妊娠初期の体には様々な体調の変化が現れます。“頻尿”もその症状の一つで、半数以上の妊婦さんが「妊娠前と比べてトイレが近くなった」と感じているようです。
生理現象とは言っても、夜間頻尿から寝不足になってしまったり、トイレを我慢することで膀胱炎に繋がる可能性も…。
デリケートな問題なだけに、なかなか人に相談できず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は“妊娠初期の頻尿”の原因や、頻尿が続く期間、改善方法などについて、詳しく紹介していきます。
妊娠初期に起こる頻尿の原因は?
妊娠初期の頻尿は一般的な頻尿とは異なり、以下のような“妊娠による体の変化”から起こると言われています。
膀胱の圧迫
膀胱は子宮のすぐ前に位置しています。大きくなった子宮に圧されることで膀胱の容積が減り、尿の貯留量が少なくなるため、トイレが近くなります。体の中に尿を少ししか溜めていられないので、尿意はあるのに思ったほど出ない、と感じる方もいるようです。
腎機能の活性化
妊娠中は体の水分量増加に伴い血流量も増え、腎機能が活性化されます。腎臓には血液を濾過して老廃物を尿に作り変える役割があるため、腎臓の動きが活発になることで代謝がよくなり、老廃物(尿)の排出のサイクルが早まります。
ホルモンバランスの変化
妊娠中の体は、妊娠状態を継続させるために「プロゲステロン」という黄体ホルモンが多く分泌されます。プロゲステロンには利尿作用と、膀胱を閉じるための筋肉(平滑筋)を緩める作用があるため、尿意を感じやすくなります。
妊娠初期の頻尿っていつまで続くの?
子宮の位置が変わる妊娠4ヶ月頃まで続くケースが多いようです。妊娠中期に入ると大きくなった子宮の位置がお腹のほうに上がり、膀胱の圧迫が減るため、頻尿の症状が和らぐと言われています。
ただし、腎機能やプロゲステロンの作用は変わらないので、症状の変化には個人差があり、妊娠後期まで頻尿が続く場合もあるようです。
妊娠初期の頻尿を改善する方法は?
妊娠初期の頻尿は、体の変化に伴うごく自然な症状ですが、日に何度もトイレに行かなければならないというストレスはつらいものです。体に負担をかけない範囲での対策法を紹介します。
“前かがみのポーズ”で尿を出しきる
排尿時にしばらく前かがみになると、膀胱に尿が残りにくくなると言われています。妊娠中の膀胱は容量が少ないだけでなく、少し溜まっただけでも尿意を感じるようになっています。トイレのたびに、なるべく尿を出しきることを意識しましょう。
カフェインを控える
カフェインには利尿作用があり、トイレが近くなる原因になります。コーヒーや紅茶がなかなかやめられない…という方には、カフェインレス(デカフェ)のコーヒー・紅茶がおすすめです。
他にも、ノンカフェインのお茶には、麦茶、ルイボスティー、とうもろこしから作られるコーン茶、たんぽぽコーヒー(たんぽぽ茶)などがあります。飲み物を購入する際には、カフェイン含有量をチェックする習慣をつけましょう。
体を冷やさない
妊娠中に限らず、体が冷えると以下のような作用でトイレが近くなります。
- 交感神経が活発化し、膀胱を収縮させるため尿意を感じやすくなる。
- 体温維持のために体の中心部の血液量が増加し、腎機能が活性化する。
- 発汗量が減り、体の中の余分な水分が尿として排出される。
冬は十分な防寒を心がけ、夏は冷房にあたりすぎないようにしましょう。すぐに羽織れるものを一枚用意しておいたり、腹巻きやマタニティガードルなどでお腹周りを温めることも効果的です。
また、冷たい飲み物は控え、水分は温かいお茶などで補給しましょう。
水分補給のバランスを見直す
トイレの回数を気にするあまり水分自体を控える方もいますが、妊娠中の体は新陳代謝がよくなっているため、排尿の回数が増えるだけでなく、汗もかきやすくなっています。脱水症を防ぐためにも、妊娠中の体にはこまめな水分補給が必要不可欠です。
ただし、夜の頻尿が特にひどい、また夜だけ頻尿が起こる、という場合には、夕方以降の水分摂取量が過多になっている可能性があります。
朝食・昼食に比べ、夕食で過剰に水分をとってはいないでしょうか。夜間頻尿が気になる方は、夜の飲食を見直してみましょう。
まとめ
妊娠初期の頻尿は体の変化に伴う症状のひとつで、生理現象ということもあり確実な解消法はありません。無理に尿意を我慢すると膀胱炎を発症するリスクも高まりますので、尿意を感じたらすぐにトイレに行きましょう。
尿漏れが不安な場合は尿もれシートを利用したり、長時間の外出時には念のためにオムツを着用する妊婦さんもいらっしゃいます。妊娠初期の頻尿は当たり前のものと割りきって、ストレスをためないように、うまく乗り越えていきましょう。
また、残尿感や、排尿痛、下腹部痛の他、尿の濁りがあったり、血尿が出る場合には、膀胱炎を起こしている可能性があります。疑わしい場合には速やかに医師の診断を受けましょう。