妊娠前は貧血になったことがなかったのに、妊娠してからは、頻繁に立ちくらみなどで動けなかったり…。外出時に倒れたりしないか不安でたまらない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
妊娠中は、貧血になりやすいと言われますが、その原因を知っておくことで、実際に症状が現れた時でも、パニックにならず、冷静に対処ができるのでは?と思います。
そこで、なぜ妊娠中は貧血が起こりやすいのか、その原因から、貧血によってどういった症状が出やすいのか、対処の仕方についてご紹介していきますので、参考にして頂ければと思います。
妊娠中に貧血が起こる原因は?
妊娠中に貧血が起きてしまう原因は、大きく分けると「鉄欠乏性貧血」「葉酸欠乏性貧血」の二つに分けられます。必ず1つが原因というわけではなく、もしかすると2つの原因が重なり合っているかもしれません。
鉄欠乏性貧血
中期以降になると、胎児が多くの血液(栄養と酸素)を必要としますので、ママの体と胎児の2人分の血液を造るため血液の生産量が増えます。その上、つわりを乗り越えたママの体内には、血液を造る為の鉄分の貯蓄は少なくなっているので、鉄欠乏性貧血になりやすいのです。
葉酸欠乏性貧血
妊娠初期から比べ、34週頃には血液量は約1.5倍に増えています。これは、胎児に血液を送るためと、出産時にたくさんの血液が必要なのでその準備です。
しかし、血液量が増えたからと言って、残念ながらそのままの成分が増えたわけではありません。妊娠初期から比べると血漿量が最大47%・赤血球が最大17%しか増えていないのです。
赤血球が増えていないのは、赤血球を作るのに必要な葉酸を胎児が脳や脊髄を作るために優先的に使うからです。赤血球が不足するとヘモグロビンが作られないために、酸欠状態になり貧血になるのです。
妊娠中の貧血による症状とは?
貧血の初期症状は、倦怠感や頭痛など常に感じやすい症状です。特につわりの辛い時期を過ごされた方は、それに比べると軽い症状ですので貧血とは気づきにくいのです。
体がだるい・頭痛
倦怠感が続いたり、頭が痛くなるのは酸素が不足している可能性があります。つわりの辛さに慣れてしまい、気づかない事もあります。
めまい、たちくらみ
急に立ち上がった時にクラクラしたり、目の前がスッーと暗くなったりする場合は、脳に酸素が不足しています。
寒気
妊婦は体温が高いといわれますが、手足が冷たかったり寒気を感じるのは、血液が薄い為たくさんの血液を心臓に送るため末梢まで血液が行き渡りにくいからです。
動悸・息切れ
階段や坂道をすこし登ったりするだけで、ハァハァと息切れをしてしまう場合は、たくさんに増えた血液の循環を良くしようと今まで以上に心臓や肺に負担がかかっているからです。
粘膜の異常
口の中の粘膜や結膜が白っぽくなったり、舌の表面に炎症が起こることがあります。今まで体調の変化に気がつかなかった人もこのあたりでに気がつきます。
妊娠中に貧血を起こさない為の対策は?
貧血は突然起こる症状です。ですから貧血をできるだけ起こさないようにする対策法をまとめてみましたので参考にしてください。
無理をしない
育児中や家事、仕事など身体を休める暇もないかと思いますが、貧血は無理をするとめまいや立ちくらみなどを起こしてしまいます。
できるだけ身体を横にする時間を見つけて無理をしないでください。特に外出中は、こまめに休憩を取り入れましょう。
一呼吸をしてから行動を
横になって起き上がるときには、まずゆっくりと起き上がり座って一呼吸してから立つようにしましょう。
また、浴室は一人ですので気をつけられている場所でもあると思いますが、浴槽から立つときにも必ず一呼吸置いてゆっくりと立ち上がりましょう。
食事の改善
中期から後期にかけては、体重制限が随分厳しくなりますが、栄養をしっかり考えて食事しましょう。
例えば、鉄分の吸収が良いのは動物性鉄分ですが、植物性鉄分は、良質のたんぱく質やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取することで吸収率がUPされます。また逆に、コーヒー・紅茶・緑茶などは 一緒に摂取すると鉄分の吸収を阻害します。
医師の指示を守る
妊婦検診で貧血と診断され、薬を処方されたらきちんと指示通り服用してください。薬を飲むことに抵抗を感じるのであれば、きちんと医師と相談し食事療法で防げるのか、漢方薬で対応できるのか話し合ってみましょう。
自身の判断だけで服用を中止するのはとても危険な行為です。
ストレスを貯めない
安静も大切ですが、体調の良い時間などは散歩に出かけたりして気分転換も必要です。ストレスから貧血の症状を起こす可能性も捨てきれません。
まとめ
いくつかの項目にまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。貧血についての疑問は払拭していただけましたか?
もし、めまいや立ちくらみ、倦怠感・頭痛が起きれば横になれる場所では、横になって落ち着くまで安静にしましょう。横になるスペースがない場合は、座ったり壁にもたれるだけでも随分違います。
そうならない為にも簡単に改善できる食事を見直してみるのもいいのでしょう。生まれてくる赤ちゃんとママと同じ食べ物を共有できる数ヶ月です。2人の無事を考えた栄養満点の食事をしてくださいね。