お宮参りとは、その土地の神様である産土神(うぶすなかみ)に赤ちゃんが誕生した事を報告し、その誕生を家族でお祝いする行事です。
お宮参りは初宮参りとも呼ばれ、おおよそ生後一か月頃に行うのが一般的です。
しかし、生後一か月の赤ちゃんはとてもデリケート、必ずしもよいとされている日数にお宮参りに行けるとは限りません。
寒くて風邪をひいたらどうしよう、真夏は掛け着で覆われて暑い赤ちゃんはかわいそうなど、生まれたての赤ちゃんを長時間のお宮参りに連れていくのは心配事だらけだと思います。
お宮参りは厳格な儀式ではなく、お祝い事です。
一緒に参加する家族との間で時期や服装・当日の流れの打ち合わせができていれば、確固たる決まり事なんてありませんから赤ちゃん優先で進めていって問題ありません。
赤ちゃんの生まれた季節によって、お宮参りに最適な時期も変わってきます。
今回はお宮参りの時期について、赤ちゃんの生まれた季節ごとにベストな時期の考え方を紹介していきます。
またどの程度ならずらしてよいのかや、日取りの決め方なども解説していきます。
お宮参りの時期は?いつまでにしないといけないの?
一般的なお宮参りの時期の考え方
お宮参りを行う時期は、男の子は生後31~32日、女の子は生後32~33日がよいとされています。男女ともに生後30日前後とおおまかに考えるとよいでしょう。
お宮参りの日計算方法
生まれた日の数え方は、医学的に考えるか行事ごととして考えるかによって違います。
医学的には生まれた日が0日です。行事ごとなどは“数え”で考えるため生まれた日が1日です。
お宮参りは行事ごとなので生まれた日から1日目を数えていきましょう。
例えば、2月1日生まれの赤ちゃんの場合、男の子なら3月1~2日、女の子なら3月2~3日で行うのがよいという事になります。
例のように計算しやすい日に生まれた赤ちゃんは良いのですが、14日や27日など計算し辛い日生まれの場合は行事ごとを計算してくれるサイトを利用すると便利、以下に紹介します。
地域によって異なる風習
生後一か月でお宮参りをするスタイルが一般的になっていますが、これは関東流のスタイルが全国に一般的なお宮参りスタイルとして定着したものです。それ以外にも例えば…。
- 百日参り(ももかまいり)と言って、赤ちゃんの生後100日に初めてのお参りをする地域もあります。
- 関西では“嫁に行き遅れるから早くお宮参りする”と、女の子のお宮参りを男の子よりも早い日程でやる地域もあります。
- 年に一度の秋祭りの日にお宮参りを行う地域もあります。その地域に住む0歳から1歳までの赤ちゃんがいっぺんに集まるようです。
時期について予めご家族やその土地の神社さんと話し合っておくとよいでしょう。
赤ちゃんの体調を最優先に
赤ちゃんの体調を優先するには勿論、お母さんをはじめご家族の体調や天候・気候も考慮しましょう。
必ず生後一か月前後以内でお宮参りを済ませなければならない訳ではありません。
また、必ず~までに終わらせるべきという決まりもありません、最終的には一歳になる前に終わらせる方が多いです。
関連記事:お宮参りで赤ちゃんに着物って必要?いつ着せればいいの?着せ方は?
お宮参りの時期をずらしてもいいの?
お宮参りの時期に決まりはありません。先輩ママの体験談によると、生後一か月ほどでお宮参りができる方が珍しいと言う話も。
新生児の赤ちゃんのイベントですから、時期をずらした方がいいケースがたくさん考えられます。
お宮参りの時期がずれるのは当然の事。“祝い事は延ばせ仏事は取り越せ”と言い、祝い事は慎重に先延ばしするくらいが良い(反対に仏事は早めに行うのが良い)とされています。
お宮参りの時期の設定は柔軟に考えて行いましょう。
ずらした方がいいケース例
- 大雨や台風で天気が悪い。
- 真冬でとても寒い、ひどい雪が降っている。
- 真夏でとても暑い、直射日光で熱中症の怖れがある。(体温の高い赤ちゃんにとっては気温25度以上から警戒ゾーン)
- 赤ちゃんや家族が体調を崩している。
- ウィルス性の病気が流行っている時期。
- 早産で入院期間が長く、赤ちゃんが退院したばかり。
- お母さんの身体の産後復帰が順調でない。
お宮参りをずらす事になってしまったけれど思い出はしっかり残したい方は、写真撮影だけ生後一か月頃にやって、落ち着いてからお宮参りをすると良いでしょう。
ではどれくらいずらすのが適切なのでしょうか?
遅らせる場合
これくらいの延長なら全く問題ないようです、生後二か月頃になれば赤ちゃんもお母さんも授乳ペースやお出かけに慣れてきて落ち着いてお宮参りできるかもしれません。
この頃になると笑える様になる赤ちゃんが多いので、笑顔の写真が撮れたという方もいます。
二か月延ばせば、赤ちゃんは生後三か月になります。生後三か月は生後100日、百日参りを一般的なお宮参りとする地域があるくらいですから、二か月延びる事は問題ありません。
100日目のお宮参り時に“お食い初め”を一緒に済ませる事もできます。
お宮参りは親戚が集まり食事をしますので、お宮参りとお食い初めを一緒に済ませば、もう一度集まってもらったり食事会をセットする手間が省けます。
延期の末に新しい季節が始まったり、違った問題が発生しお宮参りができないなんて事にならない様に注意しましょう。
延期の限度はありませんが、一歳になる前にはお宮参りを済ませるのが一般的です。
早める場合
病院の方針にもよりますが基本的に、一か月検診で問題がなければ赤ちゃんの外出が許可されます。よって、検診が終わってからであればお宮参りを早めることは問題ないです。
検診前でも体調と天候・日取りが良かったのでお宮参りに行ったという方もいますが、赤ちゃんの体調を見極めるのは難しいところです。
どうしても検診前に早めなければならない場合は、赤ちゃんが生まれた病院(一か月検診を行う病院)に確認してみるとよいでしょう。
身内の不幸と重なった場合
身内の方に不幸があった場合は、お宮参りに行って大丈夫なのか不安だと思います。忌中(きちゅう)の考え方をしっかり理解して、安心してお宮参りできる様にしましょう。
神教の考え、家族が亡くなった時に慎んでいる期間の事です。
神教では死は穢れ(けがれ)と捉えられていて、忌中の親族はお宮参りをはじめとする祝い事や祭事に出席するのを控えるべきとされています。
同居家族の場合、神教では50日間、仏教では49日間です。一般的には亡くなった日を一日目とします(地域によって異なります)忌中期間が明ければ通常通りにお宮参りができます。
同居していない場合や遠い親族の場合は以下を参考にして下さい。
- 親・配偶者:50日間
- 兄弟・子供:20日間
- 祖父母:30日間
- おじ・おば:20日間
- いとこ・甥・姪:3日
身内に不幸があった場合、気持が沈んでしまったり、故人の身辺整理に忙しかったりでお祝いを存分にできない事もあると思います。
無理に行わずに気持や時間に余裕ができるまで時間をおきましょう、晴れやかな気持ちでお宮参りするのが一番です。
関連記事:お宮参りに着ていく母親の服装は?授乳中は?髪型はどうすればいい?
お宮参りに良い日取りの選び方は?
お宮参りの時期を決めたら、最終的に何日に行うのかを決める必要があります。せっかくのお宮参りですから、なるべく良い日に行いたいものです。
いざ決めるとなると赤ちゃんの体調や家族の都合はもちろんですが、カレンダーに大安・仏滅・赤口の文字があって悩んでしまうものです。
大安は良さそうだけどたまにしか無いし、仏滅の日にお宮参りは縁起が悪いから中止にしようかなと考えがちですが、具体的な意味を知ると日取り選びの幅が広がります。
もちろん日取りの選び方は日柄だけではありませんので、神社の混む時期やなどを紹介していきます。ご家族が満足できる日取り選びの参考にしてみて下さい。
六曜(ろくよう)について
暦注の一つで、大安・先勝・友引・先負・赤口・仏滅の六つの曜があります。六曜は仏教や神教とは関係のないもので、宗教的な決まり事ではありません。
縁起担ぎや冠婚葬祭の日取り決めで使われている、民間信仰の様なものと考えらえています。
よって、お宮参りの日取り決めにおいて「大安じゃない意味がない」とか「仏滅にやったら呪われる」なんて事はありませんのでご安心を。
おじいちゃん・おばあちゃん世代は、若い世代に比べて六曜を信じている人が多いので、日取り決めでは、六曜を重要視するかしないかを確認しておく事をおすすめします。
若い世代でも重要視とまではいかなくても、なんとなく仏滅の日は避けたい…と考える方は多いと思います。
そこで六つの曜の意味について紹介します、意味を知れば六曜だって怖くないです。
何をするのにも吉の日。婚礼やお祝い事に最適の日です。
先んずれば勝つの意味で、午前中は吉で午後二時から六時までは凶です。
午前中と午後は吉だが、正午は凶の日。何をしても引き分け(共引き)になる日です。友を冥途に引いてしまうため、葬式はさけらています。
先んずれば負けの意味で、午前中は凶、午後は吉です。先勝と反対で急ぐ事や勝負事には向かない日です。
正午のみ吉で、他すべて凶の日。赤い文字から血や火を連想できるため、刃物や火元には気を付ける日。
「仏も滅する凶日」とされています。六曜において最凶の日なので、婚礼やお祝い事は避けられています。
日取り決めに六曜を取り入れる場合、大安と仏滅は一日まるまる吉か凶なので日程が決めやすいです。
しかし、他の日は一日の中にも吉の時間と凶の時間がありややこしいですが、やはりお宮参りは赤ちゃん優先で進めていくようにしましょう。
神社が混む時期
神社は一年を通して行事が執り行われているので、お宮参り以外に来た参拝客で込み合う可能性がある事をお忘れなく。
1月1日から三箇日にかけて、一年で一番神社が混み合うと言われています。混雑する神社に新生児の赤ちゃんを連れていくのは大変、避けるのがよいでしょう。
七五三の日は11月15日は七五三の日。その日を基準にして10月後半~11月上旬は七五三の参拝客で神社は混みます。
時間や天気
神社へ参拝に行くのは早い時間が良いという話もあります。早い時間は神気が新鮮だから、午後になると邪気が溜まるから、などと言われています。
信じるか信じないかは皆さま次第ですが、朝早い方が人も少なく落ち着いていていいかもしれません。
天気が良いは神様のパワーが強くなる、などと言われていますが、こちらも信じるかは皆さん次第です。ただし、雨の場合は神社の砂利や石畳が歩きづらくなってしまう怖れがあります。
予約している場合は、雨が降っていても当日にいきなり中止にはできないので、天気はなるべく晴れている方が良い程度に考えてみて下さい。
まとめ
初めてのお宮参りの型は、はどの程度決まり事があるのか、何をしないといけないのかと肩に力が入り過ぎてしまうと思います。
でもお宮参りは、赤ちゃんの誕生を家族でお祝いするおめでたい行事、仕来りや縁起など気にしすぎる必要はありません。
日本は神教と仏教と民間信仰が混ざっている文化で、いざ行事ごとを執り行う場合ややこしい決まり事が多く戸惑ってしまいます。
決まり事すべてを尊重するのは難しいので、ご家族とどのような方針で進めていくかしっかり話し合いましょう。
お宮参りが赤ちゃんとご家族にとって良い思い出になればいいですね。