飲酒の習慣のある女性が妊活を始めるとき、アルコールを断つべきかどうか悩むかと思います。
タバコのように「絶対に止めたほうがいい」とは明言されておらず、むしろ適量なら飲んだ方が良いとの情報も目にするからです。
実際、妊活中のアルコール摂取については医師や研究者によって意見が分かれるところで、明確な答えが出ていないのが現状です。
しかし、アルコールが身体に与える影響を考えると、できれば飲まないのが一番ということが分かります。
今回は妊活中のアルコールが身体に与える影響を詳しく説明し、上手なお酒との付き合い方をご紹介します。
禁酒すべきかどうか悩んでいる女性は、正しい知識を身につけて判断をしてください。
妊活中のアルコールがよくないと言われる理由は?
妊活中の女性は妊娠しやすい身体にする為に良いとされるものを取り入れ、悪影響を与えるものをできる限り排除したいと考えているかと思います。嗜好品もその一つ。
妊活中に厳禁とされるタバコとは違い、アルコールは適量なら問題なしとする医者が多く、判断に迷うところです。
実際、少量の飲酒が妊娠を阻害するというデータはほとんどなく、担当の医者から厳禁と伝えられることもないでしょう。
しかし、できるものなら禁酒をした方が良いとされているのも事実です。その理由は下記の通り。
血流を阻害する
少量のアルコールの摂取は血流を促す効果がありますが、大量に摂取すると逆に血流を阻害します。
利尿作用で体内の水分が排出されることに加えて、アルコールと水分の浸透圧の関係で、血管の外側に水分を逃がしてしまうからです。
水分が減った血液はドロドロになり、血流が悪くなります。血行不良は生殖器官への栄養や酸素の供給を滞らせるので、結果的に妊娠しにくい身体にしてしまいます。
排卵障害を起こす
アルコールを分解するために一番負担のかかる臓器は肝臓です。肝臓はホルモンの分泌を調整する働きもしているため、過剰に働かせるとホルモンバランスを崩してしまいます。
アルコールの分解で疲れた肝臓は、卵子を育て、排卵させる女性ホルモンの分泌をうまく調整することができず、排卵障害を起こす要因とも考えられています。
活性酸素が卵子の質を低下させる
肝臓でアルコールを分解する際には、多くの活性酸素が発生します。活性酸素は細胞を老化させる作用があり、卵子にも影響を与えます。
若々しい、健康な卵子を育てるためにも、アルコールは控えた方が良いとされています。
男性の飲酒は精子に悪影響を与える
女性以上にアルコールの悪影響を受けやすいのが男性の精子です。
肝臓でアルコールを分解する際に、精子の原料となる亜鉛が大量に消費されるため、精子量が減ったり奇形率が高くなる恐れがあります。
また、アルコールは中枢神経に作用して性的興奮を抑制させ、勃起障害や射精障害を引き起こすとも考えられています。
妊活中はパートナーの男性にも禁酒や、飲酒量の調整が必要となります。
妊娠後の禁酒に備える
妊活中は妊娠中ほど厳しく飲酒を制限されませんが、飲酒の習慣がついていると妊娠後の禁酒がスムーズにいかないケースが多々あります。
赤ちゃんを望み、どうせ妊娠後に禁酒をしないといけないのなら、妊活中から禁酒をした方がメリットが多いと言えます。
妊活中のアルコールとの付き合い方は?
妊活中のアルコールはできることなら控えた方が良いですが、少量の摂取であれば、むしろお酒を我慢することでのストレスの方が悪影響との意見もあります。
きっぱりと止められない場合、どのような付き合い方が理想的なのかをご紹介します。
排卵日以降は禁酒
生理周期の中で、排卵日以降は禁酒と決める。
妊活中の最も大事な時期である、排卵から受精、着床の可能性のある時期はアルコールを絶ち、その他の日で適度に飲酒をするのが理想的です。
生理終了後にアルコール解禁
妊活中は生理がくるとリセットということで、それまで制限していたものを一時的に解禁してOKとなりがちですが、アルコールは生理終了後からの解禁をおすすめします。
生理中は肝臓のアルコール分解機能が低下しているので、通常よりも悪酔いしやす状態だからです。
また、アルコールで一時的に血流が良くなると、生理の出血量が増えて貧血を引き起こすリスクも高まります。
赤ワインが理想的
お酒の種類は様々ありますが、妊活中の飲酒には身体を温める作用がある赤ワインがおすすめです。
赤ワインにはポリフェノールも多く含まれ、抗酸化作用も期待できます。他のお酒を飲むよりは、身体に優しいと言えます。
解禁時期でも適量を守る
生理が終了し、お酒を解禁したからと言って、妊活前のように好きなだけ飲んでいいわけではありません。何度も言いますが、妊活中の理想はアルコールを飲まないことです。
どうしてもストレスが溜まる場合は、解禁日に、適量を飲むことを心がけてください。妊活中の1日のアルコールの適量は下記の通り。
- 赤ワイン:1杯程度
- ビール:250ml程度
- 日本酒:半合程度
少ないと感じるかも知れませんが、この量で満足できるように徐々に飲酒量を減らしておくことが必要です。
妊活中のお酒の断り方は?
普段お酒をたくさん飲む習慣がある女性は、急にお酒を断ることができない心理状態になると言われています。
妊活中なので…と、正直に告白できればいいですが、プライベートなことなのでなかなかそうもいきません。妊活中に上手にお酒を断る方法をご紹介しますので、参考にしてみてください。
健康診断
翌日健康診断があるので…または、健康診断での結果が悪くて…など。健康診断を絡めると断りやすくなります。
車の運転
免許を持っていないと使えないのですが、駅まで車で来ているなど、その後に運転が控えていることを伝える。または実際に飲み会に車で出向くと断りやすいです。
願掛け
何でもいいので、何かに願掛けをする意味でアルコールを断っていると伝える。例えば…
- 大事な仕事が成功するように
- 応援しているチーム(野球やサッカーなど)が優勝するように
- 夫の仕事が成功するように
など、ユーモアを混ぜられると尚良いです。自分の本当の状況に合う願掛け理由を考えれば、継続的にお酒を断ることも可能になります。
体調を崩している
風邪気味や、熱っぽいなど、飲みたいのだけど体調不良で飲めないという理由も伝えやすいです。
ただ、あまり大袈裟に伝え過ぎると心配されてしまうので、大したことはないが…というスタンスで伝えましょう。
薬を飲んでいる
重い病気ではない薬を飲んでいる旨を伝える。アレルギーの薬や鎮痛剤などが、余計な心配をされずに断りやすい薬です。
強めの薬を飲んでいるのでアルコールはNGと伝えます。
妊活中に養命酒を飲むのはどうなの?
養命酒が不妊改善に効果があることは有名で、「養命酒を飲んだら妊娠した」という声は非常によく聞きます。
養命酒は14種類の生薬を配合した漢方薬のようなもので、女性の体調や生殖器に良い影響を与える成分も多く配合されています。
不妊改善に効果が期待できる成分
養命酒に含まれる生薬の中で、不妊改善に効果が期待できる成分は下記の通り。
- 芍薬:血行促進/冷え性改善
- 紅花:血行促進/生理痛の緩和/生理不順の改善
- 桂皮:血行促進/冷え性改善
- 地黄:造血作用/ホルモンバランス調整
不妊の大敵とされる血行不良を改善して冷え性を防ぎ、子宮や卵巣を温めてくれます。
妊活中はアルコールのデメリットよりもメリットの方が多い
養命酒は薬用酒ですが、アルコール度数は14%もあります。これはワインに匹敵する度数です。
妊活中はアルコールの摂取を控えた方が良いと伝えましたが、養命酒に関しては摂取量を守ればメリットの方が多いと言えます。
しかし、肝臓の機能や体質にもよりますので、医療機関で不妊治療をしている女性は主治医に確認をしておいた方が安心です。
まとめ
「酒は百薬の長」と言われる通り、適量の飲酒習慣がある人の方が健康だという報告があります。しかし、妊活中は話が別です。
妊娠中や授乳中は禁酒をしないといけないので、妊活中から少しずつ禁酒を進めることをおすすめします。
急に一滴も飲まない!とするのは難しいので、少しずつ量を減らし、最終的に禁酒ができるように調整することも大切です。