いまや使わない女性はいないと言われるほど、一般的に浸透している妊娠検査薬。
妊娠を待ち望んでいる人も、生理が遅れておかしいと感じている人も、妊娠の確認のためにまず実施するのが妊娠検査薬かと思います。
判定窓に線が出るタイプのものがほとんどで、陽性(妊娠している)だと線が出て、陰性(妊娠していない)だと線が出ません。
はっきりと線の出る、出ない、が確認できればいいのですが、判定に迷うような「うっすらとした陽性反応」を示す場合もあります。
うっすら陽性が出る原因は様々ですが、妊娠している可能性もしていない可能性もあると言える状態です。
どのような原因でこのような反応がでるのかを知り、正しい対処法で確実な妊娠を確認してください。
妊娠検査薬でうっすら陽性って妊娠の可能性はあるの?
検査用スティックに尿をかけて、うっすらと陽性反応が出た場合には判断に迷うかと思いますが、結論から言うと妊娠の可能性はあります。
うっすらと出る原因は様々ですが、はっきりと陰性が出なければ「妊娠の可能性ゼロ」というわけではありません。
ただし、妊娠していない可能性もありますので、一喜一憂しないで冷静に原因を考えてみる必要があります。
妊娠検査薬でうっすら陽性が出る理由は?
うっすらと陽性反応が出る理由は、検査薬のメカニズムを知ると理解することができます。
検査薬を使用する前には、説明書をしっかりと読み、検査薬のメカニズムを知っておくと、一喜一憂せずに冷静な判断ができるかと思います。
妊娠検査薬のメカニズム
妊娠検査薬は、受精卵が着床した後に体内で分泌されるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)の尿中濃度によって反応する仕組みになっています。
妊娠が成立すると、胎盤を形成して妊娠を継続させるためのhCGの濃度が少しずつ上がり、尿中にも含まれるようになります。
最も一般的な検査薬は、着床後1週間ほどで到達する50mIU/mlで反応するように作られており、生理予定日1週間後の使用を推奨しています。
早期判定可能な検査薬の場合は、約半分の濃度で反応し、生理予定日から判定できます。
うっすらと陽性が出るケース
はっきりと陽性反応が出ず、うっすらと出る原因は、hCGが判定可能な濃度に達していないケースがほとんどです。
濃度が低くても、hCGは存在しているので反応するにはしているのですが、はっきりと色や線が出ないのです。
検査が時期が早すぎる
いわゆるフライング検査で、商品が指定している時期よりも早くに使用することで起こるケースが多いです。着床しているが、検査する時期が早すぎて判定可能濃度に達していないのです。
または、指定の時期に検査しているが、排卵日がいつもより遅く、妊娠成立が遅れてしまっていることもあります。
生理不順の女性は排卵のタイミングがバラバラなので、正確な判定ができない場合があります。
尿が薄まっている
着床していて、検査薬の使用時期も守っているが、検査前に水分を多量に摂取したことで尿の濃度が薄まってしまっている場合があります。
尿全体が水分で薄まると、hCGの濃度も下がり、うっすらとした陽性反応になってしまいます。
検査時期が遅い
着床しているが、検査薬の使用時期が遅いと、判定が曖昧になることがります。これは尿中のhCG濃度が高過ぎても、正しい判定ができないからです。
妊娠週数が進むごとにhCG濃度もどんどん高くなりますので、必ず商品が指定している検査期間を守って使用しましょう。
多胞妊娠
双子や三つ子などの多胞妊娠をした際は、通常の妊娠よりも多くのhCGが分泌されることが多く、濃度が高くなりすぎて正常な判定ができないことがあります。
検査薬の使用時期が遅いときと同じく、hCG濃度が高すぎてうっすらと陽性になる原因の一つです。
不妊治療による薬剤の影響
多くの女性が不妊治療を受けるようになり、治療の一環で注射や錠剤でhCGを人工的に増やすことも珍しいことではなくなりました。
着床の成否に関わらず、治療で補充されたhCGに検査薬が反応してうっすらと陽性反応を示すことがあります。
妊娠超初期の化学的流産
一旦着床はしたものの、胎嚢が確認されるよりも前の、ごくごく初期の流産を化学的流産と言います。
多くの女性が気づかないまま経験していると想定され、確実なパーセンテージは分かりませんが、約40%の確率で起こるとも言われています。
受精卵の染色体異常で妊娠が継続できない場合が多いのですが、着床時に一時的にhCGの濃度は上がるので、検査薬で陽性反応が出ます。
ただし、化学的流産の場合は、はっきりと陽性反応がでるケースもあります。
子宮外妊娠
子宮以外の場所に受精卵が着床してしまった場合も、hCG濃度が一時的に上がり、うっすらと陽性反応が出る場合があります。
残念ながら子宮外妊娠の場合、妊娠を継続することができないので、手術をして受精卵を摘出することになります。
子宮外妊娠の場合も、はっきりと陽性反応が出る場合もあれば、うっすらと陽性反応が出る場合もあります。
胞状奇胎
受精卵の染色体の異常が原因で起こる症状で、化学流産をせずに、子宮内で絨毛だけが異常に増殖します。
胞状奇胎の場合、通常よりも大量のhCGが分泌されるため、検査薬では正常な判定ができずにうっすらと陽性を示す場合があります。
胞状奇胎の場合も妊娠の継続は難しく、ほとんどの場合、摘出手術が行われます。
その他の理由
上記のような理由以外にも、初歩的なミスや検査薬の特性が原因でうっすらと陽性反応が出ることがあります。
- 尿がしっかりとかかっていない
- 蒸発線:判定時間を過ぎて時間が経過すると、尿の中の別の成分が薬剤に反応して変化が表れる
蒸発線の場合は、線が薄いだけではなく、線の色も指定された色とは異なる場合があります。
妊娠検査薬でうっすら陽性から陰性だと妊娠してないの?
妊娠検査薬でうっすらと陽性が出た場合、再度検査をして確かな結果を確認する場合が多いと思います。
2回目の検査で陰性になった場合、妊娠の可能性をどう捉えるべきなのでしょうか。
新しい検査薬での結果が陰性の場合は妊娠の可能性は低い
うっすらと陽性反応が出た後、3日以上日にちを空けて再検査した際に陰性となった場合、妊娠の可能性はほとんどありません。
妊娠検査薬の精度は99%とも言われ、hCGが必要量分泌されているのに、陰性反応が出ることはないからです。
うっすら陽性から陰性に変った場合は、下記の原因で正常な妊娠に至らなかったと考えられます。
- 化学的流産
- 不妊治療のhCG注射が反応しただけ
うっすら陽性から陰性に変り、その後生理がきたり、基礎体温が下がったりすれば、医療機関を受診する必要はありません。
陰性反応後に生理が来なければ産婦人科へ
再検査で陰性反応が出た後に、高温期が続いたり、生理がこなかったりした場合は、子宮外妊娠をしている可能性があります。
子宮外妊娠は継続すると母体に危険がありますので、必ず一度、医療機関を受診してください。
検査薬が不良品
非常に稀なケースですが、2回目の検査の際に検査薬が不良品だった可能性もゼロでありません。
気になる方は、医療機関を受診する前に、もう一度検査薬で検査をしてみてみるという選択肢もあります。
検査薬を放置して陽性の線が消えた場合は妊娠の可能性がある
うっすらと陽性反応が出た後に、新しい検査薬で検査をしたのではなく、放置しておいた検査薬の線が消えた場合は妊娠の可能性がまだあります。
「陽性が出たから記念に」という理由や、「旦那さんに見せたい」という理由で検査薬を保管する人もいるかも知れませんが、時間の経過と共に線が消えることがあります。
こういった場合は、時間内に出た結果を信じるようにしてください。
参照元:オムロンHP
妊娠検査薬でうっすら陽性が出た時の病院に行くタイミングは?
妊娠の判定に際して、産婦人科でまず確認するのが超音波検査での胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)の有無です。
この確認ができるのが妊娠4~5週目あたりで、生理予定日1~2週間ということになります。胎嚢が確認できれば、子宮外妊娠はしていないという判断ができます。
その後、6週目あたりで赤ちゃんの心拍が確認できると、ひとまず安心という目安になります。
妊娠検査薬でうっすら陽性が出た場合は、妊娠をしている可能性と、していない可能性の両方があります。どのタイミングで検査したかによって、医療機関を受診するタイミングが変わってきます。
明らかにフライング検査をした場合は再検査を
妊娠検査薬は、生理予定日から判定できるタイプと、生理予定日1週間後から判定できるタイプがあります。
どちらの場合も、規定された時期よりも明らかに早く検査をして、うっすら陽性が出た場合は適切な時期に再検査をしてください。
再検査後も陽性反応が出た場合は、生理予定日を1週間過ぎていれば医療機関を受診してください。
検査期間内にうっすら陽性反応が出た場合
指定された検査期間内にうっすら陽性が出た場合も、3日後に再検査をおすすめします。
再検査の結果が改めてうっすら陽性反応が出ても、はっきりと陽性反応が出ても、生理予定日1週間を過ぎていればすぐに医療機関を受診してください。
ただし、うっすら陽性反応が出た後、3日以内に急な体調の変化を感じる場合は再検査を実施する前に医療機関を受診してください。
まとめ
昨今は、産婦婦人科で妊娠の確認をする前に、市販の妊娠検査薬を試す人がほとんどだと思います。
妊娠検査薬の精度は非常に高く、その結果は信頼するに充分ですが、うっすらと陽性反応が出た場合は一度自分自身で原因を考えてみてください。
はやる気持ちは分かりますが、明らかなフライング検査でのうっすらとした陽性反応を信じて産婦人科を受診しても、徒労に終わることがあります。
しかし、検査予定日を守っているにも関わらず、うっすらとした陽性反応が続く場合は子宮外妊娠の可能性があります。
妊娠の確認をするための受診は、赤ちゃんの心拍が確実に確認できる妊娠7~8週目を推奨する意見もありますが、子宮外妊娠は危険を伴うため、早目の医療機関の受診をおすすめします。