妊娠2ヶ月目は生理が遅れたりつわりの症状がでたりするため、多くの人が妊娠の可能性に気づく頃です。
お腹の赤ちゃん(胎児)の基礎をつくる大切な時期で、お母さんである妊婦さんにも様々な体の変化が急速におこり始めます。初めての妊娠なら喜びと同時にわからないこともたくさんあり、気持ちが不安定になりやすくもなります。
そんな妊娠2ヶ月目の、妊婦さんと胎児の経過、日常の過ごし方や注意点をまとめました。
妊娠2ヶ月目の妊婦さんの状態
妊娠2ヶ月目の始まりである4週0日は、本来なら生理(月経)開始予定日にあたります。しかし、妊娠が成立すると生理が停止するため、生理が規則正しい人なら妊娠の可能性に気づくケースが多いでしょう。
そこから7週終わりまでが妊娠2ヶ月目の期間ですが、生理の停止以外にも様々な体の変化や普段とは違う症状が見られます。
辛く感じる症状もあるかもしれませんが、どれもお腹の赤ちゃんの成育を助けたり出産の準備に備えたりするためにおこっていることです。しんどいときには無理をせず、できる範囲で心身を休めることが大切です。
妊娠2ヶ月目の体の症状
妊娠2ヶ月目の症状は、生理(月経)の停止や体温の変化以外は必ずすべてがおこるわけではなく、自覚する症状も時期も個人差が大きいと言われています。
4週
妊娠が成立すると生理(月経)が停止します。生理の出血は、妊娠しなかったとき、子宮内に準備された子宮内膜という赤ちゃん用のベッドを作る組織がはがれ落ち、排出されることでおこっています。
妊娠が成立すると、子宮内膜ははがれ落ちずにより厚く変化していくので、生理の出血はおこらないようになります。その代わり、受精卵が子宮にたどりついて着床したとき、色の薄い出血が2~3日続くことがあります。生理と勘違いしやすいので注意しましょう。
生理の停止と同時に体温も変化します。それは妊娠によってホルモンが変化するからです。女性の体温は、生理周期によって低温期と高温期に分かれています。
高温期は排卵後、受精卵が着床しやすくする働きのある黄体ホルモンの増加によっておこりますが、2週間で妊娠が成立しなかったときには黄体ホルモンは減少し、低温期に移ります。
しかし妊娠が成立すれば、赤ちゃんの成育を助けるために黄体ホルモンが継続して増加し、高温期が続くようになります。
4週~7週
いわゆるつわりの症状で、胸やけやゲップが増えたり、口の中が苦くなったり、胃に不快感をおぼえたりすることがあります。味覚が変わり、においに敏感になったり普段とは違った好き嫌いがでたりする場合もあります。
つわりがなぜおこるかは、いまだにはっきりとした原因がわかっていません。早い人は4週~5週で始まりますが程度や期間も様々です。
ほとんどおこらない人、ひどい吐き気が続く人など個人差が大きいですが、病院での検査で赤ちゃんが元気に育っている限り、どの状態でもとくに問題はないと言われています。
普段の高温期に熱っぽさを自覚することはあまりありませんが、妊娠後の高温期はホルモンの変動により、いつもより熱っぽく、風邪の微熱と似たような症状がおこることがあります。
子宮に受精卵が着床し赤ちゃんが育ち始めると、お母さんのエネルギーが必要以上に消耗しないようにホルモンが働き、だるさや眠さを感じることがあります。
膣から子宮への細菌の侵入をふせぎ赤ちゃんを守るため、バリアの働きをするおりものが増えることがあります。このときのおりものは色やにおいが少ないのが特徴です。
妊娠をすると女性ホルモンが増加し、乳房が張ってきます。母乳をつくるための乳腺も発達し、人によっては胸に青い血管が浮いたように見えることもあります。
乳首も母乳をあげる準備を始めて変化するため、乳首がチクチクしたり敏感になったり、色が黒ずんだりすることがあります。
ホルモンの働きによってお腹の赤ちゃんのために子宮へ優先的に血液をおくるようになり、腸の働きが低下することがあります。
ホルモンの変化の影響により、体がかゆくなったり吹き出物が増えたりすることがあります。
赤ちゃんの成長と子宮の変化にともない、普段の生理前とは違う下腹部の痛みやお腹が引っ張られるような違和感がおこることがあります。
注意したい症状
妊娠2ヶ月目は早期流産がおこりやすい時期でもあるため、普段とは違う出血があったり急なお腹の張りや痛みを感じたりする場合は、すぐに産婦人科を受診しましょう。
反対に、つわりの症状とお腹の張りが同時に無くなったときも、流産の可能性があると言われています。
また、妊娠によるものと考えていた症状が他の病気によるものだったり、市販の妊娠検査薬で陽性がでても子宮外妊娠や異常妊娠だったりすることもあります。生理が1週間程度遅れて妊娠の可能性が考えられる場合は、産婦人科へいき、診断をしてもらいましょう。
お腹の大きさと体重変化
妊娠2ヶ月目のお腹に外から見える変化はありませんが、子宮は一回り大きくなります。平均的な女性の子宮の大きさはニワトリの卵くらいと言われていて、それがこの時期には1.5倍程度ふくらみレモン大になります。
しかし、妊娠2ヶ月目の赤ちゃんの重さはたった4g程度なので、お母さんである妊婦さんにも体重の変化はほとんどありません。
妊娠検診
妊娠2ヶ月目に入ると、産婦人科で検診を受けることがすすめられます。
初診時期の目安
産婦人科で検査して妊娠が確定できる時期の目安は4週目からと言われています。その頃になると、尿の中に妊娠したとき特有のホルモンが混じるようになるので、尿検査で調べることができます。
市販の妊娠検査薬も同じホルモンを利用して陽性反応がでる仕組みです。そのため、本来は生理予定日が過ぎたら妊娠反応がでるはずですが、排卵が遅れていた場合など人によっては陽性反応が上手くでないこともあります。
生理予定日を1週間すぎたころになると、ほぼ確定ができると言われているので、その頃が産婦人科の初診時期の目安とされています。
しかし、これはとくに問題のないときの1つの目安なので、気になることがある場合には、時期を待たず早めに病院を受診しましょう。
初診の内容
月経周期や妊娠経験、過去の病歴などを医師が聞き取っていきます。多くの病院では診察前に問診表を書き、それを見ながら医師が質問をする形になります。適切な診断・治療のための重要な情報になるので、正直に答えましょう。
妊娠反応のチェックの他、尿の中にタンパクや血液が混じっていないかなどを調べます。
妊娠中は血圧の管理も必要になってくるため、血圧をはかります。
妊娠中の体重変化は重要な情報なので、最初の体重をはかります。肥満の度合いを計算するために、身長もはかることがあります。
医師が手や器具を膣内に入れ、内部の状態をチェックします。産婦人科の内診台は患者さんが辛くない姿勢で足が開けるように特殊な形をしています。
エコー検査は高い周波の特別な音波を体にあて、その反応によって内部の映像をモニターに映し出す方法です。放射線を使うX線(レントゲン)写真撮影と違い、妊婦さんの体や赤ちゃんに影響せず安心してくり返し受けられる検査です。
お腹の外側からでもできますが、妊娠2ヶ月目では赤ちゃんが非常に小さいため、膣から細い器具を入れて子宮近くから観察します。診察台の横にあるモニターで、妊婦さん自身もお腹の中の赤ちゃんの様子を見ることができます。
通常の場合は白黒の不鮮明な画像ですが、それでもじゅうぶんに中の様子や赤ちゃんの動きは知ることができます。
検診のペース
初診では妊娠が確定しないこともあり、妊娠が確定しても、すぐには赤ちゃんの心音を確認することはできません。赤ちゃんが無事生育しているかをチェックするために、2ヶ月目には1~2週に一度検診に訪れることになります。
妊娠2ヶ月目の赤ちゃんの状態
4週
この頃はまだ胎児の形をしておらず、「胎嚢(たいのう)」と呼ばれる袋の中で細胞ごとに発達をしています。大きさはまだほんの0.4mmほど。
エコー(超音波)検査で子宮の中を観察しても小さな豆粒大の胎嚢が見えるだけで、中の赤ちゃんは確認ができません。
血液細胞や血管、心臓につながる管などの心臓形成が始まり、赤ちゃんの発達の基礎となる重要な時期です。
5週
大きさはまだ約2mm~5mmほど。
赤ちゃんは胎嚢の中で「胎芽(たいが)」と呼ばれる胎児の原型にまで育っています。しっぽのついた魚のような姿をしています。
まだ小さくてエコー検査ではほとんどとらえることはできず、画像では4週目より少し大きくなった胎嚢の中に豆粒のような胎芽が確認できます。
胎芽の横には『卵黄嚢(らんおうのう)』と呼ばれる袋があり、そこから栄養をもらって成長します。
この時期赤ちゃんの発達は急速に進み、心臓につながるメインの血管や、胃腸、すい臓、肝臓などの消化器官の原型や手足のもとになる組織、肺など様々な器官もつくられ始めます。
重要な脳と脊髄(せきずい)を構成する神経管も形成され、後でお母さんの胎盤とつながるためのへその緒も準備されます。
6週
4週目には0.4mmの大きさだった赤ちゃんは、4mm~1cmにまで成長します。
6週目に入ると胎嚢の中の胎芽の姿も画像でとらえられます。
順調な妊娠であればこの時期にあかちゃんの心臓が動きだし、エコー検査で心拍が確認できるようになります。
脳の発達が活発なときで、赤ちゃんは胴体より頭がかなり大きい形です。
7週
赤ちゃんはさらに成長し、8mm~14mm程度になります。
この時期は成長がもっとも急速で、1分間に1億個以上の細胞がつくられていると言われるほどです。心臓内部に部屋ができて血液を体に循環させるようになり、脳には小脳、脳下垂体など、活動やホルモンづくりに必要な部位もつくられます。
首やおしりの部分が伸び、頭と胴体や手足の区別もつき始め、だいぶ胎児らしい姿に近づきます。エコー検査でわずかに体を動かすところがとらえられることもあります。
妊娠2ヶ月目の過ごし方
心がけ
妊娠2ヶ月目はお母さんの体の変化も激しく、お腹の赤ちゃんも基礎工事の進む重要な時期です。できるだけ無理をせず、心身を労わる心がけが大切です。
いくつかの点を注意すれば、日常生活や仕事は多くの場合続けられます。控えた方がいいことや制限もありますが、一番はお母さん自身がストレスをためず、できるだけ楽に過ごす工夫をすることです。
心配なことは医師に相談しながら、始まったばかりの妊娠生活を楽しむ気持ちで乗りこえていきましょう。
運動
妊娠2ヶ月目は様々な面で不安定な頃なので、運動や激しい活動は控えた方がいいと言われています。日常の活動程度は問題ありませんが、転んだりものにぶつかったりしないようにゆっくりした動きを心がけ、積極的なスポーツをするのは避けましょう。
食事
妊娠初期は葉酸、鉄、カルシウム、タンパク質などが普段以上に必要となり、バランスの良い食生活が大切です。
つわりがでて食べられるものが限られている場合は、栄養にこだわり過ぎず、食べやすいものを食べる方がいいと言われています。酸味のあるトマトや酢を料理に使ったり、のどごしのいいゼリーを利用したり、自分が食べやすいものを工夫してみましょう。
食べづわりと言って、食べていないと吐き気がするタイプの人もいますが、その場合は低カロリーな食材も活用して上手くバランスをとりましょう。
つわりで食べ物が偏り栄養が心配なときは、妊婦さん向けの栄養補助食品やサプリメントもあります。医師に相談の上、利用してみるのも1つの方法です。
アルコール類は、妊娠中は控えることがすすめられています。また、コーヒー・紅茶・緑茶などカフェインの多い飲み物も、1日ティーカップ1~2杯程度にした方がいいと言われています。ノンカフェインのお茶類も色々とあるので、好みのものを探してみましょう。
体重管理
妊娠2ヶ月目は赤ちゃんの発達が激しく、お母さんの体も急速に変化していくため、食欲が増したり普段とは違うものが食べたくなったりすることがあります。
反対につわりがひどくなって食べられなくなることもあるので、この時期は体重を気にするより、食べられるものをしっかり食べた方がいいと言われています。
服装
下半身が冷えたり体をしめつけたりすると、子宮への血液がとどこおりやすくなり、全身の血行も悪くなります。お腹の赤ちゃんのためにもお母さん自身のためにも、ゆったりとして温かな服装がおすすめです。
妊娠2ヶ月目は、お腹の赤ちゃんのために優先的にエネルギーを使うため、だるくなったり眠くなったりすることが増えます。そのときのためにも、できるだけリラックスしやすい服装にしまよう。
不安定なヒールの靴やサンダルは、転びやすいので避け、歩きやすく安定感のある靴に変えましょう。妊娠をすると足がムクミやすくもなるため、細くしめつけるようなパンプスやブーツも避けましょう。
仕事
産婦人科で妊娠が確定したら職場には妊娠を伝え、その先の仕事のスケジュールを調整し、可能な範囲で無理をしなくていい環境を整えておきましょう。
事務仕事やお店での接客業なら特別に問題はありませんが、激しい動きや重労働のある勤務の人は、職場に相談して仕事内容を調整してもらう方が安心です。
薬剤やアロマを使う仕事や放射線に関わる仕事などがあるときは、医師に相談しましょう。多くの場合、仕事を続けることが可能です。
急いでいると人にぶつかったり転びやすくなったりするので、余裕を持った行動を心がけましょう。満員電車・バスも、可能ならなるべく避けるようにしましょう。
お出かけ・レジャー
妊娠2ヶ月目は不安定な時期で、どのような変化がおこるかわかりません。体も疲れやすく抵抗力も落ちているので、遠出や人ごみは避けた方が無難です。
楽しいレジャーも心身にとっては負担になるので、この次期は避けた方がいいでしょう。安定期に入って医師の許可がでれば旅行や遊びもできるようになります。
性行為
セックス自体が直接流産につながったり赤ちゃんの生育に悪影響を及ぼしたりするわけではないと言われていますが、膣や子宮への刺激によって何らかの変化がおこる可能性はあります。
ホルモンの変化で痛みを強く感じたり傷ができやすくなったりしていることもあるので、安定期に入るまでは避けた方が安心です。パートナーにはそのことを伝え、コミュニケーションを大切にするようにしましょう。
妊娠2ヶ月目の注意点
タバコは赤ちゃんに送る酸素や栄養を不足させる原因になるので、妊娠中は禁煙が強くすすめられています。周囲の煙も体内に入るので、できれば家族にも禁煙してもらうか、家や近くでタバコを吸わないようにしてもらった方がいいでしょう。
妊娠をすると、使えなくなる薬や受けられない検査・治療があります。産婦人科以外の病院や歯科医院へ行くときは妊娠・妊娠の可能性を必ず伝えましょう。
妊娠期間中は、胃薬や痛み止めなども産婦人科で処方をしてもらった方が安心です。
病院に行けず市販薬を使用する場合には、お店の薬剤師さんに相談の上購入しましょう。
サプリメントの中にも、ビタミンA、イソフラボンなど過剰な摂取を控えた方がいいものがあります。不安なときは飲むのを止め、医師と相談の上使用するようにしましょう。
妊娠をすると注意しなければいけないことも増えますが、神経質になり過ぎてストレスがたまってしまうと、心身にもお腹の赤ちゃんにもいい影響は与えません。
妊娠していることに気づかず薬を使ったりお酒を飲んだりしたことがあったとしても、検診で無事が確認されている限りは大丈夫だと言われています。不安なことは医師に相談しできるだけの注意はしながら、妊娠した喜びや楽しみも大切に過ごしていきましょう。
まとめ
妊娠2ヶ月目の妊婦さんと赤ちゃんの状態、過ごし方や注意点をまとめてご紹介しました。この時期は変化が激しく、初めて妊娠した人は不安でいっぱいになってしまうこともあります。
様々な注意点はありますが、日常生活に関しては、お母さん自身の心身が楽に過ごせるような工夫が一番大切と言われています。
不安なことは1人で抱え込まず医師と相談しながら、お腹の赤ちゃんと自分自身を労わる気持ちでゆっくり過ごしていきましょう。