妊娠高血圧症候群を発症しない為の食事&運動面での予防法まとめ

妊娠

妊娠してから体が重くなり以前より動けなくなった、食の嗜好が変わり太りやすくなった方が多いと思います。しかし偏った食事ばかりしているとあっという間に体重が増加してしまいます。

大幅な体重増加は妊娠高血圧症候群をもちろん、難産や赤ちゃんの発育阻害の一因になります。妊娠高血圧症候群になってしまうと出産に伴い入院が必要になったり、時には赤ちゃんとお母さんの命にも関わってくる事もあります。

日頃の習慣を変えるのは大変ですが安産と健康的な妊娠生活のために、食事や生活習慣を見直して妊娠高血圧症候群の予防に努めましょう。

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妊娠高血圧症候群を予防するための生活の基本

日常生活

過剰なカロリー摂取を控える

消費し切れなかったカロリーは体内に蓄積され、体重増加の元になります。さらにカロリーの高い食べ物は妊娠高血圧症候群を悪化させる糖分・塩分・油分が過多なものが多いので注意しましょう。

塩分を控える

日本人の一日あたりの平均塩分摂取量は10g前後と言われています。そんな中で妊婦さんの塩分摂取量の目標は10g以下、妊娠高血圧症候群の兆候がある人は7g以下とされていて、意識しないと簡単にオーバーしてしまいます。

水分は適度に摂る

むくみ防止のためと言って水分を制限し過ぎる事のない様に適度に摂取しましょう。

睡眠・休息をしっかりとる

妊娠中はいつも以上に体力を使うため疲れやすくなります。ストレスは血圧を上げる一因になります、家族に協力してもらったり気分転換を見つけてリラックスして生活できるように心がけましょう。

適度な運動で体のめぐりを良行に

週に一回特別な運動をするよりも、軽いストレッチや運動を毎日コツコツ続けることが大切です。

食事で予防する

料理

妊娠したら二人分食べましょうと言うのはとっくに昔の考えで、現在では大幅な体重増加や栄養の偏りはお母さんはもちろん赤ちゃんの成長にも悪影響があるとされています。

妊娠すると栄養の摂取バランスや必要な量が変わってきます。摂取する量を増やした方がいい栄養素と、控えた方がいい栄養素をしっかり見極めて、バランスの良い食事を心がけましょう。

ファーストフードやインスタント食品はほどほどに、料理は薄味でよく噛んでゆっくりと、適量を食べる様に心がけましょう。

妊娠期の一日の摂取カロリーの目安

必要なカロリーは個人の活動量によって変わります、自分の生活スタイルに合わせたカロリー摂取を心がけましょう。

非妊娠時の基本摂取カロリーの目安は下記のように3つのレベルに分けられます。

身体活動レベル1:1800kcal

生活の大半が座位で、静的な活動が中心の方。

身体活動レベル2:2000~2200kcal

座位中心の仕事だが、職場内の移動や通勤・買い物・家事・軽いスポーツを行う方。

身体活動レベル3:2400kcal

立ち仕事で歩き周る事が多い、あるいはスポーツをする習慣のある方。

この目安に、妊婦さんの場合は以下のエネルギーがプラスで必要です。

  • 妊娠初期(16週未満):+50kcal
  • 妊娠中期(16~28週未満):+250kcal
  • 妊娠末期(28週以降):+450kcal
  • 授乳期:+350kcal

ご自身の生活スタイルと妊娠時期から必要カロリーを見直してみましょう。一日あたりの目安カロリーはなるべく栄養のあるもので摂取するのが理想です。

例えば100kcalを、ポテトチップス13枚程度(欠けのない大き目のもの)でとった場合は妊娠高血圧症候群を促進させる糖質・油分・脂質まで摂取してしまいます。

一方で、納豆(一般的な四角いパックの40~50gのもの)一パックで100kcalをとれば、水溶性食物繊維をはじめ多くの栄養を摂取でき体に良い事は一目瞭然です。

塩分を控えるための工夫

塩

加工食品はもちろん日常的に使う調味料は塩分が多く含まれています、普段の食事から減塩を意識し一工夫してみましょう。

先輩妊婦さんの減塩工夫を紹介
  • 主食はパン(100gあたり1.3g)よりお米(塩分がほぼ0)にしましょう。
  • 酸味が欲しい場合は、レモンや柚のしぼり汁・お酢を使う。
  • 物足りない場合は、しょうが(チューブより生)や胡椒で味にアクセントをつける。
  • 意外にもマヨネーズは塩分が低く大匙1で0.3gほど、カロリーには注意。
  • お醤油をはじめ調味料は減塩のものを選ぶ。
  • 醤油は出汁で割って使う。
  • 粒状だしではなく出汁を自分でとってみる(塩を入れないレシピがおすすめ)

一晩浸けておくだけで簡単に昆布だしがとれるレシピです。

水出しポットで片づけ簡単の合わせだし レシピ・作り方
出典:recipe.rakuten.co.jp

鰹節を煮て漉すだけの簡単レシピです。

お味噌汁用 かつおだしの取り方
出典:cookpad.com

食品の塩分・ナトリウム表示を確認する

ナトリウム量=塩分量ではなく、ナトリウム量(g)×2.54=塩分量(g)です。

※食塩相当量(塩分)の多い食品と含有量一覧表(外部ページ)

食品・食材の塩分含有量の一覧表です。

賢い水分補給

水分は一度に大量に摂取しても吸収されないので、こまめに補給していきましょう。

適切な水分量

水分は不足・過剰摂取どちらに偏っても妊娠高血圧症候群の原因になると言われています。人が一日に排出する水分は約2.3リットルと言われております。

その分を補給する必要があるのですが、食事などから摂取する量も考えると、飲料水からの補給は一日あたり約1.5リットルがおすすめです。

おすすめの飲み物

麦茶

ルイボスティー

鉄分やカルシウム・食物繊維が他のお茶類に比べて高く、ノンカフインのものが多いところも妊婦さんには嬉しいです。

麦茶

ノンカフェインで、ミネラルや食物繊維が豊富です。

小豆茶

小豆茶は血行促進作用のあるポリフェノールやミネラルが豊富です。

飲んでも大丈夫?疑問の多い飲み物

胡麻麦茶

血圧を下げるという機能で特定保健用食品に指定されている商品です。摂取上の注意に「妊娠中又は妊娠の可能性がある方は医師にご相談の上、引用して下さい」と書かれています、飲用する際は注意しましょう。

牛乳

「妊娠中に牛乳を飲むと牛乳赤ちゃんがアレルギーになる」と言う話を耳にしますが、これは科学的根拠のない話で、適量を摂取すれば問題ない様です。

ただしご自身の体質が牛乳と合わない場合は控えましょう。牛乳は一日あたり200~300mlを目安に、ヨーグルトやチーズなど食べる方は牛乳を少し減らすなど調整しましょう。

摂っておきたい栄養素

ホウレン草や納豆

カリウム

カリウムはナトリウム排出作用・利尿作用を促す効果があり、むくみや塩分過多が気になる方におすすめです。

ほうれん草・じゃがいも・春菊・アボカドなどに多く含まれます。

カルシウム

カ ルシウムはお腹の赤ちゃんの成長とお母さんの健康維持に必要不可欠な栄養素です。またカルシウムが不足すると、骨から血液にカルシウムが流れ出すため、不 足を補おうとする時に、血管に関わる筋肉にまでカルシウムが取り込まれてしまい、その際に血管が収縮し血圧が高くなると言われています。

カルシウムはタンパク質と結合していると吸収効率が良くなると言われていますので、乳製品はおすすめです。煮干し・油揚げや厚揚げ・桜えび・ひじきなどに多く含まれます。

食物繊維

便秘になると腸内に溜まったコレステロールやナトリウムが排泄されず、腸管から吸収されて血圧を高める原因になります。妊婦さんはただでさえ便秘になりやすいので、食物繊維をしっかり摂りましょう。

食物繊維には水溶性と不溶性の二種類があります。そのままの形でお腹に到達する不溶性ばかりを摂取すると、逆にお腹がカチカチに張ってしまい便秘や痔の原因になるので注意しましょう。

水溶性食物繊維

海藻類・寒天・納豆・オクラ・アボカドに多く含まれます。

不溶性食物繊維

小豆類・大豆食品・イモ類・きのこ類・おからに多く含まれます。

DHA・EPA

オメガ3系列の脂肪酸が不足すると、赤血球が硬くなり毛細血管まで血液が届きづらくなります。そうすると血液中のコレステロールや中性脂肪が増えて血圧が上がる原因になります。

また、DHA・EPAは赤ちゃんの脳の発達に欠かせない栄養素ですが、体内で作り出す事ができないため、食品やサプリから積極的に摂取しましょう(一日の理想摂取量は1g以上とされています)

ぶり・さんま・いわしなどの青魚の他、まぐろやカレイ、手軽に食べられる魚の缶詰にも多く含まれます。

食事回数とカロリーの摂取バランス

サラダを食べる女性

三食普段通りの食事にプラスおやつですとあっという間にカロリーオーバーしてしまいますが、一食の摂取カロリーを少なくし食事回数を増やしてみましょう。

総摂取カロリーが2000kcalの場合

600kcalを三食、1~2回の間食で200kcal

→450kcalの少量の食事を4回、1~2回の間食200kcal

上記のように分けて食べる事をおすすめします。

一回あたりの食事量を少なくし、複数回に分けるメリット
  • 血糖値の上昇が緩やかになり安定するため、妊娠高血圧症候群や皮下脂肪の蓄積を防ぐ事ができる。
  • つわりや子宮の圧迫で普段通りに食事ができない時でも調整しやすい。
  • 胃への負担が軽減されるため、妊娠後期の胃の辛さも軽減できる。

効果的なおやつ

手軽につまめるもの

ナッツ類

煮干し

カルシウムやDHA・EPAが豊富なものが多く、低カロリーで噛みごたえがあるため満腹感があり、とてもおすすめのおやつです。

ナッツ類

無塩タイプを選びましょう。ビタミン・ミネラル・良質な脂肪がたっぷり含まれていて栄養価が高く、悪玉コレステロールを減らして高血圧を予防します。カロリーが高いので、食べ過ぎには注意しましょう。

和菓子なら小豆・寒天を使用したもの

水ようかん

和菓子の原材料はシンプルで、脂質・油分・コレステロールが少ないです。しかし洋菓子に比べて塩分が高いもの(おせんべいなど)が多いので注意が必要です。

和菓子に用いられる小豆は腹持ちがよく、ビタミンB1が多く含まれ美肌効果や疲労回復にも効果があります。

水ようかん

寒天と小豆やさつまいのなど原材料に食物繊維が豊富です。

おすすめの果物

果物

果糖やカロリーが多いものには注意しましょう、果物は一日200gの摂取が理想です。100gあたり100kcal以内で収まるものを紹介します。

りんご

水溶性食物繊維が豊富で、多く含まれるポリフェノールが動脈硬化・高血圧を予防してくれます。

キウイ

カリウム・食物繊維の他にビタミンCが多く含まれています。

アスパラギン酸・カリウムが利尿作用を促しむくみを予防します。

いちご

ビタミンCが豊富に含まれ低カロリー、かつ妊婦さんがとりたい葉酸も多く含まれています。

柑橘類

ふさや筋ごと食べるのがおすすめ、ふさや筋にはには食物繊維・ビタミン・ポリフェノールが豊富です。

おすすめのレシピ

調理をつくっている女性

食事を作る際に意識する事は、カロリー・塩分・コレステロールを控える事。ヘルシーで万能に思える和食ですが、実は洋食の方が塩分量を抑えられます。

一食で栄養をすべて摂る必要はありませんので、三食と間食の中で必要栄養素を摂取していきましょう。少しの手間と一工夫でカロリー・塩分を抑えられるレシピを紹介します。

主食

玄米入りご飯

玄米は、茶碗一杯あたり食物繊維が5.3g(白米の9倍)、カリウムが165㎎(白米の4倍)も含まれています。塩分はほぼゼロ糖質も白米とほとんど変わらないので、妊娠高血圧症候群の予防にはもってこいの主食です。

  1. 玄米を洗う際は擦り合わせて傷つける様に、こうすると吸水率が高くなりふっくら炊き上がります。
  2. 浸水なしの場合は、玄米:水→1合:1と4分の3合(浸水ありなら1と2分の1ほど)
  3. 炊飯器の玄米モード、または通常モードで炊飯。
カレー風味のターメリックご飯

白米に飽きた方へ、塩分が一切入っていないのにスパイシーで風味豊か。ターメリックは血圧を下げる作用があります。

  1. お米をといで、カレー粉(ターメリック入りのもの)小さじ1を入れて炊飯。
  2. 炊き上がったら完成、胡椒やレーズンで味に変化を。

主菜

妊娠高血圧にも!減塩!鶏肉レモン焼き!

妊娠高血圧にも!減塩!鶏肉レモン焼き☆
出典:cookpad.com

高たんぱくの鶏肉を使ったレシピ、レモン汁とお酒で風味付けで美味しそう。

かじきの香り焼き

かじきの香り焼き
出典:cookpad.com

カリウム豊富なかじきを、わさびとお酢で味付けしたヘルシーソテー。

とろろグラタン

とろろグラタン
出典:cookpad.com

ホワイトソースの代わりにとろろを使ってヘルシー、お豆腐やキノコ類を入れてアレンジも楽しめます。

副菜・スープ等

5分で出来る栄養たっぷりかぼちゃサラダ

5 分で出来る栄養だっぷりかぼちゃサラダ
出典:cookpad.com

カボチャはビタミン・カリウムが豊富、皮ごと使えば栄養価アップ。

栄養満点 ほうれん草と海苔のスープ

栄養満点♫ほうれん草と海苔のスープ
出典:cookpad.com

一食あたり45kcal塩分0.9gの人気レシピ、ほうれん草は葉酸が豊富で妊婦さんにおすすめ。

☆浮腫&高血圧対策☆トマトドレッシング☆

☆浮腫&高血圧対策☆トマトドレッシング☆
出典:cookpad.com

カリウム豊富なトマトとお酢で浮腫み予防に、珍しいトマトドレッシング味の変化が楽しめます。

おやつ

妊婦のおやつ☆絶品ミルク寒天

妊婦のおやつ☆絶品ミルク寒天
出典:cookpad.com

寒天の食物繊維と牛乳のカルシウム両方摂取できて低カロリー、妊婦さんの定番おやつ。

妊婦応援 蒟蒻ゼリーでアロエヨーグルト

◇妊婦応援◇蒟蒻ゼリーでアロエヨーグルト
出典:cookpad.com

整腸効果抜群のおやつです、爽やかな風味でつわり中の方にもおすすめ。

妊婦&授乳ママにも☆カリポリおやつ煮干し

妊婦&授乳ママにも☆カリポリおやつ煮干し
出典:cookpad.com

煮干しをそのまま食べるのが苦手な人へ、塩や砂糖の量は調整してみて下さい。

妊娠高血圧症候群予防のための運動

公園

妊娠高血圧症候群を予防するために重要なのは体重管理、普段の生活に運動を取り入れて健康的に体重管理をしていきましょう。

日本母性衛生会の調べでは、妊娠中の運動が、分娩時間や産後の体の回復に影響を及ばす、という事が分かっています。

激しい運動をする事は難しいですが、軽いストレッチやウォーキングなど自分の体調と相談しながら行っていきましょう。

運動を控えた方がいい場合

妊娠中の運動は安全第一です、自分の体調と相談して無理なく行いましょう。
以下の場合は運動を控えましょう。

  • 高血圧気味
  • お腹が張っている
  • 胎盤の位置が低い
  • 医師から安静にする様に言われている
  • 外に出るエクササイズの場合は天候に注意

最初は調子がよかったのに、運動の途中で気分が悪くなったらすぐに中止して安静にしましょう。

マタニティウォーキング

公園を歩いている妊婦さん

マタニティウォーキングは全身を使った有酸素運動です。部分的な引き締め体操とは違い基礎体力がつきますので、体重管理だけではなくお産にむけて体力を今の内につけておきましょう。

マタニティウォーキングの良いところ
  • 骨盤の筋肉を鍛える
  • 血行が良くなり免疫アップ
  • むくみ解消
  • 気分転換できる
  • 少ない準備で始められる
  • 日常生活の中に取り入れやすい
もしもの時のために、ウォーキング時は必ず母子手帳と電話またはスマフォを持ち歩きましょう。
ウォーキングの目安
  • 始める時期は安定期(妊娠16週以降)から。
  • 臨月の方は遠くまでのウォーキングは控えましょう、お腹の張りや体調を考慮して手短に。
  • 歩く時間の目標は一日1時間、一回に1時間歩くという事ではなく、何回かに分けて合計1時間を目標にしてみましょう。
ウォーキング姿勢の作り方
  • 骨盤が前傾しない様にまっすぐ立つ。
  • 目線はまっすぐ、上過ぎると骨盤は前傾し、下過ぎると猫背になります。
  • 肩をリラックスさせてゆっくりと大股で歩きます。
  • 歩いている内に骨盤が前傾したり猫背になってきたら、意識して姿勢を戻しましょう。

マタニティウォーキングの姿勢について解説した動画です。1分45秒あたりから姿勢について詳しい解説が始まります。

まとめ

定期健診の時くらいしか尿たんぱくや血圧を測る機会はないので、妊娠高血圧症候群になった事に気が付かない方が多いのも事実です。むくみや急激な体重増加など異変があったらすぐに医師に相談しましょう。

減塩やカロリーカットの知識は妊娠高血圧症候群だけでなく家族みんなの健康に役立ちますので、紹介した予防法は日常生活の中に気軽に取り入れてみて下さい。

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