子供のころは、日常生活を送っているだけでも、大人以上に鉄分の消費が大きいです。赤ちゃんの時期は、数か月で身長は倍になり、体重もどんどんと増加をします。
大きくなれば、運動量が激しくなり、少しずつ大人の体へと成長を遂げていきます。成長著しい時期は、何気ない日常生活で、貧血の症状が出る子が少なくはありません。
ここでは、子供が貧血になると、どういった症状を起こすことがあるのか、知っておきましょう。また、子供が貧血になる原因、病院ではどのような治療法があるのかをご紹介しています。
子供の貧血による症状は?
子供が貧血になると、どういった症状が起こるのでしょうか。
運動が続かない
鉄欠乏性の貧血では、運動がなかなか続かない、続けられないという症状が出てきます。子供なのに、運動をするとすぐに息切れをしてしまうのは、体全体に酸素を運ぶヘモグロビンが不足しているからです。
決して”体力がない”、”気合が足りない”というわけではないので、無理な運動を促すのはやめましょう。
感情の起伏が激しい
貧血を引き起こすと、脳に栄養が行き届いておらず、感情の起伏が激しくなります。小さな子供であっても、すぐに苛立ったり、泣き出したりと、気分が変わりやすく、周りも振り回されてしまいます。
勉強も遊びも、何をしていても集中力が続かないなど、幼少期には困る症状が起こるでしょう。
顔色が悪い
血液濃度が薄くなることで、顔色が悪く見えることがあります。青白く見えたり、瞼の裏が白くなったりというのは、鉄が不足している貧血の症状の一つです。
目の下のくま
貧血になることで、血液中の赤血球が減り、体全体に酸素がいきわたらなくなります。酸素がいきわたらないと、早い段階で、皮膚の薄い目の下に影響が出ます。
鉄分が長く不足していて、貯蔵鉄がなくなるのがクマの原因です。クマが気になるなら、早めに対策をしてあげましょう。
頭痛を訴える
貧血になると、全身に循環する酸素量が少なくなります。酸欠状態は、体に負担がかかるだけではありません。
脳に届く栄養が不十分になり、脳が酸欠状態に陥ります。偏頭痛のような痛み、血行不良による重い感じの痛みは、貧血の可能性が高いです。
食欲不振
貧血になると、脳に酸素が行き届いておらず、消化器官への命令がうまく出せないことがあります。また、消化器官も栄養不足で働きが鈍くなり、神経伝達が行き届きません。
脳と消化器官の両方の不調で、胃腸の機能低下が起きます。胃の中身は空で、栄養がないのに、満腹感であると勘違いして、食欲不振が起きてしまうのです。
[surfing_other_article id=8059]子供が貧血を起こす原因は?
子供がなぜ貧血を起こすのか、理由や原因についてみてみましょう。
先天性トランスフェリン欠乏症
先天性の病気で貧血になる原因の一つが、先天性トランスフェリン欠乏症です。小さな赤ちゃんの頃から発生する貧血で、遺伝子の異常によるものと言われています。
ただし、一般的にはこの病気になる確率はそう高くないです。
ヘモグロビン不足
成長期の時期には、血液中に含まれるヘモグロビンの量が少なくなることがあります。
世界保健機構(WHO)では、生後6か月~6歳までは「11g/dl以下」、6歳~14歳までは「12g/dl以下」となることで、貧血であると定められます。
ヘモグロビンを作る鉄が少なくなることで、鉄欠乏性貧血という貧血になります。6歳未満であれば、約10人に1人ぐらいの幼児が悩まされる、比較的珍しくはない症状です。
フェリチン不足
貯蔵鉄とも呼ばれるフェリチリンが減少することで、血液の濃度が薄くなり、貧血を引きおこします。
赤ちゃんの頃は、数か月のうちに2倍もの大きさに成長をし、成長期の思春期には1年間に数センチも身長が伸びます。
普通に過ごしていても鉄の需要が増え、知らず知らずのうちにフェリチリンが減少してしまいます。
スポーツ貧血
激しい運動を行う幼少期には、スポーツが原因での貧血を起こすことがあります。
乳幼児のうちには”軽度”で済むことが多いですが、思春期の時期になると、様々な要因が重なり、”重度”の貧血を引き起こすことがあります。
授業や部活動での運動は、協調性を大切にしなければならないと考えられる一方で、個人の限界を超えるのはよくありません。
無理な運動を続ければ、失神、けいれん、心不全を引き起こし、命の危険を伴うことがあります。
思春期の貧血
小学校高学年~高校生くらいの間の思春期は、男女ともに貧血が起こりやすくなります。
女子であれば、月経がはじまり、ダイエットや偏食による、食生活の乱れが起こりやすいです。男子であれば、体の成長が著しく、骨や筋肉に多くの鉄分をはじめとする栄養が必要となります。
子供の貧血を病院で治す際の治療は?
ひどい子供の貧血は、病院で治療するのが一番ですが、一般的にどのような治療法が行われるのでしょうか。
鉄剤をとる
鉄分不足による鉄欠性貧血と診断されたら、鉄剤を数か月の間、摂取することになります。乳幼児のうちには、インクレミンシロップというお薬が飲みやすいです。
思春期の子供であれば、フェロミアという顆粒の薬や錠剤をすすめられるでしょう。
ひどい場合には入院も
特に乳幼児のうちに多い、鉄欠乏性貧血であれば、医療機関に入院をして早めの治療が必要です。母乳の鉄分が少なく、食が細いことで、フェリチリンが減少し慢性的な貧血になりやすいです。
1歳半前までか、鉄欠乏性貧血と判断されてから3か月以内で、集中的な治療を開始すれば、発達に影響はほとんどでなくなります。
食事療法
家庭での経過観察や、入院中に気を使うことの一つが、食事です。まさに、食事が私たちの体を作っているので、何をどれだけ食べるのかということは、とても大切です。
思春期のうちに食べたくなる、ジャンクフードや炭酸飲料・ジュースは、控えるようにと注意されるでしょう。
食事で治す場合には、鉄分を効率よく吸収するために、動物性食品のヘム鉄を意識して摂取します。
例えば、レバー、魚、牡蠣などが該当し、バランスよく食べることを心がけます。同時に、ビタミンCを多く含む、野菜や果物も吸収率を高くするので、おすすめです。
子供が野菜をあまり食べてくれない、好き嫌いが多いので栄養をしっかりと摂れているか不安と言う方は、下記のページも参考にしてみてください。
→ 子供の成長期におすすめサプリの選び方&人気商品ランキング
何科を受診すればいい?子供の貧血も、まずは内科に相談をすることをお勧めします。貧血は鉄分不足が原因になることが多いので、血液検査ができる医療機関であれば、必要に応じて検査もしてくれるでしょう。
ただし、小さな子供であれば、検診や風邪などで診察を受けている、小児科でも構いません。
また、思春期の女の子の月経や、女性特有の症状からくる貧血なら、婦人科系のクリニックをお勧めされるかもしれません。いずれにしても、本人と親御さんが、自宅からの距離や、精神的に通いやすい場所を選びます。
まとめ
成長期の子供は、一年のうちに、数センチ、場合によっては十数センチも身長が伸びます。肉付きもよくなり、体重が増えることで、鉄分をはじめとする栄養は、しっかりと補わなければなりません。
貧血の原因は、幼少期や思春期の成長に伴った鉄分不足、運動や先天性の病気が、引き金としてあげられます。
子供の貧血は、重症化すると成長に良くない影響を及ぼすことがあります。早めの治療で対処をすれば、しっかりと完治することが多いでしょう。
小さな子供であれば小児科、大きくなれば内科やクリニックなど、早めに相談をすることお勧めします。身体を作る大切な時期なので、安易に考えないで、早めの対策ができるといいでしょう。
TOPICS:幼児のうちから色々な経験をさせてあげたいとお考えの親御さんへ