かせにはおのずと学ぶ力がつくといわれています。

「学ぶ」の意味は「真似る」ことから出来た言葉という説があります。お母さんの優しい声、お父さんの温かな包容力のある声は子どもに安らぎを与えるだけではなく、聞き慣れた声だからこそ言葉の一つ一つにお話に厚みが増して子どもは何かしら学びとっています。

小学校の学力テストの分析結果でも読み聞かせによる学力の向上があきらかになっていますが、絵本の読み聞かせを積極的に行う家庭の子どもの正答率が群を抜いていたそうです。

「勉強しなさい!」と親が急き立てる環境を将来的に回避するためにも、自分から学ぼうとする意欲を絵本の読み聞かせによって定着させたいですね。

自発力‐initiative

子どもが心配で何かと親は干渉する場面が多いものですが、お友達とのケンカの仲裁や身の回りの手伝いなど、良かれと思って助ける行為は解決策を見出す自発力を低下させているかもしれません。

自発力は自らが工夫して考えていく大切な能力です。絵本の読み聞かせには自分のことを自分で解決できる力を養う素が隠されています。

登場する主人公やストリー性からインスパイアされるような絵本を沢山選んであげて自立心を目覚めさせましょう。様々な場面でのやる気に繋がっていきますよ。

知性の発達を生み出す4つの能力・・・。プロセスを知るとお家でもまいにち絵本の読み聞かせをしたくなりませんか?

けれども、はじめての子育ての場合は読み方のコツや読み聞かせるのに適した年齢など色々と疑問も生じると思います。

基本的に読み聞かせには冒頭でもお伝えしたようにルールや、こうしなければいけないといった義務感はありません。お子さんに愛情を持って語りかければ大丈夫ですよ。

次の章ではお母さん方からよく聞く質問をピックアップして、答えの中で心に寄り添う読み聞かせにするためのコツを交えてお伝えしていきます。

心に寄り添う読み聞かせにするコツとは?読み聞かせで気になることQ&A

Q1.絵本の選び方について知りたい!

図書館

いざ本屋さんや図書館に行っても、どんな絵本が子どもに良いのか?迷うことがあります。

選ぶ目安は、年齢別に沿ったストリー性や成長過程から考えるのが一般的です。書評などによるおすすめの絵本を参考にしてみても良いですね。

赤ちゃん期での絵本の選び方まとめ

0歳から1歳
生後6か月頃までは物に触れたり見るのが楽しい時期です。シンプルでパッと目を引き付けるような、色が美しく絵そのものを楽しむ絵本 にしてあげましょう。

TOY感覚の布絵本や、装丁が小さな手に触れても痛くない丸みがあるコンパクトなタイプが良いと思います。

生後7か月を過ぎると視力も安定し始めて目に映る身の回りのものに興味を持ち始めます。

赤ちゃんの生活のなかで馴染みのあるグッズが絵本に登場するとすごく喜びます。哺乳瓶だったり、タオルだったり、ぬいぐるみだったり。

お気に入りと同じものを絵本の世界で見せることで認識する力が宿ります。

1歳から2歳
1歳から2歳までの赤ちゃん期は膝の上で読んであげるなどスキンシップを大切にした読み聞かせを重視します。

パパやママの言葉から喋ろうとする発話力が育つ頃でもあるので、言葉の楽しさが面白く感じるシンプルな構成の絵本を探してあげましょう。

教育テレビの「にほんごであそぼ」にでてくるようなオノマトペが最適です!

風のヒューヒューという音、雨のザーザー降る音など。オノマトペで情景と言葉が繋がり、言語を習得する時期の大きなサポートになります。

セレクト・ポイント
  • 赤ちゃんの身の回りにあるものが登場している。
  • イラストを重視したシンプルな内容で白の余白が少ないもの。
  • ことばがはっきりと伝わる文体で、日常につかうことばがあるもの。
  • オノマトペでテンポやリズムの流れがあって楽しく感じるもの。
  • イラストは細かくなく、デッサンや色使いがはっきりした描き方になっている。
読んであげたい!とっておきの1冊
0歳から1歳:コップちゃん

コップちゃん
出典:amazon.co.jp

コップにオレンジジュースを注ぐ、ごく普通の風景がコップちゃんによって実に興味深くコミカルでキッチュな世界になります。シンプルですが赤ちゃんの目がしっかりと絵本を追い、ことばの習得をサポートします。

1歳から2歳:おへそどこ?

おへそどこ?
出典:amazon.co.jp

赤ちゃんが喜ぶしかけ絵本です。「お口どこどこ?どこかなぁ~?」「バァ!コップの後ろ」という具合に、しかけをめくって体の部分を探していきます。とっても楽しいですよ。

幼児期での絵本の選び方まとめ

3歳から4歳
自我が目覚めはじめて、いろんなことに興味が広がるやんちゃな年頃です。インパクトが強いものにとくに目がいきやすいので、ストー リーの展開が早く面白い内容の絵本を選んであげましょう。

好きな人気アニメやキャラクターものはイメージする力が湧きにくくなるので、空想ができる未知の登場人物が出てくる絵本をセレクトして絵本の内容にかたよりがないようにします。

テレビの世界とは違う、主人公が自分の想像力の中で動く絵本の楽しさを実感させてあげられると良いですね。

5歳から6歳
簡単なストリーをしっかり理解できる力がついています。繰り返し聴くことで自分の中に絵本の世界観を大切にする気持ちが芽生えるとき なので、いつでも手にとることができるお気に入りの絵本を用意してあげましょう。

一緒に図書館に行って子どもがどんな絵本に心を惹かれているか?何度も読みたがるのはどんな絵本なのか?そういった視点から子どもにふさわしい絵本を選んであげるのがよいと思います。

セレクト・ポイント
  • 子どもが好きな楽しいと思える内容。
  • 繰り返し読みたくなるもの。
  • 主人公を通じて、受け身から自分が動くアクションを学べるもの。
  • 想像力をかきたてるストリー。
  • コンパクトな赤ちゃん向けの絵本はやめる。
  • 芸術的要素のある挿絵で想像力をかきたてるもの。
読んであげたい!とっておきの1冊
3歳から4歳:おとうふちゃん

おとうふちゃん
出典:amazon.co.jp

ある日のこと、お味噌汁の中のおとうふが旅に出てしまいます。途中お手紙も出しつつお家に帰ってくるのですが・・・。ありえないストリーが新鮮で、朝ごはんの習慣にも繋がる絵本です。

5歳から6歳:バムとケロのそらのたび

バムとケロのそらのたび
出典:amazon.co.jp

ストリーの展開が楽しくて面白くてたまらない絵本シリーズ。主人公が飛行機を組み立てて、その飛行機でおじいちゃんのところまで飛んでゆくハチャメチャ珍道中が冒険の世界を目一杯想像させてくれます。

小学校低学年(1・2年生)での絵本の選び方まとめ

小学校低学年(1・2年生)
図書館の活用が多くなるので、かなりの読解力が備わっています。少し難しいかな?と思うような、ちょっと考えさせるような内容の絵本 を選んであげても良いですね。

国語の教科書の進み具合と連動させて絵本を選ぶのもおすすめです。3年生に近づく頃になると科学系の要素の入った絵本も喜びます。

セレクト・ポイント
  • 人とのかかわりや協調性を伝える内容のもの。
  • 少し長いお話の絵本に切り替えていく。
  • 語彙力を伸ばすようなことば遊びの入った絵本の活用。
  • 読み終わったあとに考えることができるもの。
読んであげたい!とっておきの1冊
低学年(1・2年生):あした花になる

あした花になる
出典:amazon.co.jp

凶暴なカマキリが美しい花に魅せられて、恐ろしい自分の姿を花に似合うようにしてほしいと願う切ない物語。ラストシーンでは強い意志があれば願いは必ず叶うことを教えてくれ、涙がこみ上げます。

読み聞かせの絵本は選び方に固執する必要はありませんが、上記のように小学校低学年までは年齢に合った特徴で絵本を探してあげると良いと思います。そのうえで、お家の方の視点でピピっとくる絵本を選んでみてくださいね。

絵本専門店だとブッククラブがあって、毎月子どもの年齢に合った絵本を見つけて届けてくれるシステムがあります。絵本専門店で検索すると素敵な本屋さんが沢山見つかりますよ。

年齢別におすすめの絵本がわかるお助けサイト

※EhonNavi(外部ページ)

最新の絵本情報や子どもにまつわる絵本イベントも満載です!

※子どもの本とおもちゃ百森町(外部ページ)

わかりやすく見やすいので、子どもと一緒に素敵な絵本を探すのにおすすめです。

Q2.読み聞かせはいつからはじめるのが良いの?

妊婦

スタートにふさわしい年齢に定義はありませんが、早いうちから習慣化させるのが良いですね。お家のかたがやってみよう!と思ったその日から是非読み聞かせをはじめてください。

お腹の赤ちゃんにも聞かせてあげましょう!

お腹の赤ちゃんへの絵本の読み聞かせは胎教にとっても良い効果が実証されています。安定期に入る妊娠5か月頃になると赤ちゃんの聴覚が発達し、妊娠7か月に入ると音に対する認識も深まって、とくにお母さんの声をよーく聞いているんです。

お母さんの声は世界で一番安心できる心のよりどころです!絵本を読むことでママの心が癒されて幸せホルモンが体中にみなぎります。それを受け取ったお腹の赤ちゃんは素晴らしい心の持ち主に成長していくそうです。

胎児の頃からの読み聞かせが与える影響

  • 言葉の習得が早くなる。
  • 心が穏やかな子に育つ。
  • 夜泣きが少なくなる。
  • 情緒が不安定にならず切れない子になる。

Q3.読んであげても聞いてくれない!どうすればよい?

おもちゃで遊ぶ女の子

子どもは聞いていないようで実はちゃんと聞いています。とくに2歳児さんではお話の途中で周りのオモチャに夢中になってしまって、読んでいるお母さんは「あれ?」と思うことが多いものです。

このようにはじめは聞いていたのに聞かなくなった場合には、途中でやめることをしないで最後まで読み切りましょう。

根本的に聴く様子が見られない場合には読むタイミングが悪かったり、絵本が興味の対象でない場合が考えられます。

聞いてくれる環境にするには

  • 子どもに合った絵本をセレクトする。
  • 疲れているときや眠いときは読むのをやめる。
  • 精神状態がおちついているときに読む。
  • 遊びなど夢中になっているものを中断して読み聞かせをしない。
  • 読む前に声がけをしてみる。
  • 情操教育の為になるからと押し付けた気持ちで読まない。
  • 読み聞かせに慣れてきたら読む時間を決めておく。
  • テレビなど音の邪魔が入らない静かで、落ち着いた環境を整える。

Q4.同じ絵本を繰り返し何度も読みたがるけれど大丈夫?

女の子

幼児期では繰り返し何度もお気に入りの絵本を読みたがる傾向があります。お家の方としては「違うバリエーションの絵本も読んであげたいのに」と思うかもしれませんが実はこの繰り返しは心の形成に不可欠なのです。

録画したテレビ番組やアニメなどのDVDを何度も見るのも同じで、お話のはじめから終わりまで知っているからこそ(既知の存在)子どもは安心して見られ、心を落ち着けているのです。

そして、何度も繰り返し見るうちに、そこからイマジネーションの翼がより広がって身近な人とお気に入りを共有したい気持ちが芽生えます。

繰り返し見る絵本のことを親子で一杯お話ししましょう。成長と共に他の絵本にも自然に興味を示すようになるので安心してくださいね。

絵本の繰り返し読みで得られる子どもへの効果

  • 心の状態を安定させる。
  • 絵本の楽しさ面白さが認識でき読書好きに成長していく。
  • 繰り返すうちに新しい発見や気付きが体験でき、探求心をめばえさせる。
  • お話の世界観をいろんな人と共有したいと思う気持ちが強くなり、話して伝える力がつく。

Q5.絵本の読み聞かせはいつまで続ければ良いの?

絵本を読んでいる親子

子どもが読んでほしいと思う年齢までとことん読み聞かせてあげましょう。大人向けの絵本も充実しているので、最近では高校生だったり中学生のお子さんがいる家庭でも家族だんらんのひとときに読み聞かせを楽しむ風景もみられます。

家族のコミュニケーションの場となるように絵本の読み聞かせが定着すると良いですね。

Q6.夜寝る前の読み聞かせは何歳で始めるのが最適?

寝ている女の子

1日の生活パターンが時間の軸に沿って整う3歳頃が最適です。就寝時間を決めて、その時間の15分前にはお布団に入らせて寝る前の読み聞かせをします。早寝の導入ができるので、生活のリズムをつけるのにも役立ちますよ。

ただ、面白すぎる絵本にすると興奮して眠れなくなったり、リクエストが続いてしまうことも。多くても2冊と決めて、1冊は子ども、2冊目はお家の方のセレクトにするなどして様子をみましょう。

Q7.文字が読めるようになったら親が読んであげる必要はない?

絵本を読む女の子

識字率が上がっても絵本を子どもまかせに読んでもらうのは小さいうちではおすすめできません。5歳ごろになるとひらがなが読めるようになってきますが、理解しておきたいのが絵本と童話などの書籍は役割が違う点です。

書籍は長い文脈から情景を察していくものですが、絵本は文字と絵の二つが同時進行で繰り広げられていくお話になります。小さい子ではまだ、文字と絵を同時にくみ取ることができないので文字を読むことに精一杯になって絵を同時に楽しめられません。

これでは書籍の役割であって、絵本の楽しさや面白さがわからなくなります。ある程度大きくなれば同時進行も可能になりますが、小学校2年生までは読み聞かせを親が率先して行いましょう。

Q8.うまく読めるようになる方法はあるの?

先生

愛情を持って、心を込めて読めば必ず良い読み聞かせができます。もし、読み聞かせになれていなくて不安なようでしたら参考になる方法があります。

それは実際に図書館や学校の場で読み聞かせを行うスタッフの指針となっている上達するための一連の流れです。私も小学校での読み聞かせ活動をしている一人ですが、毎回必ずこの方法を実践しています。

読み聞かせを上達させるための流れ

1.読み聞かせる相手の状況を把握する
子どもの年齢や性別から今どんなものに夢中になっているかをリサーチしたり、学校での活動状況などからお疲れ気味かな?など集中して 絵本を読めるようにするための状況を把握しておきます。
2.1の結果から推察して本を選ぶ
プラスして、季節に合わせたものをチョイスすることもします。お正月、クリスマス、七夕、節分など季節に連動した絵本は子どもも大喜 びしますよ。
3.読む練習をする
あらかじめ読んでおくと途中で間違える心配もありませんし、間の取り方もスムーズにできます。また、感情を入れて読みたい部分も把握 できるのでさらに心をこめて読むことができます。

本によってはページをめくりにくいものもあるので練習するともたつかない読み聞かせが可能になると思います。

4.実際に読み聞かせる

子どもがどんな反応をするか楽しみなときです!お家でも学校の読み聞かせの場でも実際にやっているのが、絵本を何冊か用意しておくこと。子どもの気持ちに寄り添うためには読み手の好みで押し付けるような一方的な絵本のセレクトはタブーです。

元気がないなと思うときは明るく楽しくなるもの、目がキラキラして新しいことを知りたがっているようなときは物知りになる絵本をという具合に、読む時点での空気感でさらに本を選んで読み聞かせをしています。

5.反省点やそのときの状況をメモする

読み聞かせを振り返ると、反省点や子どもの心の状態がわかります。少し面倒くさいかもしれませんが、専用のノートを1冊作って絵本の読み聞かせ日記をつけるのがおすすめです。

日付と本のタイトルと作者名を書いて、読んだ時の子どもの様子を一言添えます。好きな傾向の本、そうではない本の傾向が把握できて役に立ちます。また、思い出に残る子どもの成長記録にもなりますよ。

Q9.読むときに声を高くしたりする必要はあるの?読み方って大切なの?

黒板

優しくゆっくり丁寧に読むように心掛ければ十分です。あまりにも冷たい無表情な顔で読むのはよろしくありませんが、いつもの会話のように語りかけるようにして読むのがポイントです。ただ、時期によっては過剰な読み方になると絵本に集中できないケースもあります。

読み聞かせの現場の観点から年齢別に読み方で気をつけたいことをまとめてみました。知っておくとためになりますので参考にしてみてくださいね。

年齢別・読み方で気をつけたいポイント

赤ちゃん期
言語学の世界では赤ちゃんには言語機能獲得装置というものが脳内にあって、言語を理解し喋られる仕組みが存在するといわれています。 ですので赤ちゃ ん期ではことばのシャワーを浴びさせるようにして、私達が喋っている言葉を聞かせて自然と言語を獲得させる働きかけが大切になります。

赤ちゃんの絵本はシンプルで文字がほとんどありません。大きくはっきりとしたイラストで物を認識し、そのうえでお家の方の語りかけが絵本の機能を発揮させます。

会話によるスキンシップこそが赤ちゃん期の読み聞かせにおけるコツなのです!読み聞かせの時間を積極的に設けて会話をし、赤ちゃんが言語を獲得する環境を整えてあげましょう。

こんなふうに読んでみましょう!

赤ちゃんでは会話するように読むのが良いと書きましたが、少しわかりづらいと思います。リンゴのイラストがあるページを想定して読み方例をあげてみますね。

1.赤ちゃんに絵本の中に出ているものを見せて呼びかける

「わぁ!見て~!おいしそう!」

「食べたくなっちゃうね」

2.出ているものが何かを問いかけてみる

「これは何色かな?」

「なんていう食べ物かな?」

3.赤ちゃんが返事をしたと仮定して答えを言う

「そうだね!赤色だね」

「おいしそうなリンゴだよね」

4.答えの中からさらに会話を伸ばす

「○○ちゃんがさっき食べたのもリンゴなんだよ。おいしかったよね」

「パパもママもリンゴ大好きなんだよ、○○ちゃんも大好きだよね」

赤ちゃんには何が何だかわからない状況で、ちんぷんかんぷんです。でも、わからなくてもそれで良いのです。繰り返すうちに言葉の使い方を習得していきます。

上にあげたのはほんの一例です。いっぱい、いっぱい赤ちゃんに語りかけて、会話を楽しむ読み聞かせをしましょう。

幼児期

2歳ごろから3歳にかけてはじっとしていないので読み聞かせに集中していないような感じもします。でもよーく見ると登場人物になりきっていて、笑っ たり怒ったりと表情や動きを真似していたりするんです。土曜の朝のヒーローものが大好きな男の子はとくにわかりやすくて面白いです。

この時期の読み聞かせはお家の方もちょっと演じるように読むと、絵本の世界にリアル感が増して子どもが楽しみながら集中します。

おばあさんやおじいさんの声は少し低めでゆっくりに、悪者は悪者らしくお腹の底から声を出したりと出てくる人物の声の特徴を持たせたり、風の音などもそれらしく表現して読んでみるのもおすすめです。

4歳を過ぎるとかなり読み聞かせに集中できる聴く力がついてきます。ですので、赤ちゃん期のような会話でつなげる読み方や途中で質問をなげかけるような読み聞かせから卒業して、しっかりと絵本の内容をそのまま聞かせていく環境を作りましょう。

とくに小学校へ上がる準備段階に入る年長さんの年では、文脈から聞き取る力をつけるためにもテンポよくリズミカルに読むようにします。

幼児期での注意ポイント!
  • お話の世界に入っていく年なので、読み聞かせの最中に他の話をしたり質問しない。
  • 読んだ後も絵本にたいしての理解を深めているので「どうだった?」と絵本の感想を聞き出さない。
  • 読み聞かせの最中に子どもが話しかけてきても目で頷くようにするだけにして、お話を読み進める。
  • 面白くしようとアドリブを入れない。
小学校低学年(1・2年生)
驚くほど読解力がつく年です。入学したての頃は幼児期の延長上にある絵本を好みますが、夏休みを入るころを境に難しい内容のお話にも聞き入ります。人の立場を思いやる話、少し複雑なことば遊び、自然を守るお話など、絵本の幅が一気に広がります。

そして聴く態度にも変化がみられます。とても静かに聞き入るのです。以前のように面白いところで笑わないし、絵本に投げかけるお喋りもみられなくなります。

静かすぎて読み聞かせする側としては「あれ?面白くなかったかな?受けが悪かったかな?」と困惑してしまいますが、実は真剣に聞いている証拠なんです。

完全に絵本の世界に入らせてあげて、集中させる読み聞かせが必要になります。話し手の存在をアピールせずに絵本と子どもだけの空間を作ってあげましょう。

絵本に集中させるための読み方とは?
  • 身振り手振りのオーバーなアクションはつけない。
  • 話しをアレンジしないで原文で読む、アドリブは加えない。
  • 絵本に向き合わさせるために読む間は子どもの目をみつめない。
  • 感情をこめて丁寧に読むようにする。

さいごに

子どもに読書習慣が身に付かないといった悩みを時々聞きますが、早急な解決はできません。文字は本来言葉を声に出さなくても伝達できるように発明された記号です。その記号を読み解くには、ことばをしっかり習得することが一番だからです。

しかし、会話だけでは話しの内容を頭の中で整理することはむずかしく、文章を読んでも想像力が膨らまないので文脈を心から理解する力が乏しくなります。

ことばをしっかり定着させ、ことばの意味をちゃんと理解するには、やはり小さいころからの絵本の読み聞かせが大切だと言えます。

クシュラの奇跡‐140冊の絵本との日々

クシュラの奇跡‐140冊の絵本との日々
出典:amazon.co.jp

絵本の読み聞かせの効果を説いた有名な著書に「クシュラの奇跡‐140冊の絵本との日々」があります。染色体異常で寝ることも物を握ることも困難な重度の障害を持った女の子のお話です。

医者に見放された状況の中で、お母さんは悲観的になることなく女の子が4か月の頃から献身的に絵本の読み聞かせをはじめます。絵本を読んでも聞いてもらえない状態ですが毎日毎日、愛情をもって語り掛けるように続けました。

すると3歳になるころには女の子は自分の力で本を読めるまでの知性を発達させたのです。しかも他の3歳児さんよりも高い知性の持ち主に!

子育ては時として早急にできないことをできるようにしたいと求めがちです。

  • 本を読む子にしたい!
  • 勉強ができる子にしたい!
  • やる気を出したい!

そんなとき子どものモチベーションをアップさせる裏ワザがもてはやされますが、クシュラのお母さんのように全力で子どもと向き合う姿勢こそが子どもの能力を引き出す力になるのではないでしょうか。

TOPICS幼児のうちから色々な経験をさせてあげたいとお考えの親御さんへ

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