妊娠後期の手足のむくみが痛い!気になる原因&解消法まとめ

妊娠

体の変化が顕著な妊娠後期は、日頃から食事や体調を気にされている方が多いと思います。しかし多くの妊婦さんがむくみに悩んでいるのが事実です。

むくみは妊娠後期の妊婦さんにとって、体の構造上避けられない症状でもあります。むくみが酷くなるとちょっとした動作をするのも辛くなってしまうものです。

今回は、妊娠後期のむくみの原因と、むくみに効果のある栄養素と食材、家で簡単にできる解消法を紹介していきます。

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妊娠後期に手足にむくみが起こる原因は?

足のむくみが気になる女性

出産に向けて体も心も大きく変化している妊娠後期。妊娠後期のむくみは、通常のむくみとは異なる原因から生じる場合もあります。

ここでは考えられる原因を挙げていきます。なぜ妊娠後期はむくみやすいのか、今一度ご自身の体や生活習慣を見つめ直してみましょう。

血漿(けっしょう)の増加

妊娠34週に入る頃には、体内の血液量は通常時よりも約40~50%も多くなります。しかし血液自体の量が増えている訳ではなく、血漿と呼ばれる液体により薄められてカサが増した状態になります。

血漿は90%以上が水分なので、妊娠後期は通常時よりも血中の水分量が増えると言うことです。この様な血液の質の変化によって、赤ちゃんにより多くの血液・栄養を送る事ができます。むくみやすくはなりますが、母体の健康維持や赤ちゃんの成長促進に欠かせないのです。

塩分の摂り過ぎ

つわりが収まる妊娠後期は、食欲旺盛になったり味付けの濃いものを好みがちです。しかし塩分の過剰摂取はむくみの原因です。

摂取した塩分は体内でナトリウムとなって血液や骨に運ばれていきます。ナトリウムは体内で、無駄な水分を多く取り込んでしまう性質があるのです。

つまり塩分を多くとると言う事は、水膨れしやすいナトリウムが血液中に多く発生する状態になると言う事です。すると血管から水分が沁みだして皮膚下に蓄積し、むくみの原因になります。

水分の摂り方

水分のとり過ぎがむくみに直結する訳ではありません。妊娠後期は血液量が増加し、通常時より多めの水分補給を心がけたい時期でもあります。

ただし、水分のとり方を間違えるとむくみの原因になります。糖分・塩分(ナトリウム)の多い清涼飲料水ばかり飲んでいたり、キンキンに冷たいものを一気飲みする事は避けましょう。

妊娠後期の水分補給には、温めのお茶や白湯がおすすめです。水分は一気に飲んでも体に吸収されませんので、少量をこまめに補給しましょう。

運動不足

妊娠後期は大きなお腹で動き辛かったり、自宅安静を要する場合もあり運動不足になりがちです。

運動不足により足の筋肉が弱くなると、足の血液が心臓に戻りにくくなります。血液の循環が悪くなると血液中に余分な水分が溜まり、むくみの原因になります。

睡眠不足

睡眠不足になると自律神経のバランスが崩れ、交感神経系が優位になり末梢の血管が収縮し、血液の循環を悪化させます。

浮腫みはもちろんですが、妊娠後期に要注意な顔のほてりや手足のしびれ息苦しさなど様々な症状の原因になります。

過労・ストレス

妊娠後期は、身体・環境の変化や出産への不安などでストレスを感じやすい時期。ストレスを感じるとコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されてしまいます。

コルチゾールの増加によって水分代謝が鈍り、老廃物を蓄積しやすい体質に導きます。また長期的にコルチゾールが分泌されると、筋肉を構成するたんぱく質に作用し、筋肉がやせ細ってしまいます。筋力が低下すると、血液を心臓に送り返す力が弱くなりむくみの原因になります。

衣服の締め付け

妊娠後期になると体重が急増しやすくなり、気づかない内に衣類のサイズが小さくなっているかもしれません。衣服によるウエスト・足首・締め付けは血行を滞らせ、むくみの原因になります。

脚の付け根の圧迫

大きくなった赤ちゃんの重みによる負担は、骨盤や足の付け根に集中してかかります。足の付け根には太い血管やリンパ線がたくさん通っており、それらが圧迫され循環が悪くなり足のむくみが生じます。

妊娠後期に起こる手足のむくみ解消法は?

運動や筋トレはもちろん、日常のちょっとした動作でさえ難しくなる妊娠後期。非妊娠時のむくみ解消方法は、妊娠後期の体には負担が大きくなる事もあります。

ここで紹介する栄養素やツボ押し・ストレッチで、気軽にむくみを解消しましょう。

栄養素・食べ物

むくみ解消に効果のある栄養素と言えば、カリウム・ビタミンE・クエン酸です。三つの栄養素の効能と、多く含まれる食材・調理法を紹介します。

カリウム

パセリとアボカド

カリウムは体内に溜まったナトリウムを排出する働きがあります。カリウムが不足すると、水分を含んだまま体内に溜まったナトリウムが排出されずむくみが悪化します。一日あたりの摂取目安量は成人女性で1600mgです。

カリウムを多く含むおすすめの食品
パセリ

100gで1000mgものカリウムが含まれています。他にも、カルシウム・鉄分・ビタミンC(100g中200mgと野菜果物の中でトップの含有量)が豊富です。しかし独特の苦みと料理のし辛さから敬遠されがちな食材。ドレッシングなどにすると食べやすくなります。

アボカド

「森のバター」とよばれる程栄養豊富な食材。カリウムは100gあたり770mg含まれます。糖質がほとんど含まれておらずダイエットに効果的。さらに妊婦さんが積極的に摂取したい葉酸も多く含まれます。

納豆

意外にも納豆はカリウムを多く含む食品、100gあたり660mg。また、多くの妊婦さんの悩みである便秘に効果的な水溶性食物繊維を多く含みます。添付のたれやからしは塩分を多く含むので、食べ方を工夫してみましょう。

ビタミンE

アーモンドとモロヘイヤ

血液中の悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、健康的な血液・血管を維持するために欠かせない栄養素です。むくみの原因である血液中の水分・老廃物を排出し、血行を促します。一日あたりの摂取目安量は成人女性で6~9mgです。

ビタミンEを多く含むおすすめの食品
アーモンド

アーモンドはナッツ類の中でも特にビタミンEを多く含みます、100gあたりの含有量は31.2mgもあります。ビタミンE以外にもカルシウム・マグネシウムもナッツ類の中では含有量がトップクラス。

摂取量の目安として、アーモンドは10g(8~9粒)で約59キロのカロリーがある事を念頭において下さい。極端な高カロリー食品ではありませんが、一度に大量に食べずによく噛んでゆっくり味わいましょう。

※妊娠後期のむくみ対策には無塩・無糖のローストアーモンドが最適です。

モロヘイヤ

油や魚卵などカロリーの高いものに多く含まれる事が多いビタミンE。野菜から摂取するならばモロヘイヤがおすすめです。モロヘイヤには100g(一おおよそ袋)あたり6.5gのビタミンEが含まれ、茹でた状態で約25キロと低カロリーです。

クエン酸

レモンと酢

肝臓の機能を活性化し利尿作用を高め、むくみの原因となる余分な水分を体外に排出してくれます。妊娠後期は体の負担が多くなり疲れが溜まりやすい時期でもあります。

クエン酸は疲労物質である乳酸の生成を抑制し、疲労回復に効果を発揮します。また、唾液や粘膜の再生を促したり、ミネラル分の吸収を促進する効果もあります。

ただし、クエン酸は体内に摂取されると5時間程で効果がなくなります。むくみ予防の血行改善のためには“一回1~3gを一日三から四回ほどに分けて”摂取すると良いとされています。

クエン酸を多く含むおすすめの食品
レモン

クエン酸の他にビタミンC含有量は果物の中でトップクラス。またカリウムや葉酸も比較的多く含まれています。妊娠後期になると、むくみが原因の体重増加や妊娠高血圧症候群などの心配もでてきます。

そこで食事の塩分量を減らすために、塩や醤油の代わりにレモン汁で酸味をつけて工夫してみましょう。

酢には果物や穀物から作られるものと、エチルアルコールから作られるものの二種類があります。

二つの内、栄養が豊富に含まれているのは前者です。妊娠後期のむくみや健康促進のためには、前者の穀物・果物を原料にした酢の摂取がおすすめです。一日大さじ一杯約15ccを目安に摂取しましょう。

マッサージ・ストレッチ

足をマッサージする女性

妊娠後期の大きなお腹では、一人で行う事が難しい場合もあります。一人では不安な場合は家族に協力してもらい、リラックスしながら行いましょう。

足のむくみ

足のマッサージ
  1. 足を延ばして座り、マッサージする方の足を立てます。
  2. 足の骨を挟むように両手を添えます。
  3. 足首から上に向かって優しくさすります。
  4. 力を入れずに繰り返しさすります。

→上記で紹介したマッサージの動画です。

足のストレッチ
  1. 平らな場所に、無理のない範囲で足を開いて座ります。
  2. 開ききったら、つま先を押し込む(足の甲を伸ばす様なイメージ)。
  3. 五秒ほど伸ばして戻す、この動作を一分ほど繰り返す。
  4. 最後に足首をゆっくりと回します、こちらも一分ほど交互に繰り返す。

慣れない内は一分は長く感じるかもしれません。短い時間から始めてみましょう。

手のむくみ

指輪が抜けなくなるくらい指がぱんぱんにむくんでしまった経験はありませんか?足同様に心臓から遠い場所にある指はとてもむくみやすい箇所です。

指のマッサージであれば一人でも行う事ができるので、むくみが気になる方はリラックスのつもりで気軽に試してみて下さい。

指のマッサージ
  1. 手指を伸ばし、もう片方の手の指で指の根本つまみ、ぐりぐりとほぐします。
  2. 根本から指先に向かって指を伸ばすイメージでマッサージします。
  3. もう片方の指も同様に、マッサージします。
力は自分が気持ちいと思う程度、爪を立てないように行います。
指のストレッチ

マッサージで指の血行が良くなってきたらストレッチに挑戦してみましょう。

  1. 手のひらを顔に向けます。
  2. もう片方の手で親指以外の四本を掴み、ゆっくりそらせます。
  3. 程よい痛みと肌の張りを感じる程度の角度で止め、5秒ほどキープします。

ツボ

足のツボを押す

自宅で簡単にできる、ツボ押しでむくみを解消する方法を紹介します。

ツボを押す際は力をかけすぎず、優しく押し始めましょう。慣れてきてから、捻転(ねんてん:ぐりぐりと回す様に押し込む)したり指圧をかけていきます。ここらへんかなと思う場所一帯を押し、その中で一番刺激を感じたところがツボだと言われています。

ツボ押しの注意点
  • 足にあるツボはお腹の大きい妊婦さんには押しづらいものもありますので、無理な体勢は禁物。押しづらい場合は、誰かに押してもらう様にしましょう。
  • 当ページでは、足・首筋・手のひらのツボを紹介していますが、もし腹部周辺のツボを押す際には、念のため医師に相談してから施術すると安心です。
  • ツボを押していてお腹の張りや体調の変化を感じたら、すぐに中止し安静にしましょう。

足のむくみ

足三里(あしさんり)

足三里

効果

足の疲れ・冷え性を改善するツボ、つわりの軽減にも効果があります。

場所

ひざの皿の外側の下には、骨が突き出ています。その突起から指三本分下に足三里のツボはあります。

指圧方法

片足づつ、親指で心地よい力加減で指圧します。ひたすら押し続けると親指が疲れるので、時々捻転させてみましょう。慣れてきたら、足首を外側と内側に交互に回すと血行が良くなり足全体がホカホカしてきます。

陰陵泉(いんりょうせん)

陰陵泉(いんりょうせん)

効果

体内の水分のめぐりを良行にするツボ、足だけでなく全身のむくみにも効果的。

場所

ふくらはぎの骨の内側を、ひざに向かって上にさすってみましょう。ひざの下付近にある窪みが陰陵泉のツボです。

指圧方法

親指の第二関節あたりで、局所的ではなくツボ周辺の骨のこりを解す様に押してみましょう。

三陰交(さんいんこう)

三陰交(さんいんこう)

効果

血の巡りやホルモンバランスを整える作用のあるツボ。子宮の状態を良行に保つツボとして、妊婦さんにとっては安産のツボと呼ばれています。しかし陣痛を起こす(お産が早まる)とも言われていますので、早産気味・お腹が張りやすい方は医師に相談の上指圧しましょう。

場所

内くるぶしの一番突起しているところに小指を置き、指四本分添えた状態の一番上にあります。

指圧方法

足にある三つの陰の経路がすべてこのツボを通るため、少しの刺激でも効果があります。指の腹で優しく刺激しましょう。不安のある方は、足湯やホットタオルで温めても効果が得られます。

天柱(てんちゅう)

天柱

効果

顔のむくみや火照りに効く、首筋にあるツボです。鈍った腎臓・肝臓の動きを活発にし、不要な水分を排出する力を高めたり自律神経を整える作用もあります。

場所

首の後ろ側、中央のくぼみの両脇には太い筋肉が通っています。その筋の上端の少し外側(髪の生え際あたり)にある、左右二点のくぼみにツボがあります。

指圧方法

ツボに両方の親指をあて、他の指で頭を支えます。親指で押している箇所を支柱に、ゆっくりと頭を後ろに倒しましょう、同時にツボに親指を入れ込む様に押していきます。

手のむくみ

合谷(ごうごく)

合谷(ごうこく)

効果

万能のツボと呼ばれていて、全身の様々な疾患に効果があります。血行促進・便秘改善に効果を発揮しむくみを解消します。さらに頭痛やのぼせ・精神不安などにも効果があるので、妊娠後期特有の頭がぼーっとしてしまう症状が出た時に押してみて下さい。

場所

手の甲の、人差し指と親指の骨が合流するくぼみ一帯を押してみましょう。その一帯の肉と骨の境目の中で、合谷はやや人差し指よりの骨に近い所にあると言われます。

指圧方法

骨の下らへんにツボはあるので、強めの力をこめて押します。もう片方の親指と人差し指で挟む様に押すと力が込められます。

労宮(ろうきゅう)

労宮

効果

リラックス効果のあるツボです。気の流れを正常にし、むくみの原因となるストレスを緩和させます。出産が近づくにつれ焦り・不眠・イライラに苛まれた時にも押してみましょう。

場所

軽く握りこぶしを作った時に、中指と薬指の先端が触れる場所にツボはあります。

指圧方法

もう片方の手の親指で、手首の方から指先へ押し上げるように刺激しましょう。

足湯

足湯

湯船にゆっくり浸かることは、血行が良くなりむくみ解消に効果的。でも妊娠後期になるとお風呂に入るのにも一苦労だったり、夜はお腹が張って湯船に浸かるのが不安な方もいるはず。

そんな時でも簡単にできる足湯の方法と、足湯の際にできるストレッチを紹介します。

足湯の際に用意するものと手順
用意するもの
  • 両足が入る桶やバケツ
  • 椅子
  • バスタオルやフェイスタオル二枚程
  • アロマオイルや入浴剤(あればでOK、好みの香りでリラックス)
手順
  1. 少し熱めのお湯(40~43度くらい)を沸かす。
  2. 床にタオルを敷いてその上にバケツや桶を置き、くるぶしくらいまでお湯を注ぎます。※余ったお湯はつぎ足しに使うので、やかんや鍋に入れて近くに置いておきます。
  3. つま先からゆっくりと足を入れ、両足を浸します。
  4. そのままゆっくりリラックス、ぬるくなったらお湯をつぎ足します。15~20分程で血行が良くなり、足だけでなく全身がポカポカしてきます。
足湯の効果を高めるために

上記の足や手のツボを押しながら足湯し、こまめに水分補給をして代謝促進をさせてください。

足全体の血行がよくなる“足の指丸めストレッチ”
  1. 足の指に力を込めてぐっと丸めます。
  2. そのまま二秒程キープ。
  3. ゆっくりと指の股をひらく、この動作をリズミカルに繰り返す。

安静にする

休んでいる女性

とにかくむくみが酷いお腹がしんどくて、何もできないと言う方は一先ず安静にするのが一番です。

むくみが酷くて辛い時は一旦横になってみましょう。足首の下にクッションなどを入れ高さをつけると、足の血液が心臓に戻りやすくなりむくみが軽減されます。

着圧ソックスをはく

着圧ソックスを履いている妊婦さん

着圧ソックスを利用すれば、足の血管のポンプ機能を補助する事ができます。着圧の強すぎるものを無理にはくと血流が悪くなり逆効果です。

妊娠中ですから無理せずに、着圧が弱いものを選ぶのがおすすめです。

まとめ

妊娠後期になると検診の頻度が増え、体重やむくみの有無をチェックされる機会が多くなります。むくみの改善は、その他の体の不調の改善やダイエットにもつながりますので、紹介した情報を参考にしてみて下さい。

出産まであともう少しです、むくみを解消してマタニティライフを快適にすごしましょう。

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