子供の肥満は増加しています。その数はこの30年で約3倍にのぼり、子供の10人に1人は肥満児だといいます。
コンビニやファーストフードで手軽に高脂肪な食べ物を手に入れられるようになったことや、ゲームの普及によって外遊びの機会が減ったことなど…食生活の乱れや生活の変化などが、増加の原因とされています。
肥満は大人同様、子供にとっても生活面や健康面、精神面にも悪い影響を与えるものです。
今回は、小学生の子供が肥満だとどのような影響があるのかをまとめました。
運動能力の低下を招く
肥満だと体が重い分、負荷が必要以上にかかるため、運動能力が低下します。
特に走ること、飛ぶことは、体の重い肥満児は不得意になりがちです。また、マラソンなどの持久走も苦手になる傾向が。
できない→やりたくない→ますます不得意に…という悪循環に陥ってしまうことも多いようです。
運動能力の低下は、友達同士の遊びに付いていけないなど、人間関係にも悪影響を及ぼす場合があります。
下記のページでは、運動を行うことで期待できる5つの効果やメリットついてまとめていますので、ぜひご覧ください。
いじめにあいやすい
肥満であることは、いじめの原因になる可能性があります。いじめは、集団の中で他の子と何かが異なっている子供があいやすいものです。
あまりに太った容姿は、子供の世界では“からかい”の要素となり、それがエスカレートすることでいじめに発展しかねません。
また、肥満をコンプレックスに思っていると、おどおどしたりハッキリとした態度を取れないなど精神面が弱くなりがちで、いじめを助長することにも。
摂食障害になる可能性がある
肥満は、過食症や拒食症などの摂食障害を起こしてしまうことがあります。
肥満であることに負の感情を持ちすぎると極端なダイエットをしてしまい、それが原因で摂食障害を引き起こしてしまうのです。
食べて吐くことを繰り返す、あるいはまったく食べ物を受け付けないなど、食行動に異変が生じてしまうのがその症状。
一度摂食障害になると、完治するのに数年を要することもあります。
関連記事:小学生の子供が肥満に!原因として考えられる13のコト
劣等感を持ちやすい
太っていることに劣等感を抱いてしまう子供もいます。外見が他の子供と異なることや、肥満による運動能力の低下などにより、自己評価が低くなってしまうのです。
自分に自信が持てないので、友達の輪に入れないなど人間関係に影響が出てしまいます。
また、特に女の子の場合はおしゃれを楽しみたい年齢になっても着たい洋服のサイズがないなど、容姿へのコンプレックスを抱きがちです。
肥満を悩みすぎて、不登校となってしまう子供も少なくありません。
身長が伸びに影響を及ぼす可能性がある
身長が伸ばすのには、成長ホルモンがしっかりと分泌されることが大切です。
ただ、肥満は成長ホルモンの分泌自体を悪くしてしまいますので、身長の伸びにブレーキがかかる恐れがあります。
身長を伸ばす秘訣については、下記のページにまとめていますので、こちらもご覧ください。
大人になっても太りやすい
肥満児の約80%は大人になっても肥満のままだといいます。また、もし一度痩せたとしても、大人になってからリバウンドしやすい体になってしまいます。
太っている状態というのは、脂肪細胞の「塊の数が増えている状態」と「塊一つ一つが大きくなっている状態」の2種類に分類されますが、脂肪細胞の数は幼少時に増えてしまうと減ることはありません。
したがって子供時代に肥満となり脂肪細胞の数が増えると、その数を維持したまま成長するため、大人になってからも太りやすい体質となってしまうのです。
生活習慣病になりやすい
中高年以降に発症するイメージの強い生活習慣病ですが、子供であっても、肥満だとそのリスクが高まります。肥満が原因となる生活習慣病の一部を紹介します。
糖尿病になると血糖値をうまくコントロールできなくなってしまうため、体にさまざまな不都合が生じます。
体がだるい、のどが渇く、傷の治りが遅い…などの自覚症状が出る場合があり、進行すると失明や、命を落とす危険な合併症を引き起こすことも。
日常的に高血圧が続くと心臓に過度な負担がかかるため、放っておくと心臓病など重い病気を引き起こしかねません。
動 脈硬化とは、動脈にコレステロールや脂肪が詰まったり固くなったりすることで、血液の流れが悪くなる病気。血液が滞るため、心臓や脳に栄養や酸素をスムー ズに送り届けることがでなくなります。
進行すると、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気を引き起こすことがあります。
脂質異常症とは、血液中の脂質が基準よりも多い状態のこと。いわゆる“血液がドロドロ”と言われる状態です。
心筋梗塞、動脈硬化、脳卒中などの怖い病気のリスクを高めます。
関連記事:子供の肥満はいつから気をつけたらいいの?親の責任?チェック法は?
睡眠時無呼吸症候群を起こしやすい
首回りの脂肪が原因で気道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群になる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に10秒以上呼吸が停止し、大きないびきや起床時の頭痛などを引き起こします。
熟睡しにくいため、昼間に耐えられないほどの眠気に襲われることが多くなり、学校生活に支障が生じることも。その結果、学業や人間関係にも悪影響を及ぼすことも多くなります。
膝や腰を痛めやすい
肥満は筋肉や骨への負担が普通よりも大きく、ケガが多くなったり、成長を妨げる要因になったりします。
特に膝や腰は痛めやすく、階段の昇り降りが辛いなど日常生活に支障をきたすことも考えられます。
まとめ
大人同様、子供であっても肥満は“百害あって一利なし”と言えるでしょう。
規則正しい食事や運動が肥満解消への道ですが、行き過ぎたダイエットは摂食障害の引き金になる可能性もあるため、専門医を受診するのも一つの手です。
子供のうちの肥満は、親の管理で解消できます。健やかな身体・精神の成長のためにも、子供の肥満は避けたいものです。