マザー・コンプレックス、通称「マザコン」という言葉をご存知ですか?コンプレックスとは劣等感や依存心を表す精神分析用語です。
マザー・コンプレックスは和製英語で「母親に執着し、支配されている男性。決定権を母親に委ねて自立しない男性。」などを表します。
小さい頃は誰しも母親に依存し、決定権を委ねたり指示を仰いだりするものです。しかし大人になってもその感覚から抜け出せず、母親中心の考え方をしてしまう男性がいるのです。
さらに、結婚して妻が出来た後も母親に依存してしまう男性のことを「マザコン夫」と呼びます。今回はそんなマザコン夫についてご紹介していきます。
マザコン夫の特徴とは?
マザコン夫は結婚後のさまざまな場面で「マザコン」の片鱗を見せます。そんなマザコン夫を見分ける特徴をご紹介いたします。
ど んな些細なことでも母親に相談してから決める男性は、マザコン夫である可能性が高いです。大きな買い物をするとき、何かに迷ったときなど、ついつい母親に 意見を求めてしまうのです。夫婦の問題にもかかわらず「まずは母さんに相談しないと!」などというセリフが出る男性は、依存心の強いマザコン夫です。
また、中には妻との赤裸々なエピソードまで報告する夫も存在します。「子作りをちゃんとしているかどうか」「子供はいつ頃欲しいか」なんて恥ずかしいことでも、母親には相談できてしまうのがマザコン夫なのです。
マザコン夫は母親を中心に回っています。そのため妻や子供の意見や都合よりも、母親のわがままを優先してしまうのです。「親孝行」を呪文のように唱え、それが良いことだと信じて疑わないのでタチが悪いです。
下 手に反論しようものなら「俺の母さんを悪く言うな!」「息子が親孝行をして何が悪い!」「血の繋がった親を優先するのは当たり前」などと逆ギレされる危険 性もあります。ちなみにここで使われるセリフも、大抵母親の受け売りをそのまま垂れ流しているだけという場合もあるのです。
マザコン夫は基本的に優柔不断で決断力がありません。子供の頃から何でも母親に決めてもらっていたために、自分で決断するという能力に欠けているのです。
また、強い者の味方をしやすい傾向にもあります。意見を求められると、自分の意思とは関係なく自分の身を守りやすい方の意見を尊重するのです。
そこで妻と母が対立した時も、強い方の意見を優先しがちな傾向にあります。特に母親の意見が絶対だと教えられて育った場合、高確率で母親の味方をして妻を怒らせるのです。
マザコン夫の特徴として、ファッションや身の回りのものに無頓着であるということも挙げられます。決断力のないマザコン夫は、その日の服装や身につけるものすら自分で決めることができないのです。
子供の頃は母親に決めてもらっていた服も、思春期になると自分で決めたい!と思うようになるものです。しかし環境や性格により「親に決めてもらう」というスタンスが抜けないまま大人になってしまったのがマザコン夫なのです。
意外だと思う方も多いでしょうが、マザコン夫は他人の前では母親に対してぶっきらぼうに振る舞う場合が多いのです。一般的にマザコンとは「ママが大好き!」と公言しているような男性を想像してしまいがちです。
しかし本当のマザコンは、自分がマザコンであることを周囲に知られたくないと感じているのです。そこで他人の前だと必要以上にそっけなく振る舞おうとします。
「結婚前にはマザコンのそぶりを全く見せなかったのに、騙された!」という女性が多いことには、そんな理由もあったのです。
マザコン夫は「妻」や「母」という存在に対して完璧であるべきという理想を抱いていることが多いです。そのため「妻はこうあるべき!」「母親なんだからこうするべき!」という価値観を自分の妻に強要することがあるのです。
正社員で働く妻に対しても「俺の母さんはもっとしっかり家事をしていた!」と専業主婦の母親と比べてけなすといったことも平気でやってのけます。こうした主張は「自分の母親は完璧だった」という思い込みからやってくるのです。
過保護というと一見愛情を注がれて育ったように見えますが、子供の受け取り方は少し異なります。親からの過干渉は「あなたを信頼していない」という意味に受け取られ、自立心を損なわせるのです。
また親から「お前はひとりでは何もできない」「母親の言うことを聞いていれば良い」という一種の暗示を受けている場合もあります。親が言うことを信じて疑わないというのは、過保護な親に育てられたマザコンの特徴のひとつです。
「誰 のおかげでここまで育ったと思っているの」「大人になったらあなたが恩返しをする番」という母親に育てられると、母親に恩を感じてつい優しくしてしまうの です。特に片親の場合、苦労して生活していたのを目の当たりにしていることが多いので余計に引け目を感じやすくなります。
また長男ばかり優遇されていた場合、下の息子たちは母親の気を引こうと必死に母親に尽くすという心理もあります。子供の頃に受けた愛情が少ないと、それを大人になって取り戻そうとしてしまうのです。
当てはまったら要注意!マザコン夫の行動&言動チェックリスト
マザコン夫にありがちな行動や言動をチェックリストにしました。当てはまるものが多い場合は、マザコン夫である可能性が高いので注意してください。
- 「お母さんなら~」が口癖
- 母親の料理が絶対だと思っている
- 母親の味と違ったらけなす
- 母の前で妻を責める・けなす
- 妻の両親は大切にしない
- 夫婦喧嘩をすると実家に帰ろうとする
- 母に家の合鍵を(勝手に)渡す
- 収入に似合わないレベルのプレゼントや仕送りを母に送る
- 母に良いところを見せようとする
- 母にあることないこと妻の悪口を言う
- 同居が当たり前だと思っている
- 何でも母親と比べてけなす
- 妻の妊娠を真っ先に母へ報告する
- 姑の立会い出産を当たり前だと思っている
- 妻の言い分より母親の言い分を信じる
- 妻と母が対立したらとりあえず母の味方をする
- 理由もないのに実家へ帰りたがる
- ひとりでも実家へ日参する
マザコンというと「母親への依存が強く自立心のない男性」をイメージしがちですが、重度でなければ基本的に問題ありません。母親を大切にし、親孝行に努めようとする男性は妻にも優しく誠実であることが多いです。
マザコンの中には妻も母親も大切にし、決断力もきちんと備わっている良い男性もいるのです。そこで「母親が大好き」だからといって、一概に悪い意味での「マザコン」だと決めつけてはいけません。
夫だけじゃない!子離れできない姑の特徴とは?
夫がマザコンである場合、姑にも大きな問題があることも多い傾向にあります。子離れできていない、過干渉で過保護な母親のままなのです。そんな子離れできない姑にありがちな行動をご紹介いたします。
アポなしで何度も押しかけてくる場合、子離れできない姑である可能性が高いです。子離れできない姑は、息子の家を自分のものだと思っています。そこで別居している息子夫婦の家にアポイントをとるという発想に至らないのです。
マザコン夫を育てる母親は、息子に対する独占欲が人一倍強いと言えます。そのため息子の誕生日や自分の誕生日には、嫁よりも「母親である私と過ごすべき!」と主張します。
また息子の嫁には必要以上に対抗心を燃やし、事あるごとに自分と嫁を比べて息子の優先順位を確認しようとする困ったケースもあるのです。
中には夫婦の結婚記念日など大事な日にわざと息子を呼び出し、私の方が大切にされている!と喜ぶような事をしでかす姑もいます。
子供の喧嘩に割り込んで、息子の味方をしながら相手の子供や親、教師を責める母親も、子離れできない姑になる可能性が高いです。
いわゆる「モンスター・ペアレンツ」と呼ばれる親たちです。本来子供たちで解決するべき問題に親が口を挟み、子供の自立心育成を妨害してしまうのです。
確かに親が介入した方が問題の早期解決につながることの方が多いでしょう。しかし子供はそうしたトラブルを重ねることで、だんだんと問題解決力が身についていくのです。
自立心も問題解決力もない子供がそのまま成長すると、決断力がなく母親への依存心が強い「マザコン夫」が生まれます。
子離れできない姑の行動&言動チェックリスト
そんな子離れできない姑にありがちな行動や言動をまとめました。困ったマザコン夫の原因は、面倒臭い姑にあるかもしれません。
- 息子の嫁という理由だけで嫌う
- 息子の嫁も自分に絶対服従すべきだと思っている
- 夫婦喧嘩をすると姑から文句を言われる
- 息子夫婦の所有物は自分のものだと思っている
- 息子夫婦の旅行やお出かけについてくる
- いまだに息子の服や私物を買ってくる
- いらないものを押し付けようとする
- すべての物事に対して恩着せがましい
- 息子の嫁の出産に立ち会おうとする
- 孫の性別に固執する(男を産め!など)
- 孫を自分で育てたがる
- 些細なことで息子を呼ぶ
- 息子が嫁より自分を優先することに優越感を覚える
- 「今まで育てきた恩を返すのが息子の役目だ」が口癖
- 息子を小さい頃のあだ名のままで呼ぶ
- 嫁の学歴やスペックを批評する
離婚も視野に?マザコン夫への5つの対処法
マザコン夫に耐えきれない!改善したい、あるいは離婚したいといった場合の対処法をご紹介いたします。マザコンになった原因を考えながら、正しい対策を練りましょう。
どんなに怒っても、あからさまに姑の悪口を言うようなことをしてはいけません。「私と母親どっちが大事なのよ!」なんてと言われると、夫はより反発して母親の味方をしてしまうことになります。
あくまで「母親が正義」と信じて疑わない夫の場合、どんなわがままでも叶えてあげるのが「親孝行」。それを妨げる存在は「人でなし」になってしまうのです。
姑の束縛から離れるには、姑なしの生活を余儀なくさせる必要があります。支配欲の強い姑の場合、同居や地元就職を当然のように押し付けてきます。
しかしそれに負けてしまっては夫の依存心はますます姑に傾くばかりです。思い切って姑の目が届かない場所にしばらく移住するようにすると良いでしょう。
マザコン夫は、自分の母親が自分の自立心を妨げてきたことを薄々理解しているはずです。しかしそれを認めてしまうと「自分が愛情薄く育てられてきた」ことを認めてしまうことになります。
そこで「自分の母親は完璧だ。母親の言うことはすべて正しい」という固定観念を作り、現実逃避を図っているのです。
しかし姑も「普通の親だ」「誰にでも間違いはあるし、人間なんだから間違っても良いんだ」と教えてあげることで自立心や自尊心を取り戻せるようになります。
一朝一夕でできることではないので、まずは自覚して根気よくカウンセリングなどに通うことをオススメします。
もしも母親への依存が強く母親の支配が大きい場合、妻よりも母親を優先する「マザコン夫」の状況を改善できないこともあります。
そんな「マザコン夫」の言動や行動が妻の尊厳を傷つけたり行動を制限するようなことがあれば、十分離婚の理由になりえます。
夫や姑の言動や行動を日記やボイスレコーダーなどでしっかり記録しておくと、いざという時のために役立つでしょう。離婚を考えるならば、結婚生活が破綻もしくは妨害されているという証拠をしっかり残しておく必要があるのです。
離婚するにしてもしないにしても、第三者を入れてしっかり話し合う必要があります。離婚する場合には「夫婦関係を継続するために話し合いや努力をしたか」どうかも重要になります。
妻が一方的に離婚を申し付けたと思われないためにも、話し合いの様子を記録しておきましょう。
その時に「こんなことをしたけど、これについてはどう思うか」「あなたのこんな行動や異常だと思うけれど、自覚はしているのか」など過去の行動についても言及しておくと良いです。
最終的には「性格の不一致」になる場合が多いですが、あまりにも悪質な場合は夫有責での離婚となります。
まとめ
「マザコン夫」の原因は意外と根深いところにあるものです。子供の頃に与えてもらえなかった愛情を取り戻そうと、無意識に母親に依存する行動を取ってしまいます。
しかしどんな原因があろうと、妻にまで良くない影響を及ぼして良いということではありません。夫にしろ姑にしろ、理不尽な要求には立ち向かう必要があります。「マザコン夫」の心理や原因を理解して、あなたに損のない決断をしましょう。