朝なかなか子供が起きて来ない、起きてもだらだらと支度をし、学校に行きたくなさそうなそぶりをする。夏休み明けに、そのような子供の行動で悩んでいませんか。
長期の休みの後は大人でも仕事に行きたくないものですが、子供には子供の理由があるものです。
夏休み明けに子供が学校に行きたがらない理由とその対処法についてまとめました。
夏休み明けに低学年の子供が登校をしぶる理由は?
4月など年度の始めの不登校と違い、長期休暇の後の不登校は主に4つの原因が考えられます。
お母さんと離れるのが辛い
夏休みは長いと40日ほどあります。その間、ずっとお母さんと一緒にいられて楽しかったのに、学校に行くことでお母さんと離れなければいけないと思うと学校に行きたくなくなってしまうのです。
この「母子分離不安」の状態は一時的なものが多いのですが、4週間以上続く場合には「母子分離不安症」と診断されることもあります。
イヤな友達と会いたくない
1学期の間に友達と何かトラブルがあった場合、夏休みに入って子供はほっとしたことと思います。
1学期は何とか乗り切ったものの、長期の休みで心が解放されているので、「またあの子と顔を合わせるのか」と思うと、学校に行くのが億劫になるのです。
いじめられているわけではなくても、友達関係で何らかの不安がある時にも、休み明けは不登校になりやすくなります。
勉強をするのがイヤだ
給食の時間は楽しいけれど、勉強することが苦痛で仕方ない、という子供もいます。
夏休みになってたっぷり毎日遊べたのに、また学校でずっと座っていなくてはいけないのかと思うと、もう面倒で行きたくなくなってしまうのです。
生活のリズムが戻せない
夏休みの間中、テレビを見たりマンガを読んだりして、夜更かしばかりしていた子は、なかなか生活のリズムが戻せません。
だるいし、眠いし、めんどくさい。もう学校なんてなければいいのに、と思いだすと、もう身体が動かないのです。
だるいからといって1日休んでしまうと、また夜眠れなくなって次の日に起きられず、休みが続いてしまいます。
いったん休みだすともう元のリズムに戻すのは難しく、自分だけ取り残されたような気持ちになって、さらに行きづらくなるのです。
はっきりとした理由が分からないこともある
特に友達とトラブルもないし、親にべったりの子でもないのに、なぜか学校に行く気力がわかないという子供もいます。
無気力、不安、学校に行く意味が分からないなど、これといって学校で何かがあったわけでもないのに漠然とした不安感のようなものを抱えてしまう子もいます。
夏休み明けの登校しぶりへの対処法は?
小学校低学年のうちは、まだまだ幼さの残る年齢ですから、自分で正しい判断をすることは難しいでしょう。
ですから、「学校に行きたい」という気持ちが本人にあるのなら、親がうまく誘導してあげることが必要です。
「学校に行きたくない」のだと言うことを把握する
一番大事なのは、子供が登校を渋る理由が何なのかを正確に把握することです。そして、それをしっかり受け止めることです。
「学校に行きたくない」ということをはっきり言える子供はあまりいないのです。ですから、お腹が痛いとかだるいといったような「サイン」から、親が子供の気持ちを汲み取ることが大切です。
ここで「単なるサボリ癖」のように決めつけてしまい、無理矢理学校へ行かせようとすると、本当に不登校になってしまう可能性があります。
一緒に過ごす時間を増やす
原因が母子分離不安の場合は、子供と接する時間を増やすことで解決できることがあります。
- 一緒に寝る
- 一緒に宿題をする
- 好きなテレビを一緒に見る
- 一緒にご飯を作る
など、何でもいいので、家の中で一緒に過ごす時間を増やしてみましょう。
小学校低学年だとまだ一緒にお風呂に入っている子が多いと思いますが、湯船につかりながらじっくり話をするというのもいいと思います。
仕事をしていると難しいかもしれませんが、時には学校まで付き添うことも必要です。
一緒に登校する、集団登校の場合は列の後ろについているだけでも構いません。お母さんが一緒に来てくれている、と安心できれば、また学校に行く気力も沸いてくるでしょう。
先生に相談すれば、授業を見学させてもらうことも可能なところが増えています。
毎日ずっとというわけにもいかないでしょうが、たまに学校にも顔を出し、「いつもちゃんと見ているよ」という気持ちを行動で伝えることで、子供も安心します。
生活のリズムを戻す
学校なんてめんどくさい、だるい、眠い、というタイプなら、まずは生活のリズムを戻し、体内時計を正常化させましょう。
暦によっては、学校が始まって1~2日でまた土日がやってくることがあると思いますが、土日でもいつもと同じように早起きをさせます。
そして夜は、眠くなくても決まった時間に布団に入らせましょう。ここは何を言われようと、親がしっかり強制するところです。
ただし、ある程度自分で考えて行動できるように、一緒にタイムスケジュールを作ることをおすすめします。
- 起床時間
- 就寝時間
- 宿題の時間
- 自由時間
など、わかりやすく書いて壁に貼っておきます。
時計の読み方を習うのは学校によっても違うので、まだちゃんと読めない子もいるかもしれません。
時計を見て自分から行動することは期待できませんので、タイムスケジュールに時計の絵を貼るなどして、「今○時だよ~」と声かけしてあげるといいでしょう。
勉強が楽しいものだということを教えてあげる
知らなかったこと、分からなかったことが分かるようになるということは知的好奇心を刺激し、人としても大きく成長できるきっかけになります。
勉強はできれば楽しくなるので、つまらないという子にはまず勉強の楽しさから教えてあげてください。
マンガやテレビがすべて悪いものだとは思いませんが、活字を読むという作業はとても面倒なもので、想像力を必要とします。だから何も考えないテレビの方が楽しいのです。
本はただ文字を目で追っても理解は出来ません。読書は読みながら「考える」という行為が必ず付いて回るので、学力を上げるためには本を読むというのはとても大切です。
何も難しい本でなくても構いません。簡単な短いお話で構わないので、毎日必ず読書の時間を作ります。そして読んだ後に、「どんな話だった?」と聞いて、自分の言葉で説明する習慣をつけてください。
- 書いてあることを理解する能力
- 内容を要約する能力
- 人に説明する能力
が同時につけられます。
最初はおそらく何を言っているかわからないくらい、本を読めていない状態だと思いますが、そこで責めることなく、根気よく話を聞いてあげるようにしてください。
本が読めるようになってくると、活字に接することが苦にならなくなります。
子供に本を読みなさい、勉強しなさいと言いながら、親が何もしていないというのはよくあることなのですが、それでは説得力がありません。
子供が本を読んでいる時には、隣で一緒に本を読むのもいいでしょうし、漢字のドリルを一緒にやってもいいですね。
学校の勉強と関係ないことでもいいのです。子供が興味を持てること、生き物や宇宙、恐竜や花、絵を描くことでも何でもいいです。
何かを調べたり、作品を作ったりということで「学ぶ楽しさ」を感じられるようになれば、学校の勉強も苦にならなくなります。
専門家に相談する
学校の人間関係が原因で学校に行きたくないという場合は、担任の先生が信頼できる人であれば、まず先生に相談してみましょう。
学校での生活で何があったのか、事実を正確に把握することが大事です。その上で、対処法を考えていきます。
ただ、先生がすべて熱意のある人、信頼できる人だとは限りません。その場合は、スクールカウンセラーや一般のカウンセラー(不登校などを専門にしている人)などに相談するのもいいでしょう。
イヤな子がいるからといって、その子を責めてもどうにもなりません。子供にとってどうすることが最善の方法なのか、一緒に考えてくれる大人に相談するのが一番です。
原因を把握して早期対応が大事!
子供が学校を休みがちになった時に、「学校は行かないといけないところ」と無理矢理行かせるだけでは何の解決にもなりません。
話もせず、原因も考えないで無理強いばかりしていると、本当に体調を崩して学校に行けなくなってしまうこともあります。
不登校にしないためにはまずは原因を把握すること、そしてそれに即した対応を取ることが大切です。
話を聞いても原因が分からない、という場合には迷わず専門家に相談しましょう。対応が早いほど、回復も早いのです。
夏休み明けに不登校になってしまった時の対処法は?
文部科学省によると不登校の定義は「連続して30日以上欠席」というのが一つの目安ですが、断続的な場合であっても学校側の判断により、不登校であるとみなされることがあります。
ですから、夏休みが明けて1ヶ月以上登校できない状態が続いているか、登校できた日よりも出来なかった日が多いのであれば不登校だといえるでしょう。
不登校になってしまった時の対処法についてお話しします。
不登校=悪いことだと考えないこと
子供が不登校になると、自分の育て方が悪かったのではないかと自分を責めてしまったり、「なんで学校に行かないの!」と怒って無理にでも行かせようとしてしまうことがあります。
行きたくない理由によって対処法を変えていかなくてはなりません。ただ責めてもお互い辛くなるばかりで、誰も幸せになりません。
悪いことだと決めつけず、いったん立ち止まって冷静になることが大切です。
子供が家にいるなら、普段よりもじっくり話したり、一緒に何か出来る時間が増えた、というくらいに、気持ちをゆったりと持ちましょう。
ここで親が焦ってしまうと、子供がますます自分の殻に閉じこもってしまいます。
ほんの一時、学校に行かなくても人生にはたいした影響はない。大丈夫。きっとまた元気になる。笑顔で学校生活を楽しむことが出来るようになる。
そんな風に気持ちを切り替えて、今目の前にいる子供だけを見てあげてください。
不登校になった自分がダメな人間なんだと思わないように、まずは子供の気持ちを安定させることが大切です。頭ごなしに怒ったり、逆に腫れ物に触るような態度は良くありません。
そのためには、いつもあなたの味方だから大丈夫、という気持ちを伝えてください。
「生まれてきてくれてありがとう。」そんな言葉をかけて抱きしめてあげてください。何があっても自分の価値は変わらないのだと思えることは、大きな自信につながるからです。
自分の考えや意見を差し挟まずに人の話を聴くというのは意外と難しいことなのです。
だまっている時間があると、ついついこちらが喋ってしまいますが、子供が話が出来るようになるまで「待つ」ということがとても大切です。
大人と違って、小学校低学年だとまだ自分の考えを理論立てて話すことは難しいです。
自分の気持ちを適切な言葉で表現しようとして一生懸命考えている時に、親があれこれ話してしまうと、「話を聞いてもらえない」と思ってしまいます。
学校に行きたい、だけどこういう理由で行けないのだということを自分の言葉で話してくれるまで待ちましょう。そして、責めたりせずに、しっかり話を聴いてあげてください。
ある程度話が出来るようになったら、子供がどうしたいのかということを確認しましょう。
「あなたはどうしたい?」と問いかけてみてください。あなたの意志を尊重するから、という姿勢が伝われば、自分がこれからどうしていきたいのか、子供自身が考えるきっかけになります。
無理矢理行かせても、学校に復帰する意味がわからないままになってしまうので、学校に行って何をするのかということを子供が自分で考えることが大事なのです。
保健室登校、個別教室
これは学校との連携が必要ですが、イヤな子がいて教室には入りたくないけれど、勉強はしたい、学校には行きたい、という子には保健室登校にしてもらったり、特別教室を用意してもらうという方法があります。
いきなり他の子と混ざって何かしなくてもいいのです。まずは「登校出来た」という結果によって、自身を取り戻させてあげることが大切です。
夫婦の話し合いも大事
子供の問題が持ち上がると、どうしても母親の関与が大きくなってしまいますが、父親も一緒に考える必要があります。
夫婦で毎日どのくらい会話をしているでしょうか。それを少し振り返ってみて欲しいと思います。
例えば夫婦喧嘩ばかりの家庭であったり、逆に会話のない冷めた夫婦関係であることが、子供の精神に影響を及ぼしていることもあるからです。
父親は大学なんて金がかかるから行かなくていいと言い、母親は学歴は大事だから何としてもいい大学に行けという。そんなちぐはぐな親の意見も子供を惑わせます。
子育てについては夫婦で価値観をすりあわせておくことが必要でしょう。子供の不登校は家族をまとめる良い機会と捉え、夫婦で色々話し合ってみてください。
過干渉と過保護から脱却する
普段の生活の中で、何でも先回りして子供にあれこれと指示を出していないでしょうか。様々な不安を抱えて学校へ行けなくなってしまう子の中には、母子の密着度が高いという傾向もあります。
自分で考えなくてもお母さんが全部指示してくれる、と思っていると、トラブルが起きた時に自分で対処できない子になります。
例えば忘れ物をして先生に怒られても自分の責任。友達とけんかをしたら、相手を責めるのではなく自分から謝る。
そういった「失敗」を自分の力で乗り越えていかないと、何でも人に頼る子になってしまいます。
不登校を契機として、親子の適切な距離感を見直してみるということも必要かもしれません。
子供の不登校経験者の話を聞く
子供が不登校になっても、必ずいい方向に改善できる。経験者の話を実際に聞くことで、そのように希望を持てるのではないでしょうか。
不登校経験者のコミュニティは色々あります。そういったところに参加すれば、様々な経験談を聞けるとともに、親自身も「一人じゃない」という安心感を得られると思います。
まとめ
子供が突然学校に行きたくない、なんていったら、どんな親だってびっくりすると思いますし、怒ったり悲しんだり、色々な感情が溢れ出てくることでしょう。
でも、そんな経験を通して、親子で一緒に成長していければいいと思います。後できっと「あの時は大変だったね」と笑い話に出来る日が来るでしょう。
大事なのは親が冷静に、早めに対処することです。焦らずに夫婦で協力して乗り切って欲しいと思います。