妊娠中の膀胱炎の症状は?赤ちゃんに影響はある?病院での治療法は?

妊娠

膀胱炎とは、その名の通り膀胱や尿道が炎症を起こしたものをいいます。女性はもともと膀胱炎になりやすいものですが、特に妊娠中は発症しやすい傾向にあります。

膀胱炎になるとどのような症状が出現するのか、膀胱炎がお腹の赤ちゃんに及ぼす影響はあるのか、膀胱炎が疑われたら病院ではどのような治療がなされるのかなど、わかりやすく解説します。

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膀胱炎でみられる症状は?

トイレ

膀胱炎ではさまざまな症状が現れますが、主な症状は次の通りです。

排尿時痛

膀胱や尿道が炎症によって敏感になるため、多くの場合排尿の終わりごろにツーンとする痛みやヒリヒリする痛みを感じます。ときに尿の出はじめに痛むこともあります。

炎症が軽症の場合は明らかな痛みはなく、何となく違和感を感じる程度のこともあります。

残尿感

尿を出しきったはずなのに、依然尿が残っているかのような感覚があることを残尿感といいます。膀胱炎がひどくなるにつれて、残尿感が強くなる傾向にあります。

頻尿

残尿感があるため、何度もトイレに行きたくなります。しかし膀胱には少量の尿しか溜まっていないため、トイレに座っても少ししか尿が出ないということが頻回に起こります。

尿混濁

膀胱炎を発症すると、尿が白っぽく濁るケースがあります。この原因は細菌の増殖により白血球が尿の中に混ざったり、膀胱の粘膜組織が炎症によって剥がれ落ちて混入することで起こるものです。膿が混入し、臭いがきつくなることもあります。

下腹部痛

下腹部痛の妊婦さん

排尿の際や排尿のあとに、下腹部の辺りが重く痛んだり、張ったように感じることがあります。

血尿

細菌の感染により膀胱や尿道の粘膜壁が傷つけられることによって、その部分から出血して血尿をきたすことがあります。

尿潜血

炎症が軽度であれば出血は少量であるため肉眼ではわからず、尿検査によって尿潜血が陽性となることで判明します。膀胱炎の場合、一般的には排尿の終わりにより血尿が強くなります。

肉眼的血尿

炎症が酷くなると明らかな肉眼的血尿をきたすようになり、出血量がひどい場合には真っ赤な血尿となることもあります。

しかし一般的な膀胱炎ではそこまで強い血尿がみられることは少ないため、血尿の症状が激しい場合は他の疾患が隠されていないか詳しく検査が必要となります。

膀胱炎は赤ちゃんに影響を及ぼす?

胎児

妊娠中に膀胱炎を発症し、赤ちゃんに悪い影響を及ぼすのではないかと不安になっている人もいるのではないでしょうか?

軽症なら赤ちゃんへの影響はない

膀胱炎の段階では、赤ちゃんに悪い影響を及ぼすことは考えにくいです。

しかし前述したような症状が現れているにもかかわらず放置したり、急激に膀胱炎が悪化した場合には、その限りではありません。

腎盂炎では早産のリスクも

尿路から侵入した細菌が膀胱に到達し、さらに尿路をさかのぼって尿管、腎臓の腎盂(じんう)に逆行するような感染を上行性(じょうこうせい)感染といいます。

膀胱炎をきたした細菌がさらに上行性感染し、炎症の範囲が広がって腎盂にまで至ったものを腎盂炎(腎盂腎炎)といいます。

腎盂炎にまで悪化した尿路感染症では、腎臓に到達した細菌が赤ちゃんのいる子宮内に侵入する危険性があります。子宮内に細菌が侵入してしまうと、赤ちゃんを包みこんでいる卵膜が破れて、破水を引き起こし早産になることも考えられます。

発熱や背部痛がみられたら早急に病院へ

腎盂炎を発症すると膀胱炎の症状に加え、38度以上の高熱や、腰、背部の痛みなどが現れるのが特徴です。このような症状がある場合は既に腎盂炎を発症している可能性が高いため、一刻も早く病院へ行きましょう。

病院で相談すべき?妊娠中の膀胱炎治療

医者

膀胱炎が悪化すると腎盂炎を発症することがあり、その結果赤ちゃんにも影響を及ぼしかねません。従って、まだ症状がひどくない膀胱炎の段階で治しておくことが大切です。

妊娠中の膀胱炎は産婦人科へ

妊娠中に膀胱炎が発症した状態での受診先は、泌尿器科よりも産婦人科が適していると考えられます。産婦人科であれば、妊婦さんや赤ちゃんにより安全な治療法や治療薬を選択して貰えるためです。

自覚する症状があるのなら、できるだけ早いうちにかかりつけの産婦人科を受診して、主治医に相談するようにしてください。妊婦検診の際に相談する場合は、尿検査の検体を提出する前に、膀胱炎症状がある旨をあらかじめ伝えておくとスムーズです。

膀胱炎の検査

臨床症状により膀胱炎が疑われる場合は、次のような検査がおこなわれます。

尿検査

症状により膀胱炎が疑われた場合、まずは尿検査がおこなわれます。尿検査によって尿蛋白、尿糖、ケトン、尿潜血などを調べることができますが、膀胱炎では尿蛋白や尿潜血が陽性となります。

尿検査は妊婦検診で必ず行われる検査ですので、妊婦検診の際に診てもらうのであればいつも通り尿を提出するだけで済みます。尿が出はじめたころは膣などの白血球や細菌が混入し易いということから、検尿は中間尿を採取するようにしてください。

尿細菌培養検査

場合によっては尿に含まれる細菌を培養する検査が行われます。細菌の種類によってそれぞれ抗生剤の効き具合が異なるため、より効果的な抗生剤を選ぶ際の大切な指標になってきます。

妊婦検診の場合は、尿を採取する前に膀胱炎の症状が見られるということを、お伝えしておいた方がいいでしょう。

腎臓超音波検査(腎エコー)

膀膀胱炎を度々繰り返す場合や、血尿の症状が強い場合などは、詳しい原因や他の疾患が隠されていないか調べるために、超音波によって腎臓の状態を検査します。

妊娠中の膀胱炎治療

医者と患者

妊娠中に膀胱炎を発症した場合、次のような治療が行われます。

抗生剤の服用

膀胱炎と診断された場合、病院では抗生剤が処方されます。妊娠中に抗生剤を服用するのは不安かもしれませんが、薬を飲まずに病態を悪化させてしまうほうがリスクが高いといえます。

産婦人科では、赤ちゃんに影響の少ない薬を処方してくれるため安心です。

治療期間

多くの場合、3~5日程度抗生剤を服用することで症状は軽快します。

症状がよくなったあと、再度尿検査をおこなって治癒したかを確認します。細菌の種類によっては抗生剤が効きにくいこともあり、その場合は薬の種類を変えて再度治療が行われます。

症状が落ち着いたからといって自己判断で薬を中断すると、残った細菌により膀胱炎が再発してしまう可能性が高まります。必ず処方された薬を、必要とされる期間だけしっかりと飲み切るようにしましょう。

自分でもできること

膀胱炎の症状がある間は、なるべく水分を多くとるようにしましょう。尿をたくさん出すことにより、膀胱の中の細菌を洗い流すことが可能です。排尿を我慢せず、尿意を感じたらすぐにトイレへ行くことも大切です。

市販薬は使用してもよい?

市販薬

現在膀胱炎の治療薬として市販されている薬の主成分は、漢方薬です。漢方薬は副作用が少なく安全というイメージが強いですが、薬には違いありませんので全く心配がないというわけではありません。

妊娠中は安易に市販薬を使用することは避け、薬は病院で処方されたものだけを服用するようにしたほうがよいでしょう。

まとめ

妊娠中は膀胱炎になりやすいものです。

症状が軽度ならば水分をやや多くとるだけで自然によくなることもあり得ますが、病状が悪化すると腎盂炎にまで進行することがあり、そうなると赤ちゃんにも影響を及ぼしかねません。そのため妊娠中の膀胱炎は、早期の段階で適切に対処することが大切といえます。

頻尿や排尿時痛など、膀胱炎かな?と思う症状があれば、早めに産婦人科で診てもらうようにしましょう。

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