育児ノイローゼは子育て中のお母さんであれば誰しもがなり得る可能性があるもので、悩んでいる人は決して少なくありません。厚生労働省の調査によると、実に半数近いお母さんが「自分は育児ノイローゼかもしれない」と感じたことがあるそうです。
育児ノイローゼになると情緒不安定となり、うつ症状やイライラ、睡眠障害、摂食障害などの精神症状をきたします。軽度であれば育児ストレスを発散することで症状は軽快しますが、ひどくなると自分ではどうにもできず、ついには子どもへの虐待に至るケースもあります。
できればそうなる前に対策を講じるべきですが、自分でできることには限りがあります。一人で思い詰めていても症状は悪化するばかりですので、専門の医療機関や自治体の相談窓口などを利用することをお勧めします。
そこで今回は育児ノイローゼを治したいと考えているお母さんのために、受診する病院や、相談できる窓口などについての情報をまとめました。
育児ノイローゼによる症状を治すには?
育児ノイローゼがひどくなると、さまざまな精神症状をきたします。病院へ行くのは抵抗があるかもしれませんが、限界まで我慢せずなるべく症状が軽いうちに受診するようにしましょう。
診断名は?
育児ノイローゼというのは育児によって生じたノイローゼ(神経症)の総称であり、正式な病名ではありません。
最近ではノイローゼや神経症といった診断名はあまり使われなくなってきており、症状によって、うつ病、自律神経失調症、不安障害(不安神経症)、心身症などといった診断名がつくことが多いでしょう。
病院での治療内容は?
投薬治療
症状に合わせ、精神安定剤や抗うつ剤、睡眠導入剤などの薬が処方されます。薬の内服によって情緒不安定だった心が落ち着くと、身体的にも楽になることが多いです。
また睡眠不足は精神症状を悪化させる大きな要因ですから、睡眠が得られることによって症状が軽快することもあります。
合わない薬を服用した場合さらに症状が悪くなることがありますので、薬は必ず医師に処方されたもののみを服用し、症状が軽快しない場合は医師に相談するようにしましょう。
カウンセリング
心療内科や精神科では治療の一環としてカウンセリングをおこなって貰えると思われがちですが、精神科の治療とカウンセリングは別物です。本来カウンセリングとは臨床心理士が行うもので、臨床心理士は国家資格ではなく医療行為には該当しないため、保険の適応もありません。
病院によっては精神科医が精神療法を行うことをカウンセリングと呼び、保険が適応となる場合もあります。しかし医師による患者さん一人当たりの診察時間はそう長くはありませんから、ゆっくりと話を聞いて貰いたい場合は臨床心理士によるカウンセリングが良いかもしれません。
- 臨床心理士がいてカウンセリングを受けられる病院(保険適応の治療費+カウンセリング費用)
- 臨床心理士はおらずカウンセリングを受けられない病院(保険適応の治療費のみ)
- 医師の精神療法をカウンセリングと呼ぶ病院(保険適応の治療費のみ)
など、病院によって診療形態は異なります。
どんなカウンセリングを望むのかによって医療費も大きく違ってきますので、病院を選ぶ際は前もって調べておくとよいでしょう。
何科を受診すべき?
育児ノイローゼは心の病気ですから、基本は心療内科や精神科です。個人の病院では病院名にメンタルクリニックとつくところがそれに該当します。カウンセリングの有無や内容、保険適応の有無などの情報を踏まえて選ぶとよいでしょう。
産後間もなくの育児ノイローゼは、産後うつかもしれません。ほとんどの産婦人科では、出産後の産後うつに対するフォローを行なってくれますので、母乳外来や赤ちゃんの検診などで受診する機会があれば相談してみるとよいでしょう。
また育児に関する悩みは小児科でもフォローしてくれるはずです。お子さんのことで心配なことがあれば、合わせて相談できるのもメリットです。
受診の際は家族なども一緒に
育児ノイローゼでは、家族などの理解と協力が必要不可欠です。受診の際に付き添って貰うことで、本人が直に訴えるよりも苦しみを理解して貰いやすく、また医師の言葉を直接聞くことで病状やアドバイスなどを受け入れて貰いやすくなります。
また精神的に落ち込んでいるときは、判断力や思考力が鈍ってしまっているものです。自分で思っていたよりも病状が重く入院治療が必要となることもありますので、できるだけ家族に付き添って貰うようにしましょう。
診断書があれば保育園への入所も可能
保育園は、基本的には就業中や求職中のお母さんが子どもを預ける場所であり、専業主婦の場合は入所の優先度が低くなるものです。
しかしお母さんが育児ノイローゼを患っているケースでは、例外として入所できることがあります。育児ノイローゼを治すためには、子どもと離れる時間をつくることが必要であるためです。
必要な手続きとしては、まずは医療機関で育児ノイローゼと診断して貰わなければなりません。そして子どもを保育園に入れたい旨を主治医に伝え、診断書を書いて貰いましょう。その上で、保育園への入所時に必要な書類に、医療機関で発行して貰った診断書を添付して提出します。
必要書類や、受け入れて貰いやすい条件などは各保育園によって異なりますので、管轄の役所や保育園へ相談しましょう。
育児ノイローゼは子どもに付きっきりである専業主婦のお母さんに多いものです。
育児ノイローゼになってしまった場合は、お母さん自身のためにもお子さんのためにも、親子が少しの間離れる時間を確保することが大切となります。そのために保育園を利用できるのでしたら、それを活用しない手はありません。
また楽しく子育てができるようになる日を迎えるためにも、利用できるサポートは全て活用しましょう。
育児ノイローゼに悩んだらどこに相談すればいい?
育児ノイローゼは一人で悩まず、周囲に相談することが大切です。つらい現状を打開するために、まずは勇気を出して「助けて」の声を発することからはじめましょう。
医療機関
前述したように、心療内科や産婦人科、小児科といった診療科で相談しましょう。
自治体の相談窓口
各自治体では厚生労働省の定める子育て支援事業の一環として、育児に関する相談窓口が設けられています。母子手帳や自治体が配布しているパンフレットなどに、窓口のあるセンターの場所や電話番号などが記載されていますので、チェックしてみましょう。
その他の電話相談
電話を使用して相談するという方法もあります。病院に行くほどではない、顔を合わせて相談したくない、とりあえず話を聞いて貰いたいといった場合にはこうしたサービスを利用するとよいでしょう。

各都道府県の支部によって異なります
受付時間月曜日~金曜日 10:00~16:00(センターによって異なる)
03-3222-2120
受付時間月曜日~金曜日 10:00~16:00

0800-5555-110(フリーダイヤル)
受付時間月曜日~土曜日 10:00~14:00(日曜祝日・年末年始を除く)
まとめ
育児ノイローゼを解消するには、育児の負担を軽くし、育児ストレスを蓄積させないことが重要となります。しかし周囲に頼る人がいない場合は、なかなか難しいこともあるでしょう。
誰にも悩みを打ち明けられず、頼ることもできずに一人で全てを抱え込んだ結果、行き場のない怒りが子どもへと向いてしまったケースもあります。ですがそうなる前に、できることがあります。
自分自身と、そして大切なお子さんを守るためにも、勇気のある一歩を踏み出してみてください。多くの人が、きっとあなたを支えてくれます。