“妊娠してから鼻血を出すようになった”という人は多いのではないでしょうか。何か悪い病気なのではないかと不安に思うかもしれませんが、実は妊娠中は鼻血が出やすいもの。
普段鼻血を滅多に出さないという人でも、妊娠期間中は頻繁に出血するという話をよく聞きます。
どうして妊娠中は鼻血が出やすくなるのでしょうか?そして、鼻血が出た時はどのように対処すればいいのか? 予防方法にはどんなものがあるのでしょう? 今回は、“妊娠中の鼻血”についてまとめました。
妊婦さんが鼻血をよく出す原因は?
妊娠中ならではの原因が3つあります。
血流の増加
妊娠中は、お腹の赤ちゃんに酸素を送るためにお母さんの血流が増加します。血液は体全体で増えるため、鼻の粘膜も腫れて出血しやすい状態に。そのため、普段は鼻血を出さない人でも、ちょっとの刺激で鼻血を出すことが増えてしまうのです。
また妊娠中は、血液中の“出血した時に血を止める成分”の機能が落ち、血が止まりにくいという状態でもあります。急激な血液量の増加により、血液の濃度が薄くなってしまうことがその理由です。
ホルモンの影響
ホルモンの影響によって、妊娠中は鼻血が出やすい状態になります。
妊娠中はプロゲステロンというホルモンの分泌量が増えます。このホルモンは子宮の中を柔らかくする作用があるのですが、子宮だけでなく体内の他の粘膜も柔らかくしてしまいます。
その結果、鼻腔内の粘膜も柔らかく弱くなり、ちょっとの刺激でも鼻血が出やすくなってしまうのです。
自律神経の乱れ
妊娠中は、ホルモンバランスの変化により自律神経が崩れ、「のぼせ」の症状が出やすくなる人も。
「のぼせ」は、お風呂上りのような熱くクラクラした状態のこと。血管が拡張するので、鼻血が出やすくなります。
妊婦さんが鼻血を出している時の対処法は?
鼻血が出た時に慌てないためにも、いくつかの対処法を知っていると安心です。
普通の姿勢で座る
まずは普通の体勢で静かに座るようにしてください。よく鼻血が出ると顔を上向きにして止めようとする人もいますが、血液がのどに流れてしまい不快感を覚えることも。また逆に顔を下に向けてしまうと、出血量が増えてしまいます。
正面を向く、もしくはほんの少しだけ上向きの状態がベストです。もしも気分が悪く座ることが難しい場合は、上半身を軽く起こした状態でもいいでしょう。
鼻をつまんで止血する
親指と人差し指で鼻をつまんで血管を圧迫します。鼻をつまむことが、止血になります。5分ほどすれば止まることが多いでしょう。
ちなみに、「鼻にティッシュを詰める」人も多いと思いますが、あまりおすすめできません。詰め物を取る際に固まりかけた血液を一緒にはがしてしまい、再度出血する原因になりかねないからです。
柔らかい布やティッシュで、優しく血をぬぐう程度にしておくのがベター。ただし、鼻をつまむことができないような時ならば、詰め物をして流血を防いでもいいでしょう。
鼻を冷やす
冷たいタオルや保冷材などを使って、鼻自体を冷やしてください。冷やすことで血管が収縮するので、止血効果があります。
ひどい時は受診を
次のような場合は、受診をおすすめします。
- 30分以上経っても出血が止まらない時
- 洗面器一杯ほどの大量の鼻血が出た時
血圧が急上昇している可能性も考えられます。また、妊娠とは関係なく、大きな病気の症状であることも。大量の鼻血が出たら、たかが鼻血と油断せずに、医師に相談してください。
妊婦さんが鼻血を出さない為の予防法は?
妊娠中の鼻血は、ホルモンの影響など妊娠特有の体の状態から来るもの。したがって、ある程度はしょうがない症状。出産すれば治るという人がほとんどです。
とは言え、予防できるに越したことはありませんね。そこで、ここでは簡単にできる予防方法をいくつかご紹介します。
鼻腔を乾燥させないようにする
鼻の粘膜が乾燥していると、鼻血が出やすくなってしまいます。適度に湿っている方が、毛細血管への刺激を和らげることができます。
鼻腔を乾燥させないために、次のような対策をしておくと予防につながります。
- マスクの着用
- 保湿剤やオイルを鼻の穴に塗る
- 加湿器を使う
血管を強める食品を取る
血管を強める効果のある食品や、止血効果のある食品を積極的に食べることも、鼻血の予防になります。
そばに含まれるルチンという成分が、毛細血管を強めてくれる効果が。毛細血管を強めることで、鼻血予防につながります。
ビタミンCを一緒に摂取するとさらに効果的。のり、ねぎなどビタミンCを含む薬味を一緒に食べるのがおすすめです。
肉、魚、卵、大豆などのたんぱく質は、血管を強くしてくれます。強い血管を作ることは、鼻血予防につながります。毎食、たんぱく質を取るようにするといいでしょう。
お茶に含まれるタンニンには、止血効果があるとされています。鼻血が出ても止まりやすい体質を作りるためにも、緑茶、紅茶、ウーロン茶などのお茶を飲むといいでしょう。
※注意点- お茶類にはカフェインが含まれているものがあります。数杯ならば問題ないと言えますが、あまりに大量のお茶を飲むことは、胎児への影響を考えるとおすすめできません。適量を心掛けてください。
- タンニンは鉄分の吸収率を下げてしまいます。鉄分を含む食品とは一緒に摂取しないようにしてください。
まとめ
普段鼻血を出さない人は、突然鼻血が出るようになると驚いてしまいますよね。赤ちゃんに何か悪い影響があるのでは…と心配してしまうこともあるのではないでしょうか。でも、あまりに大量出血をしていなければ、赤ちゃんへの影響はないと言えるので安心してください。
妊娠期間中の鼻血は、ホルモンの影響もあり、ある程度は仕方のないもの。今回紹介した対処法や予防法を試しながら、出産までを乗り切ってみてくださいね。