妊娠中は、つわりや頭痛、腰痛など、さまざまな辛い症状が起こるものです。中でも「肩こり」に悩まされる人は多くいます。
特に現代人は、妊娠していなくても慢性的な肩こりになりがち。妊娠前から肩こりを訴えていた人が、妊娠期間を経て、さらに症状が悪化するというケースもあるようです。
そこで今回は、妊娠中の肩こりの原因から、市販の湿布や塗り薬などを使用する際の注意点、そして肩こりの解消法についても併せて紹介します。
妊娠中に肩こりが起こる原因は?
妊娠中の肩こりには、主に次の3つの原因が考えられます。
肩こりの大きな原因は血行不良です。特に妊娠中は血行不良を招くことが多いもの。普段より運動不足になることに加え、人によっては安静を指示される場合もあるからです。
初期はつわりで体を動かすことが減る人も多く、そして中~後期には体重も重くなり、体を動かすのが億劫になりがち。また、胸が大きくなるとそれだけで肩にも負担が増えます。このような状況から、妊娠中は10か月を通して血行不良が進行してしまう人が多いのです。
ストレスは体をこわばらせ、筋肉の緊張を進めてしまいます。筋肉が縮み緊張状態が続くと肩こりを引き起こします。
妊娠中は、体の急激な変化や出産への不安などからストレスを抱えがちなもの。また、妊娠中も仕事を継続している場合はさらにストレスを感じるでしょう。その結果、肩に力が入り肩こりになってしまうのです。
妊娠中はホルモンバランスが大きく変化します。その影響で、妊婦さんは体のいろいろなところに不調をきたすことになりますが、肩こりもそのうちの一つ。
ホルモンバランスが崩れると、自律神経も乱れます。すると、肩こりを引き起こすと言われています。
妊娠中の肩こりで湿布や塗り薬を使っても大丈夫?
肩こりの解消と言えば、湿布や塗り薬を思い浮かべる人も多いのでは。でも湿布や塗り薬などの外用消炎鎮痛剤には、大きく分けて、妊娠中に「使えるもの」「医師に相談する必要のあるもの」「使えないもの」の3種類があります。
妊娠中は安易に使用せず、「使用上の注意」をしっかりチェックするようにしましょう。また、使う際には医師や薬剤師に相談するとより安心です。
製品の「使用上の注意」に、妊娠中の使用について特に記載のないものは、使用可能です。ただし、肌が敏感になっている可能性もあるので、使い慣れたものや過去に使ったことのあるものの方がいいでしょう。サロンパスA、アンメルツヨコヨコなど。
使用する前に、医師や薬剤師に相談した上でなら使用できるものもあります。「使用上の注意」にその旨の記載があるので確認してください。サロンパスEX、アンメルシンなど。
強力な消炎鎮痛剤を含むものは、妊娠中は使用できません。「使用上の注意」に明記されているので注意してください。フェイタス、ジクロテクトなど。
消炎鎮痛剤は、炎症が広がらないように血管を収縮させる効果を持ちます。ところが、強い血管収縮作用の影響で胎児の心臓を停止させてしまったという事例があったのです。
ごく稀な例とは言えますが、この症例によって一部の消炎鎮痛剤は妊娠中の使用が禁止となりました。もしも気づかず使ってしまった場合でもあまり心配はいりませんが、使用を中止し、医師に相談するといいでしょう。
妊娠中の肩こりを解消する方法は?
何かとデリケートな妊娠期間中は、無理なくできる解消法がおすすめです。
肩回し
肩を大きく回す動作は、肩こり解消に効果的。首から肩にかけての筋肉が固まっていると、血流が滞り、肩こりを引き起こします。そのため、1日に数回、肩を回して血流を促しましょう。
マッサージ
家族に肩を揉んでもらう、さすってもらうとリラックス効果もあるのでおすすめです。ただし、あまり力を入れずにソフトにやってもらうこと、お腹の張りを感じたらやめることを心掛けてください。
利用する前には必ず妊娠していること、週数などを伝えるようにしましょう。お店によっては、妊娠中の施術はできないところも。あるいは、妊娠週数によって利用できないメニューがある場合もあります。
肩たたき機やマッサージマシーンを利用して解消してもいいでしょう。あまり強い力は避けること、そしてお腹の張りを感じたらすぐに使用をやめてください。また、使用説明書に妊娠中の使用について記載があれば、それに従うようにしましょう。
温める
血行を促進するため、首・肩・背中を中心に温めるのが肩こりの解消につながります。ホットタオルを首に巻いたり、カイロを当てるといいでしょう。時間があれば、入浴するのもおすすめです。
目を休める
視神経が疲れていると、肩こりを悪化させる原因に。肩こりが辛い時は、テレビやゲーム、携帯はほどほどにして目を休ませてあげるといいでしょう。ホットタオルを目に当てるのも効果的です。
ヨガやストレッチ
ヨガやストレッチを1日数分でも取り入れると、肩の血行を促進します。初期はデリケートな時期なので、中期以降に取り組むことをおすすめします。
また、あまり激しいポーズや動きはせずに、妊婦向けの動作を取り入れるとベスト。マタニティーヨガや妊婦向けのストレッチの本も市販されているので、参考にしてみてください。
医師に相談する
あまりに辛い時は、妊婦健診などで医師に相談してみてもいいでしょう。病院によっては漢方を処方してくれたり、妊婦に効果的な解消法を教えてくれることも。
まとめ
肩こりは辛いものです。どんよりと重たい感じは、気持ちも重くさせてしまいますね。
何かと運動不足になりがちな妊娠期間中ですが、妊娠の経過が良ければ、積極的に散歩をしたり体を動かすなどして、気分転換できるといいですね。