女性の身近な悩みのひとつである便秘ですが、妊娠しているとお腹の赤ちゃんへの影響が気になります。特に便秘になりやすい妊娠初期は、つわりも加わって体調を崩す原因となることも。
下剤に頼ることなく便秘を解消できるよう、おすすめの食べ物や飲み物を紹介します。
妊娠初期の便秘解消におすすめの食べ物は?
食物繊維や乳酸菌の他に、オリゴ糖もおすすめです。それぞれに代表される食べ物を使ったおすすめのレシピや、気をつけたい点などまとめました。
食物繊維
便秘解消といえば食物繊維ですが、食物繊維には水溶性と不溶性があることをご存知でしょうか。いずれもバランスよく摂取しなければ、便秘解消の効果を得ることができません。
水溶性食物繊維
水に溶けやすい性質で胃や腸に吸収されず、硬くなった便をやわらかくします。さらに腸内環境を整える働きもあります。海藻類、果物類、コンニャクといった、粘り気のあるものやサラサラした食べ物が多いです。
ワカメやひじきといった海藻類にはカロリーがほとんどなく、繊維質も豊富です。ビタミンやミネラルも含まれており、栄養をしっかり摂取するためにもサラダで食べるのがおすすめです。
こちらのレシピでは海藻だけでなく、不溶性食物繊維である豆類を一緒に摂取できます。
ひじきだけでなく、人参やじゃこも摂取できるおかずレシピです。妊娠時に不足しがちなカルシウムも、じゃこ大匙1で約50mg摂取できます。
注意点繊維質が豊富な海藻類ですが、ひじきにはヒ素、昆布にはヨウ素(ヨード)が含まれており、摂り過ぎに気をつけなければなりません。ただ、ひじきは鉄分が豊富ですので、月に3回ほど小鉢で食べる程度であれば問題ありません。
昆布はだし汁にも使われていますので、繊維質の摂取のために量を増やすのはやめたほうがよいでしょう。
バナナ、りんご、キウイといった果物には豊富な繊維が含まれており、同時に水分も補給することができます。
しかし、身近な果物以上に繊維質を含んでいるのがドライフルーツです。生のバナナでは1gだった繊維質が、乾燥させることで約7gまで増えています。また、バナナには、妊娠の際のむくみを解消してくれるカリウムも含まれているのでおすすめです。
バター不使用のスコーンで、好きなドライフルーツを混ぜ込むことができます。
注意点果物には糖分が多く含まれているため、1日の摂取量は200g程度を目安としましょう。ドライフルーツの場合、生の果物よりも多くのカロリーを含んでいます。小腹がすいた際のおやつとして考え、1日80g程度に抑えてください。
不溶性食物繊維
水に溶けにくい不溶性食品繊維は、腸内で水分を吸収し膨らみ、腸壁を刺激し、腸の働きを活発にしてくれます。水分と一緒に摂ることで便秘を解消してくれるため、水分補給は欠かせません。穀類、イモ類、根菜類、大豆などが不溶性食物繊維を豊富に含む食べ物です。
とうもろこし、大麦、ライ麦などの穀類は、不溶性食物繊維を豊富に含んでいます。中でもおすすめは、とうもろこしです。繊維質だけでなく、葉酸、鉄、亜鉛など貧血予防につながる栄養素を含んでおり、茹でるだけで美味しく食べられる手軽さもあります。
とうもろこしの茹で汁で炊く、おかず不要のレシピです。
揚げ物ですので、しっかり料理したい気分のときにおすすめです。
注意点とうもろこしはカロリーが1本で170キロカロリーと高く、ご飯1杯分の200キロカロリーと大差ありません。食べ過ぎは肥満のもとになってしまいますので、その日のご飯を減らすなどして調整しましょう。
じゃがいも、さつまいも、里芋、山芋といったイモ類は料理しやすく食べやすい不溶性食物繊維です。特にさつまいもはじゃがいもの2倍の繊維含有量をほこり、おやつにぴったりな食品です。
皮も一緒に食べることで、ヤラピンという成分を摂取することができます。ヤラピンには胃の保護、腸のぜん動の促進、便を柔らかくするといった便秘に嬉しい作用があるため、皮つきのまま輪切りがおすすめです。
出典:cookpad.com
授乳中のお母さんが考えた、安心して食べられるケーキレシピ。おからも使用しているので栄養たっぷりです。
さつまいも、レモン汁、砂糖といったシンプルな材料で煮るだけのレシピ。妊娠糖尿病の方のレシピなので、低カロリーで安心して食べられます。
根菜を含む野菜類の中でも、人参などの緑黄色野菜には、繊維だけでなくビタミンとミネラルも豊富に含まれています。
しかし緑黄色野菜を上回る繊維含量を誇るのが、乾物の切り干し大根です。人参はおよそ3gであるのに対し、切り干し大根には20gもの繊維質が含まれていることをご存知でしょうか。繊維豊富な野菜の代表であるゴボウの6gと比較しても、非常に豊富な繊維質です。
水で戻した切り干し大根と調味料を和えるだけの簡単レシピです。
こちらも和えるだけのレシピ。小松菜を使うことで妊婦さんに必要な、葉酸、カルシウム、鉄分も一緒に補うことができます。
大豆は繊維質を多く含んでいるだけでなく、カルシウムや鉄分など大事な栄養素を同時に摂ることができる食品です。スーパーなどで売っている蒸し大豆一袋で、およそ6.7gもの繊維質を含んでいます。
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定番のひじきと大豆の煮物です。ひじきにはヒ素が含まれていますので、気になる方はひじきの量を減らし、代わりに人参を入れるなどしてアレンジしましょう。
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粉を使った、混ぜて焼くだけのおやつレシピ。妊娠中だけでなく出産後も安心して食べられる、低カロリーなクッキーです。
注意点食物繊維豊富な大豆ですが、食べ過ぎには気をつけなければなりません。大豆に含まれている大豆イソフラボンが、女性ホルモンに似た働きをするためです。
妊娠中はホルモンバランスが変化するため、多量に摂取してしまうと、赤ちゃんへ影響を及ぼす可能性があります。しかし、食べ過ぎにさえ注意していれば便秘だけでなく体質も改善できる食品ですので、過剰な心配の必要はありません。
両方の食物繊維を含む寒天
食物繊維は水溶性も不溶性も、いずれもバランスよく摂らなければ便秘解消の効果はありません。しかし、便秘に悩みながら毎日の献立にも気を配るのは、負担が大きくストレスになる恐れがあります。
そこでおすすめしたいのが、寒天です。寒天は、水溶性も不溶性も兼ね備えた食物繊維を含んでおり、便秘に対して優秀な食品です。しかも胃の中でおよそ10倍に膨らむため、1日にたった2g摂取するだけで効果を発揮します。
火にかけながら混ぜるだけで簡単に作ることができます。好きなフルーツを入れ、フルーツ寒天にしても美味しく栄養をプラスできます。
その他にも寒天は、下記のように混ぜる食べ方が食べやすくおすすめです。
- お米1合に対し、粉寒天1gを混ぜて炊く
- カレーやヨーグルトに好みで適量混ぜる
また、市販のゼリーなどでも寒天が使用されているものがありますので、原材料を確認しましょう。
乳酸菌
乳酸菌は善玉菌の一種で、腸内をきれいに整えてくれます。乳酸菌には有名なビフィズス菌や、商品名にもなっているラブレ菌など種類があります。体質によっては合わないものもあるため注意が必要です。乳酸菌を含む食品は、ヨーグルトや発酵食品などがあります。
ヨーグルト
ヨーグルト1ml中にはおよそ1000万個の乳酸菌が含まれており、便秘でなくとも食べたい食品です。製品によって含まれている乳酸菌は違いますので、常に同じ製品を食べ、同じ乳酸菌を増やすようにしましょう。
出典:cookpad.com
レンジでチンして温めているので、体を冷やすことなく乳酸菌を摂取できます。
出典:cookpad.com
ヨーグルトがベースになっており、さっぱりしたケーキレシピです。カロリーが気になる方は土台なしでも充分美味しく仕上がります。
発酵食品
苦手な方も多い発酵食品ですが、腸内に乳酸菌を増やすうえでぜひ摂りたい食品です。醤油や味噌といった大豆由来の調味料にも含まれているので、苦手であったとしても、和食を食べる機会が多いようであれば問題ありません。
納豆には納豆菌が含まれており、腸内環境を整えてくれます。他にも納豆に含まれるビタミン類や酵素などが血液をサラサラにしてくれ、脳血栓を予防します。
ミネラルが豊富ですが、塩分も含まれているため摂り過ぎに気をつけなければなりません。抗菌・殺菌作用や、血糖値を抑える効果もあります。
乳酸菌だけでなく、野菜の栄養や繊維も一緒に摂ることのできる、優秀な食品です。しかし醤油と同様、塩分も含まれていますので気をつけましょう。
注意点乳酸菌で最も大切なのが、毎日摂り続けることです。腸内の善玉菌を増やすためには毎日一定の量を摂り続けなければ効果がありません。
また、乳酸菌は効果が出るのに時間がかかるため、最低でも2週間は同じ乳酸菌を摂ってください。2週間経っても便秘が改善されないようであれば、別の乳酸菌を試しましょう。
なお、乳酸菌の中には熱や胃酸に弱いものもあるので、できる限り食前か食後に摂るようにしましょう。
オリゴ糖
オリゴ糖とは糖分の一種で、善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあります。砂糖の代わりに使用するのがおすすめです。ヨーグルトに混ぜたり、煮物に使用すると美味しく摂取できます。
妊娠初期の便秘解消におすすめの飲み物は?
白湯
妊娠中はできる限り、冷たい飲み物は避けましょう。白湯は胃に優しく水分補給ができる飲み物ですので、白湯を飲む量を増やしてください。朝、起きたあと一杯の白湯を飲むと効果的です。
牛乳
牛乳はカルシウムを補えるほか、オリゴ糖と乳糖が含まれており、腸の働きを促してくれます。しかし牛乳はカロリーが高いので、1日に多くても400mlまでにしておきましょう。
乳酸菌飲料
カルピスをはじめ、ヤクルト、のむヨーグルト、ピルクル、ラブレといった様々な製品があります。毎日一定の量を飲まなければ効果が得られませんので、常に同じ製品を飲むようにしましょう。
ココア
繊維が多めに含まれており、牛乳と同じ割合で割って飲むと、カルシウムも摂取できます。カロリーが気になる場合、1日1杯までにしたり、低カロリーの牛乳を使ったりしましょう。
抹茶
飲み物の中でも繊維含量が多く、ビタミンやたんぱく質も成分に含まれています。しかし気になるカフェインも含まれていますので、1日1杯までに抑えましょう。
青汁
食物繊維豊富な野菜が使用されている青汁は、健康によいだけでなく便秘解消にも効果があります。つわりや体調不良により食生活の乱れを感じたら、青汁で補うのもよいでしょう。
豆乳
食物繊維豊富な大豆を原料とする豆乳は、腸内環境を整える効果があります。しかし、大豆の項目でも述べたように大豆イソフラボンが含まれていますので、摂り過ぎには注意が必要です。
米麹の甘酒
甘酒は栄養価が高く、米麹で作られたものはアルコールが含まれていないものが多いため、おすすめです。食物繊維だけでなくオリゴ糖や葉酸も含まれているため、毎日飲みたい飲料です。
タンポポのお茶
タンポポの葉や根を乾燥させて作るタンポポのお茶は、ノンカフェインで食物繊維が豊富です。利尿作用もあるためむくみ解消も期待でき、ビタミンとミネラルも豊富でコレステロールも下げてくれます。
とうもろこしのお茶
カフェイン、カロリー共にゼロで安心して飲めるのがとうもろこしのお茶です。便秘解消だけでなく、疲労回復や高血圧の予防といった効果も期待できるため、妊娠中はもちろん産後もおすすめです。
注意点妊娠初期の便秘解消に役立つ飲み物を紹介しましたが、いくつか注意したい点があります。
一度に大量に飲むのは避け、少しずつこまめに飲みましょう。こまめに飲むことで胃腸の負担を軽減し、体がしっかりと水分を吸収します。
食べ物でも言えることですが、冷えを防ぐためにも冷たい飲み物を飲むのは控えましょう。胃腸が驚いて便秘を解消するどころか悪化させる恐れがあります。常温か温かい状態で飲んでください。
プーアル茶をはじめ、便秘によいとされる便秘茶は避けましょう。便秘茶を飲んでしまうとお腹がゆるくなり、子宮に刺激を与え、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
いずれの食べ物・飲み物も、過剰な摂取はかえって便秘の悪化へつながります。適量を摂取し、こまめな水分補給もあわせて行ってください。
自分の好みや体質に合わせて摂取するものを選びながら、つらい便秘を改善しましょう。