乳腺炎に悩んでいるママへ!病院での治療法と自分でできる対処法

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乳腺炎は産後の女性の多くが経験するものです。できれば経験したくはないものですが、どんなに気をつけていても体質的になってしまう人もいます。

今回は乳腺炎になってしまったときに病院でおこなわれる治療と、自宅できる有効な対処法を解説します。

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乳腺炎になったらどんな治療をするの?

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乳房の張りや痛み、しこりなどがみられる場合

授乳方法やマッサージ方法の指導

乳腺炎による乳房の張りや痛み、しこりなどの症状は、乳汁がうっ滞することで引き起こされるものです。

症状が比較的軽症で、発症してから1日以内であれば、適切な方法での授乳や自身によるマッサージなどで症状の軽快が見込めるため、病院ではまずそれらの指導が行われます。詳しくは後述の「自分でできる乳腺炎の対処法は?」をご覧ください。

助産師によるマッサージ

うつ乳を軽快させるために、助産師によるマッサージが行われることがあります。うつ乳のみの軽い乳腺炎の場合は、マッサージのみで症状は消失することが多いです。

乳房の張りや痛みが強い場合

授乳中は薬の服用をなるべく避けたいと思うかもしれませんが、症状の緩和や病状の改善のためには薬が必要となることもあります。適切な薬を選択する必要がありますので、市販薬を自己判断で使用したりせず、必ず病院で処方してもらうようにしましょう。

解熱鎮痛薬の処方

疼痛によって、しばしば授乳が困難になることがあります。そうしたときに痛み止めを使用することによって、射乳反射(赤ちゃんが吸うことで母乳が分泌される反射)が起こりやすくなります。

乳汁の中に薬剤成分が検出されにくく、鎮痛効果に加えて消炎効果もあるイブプロフェンの効果が高いとされています。

抗菌薬・抗生剤の処方

適切な対処法をもってしても症状が1日以上改善しない場合や、急速に悪化するようなケースにおいては、細菌感染をきたしている可能性た高いため、抗菌薬が使用されます。

細菌感染をきたしたものを化膿性乳腺炎といい、起因菌としては黄色ブドウ球菌が最も多くみられます。

膿瘍を形成した場合

多くの場合抗菌薬の投与で症状は改善しますが、薬剤耐性菌も存在するためときとして薬の効果が十分に得られず、炎症が進行して膿瘍を形成してしまうこともあります。膿瘍の形成は乳腺炎全体の約3%にみられます。

針穿刺吸引

経皮的に針を刺し、溜まった膿や液体を体外に排出させる治療法です。症状の程度によっては、何度も吸引が必要となることがあります。

外科的処置

膿瘍が大きい場合や、いくつもできている場合などは切開やドレナージ(ドレーンを創部に留置して排膿させる)などの外科的な処置が必要となることがあります。

自分でできる乳腺炎の対処法は?

授乳中の女性

乳腺炎になると痛みのために授乳が億劫になってしまうことも少なくありません。しかし授乳間隔をあけてたり授乳を止めたりしてしまうと、さらに乳腺炎は悪化します。

乳腺炎の対処法として最も大切なことは、とにかく赤ちゃんに吸ってもらうことです。

適切な方法で授乳する

患側の乳房から授乳する

乳汁を乳房にうっ滞させないためにも、乳腺炎になっている側のおっぱいから授乳をすることが大切です。痛みのために射乳反射が起こりにくくなっている場合には、反対側のおっぱいを赤ちゃんに吸わせ、射乳が始まると同時にすぐに患側の乳房へと切り替えます。

頻回に授乳する

頻回に授乳し、母乳が中に留まらないようにします。特に夜間は乳汁が多くつくられる時間帯であるため、夜間授乳の間隔があかないように気をつけましょう。

抱き方を工夫する

しこりや痛みのある部位の乳汁をより吸ってもらうようにするには、赤ちゃんの鼻か顎の向きをその部位に合わせるようにします。授乳時の抱き方には横抱きや交差抱き、フットボール抱きなどがありますが、乳房の状態をみて臨機応変に抱き方を工夫してみましょう。

どれか一つの抱き方を続けるのではなく、さまざまな抱き方をローテーションさせると乳腺炎の予防にも繋がります。

乳頭のケアを行う

赤ちゃんが吸いつくことによって乳首には大きな力が加わるため、授乳に慣れていない乳首はとても傷つきやすいものです。授乳によってふやけたおっぱいは油分が失われ、乾燥してしまうことでよりトラブルを招きやすい状態になります。

乳頭の亀裂や白斑(はくはん。白いできもの)、血豆などのトラブルは細菌感染を引き起こします。また授乳のたびに痛むことで授乳が億劫になってしまい、授乳間隔があいてしまうと、うつ乳を引き起こす原因にもなります。

そうした事態を避けるため、もしくはできた傷を悪化させないためにも、授乳後には乳頭ケア用のクリームや食用油などを乳頭に塗り、乾燥させないことが大切です。

乳房マッサージを行う

乳房マッサージが適さないケースもあります。できるだけ病院を受診してマッサージの適応であるかを聞き、その上で詳しい方法を教わってから行うようにしましょう。

マッサージの方法

しこりや痛みのある乳腺のある場所を中心に、乳房の外側から乳頭の方向へと手のひら全体を使って大きくマッサージします。このとき乳頭を刺激すると射乳反射を誘発してしまうため、授乳中以外は触れないように注意して行いましょう。

マッサージのタイミング

授乳中にしこり部分を解すようにマッサージするのが効果的です。また授乳後に残った母乳をしぼって出しきることも、うつ乳を解消するために有効な手段です。

搾乳を行う

哺乳瓶

乳房の張りがある場合は、適度に搾乳を行ないます。授乳後も張っている場合や、痛みなどで直接の授乳が困難な場合などです。

突然授乳を中止すると乳腺炎が悪化してしまう傾向にあり、膿瘍になるリスクが大きくなってしまいます。乳腺炎でやむを得ず断乳する場合は、必ず病院を受診し、正しい方法で進めるようにしましょう。

乳房の冷罨法と温罨法

乳房を冷やす

クーリングには炎症を鎮める作用があります。乳腺炎の急性期や痛みを軽減させたいときは、乳房を冷やすとよいでしょう。

乳房を温める

乳汁の分泌を促したいときは、入浴や温湿布、温めたタオルなどで乳房を温めます。温めた後は必ず授乳や搾乳をおこない、母乳を出しきるようにしましょう。

乳腺炎の症状がひどいとき(痛みが強いときや発熱がみられるときなど)は、温めると悪化させてしまいますので注意が必要です。そうしたケースでは、冷やすようにしましょう。

十分に休息をとる

お母さんの身体を休めることは、乳腺炎の治療に必須といえます。お母さんは夜間も授乳で起きなければならないため、睡眠不足になりがちです。日中であっても赤ちゃんが眠っている間に一緒に休むなどして、しっかりと睡眠をとるようにしましょう。

その間の家事は手を抜いたり手伝ってもらうなど、家族にも治療への理解と協力が必要です。家族の援助が得られない場合は、入院が必要となることもあります。

十分な栄養摂取と水分補給

乳腺炎を早く治すためには、十分な栄養摂取と水分補給も欠かせません。ただし高カロリーのものや水分を多く摂ると母乳の量も増えるため、赤ちゃんが飲み切れず、飲み残しが乳腺炎を引き起こしてしまう場合もあります。

そうした母乳の分泌過多が乳腺炎を引き起こしているケースでは高カロリーのものを控えなければならないほか、水分の量を制限しなければならないこともありますので、主治医の指示に従ってください。

まとめ

乳腺炎はとにかく赤ちゃんに吸ってもらうことが最も効果的な予防法であり、対処法でもあります。うつ乳程度の軽度の乳腺炎であれば、それだけで症状は解消されます。

しかし乳腺炎は急激に悪化する場合もあるため、油断は禁物です。適切に対処しても症状が軽快しない場合や、ひどくなってくる場合には、なるべく早く病院を受診するようにしましょう。

治療が遅れると膿瘍を形成し、完治まで時間を要したり、授乳を継続できなくなってしまうこともあるためです。

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参考リンク

神崎外科クリニック|乳腺炎対処のコツ

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