汗ばむ季節、子供が外から帰ってくるといつも以上に敏感に反応してしまうものがあります。それは足の臭い。靴を脱いだ直後は何とも表現のしようがない異臭がして、一瞬息が詰まってしまうこともしばしばです。
なぜこんなにも臭うのか不思議でたまりませんが、原因はイソ吉草酸といわれる分泌物のせい。今回はこのイソ吉草酸を抑えることに焦点をあてて、子供の足の臭いの悩みを解消する方法を紹介します。
大人用の足の消臭剤は使わないで!
忙しい日常では足の臭いもパパッと対処したいものです。大人用の足の消臭剤は効き目がパワフルなイメージで、子供の足にも即効性がありそうな感じがしませんか?
うちの息子も幼稚園に上がってから急に足が臭くなり、一刻も早くなんとかしたくて大人向けの足の消臭製品をドラッグストアへ買いに走りました。
その時に薬剤師さんに言われました。
臭いがしない環境を整えるのが一番なので帰ったら足を洗うとかさっぱりさせることをしてみて下さい。たとえ石鹸であっても、大人用の足消臭のものはやめてくださいね」
肌に優しい成分のデオドランド商品もあるので一概には言えませんが、足に直接塗ったりスプレーするダイレクトな作用の大人向けの消臭剤は使わない。そして、民間療法であっても皮膚にダメージの恐れがあるものは子供では使用を控えるという結論に達していました。
例えば焼きミョウバンを水に溶かしたものを薄めて足にスプレーする方法についても、子供の足の臭い対策に良いとされていますが、実際には皮膚が弱い人はやめた方がよいとか皮膚を荒らすので気を付けましょうなどのただし書きがされています。
やはりここは臭いを対処するのではなく、臭いのもととなる発生源を作らないように足を清潔に保って臭いをもとから解消するべきなのです。
そもそもイソ吉草酸はどうして現れるの?
足の臭いの原因はイソ吉草酸とお伝えしてきましたが、そもそも、どこからやってくるのでしょう?答えは雑菌です。雑菌がエサを食べて排出物として出す分泌物、それがイソ吉草酸なのです。
雑菌の大好物は人の汗や皮脂、古くなって剥がれ落ちた角質です。靴の中は足から分泌された老廃物の宝庫で、とくに通気性の悪い靴の中は長時間履いていると湿度も高く、足に付いた雑菌のもっとも居心地の良い住処になります。雑菌の食事環境が整っているのでイソ吉草酸を分泌しやすいんです。
補足までに、靴下を履いていると靴内に皮脂や角質が広がりにくくなりますが、素足だと直接靴内にまき散らす形になるため臭いが強烈になります。
雑菌のプロフィール!?好きな食べ物=新陳代謝によって出る人の汗や皮脂、角質など。
特技=ご飯を食べた後にイソ吉草酸を分泌して臭いを放つ。
目にみえない雑菌はあちこちにいます。手はすぐに洗えますが、足はお風呂に入るまで洗いませんよね。
幼稚園に上がるようになるといろんな所を歩きます。ペタペタ歩くと同時に雑菌も足にくっつきます。そしてその足で靴を履くと、通気性の悪い靴の中で雑菌が繁殖して足が臭くなるのです。
子供は新陳代謝も活発だから汗が多い!足が臭うのはいつまで!?
子供は新陳代謝が活発でエネルギッシュ。体を作るために体内は活性してメラメラ燃えているような状態です。このため体温が高く汗をかきやすい体質なので、夏場の足の裏は暑さが相乗していつも以上に汗をかいています。
靴の中の雑菌の繁殖量も想像するだけで怖いですね!?あまりの汗の量と足の臭さに「うちの子病気じゃないかしら?」と悩まれるママもみえますが、心配はいりません。
大人では精神的発汗や甲状腺機能症などが考えられることがありますが、子供の汗の量は成長の証と捉えましょう。
足が臭いのも新陳代謝が活発だからこそ肌サイクルが早く、皮脂や古くなった角質が剥がれ落ちる量が多いから靴の中に住み着いた雑菌によってイソ吉草酸が沢山分泌される。そんなシンプルな理由によるものです。
ただ残念ながら臭いは清潔を心掛けなければ改善されません。女の子は自分から足を清潔にする意識が高く、早い子で小学校2年生ぐらいから自主的に足を洗ったりケアを習慣化します。
一方で男の子はやんちゃな分長い目でお付き合いが必要になりそうです。足を洗うなど自分でできるセルフケアをママがしっかり教えてあげましょう。
暑い季節だけは必ず帰ったらお風呂場に直行させて足を洗う習慣を身に付けさせたいですね。
イソ吉草酸を分泌させない雑菌の抑制方法とは?
4年前に日本経済新聞が花王香料開発研究所とグンゼの靴下企画開発チームと共に足の臭い対策に有効な方法を検証しています。それによるとイソ吉草酸を分泌させない環境に次のような結果が出ています。
出典:nikkei.com
では確実な対策を講じるために結果をもとに一つずつ検証していきましょう。
靴に中敷きを敷く
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これは子供の足の臭い対策には二重丸です!園や小学校によっては指定の靴のところもあるので、毎日靴を替えられない状況では特におすすめです。
運動靴のお子さんでローテーションで靴を履きかえる場合にも、毎日中敷きを替えるのがよいですね。
百均に子供用のものがありますが、㎝対応が19㎝までなので足が大きくなってくる小学生では女性用の中敷きで通気性に優れたものをサイズに合わせてカットするのが賢い使い方です。中敷きは洗うのも簡単ですぐに乾くので衛生面にも配慮できますね。
洗浄・消毒をする
この実験では足を洗ってから、マキロンなどの傷口用の消毒液を足に塗布して殺菌効果で雑菌を撃退しています。効果はあるものの、毎日では皮膚のバリア機能が失われるので緊急性がある場合やどうしても臭いが気になる時にだけ限定して使う方法にはよいといえます。
足をきれいに洗っても臭いが気になる場合にはかかとや指の付け根が肌荒れを起こして角質層に雑菌が入り込んでいる可能性があるそうです。マキロンなら普段使いの消毒薬なので、臭いが取れないときに試してみるのも良いかもしれませんね。
お酢を入れたお湯に足を付ける
お酢の消臭&殺菌効果は皆さんもご存知だと思います。足の消臭で使うには洗面器やたらいに40℃のお湯をくるぶしの高さまで入れて、大さじ3杯のお酢を加えます。浸かるだけでは効果は半減するのでお出かけ前の朝に行い、擦り込むようにマッサージするのがポイントなのだそう。
皮膚科専門医のHPで確認したところイソ吉草酸の抑制効果には酢の量はコップ1杯が良く、20分近くお酢の入ったお湯で足湯する必要があるとされています。
嗅覚が敏感な子供では酢の臭いを不快に感じて嫌がる子も多く、長時間じっとさせるのも難しいのでお酢の足湯は不向きなスタイルですね。
足にベビーパウダーをはたく
この対策法は口コミなどでお勧めとする方もいますが、実際に足の臭いが増えている結果からもNGです。多少の汗予防にはなりますが、靴の中ではパウダーが汗を吸着できず水分を含みずぎてしまいます。
また汗の通り道をふさぐので湿疹など皮膚トラブルを招きやすいようです。厄介なのは皮脂や汗を含んだパウダーが靴内に付着して、臭いが靴に染みこむこと。足にベビーパウダーをはたくのはやめておきましょう。
靴下を履きかえる
三角の評価が付いていますが、これは履き替えが面倒だからという理由です。靴下は足を包むので剥がれた角質層や分泌される汗&皮脂を直接靴内に付着させない優れたアイテムです。
ただ、汗をかくと水分を含んだ線維がいつまでもジメジメ感を作るので雑菌が繁殖しやすい環境を作ります。
汗をかいたらこまめな履き替えをするのが原則です。子供では一旦家に帰ったら足を洗って、遊びや習い事に行く前に靴下を履き替えさせるとよいですね。
ナイロン素材の厚手の靴下はやめてコットンやメッシュ素材などの涼感・吸湿・速乾に優れた材質をチョイスしましょう。ちなみに、防臭・抗菌加工の靴下よりも5本指靴下のほうが蒸れにくく防臭に優れているとのことです。
以上の結果からイソ吉草酸を抑える条件をまとめてみると・・・。
- ムレない、ジメジメしない乾燥した状態をキープする
- 足はキレイに清潔を心掛ける
- 皮脂や剥がれた角質を靴内に残留させない
この3つが足の臭いを解消するキーポイントになり、汗をかいても雑菌が繁殖しにくい環境作りへのヒントに繋がることがわかります。
子供の足を臭わせない解消法の実践!
では臭いの発生の仕組みがわかったところで、普段の生活のなかでも出来る解消法を紹介します。
足を洗う
お家から帰ったら雑菌の繁殖を広げないためにもすぐに足を洗います。シャワーでざっと足についた汗や靴下のホコリを洗い流したら、泡立てた石鹸でキレイにしましょう。石鹸分が残らないようにしっかり洗い流します。
手洗い用と兼ねれば置き場所もかさばらず経済的ですよ。柿渋石鹸、ミューズが効果が高くママ達に人気です!
ペリカン石鹸・ファミリー柿渋石鹸
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柿渋石鹸は値段がピンきりですが毎日使うものはお得感のあるものが嬉しいですね。天然の消臭作用は体の汗臭対策にも使えるので、加齢臭が気になるお父さんにもおすすめ!
薬用せっけんミューズ・泡ハンドソープ
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園や学校でもお馴染みの消毒石鹸の定番は雑菌の強い味方!泡のハンドソープなら面倒くさがり屋の子供でも手早く洗えるので嫌がらずに洗ってくれます。
靴を乾燥させる
お家から帰ったら脱いだ靴は玄関先の風通しの良いところに置いて乾燥させます。靴のつま先を下にして壁に立てかけるように置くのがベストです。
靴ハンガーなどがあれば、軒先に干しましょう。ファブリーズは靴が乾燥してから使います。
玄関内に靴が密集しないようにして、空いている空間があったらつま先 を下にして壁にたてかけて風通しをよくしたり、履いた靴専用の省スペース用のラックに置くと良いと思います。靴乾燥機があるとスッキリ乾燥できて重宝しま すよ。
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タイマー調整機能付きで、皮靴と布靴別の温度対応が可能です。清音モードもあるので夜間の使用も安心。
コロンブス アメダス
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雨の多い時期はあらかじめ防水スプレーをかけておくと良いですね。撥水効果で靴の中の湿り気が和らぎます。
靴を清潔に保つ
ケアをしない履きっぱなしの靴では、足をキレイにしても雑菌の温床を取り除くことにはなりません。こまめに靴を洗って清潔を保ちましょう。
毎日洗うのは難しいので2足でローテーションをして、靴をしっかり乾燥させて履くようにします。中敷きも用意して、こちらは毎日取り換えて使用しましょう。
酵素系漂白剤
色柄物もOkの酵素系漂白剤は運動靴洗いにも最適です。靴を洗ったあとに表示される分量を加えて浸け置きします。必ずよくすすぎましょう。
ミョウバン水
足の塗布にはおすすめできませんが、靴洗いでは効果が期待できます。
まずはミョウバン水を作ります。作った原液を10倍に薄めた中に靴を浸け置きしてから水ですすぎます。洗って乾燥した靴に10倍に薄めた液をスプレーすると防臭効果がパワーアップします。
焼ミョウバン20g、水500ml、500mlの空のペットボトル
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1.焼ミョウバンと水をペットボトルに入れて蓋をしたら上下に強く振ります。
2.ミョウバンは溶けるのに時間がかかるのでペットボトルに入ったまま日陰に置いて、中身が透明になるまで放置します。
2、3日置くと溶液が透明になりミョウバン水の出来上がりです。効果が薄れるので作ってから1ヶ月で使い切りましょう。
消臭効果のある柔軟剤やアロマオイル
香水などで臭いに対抗するとかえって悪臭を放つことがあります。靴を洗った後に消臭効果のある柔軟剤やアロマオイルを少しだけ加えたお水に浸け置きして臭いを抑える方法だと悪臭増加の心配が払拭されます。
口コミによると柔軟剤ではレノア。アロマオイルではティーツリーやらラベンダーが殺菌効果もあり人気です。
足のお手入れをする
足のお手入れとは、雑菌の好まない足にするというこです。それには爪切りが一番重要!
深爪しないように気を付けて、爪を湾曲させないスクエアカットといわれる切り方をします。爪の両端にゴミがたまりやすいので角を切ってしまいがちですが、巻き爪になるのでやめましょう。
あまり神経質に取りすぎると爪の内側にある白っぽい膜=ハイポニキウムという大切な成分を取ってしまうので、目に見えるゴミだけを取り除くようにしましょう。
パサパサで取りにくいときにはベビーオイルを染みこませると取りやすくなります。足の小さな子供には古歯ブラシを使ってゴミをとってあげるのも良いですね。
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足垢専用のごみをかき出す道具も販売されています。ステンレス製なので衛生的です。
靴下は下洗いする
脱ぎたての靴下はかなり悪臭を放っています。そのままま洗濯機に入れて洗うと汚れがしっかり落ちないばかりか、臭いも落ちません。
裏返してみると白い角質層の剥がれ落ちたものやゴミが付着しています。洗う前に必ず裏がえして付着した汚れを払いましょう。
下洗いをしてある程度キレイにしてから洗濯機にかける習慣をつけます。
さいごに
あまりにも足の臭いがきついときには油っこいものやお肉中心の食事・スナック菓子の多食も考えられます。消化の悪い食べ物は過剰脂質として体臭を強くする原因になるので食事内容に偏りがないか気を付けてあげましょう。
しかし、こうした気遣い以上に気をつけたい点があります。それは足が臭くてもあまり本人の前で「臭い」と露骨に言わないこと。
小さな子でも体のことを必要以上にいわれると、からかわれたように思えて傷つきます。お友達に対してもからかうような口ぶりが無意識に定着して、悪気はないのにいつのまにか子供自身が人の弱点をつつくようなものの言い方になりやすくなります。
「そんなことで!?」と思われるかもしれませんが、こうした心の配慮こそが子供の精神的な成長に必要不可欠なのです。子育てに大切なのは子供を一人の人間として尊重してあげることです。
コンプレックスを抱かせる要因をつくらないよう、お家の方の何気ない一言にも愛情をもって言葉をかけられると良いですね。
TOPICS:幼児のうちから色々な経験をさせてあげたいとお考えの親御さんへ