妊娠初期、多くの人が苦しむつわり。吐き気や食欲不振などの症状に悩まされる人も多いでしょう。中には、この症状が極度に悪化してしまう「重症妊娠悪阻」になり、入院をする人も。
食事はおろか水分でさえも受け付けず、脱水症状や代謝異常などを引き起こしてしまうのが重症妊娠悪阻の症状。放っておくと急激な体重減少、脱水、栄養失調などにより母子ともに命の危険を伴うようなこともあり、決して軽視できない病気です。そのため、積極的な治療が必要となります。
症状によっては入院をすることもありますが、入院となるといろいろな不安や心配が出てきますね。
例えば、どのくらいの期間入院するのか…費用はどのくらいなのか…など。そして、重症妊娠悪阻での入院や治療は保険が適用されるのか?といったところも気になります。
そこで今回は、重症妊娠悪阻の入院や治療にまつわるアレコレをまとめました。
重症妊娠悪阻の入院期間の目安は?
入院期間は症状により、人それぞれ。比較的軽度な症状の場合は1週間から10日程で退院できることもあります。一方、重度になると、退院まで2~3ヵ月かかる人も。
一般的なつわりの症状に個人差があるように、重症妊娠悪阻の症状もやはり個人差があるのです。そのため、入院期間も様々と言えます。
また、重症妊娠悪阻は急激に悪化するというよりも、徐々に症状が悪くなっていくというパターンが多いようです。そのため、「はじめは自宅療養を続けていて、それでも症状が良くならなかったために入院をする」という人も。
決して放置せずに、症状を見ながら医師の判断を仰ぐことが大切になります。ただのつわりだと思い込み、軽視するのは危険です。
重症妊娠悪阻で入院中の治療内容は?
ちなみに入院中は、一般的には次の3つを柱に治療をすることが多いようです。もちろん、どのような治療をしていくかは病院や症状により異なります。
まずは脱水症状や栄養不足を改善させるために、水分、ビタミン類・ブドウ糖などを点滴で補給します。吐き気があまりにひどい時は、吐き気止めの薬剤を点滴することも。
入院することで、心身の安静を保ちます。家にいるとどうしても、家事や上の子の育児で動いてしまいがち。医師の元、しっかり体調管理をしながら安静状態を確保していきます。
症状によって、消化活動を促すような薬を投薬することも。また、漢方薬での治療をすすめる病院もあるようです。
入院中の治療内容を教えてください。(経験者の体験談)
今回、いくしゃあ運営事務局で独自調査を行い、重症妊娠悪阻で入院をされた経験をお持ちの方に、治療内容について答えて頂きました。
食べ物が食べられるようになったら退院なので、朝昼晩何をどのくらい食べたか、尿と便は何回出たかをメモします。それを看護師の方に報告。あとはひたすら吐き気と戦うのみです。
食事も食べれば吐いてしまうため、点滴だけが頼りでした。妊娠6ヶ月に入ると自然と食べられるようになりました。
あとは水分をしっかりとり食べれる物を少しづつ取りました。夏場だったので疲れと貧血が第一と言われました。
絶対安静だったのでトイレ以外は寝たきり、お風呂も入らずタオル拭きのみでした。栄養学の指導が入り鉄分や葉酸の効率のいい接種方法などを学びました。
あとは毎日尿検査してケトン体のチェックです。点滴なしで食事がとれるようになって退院でした。
重症妊娠悪阻の入院費用はどのくらいかかるの?
5万円程で済んだという人もいれば、20万円近くかかったという人も。このように入院費用は、入院期間や病院によってかなり開きがあると思っていてください。
ちなみに、一般的には点滴や投薬などの治療費、食事代、ベッド代が費用の内訳となります。そのため治療内容や点滴の回数、個室か相部屋かなどによっても、最終的に支払う金額はまちまち。一概に「ズバリいくら」とは断言できません。
中には、かなり高額な個室で2日だけで約7万円を支払った、という体験談も。一方で、3日で2万弱だったという体験談もあり、やはり費用については、症状や状況によってさまざまと言えるでしょう。
入院時に部屋や食事内容などに選択の余地があれば、事前に病院の説明をしっかりと聞いておくことが必要です。
入院中の治療内容を教えてください。(経験者の体験談)
いくしゃあ運営事務局で独自調査を行い、重症妊娠悪阻で入院された経験をお持ちの方に、かかった費用について、答えて頂きました。
重症妊娠悪阻は保険が適用されるの?
重症妊娠悪阻になると「病気」と判断されるため、治療や入院には健康保険が適用されます。そのため、重症妊娠悪阻の治療や入院は3割負担での費用で済みます。
「妊娠自体は病気ではない」という考え方から、通常の妊婦健診には健康保険は適用されませんね。そのことから、重症妊娠悪阻も保険適用外では…と不安に思う人も多いようですが、安心してください。
高額療養費制度の対象となる
重症妊娠悪阻は、条件を満たせば「高額療養費制度」の対象となります。
決められた「自己負担額」を超えた金額が戻ってきます。この「自己負担額」は所得によって異なりますが、一般所得者は8万100円。つまり、重症妊娠悪阻の治療費がこの8万100円を超えた場合は、その金額が戻ってくるのです。
健康保険窓口へ申請します。夫の会社あるいは自分の会社が加入している健康保険窓口に問い合わせてみてください。国民健康保険に加入している場合は、住んでいる自治体の窓口へ。
この「高額療養費制度」は、“同じ月に同じ医療機関に支払った金額”を対象としています。そのため、例えば入院が2か月に渡った場合、たとえ合計金額が高額になったとしても、1か月分の費用が「自己負担額」以下になってしまったら対象外となってしまうのです。
医療保険・共済の給付対象になる場合も
民間の医療保険や共済などでも、重症妊娠悪阻での入院が給付対象になる場合があります。給付には細かな条件を設けている保険・共済が多いので、自分の加入している保険・共済の窓口に問い合わせてみるといいでしょう。
まとめ
入院期間や費用は、症状や病院によってもまちまち。もし入院が決まった場合は、期間とおおまかな費用を病院側に確認しておくと、不安を感じずに済みます。
辛い症状は妊娠16週頃には治まる人も多いもの。中には出産直前まで症状に悩まされる人もいますが、それでも出産すれば症状はなくなります。つまり、重症妊娠悪阻は出産してしまえば治る病気なのです。
どうか、「明けない夜はない」という心構えで、辛い時期を乗り越えてほしいものです。