赤ちゃんが産まれたらしばらくは好きに出掛けることも出来ません。だからこそ、妊婦でいる間に旅行をする「マタ旅」に出たいと思う人も多いと思います。
ただ、妊娠中ですから普段とは体調も違います。いつもの旅行よりも、さらに注意しなければいけないことがたくさんあります。
マタ旅を楽しむにはどのくらいの時期がおすすめなのか、何に注意すれば良いのかなど、マタ旅を安全に楽しむためのポイントをまとめました。
マタ旅に行くのにおすすめの時期は?
マタ旅には適した時期がありますが、妊娠の経過は人によって違います。あくまでも体調最優先で、行く時期を決めましょう。
安定期に入ってから
妊娠初期はつわりもありますし、流産の危険もあるので絶対に避けましょう。
旅行に行ったくらいで流産するものではありませんが、何かあった時に「マタ旅なんてしなければ良かった」と後悔したくはないと思います。
マタ旅をするなら、妊娠中期(16週以降)に入ってからがいいでしょう。
ただし、安定期に入ってもつわりが続いている人はいますし、体調が不安定な場合もあります。
安定期に入れば流産のリスクが下がる、というだけのことであって、普段の健康体とは違うという認識をしっかり持ってください。
あくまでも体調最優先で、たとえ予約をしていたとしても体調がすぐれないならキャンセルするくらいの勇気も必要です。
安定期に入っても、出産のリスクが高い人はマタ旅は避けた方がいいでしょう。
双子の妊娠、妊娠高血圧、前置胎盤などがある人は、旅行は出産後のお楽しみとしてとっておきましょう。
8ヶ月くらいまで
安定期以降、いつまでならマタ旅が可能かというと、31週くらいまでにしておくのが無難です。
ただし、28〜31週くらいになるとお腹も張りやすくなるので、やや注意が必要です。
それ以上になると体重がグンと増えてくる時期なので動くのも億劫ですし、旅行にはあまり適していないでしょう。
臨月に入ったら絶対に遠出はしないようにしてください。臨月というのはいつ産まれてもいい状態です。旅先で万が一産気づいたら大変なので、マタ旅はNGです。
必ず主治医に相談してから
自分では大丈夫だと思っても、医師から見てそうではないこともあります。どこに行くのか、どのくらい行くのかなど必ずかかりつけの主治医に相談し、OKが出たら、にしてください。
また、旅行の直前にも検診を受け、問題ないことを確認してから出発しましょう。
絶対に安心な時期はないと心得る
安定期なら比較的安心、というだけであって、絶対に何も起きない時期というのはないということを心得ておきましょう。
どんなに妊娠の経過が順調であっても、次の瞬間に何が起きるか分からないのが妊娠なのです。
それを頭に入れた上で、体調の良い時期を選ぶようにしてください。
マタ旅の行き先の選び方は?
妊娠中はアクティブに動くことが出来ませんから、行き先の選び方も大事です。
移動時間が短くて済むところ
長時間乗り物に揺られているのは身体に負担がかかります。なるべく移動時間が短くて済むような、近場がおすすめです。
近場といっても秘境の温泉地のような、歩きにくい道を歩かなくては行けないような場所は、当然ながら避けてください。
車ですぐに行けるところや、バスや電車など公共の交通機関を使えるところが便利でいいでしょう。できるだけ乗り継ぎが少なく行けるところがおすすめです。
妊娠中はトイレも近くなります。車の場合は渋滞に巻き込まれるとトイレに行くのも大変です。
特に妊娠後期はすぐにトイレに行きたくなるので、トイレ休憩を挟めるような移動手段を選びましょう。
電車ならトイレがついている車両(新幹線、特急など)、車ならトイレ休憩を摂りやすい経路を選ぶことも大事です。
何かあったらすぐに引き返せる場所
多少遠くても新幹線1本ですぐに帰って来られるなど、何かあった時にすぐに引き返せる場所を選びましょう。
近くに病院があっても、かかりつけの患者さんでないと妊婦は診てもらえない場合もあるのです。体調が悪くなった時に対処できる場所なら、旅行中も余計な神経を使わずにすみます。
やっぱり近場の国内旅行がおすすめ
移動が数時間で済むように、自宅から近い場所がやはり一番おすすめです。
旅行での移動は思ったよりも身体に負担となるものです。あまり疲労がたまらないように、1週間など長期の旅行は避けましょう。
できれば1~2泊くらいで楽しめる場所がおすすめです。
国内旅行といっても、スケジュールが忙しい団体ツアー旅行は妊婦さんにはあまり向いていません。
分刻みのスケジュールですし、トイレに行きたいと思った時に行けない可能性もあります。
団体のパック旅行は安くていいのですが、ここは個人でプランを立てた方がいいでしょう。
温泉に入ること自体は体調が良ければ問題はないのですが、泉質によっては妊婦に適さないものもあるので、事前に宿に確認した方がいいでしょう。
最近ではマタニティプランのある宿も増えてきました。ノンカフェインの飲み物を出してくれるなど、妊婦さんのためのプランです。
体調を考慮して直前のキャンセル料がかからない宿もあります。このようなプランを利用すれば安心して泊まりにいけるのではないでしょうか。
旅行場所としては、あまり混んでいない、ゆっくり動けるような場所がいいでしょう。
テーマパークなどに行きたい人もいると思いますが、混んでいる場所だと後ろから押されたり、人がぶつかってくることもあるので危険です。あまり混雑していない場所を選んでください。
海外旅行は相当の準備が必要
一般的には出産予定日の28日前までであれば、診断書なしで飛行機に乗ることはできますが、海外旅行は我慢した方がいいでしょう。
どうしても海外に行きたいというのであれば、相当の準備が必要です。旅先にどのような医療機関があって、妊婦も診てもらえるかなど、事前に調べていく必要があります。
また、語学に堪能でないと何かあった時に正確に自分の体調を医師に伝えることができませんし、各国で医療費などが違いますから、思わぬ高額請求が来ることもあります。
体調が悪くなってもすぐに引き返すことができないので、できれば海外旅行は避けた方が無難です。
どうしても海外に行く場合は、移動時間が5時間以内の場所にしましょう。
妊娠中はエコノミー症候群のリスクが高いので、長時間同じ姿勢でいることはとても危険です。通路側の席をとって、適度に通路を歩くなど足を動かすことも必要です。
滞在中に何度も宿泊先が変わるなど、移動が忙しいと疲れてしまいます。
1カ所にゆっくり滞在できるようなのんびりした旅行になるようにしましょう。
マタ旅に行く前に確認しておきたい事は?
マタ旅は計画と準備が大切です。事前に確認しておくべきことや注意して欲しいポイントについてまとめました。
宿には妊婦であることを伝える
マタニティプランを利用しない場合でも、宿には妊婦であることを伝えておきましょう。宿によっては抱き枕などを用意してくれる親切なところもあります。
マタ旅で注意して欲しいこと
マタ旅は、旅行を楽しむというよりは「のんびり、ゆっくり」を心がけてください。赤ちゃんのためにも、ママの体調が最優先です。
妊婦は歩くだけでも体力を消耗します。疲れたらすぐに休めるように、移動に余裕を持たせたスケジュールを立ててください。
旅行先で歩くのは近所を散歩するのと違いますし、慣れない場所ではドッと疲れが出てしまうこともあります。
もし体調が悪くなってもすぐに病院にかかれるように、宿の周辺にある産婦人科を調べておきましょう。1泊くらいなら大丈夫だろうという油断は禁物です。
近場なら自家用車を使う人もいると思いますが、くれぐれも自分では運転をしないようにしてください。
また、運転はしなくても、シートベルトの圧迫などが苦しくなることもあるので、長時間同じ姿勢で座り続けることのないように注意しましょう。
宿のおいしい料理も旅の楽しみではありますが、普段食べ慣れていないものは極力食べない方がいいでしょう。
妊娠中は免疫力が低下しやすいこともあり、思わぬ体調不良につながりかねません。必ず火を通したもので、身体に優しいものを食べるようにしてください。
もし海外に行く場合は、念のため保険に入っておいた方が安心です。万が一病院にかかった時に、日本ではないので医療費が高額になってしまいます。
マタ旅の持ち物
マタ旅に持って行く必須アイテムをまとめました。
何かあった時のために、健康保険証と母子手帳は必須です。
特に母子手帳はこれまでの妊娠の経過が書いてありますから、病院にかかる際にもこれがあれば医師が正確な診断をするのに役立ちます。
もし処方されている薬があれば、それも忘れずに持っていきましょう。便秘薬なども市販のものは使いたくないので、必ず自分の処方薬を飲むようにした方が安心です。
おなかの大きさにもよりますが、浴衣だと前がはだけてしまうことがあるので、妊婦用のパジャマは持っていきましょう。
不意の出血などに備えて、下着類は一組多めに持っていった方が安心です。
同じく、不意の出血などに備え、ナプキンも持っていきましょう。
マタ旅に持っていくと便利なもの
必須ではありませんが、持っていくと便利なものについてまとめました。
妊娠中は風邪を引きやすい時期でもあります。喉が乾燥している、調子が悪いと思ったらうがい薬でうがいをすると安心です。
消毒用のスプレーがあると、手を洗えない場所でも手軽に手の消毒が出来ます。
万が一気分が悪くなってしまった時にも使えますし、汚れたものを入れておくのにも便利です。
妊娠中は体温が高くなっている人も多いと思いますが、場所に応じてこまめに体温調節が出来るように、ひざ掛け、カーディガン、ストールなどの羽織ものがあると便利です。
まとめ
マタ旅はリスクもそれなりにありますが、ママがリフレッシュできるというメリットもあります。
あくまでも体調優先で無理さえしなければ、ママがリラックスすることでお腹の赤ちゃんにもいい影響をもたらすかもしれません。
ただし、どんなことが起きても自己責任であることをお忘れなく。その上でしっかり準備して、マタ旅を楽しんでください。