妊活中の人は、「これが妊活にいい!」と言われれば、色々試してみたくなると思います。
その一つに、豆乳があります。豆乳は女性ホルモンと似た働きをすることから、妊活にいいという意見もあれば、真逆の意見もあります。
実際ところ、豆乳は妊活にいいのか、それとも良くないのか、その理由についてまとめました。
妊活中に豆乳が効果的だと言われる理由は?
豆乳には様々な栄養が含まれているので、健康維持だけでなく妊活にも役立つと言われています。
豆乳は栄養の宝庫
豆乳の元は、言わずと知れた大豆です。大豆に含まれる栄養素のうち、絞りカスであるおからに残る栄養素以外は、すべて豆乳に含まれています。
- 大豆タンパク
- ビタミン類(ビタミンB群、E)
- ミネラル(カリウム、マグネシウムなど)
- オリゴ糖
- フィチン酸
など、これだけの栄養素を含んだ飲み物はなかなかないでしょう。
特に大事なのはタンパク質です。女性はダイエットなどで肉や魚を制限する人が多いですが、元気な卵子を育てるには、タンパク質が欠かせません。
その点、良質なタンパク質を摂ることができる豆乳は、妊活にとても役立つ飲み物だと言えるでしょう。
女性ホルモンのバランスを整える
豆乳に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンのバランスを整える働きがあるといわれています。
ホルモンバランスが乱れていることが原因で妊活がうまくいかない人には強力なサポートとなるはずです。
サポニンの抗酸化作用
妊娠しにくくなる原因の一つに、卵巣や卵子の老化があります。
豆乳に含まれる大豆サポニンには、強力な抗酸化作用があり、卵巣や卵子の老化を防ぐのに有効だとされています。
レシチンの血行促進効果
レシチンは細胞膜を作るために必要な成分で、私たちの身体にもある成分です。脳に一番多く含まれています。
レシチンには血流を改善する働きが期待できるので、冷えを解消することが妊活に役立つと考えられます。
大豆のレシチンは卵黄や肉類からとられたレシチンと違って、コレステロールが含まれていないというのも嬉しいところです。
カリウムの利尿作用
豆乳に含まれるカリウムには利尿作用があるので、体内の余分な塩分や水分を排出してくれます。
余分なものを出すということは、血流がよくなり、妊娠しやすい巡りの良い身体を作ることにつながります。
豆乳の薬膳効果
豆乳の薬膳効果として、妊活に良さそうなものが2つあります。
- 便秘の改善
- 低血圧の改善
低血圧だと、心臓から血液を送り出す力が弱いので、血行不良になりがちです。低血圧を改善することで血行が良くなり、妊娠しやすい身体を作ることができるでしょう。
妊活中に豆乳がよくないと言われる理由は?
逆に、豆乳が妊活に良くないとする説もあります。その理由についてまとめました。
豆乳=妊娠の根拠がない
さかんに「豆乳は妊活によい」と言われていますが、それを実証した臨床結果や論文などがありません。
科学的根拠に乏しい説だと言えるでしょう。低温期に豆乳をたくさん飲むといい、という説もありますが明確な根拠はなく、かえって体調を崩したという口コミも多く見かけます。
しかも、女性ホルモンの働きをするといわれる大豆イソフラボンですが、本当に効果が高いといわれているのは、豆乳に含まれているイソフラボンとは型が違うのです。
豆乳に含まれているイソフラボンは「グリコシド型」と呼ばれるもので、体内では非常に吸収しづらく、豆乳を飲んだからといってすぐに何かの効果が現れると考えにくいのです。
それに対して大豆の胚芽部分から採られた「アグリコン型」と呼ばれるイソフラボンには科学的な根拠があります。
実際、アグリコン型イソフラボンを摂取することで、体外受精の際の着床率が高まることが分かっています。
妊娠に効果的だといわれるイソフラボンとは型が違うので、豆乳を飲んだからといってすぐに妊娠しやすくなるかというと、そうではなさそうです。
そもそも女性ホルモンを補う意味がない
豆乳の一番の効果としてあげられるのが「女性ホルモンと似た働き」といういことだと思いますが、そもそも生理がある人は女性ホルモンが分泌されています。
女性ホルモンが分泌されているからこそ生理が来るわけで、そこにさらに女性ホルモンを補うことは、逆にホルモンバランスを崩してしまう可能性もあるのです。
更年期に入り、女性ホルモンが減少してきている人が豆乳で女性ホルモンを補うことは意味がありますが、普通に女性ホルモンが分泌されてる人が、過剰に豆乳からイソフラボンを摂る必要はないのです。
生理不順、無月経の人以外は、あえて豆乳を飲む意味があまりありません。
豆乳の過剰摂取により、女性ホルモンのバランスを整えるどころか、乱してしまっていることも問題になっています。
必要もないのに豆乳を飲み過ぎることによって女性ホルモンのバランスが乱れ、子宮内膜症、子宮ポリープなどの症状を生み出してしまい、逆に不妊症になる可能性が高くなってしまうのです。
エクオールが作れないと意味がない
大豆イソフラボンが女性ホルモンと似た働きをするためには、腸内細菌の働きが重要です。
イソフラボンに含まれるダイゼインという物質が「エクオール」という物質に変えられることで初めてホルモンバランスを整える役割を果たすようになるのです。
大豆イソフラボンのままでは、思ったような効果は出ないということです。
この「エクオール」を作れるのは、日本人ではおよそ半数だと言われています。つまり、エクオールを作れない人は、豆乳を飲んだとしても、ホルモンバランスを整える働きはそれほど期待できないということです。
身体を冷やす
豆乳はパック飲料などで冷たいまま飲む人が多いと思います。いうまでもなく冷たいものの飲み過ぎは身体を冷やします。
特に、朝からスムージーなどに豆乳を入れて飲んでいる人は注意です。空っぽの胃に冷たいものを入れれば身体は冷えやすく、妊活にいいとはとても言えません。
妊活中の豆乳の飲み方や注意点は?
豆乳が妊活に良くない理由もご紹介しましたが、栄養のある飲み物ですから飲み方によっては役に立つものです。
妊活中の健康増進のために豆乳を飲むとしたら、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
冷たいまま飲まない
豆乳を飲む時は、冷たいまま飲まないようにしましょう。ホット豆乳で飲むことをおすすめします。
そのままでは飲みづらい場合は、味噌汁、スープ、コーヒー、紅茶などに入れてもよいでしょう。
飲み過ぎに注意
どんな食材でもそうですが、たくさん摂取すれば効果が高まるというものではありません。豆乳も同じで、守って欲しい1日の摂取量があります。
大豆イソフラボンの1日の摂取目安量は75mgとされています。
豆乳は1本200mlの紙パックで売られていることが多いと思いますが、1本当たり40~50mgくらいの大豆イソフラボンが含まれているので、飲むとすれば1日2本まで、ということになります。
ただ妊活中の人は和食中心の食生活をしている人が多いと思います。
- 納豆1パック:約35mg
- 豆腐半丁:約30~40mg
- 油揚げ1枚:約12mg
など、他の大豆製品にも大豆イソフラボンは含まれていますから、豆乳以外の食品からも摂っていることを考えると、1日1本で十分でしょう。
タイミングはいつでもいい
豆乳を飲むタイミングについて、低温期がいいとか高温期がいいというような話がありますが、科学的な根拠はありません。
そもそも豆乳は健康維持くらいの意味で飲むものなので、過剰摂取に気をつければいつ飲んでも構いません。
飲むなら無調製豆乳
豆乳には、大きく分けて、下記のような豆乳があります。
- 無調製豆乳(豆乳そのまま)
- 調製豆乳(砂糖や油脂が入っている)
- 豆乳飲料(様々なフレーバー)
カロリーはさほど変わらないのですが、違うのは大豆サポニンやレシチンなど、妊活のために摂りたい栄養素の量が違います。
例えばキッコーマンの豆乳を例にしますと、このくらいの差があります。
カロリー | 大豆サポニン | レシチン | |
無調製豆乳 | 115kcal | 80mg | 421mg |
調製豆乳 | 117kcal | 77mg | 324mg |
豆乳飲料 (バナナ) | 135kcal | 48mg | 226mg |
※豆乳飲料はフレーバーによって幅があります。
どうせ飲むなら、無調製豆乳がおすすめです。そのままだと飲みづらい場合は、味噌汁やスープに入れるといいでしょう。温かくして飲めるので、一石二鳥です。
合わないと思ったらすぐにやめる
そもそも不妊の原因は女性ホルモンのバランスだけではありませんから、豆乳を飲んだくらいですぐに妊娠するというものでもありません。
飲み過ぎて、飲む前よりも体調が悪くなったり、基礎体温がガタガタになってしまった、という声も見られます。
体調を見て、自分には合わないと思ったらすぐにやめるようにしてください。
妊活中は牛乳と豆乳ならどっちがおすすめ?
牛乳も健康に良い飲み物として取り入れている方も多いのではないでしょうか。牛乳と豆乳、どちらが妊活に向いているのでしょうか。
お腹の弱い人は豆乳がおすすめ
牛乳には乳糖が含まれているため、乳糖不耐症の人はお腹がすぐにゴロゴロしてしまいます。
日本人は8割以上が乳糖不耐症だといわれていますが、お腹が弱い人は牛乳よりも豆乳の方がいいでしょう。
卵巣年齢が気になる人は牛乳がおすすめ
卵巣年齢とは「AMH」という値で測られるもので、卵巣の中に未熟な卵胞が多く残っているほどこの数値が高くなります。
卵巣は加齢とともに老化しますが、実年齢と卵巣年齢は必ずしも一致するものではなく、卵巣年齢が若い人ほど妊娠力が高い、ということになります。卵巣年齢は婦人科で検査することができます。
この卵巣年齢にビタミンDが関わっていることが最近の研究で分かってきました。
ビタミンDは食べ物からだけでなく、紫外線を浴びることで作られる栄養素ですが、女性は1年中日焼け止めを塗って紫外線をカットしていることから、ビタミンD不足が懸念されています。
AMHの値が低い人にはビタミンD不足の人が多いということから、ビタミンD不足によって卵胞が正常に発育していないのではと考えられているのです。
牛乳にはビタミンDが含まれていますが、豆乳には含まれていません。もし自分の卵巣の老化がビタミンD不足かもしれないと思う人には牛乳の方がおすすめです。
まとめ
妊活中に一番気をつけることは、ストレスや疲労を溜めないで、健康的な生活をすることです。
豆乳は確かに健康にいい飲み物ですが、それを飲んだくらいで即妊娠する、というほど人の身体は単純ではありません。
健康になって妊娠力を高めよう!という気持ちで飲むのはとてもいいことだと思いますが、過剰な期待は禁物です。