大切な赤ちゃんが、ほとんど前触れもなく、いきなり顔を真っ赤にして震え出したら……考えるだけでもぎょっとしてしまうママも多いでしょう。しかし、この手足を突っ張って震えだす「ひきつけ」を起こす赤ちゃんは少なくありません。
そこで今回は親御さんなら誰でも気になる「ひきつけ」の症状や原因についてまとめてみました。
赤ちゃんのひきつけとは?
「ひきつけ」は「けいれん」とも言います。簡単に言うと、「いきなり全身がピン、と固まったようになり、激しく震え始める状態」のことですが、体温の変化や震え方などによっていくつかの種類に分けられます。
特に乳幼児に多いのは「発熱を伴うひきつけ」と「激しい泣き叫びを伴うひきつけ」の二つです。
発熱を伴うひきつけ
38度以上の発熱を伴うひきつけで、「熱性けいれん」と言う名前がついています。筋肉がかたまり、身体が一つの棒のようになってしまうのが特徴です。
唇が紫色になり、場合によっては白目をむくこともありますが、通常は5分以内に症状はおさまります。赤ちゃんや幼児に最も多いひきつけで、1割程度はかかると言われています。
激しい泣き叫びを伴うひきつけ
呼吸が止まるのではないかと思うくらいの泣き叫びを伴う引きつけで、「憤怒けいれん」「泣き寝入りひきつけ」などと言う名前で呼ばれています。大声で長時間泣き叫んでいたと思ったら、一瞬呼吸が止まり、顔が真っ青になって震え出すのが特徴です。
「熱性けいれん」と同じく通常は数分で治まります。基本的に発熱は伴いません。これらは、赤ちゃんがよく起こすひきつけなので、よほどのことがない限り通院の必要はありません。
ただし下記のような状態でひきつけを起こしている場合は別な病気が隠れている可能性が大きいため、すぐに病院に連れていきましょう。
- 長時間(5~15分程度)ひきつけを起こし続けている。
- 何度もひきつけを起こしている。
- ひきつけを起こしながら吐いている。
- 泣き叫びもなく熱もないのにひきつけを起こしている。
赤ちゃんがひきつけを起こす原因は?
ひきつけは、身体の神経部分が異常な興奮状態になることで起こると言われており、大人でも発生することがあります。
けれど、赤ちゃんは大人に比べて身体が未発達であるため、ほんの少しのことでも神経が高ぶり、簡単にひきつけを起こしてしまうのです。
神経の興奮が原因
特に表情が豊かで感情表現の激しい赤ちゃんが「憤怒けいれん」を起こす時に代表される原因です。
何か驚くようなものが目の前に現れたり、突然怖いことがあったりという外部刺激を上手く処理することができず、あっと言う間に神経が激しい興奮状態に陥って、ひきつけの状態に至ってしまいます。
熱が原因
「熱性けいれん」を起こす時に代表される原因です。身体の発達が体温の急激な上昇に追いつかず、風邪などに由来する発熱によって神経が刺激されてひきつけの状態に至ります。
これらは単純に「ひきつけ」のみが起こっている時の原因です。次の章で述べますが、別な病気が原因となって「ひきつけ」が起こることもあります。
赤ちゃんのひきつけで後遺症や別の病気の心配は?
赤ちゃんのひきつけは、ただそれだけならば大きな問題になることはほとんどありません。しかし、単純なひきつけではなく、「髄膜炎(ずいまくえん)」や「てんかん」などに代表される別な病気が原因となってひきつけを起こしている場合は要注意です。
単純なひきつけは安全
「熱性けいれん」や「憤怒けいれん」はほとんどのものが5分以内には治まりますし、多少ぐったりした後は何事もなかったかのようにケロリとしている赤ちゃんが大半です。
基本的には後遺症の心配もなく、また年齢が上がり、心身が発達することによってひきつけを起こすこと自体が減ってきます。「良性のひきつけ」などと表現されることも多く、心配はいりません。
「髄膜炎」が原因のひきつけは要注意
ウイルスや細菌に感染することで起こる「髄膜炎」が原因となるひきつけです。感染症であるため、ひきつけは症状の一種でしかありません。
下記のような症状を伴うことが多く、早急に対処しなければ後遺症が残る場合もあります。
- 首筋の辺りの硬直
- 繰り返される激しい嘔吐
- 呼んでも長時間答えないなどの深い意識障害
「てんかん」が原因のひきつけは要注意
大脳の疾患である「てんかん」が原因となるひきつけです。ほとんどが慢性的なものであり、ひきつけの状態にも何度も陥ります。
下記のような状態からひきつけを起こすことが多く、大きくなるまで放っておくと、日常生活に支障をきたすこともあります。
- 熱がない
- 泣いていない
- 何の前触れもない
繰り返しひきつけを起こすこともこの疾患の特徴です。
髄膜炎やてんかんにはそれぞれ上記のようなポイントがありますので、よく観察して通常のひきつけと見分けるようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。赤ちゃんの「ひきつけ」については、以下のことがポイントです。
- 通常のひきつけは「発熱」や「泣き叫び」の症状を伴うことが多く、短時間のものであれば通院の必要がないものが多い。
- 赤ちゃんのひきつけは心身が未発達であることを原因として起こることが多い。
- 赤ちゃんのひきつけは、それ自体ならば後遺症などの心配はない。しかし「髄膜炎」や「てんかん」など、別な病気が隠れていることもあるので、それらの特徴を覚えておき、見分けると良い。
赤ちゃんがひきつけを起こしてしまった時、最も大切なことはママやパパがパニックに陥らないことです。大切な我が子のためにも冷静に症状を見極め、適切に対処していきましょう。
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