東京都が実施したアンケート調査によると、カビが発生した場所で浴室に次いで多かったのが、洗面所ではなく、押入れでした。
たっぷり収納できる便利な押入れですが、ずっとふすまを閉めたままでいると壁や床にカビが生えてしまいます。
今回は、状況別に確実にカビを取り除くための方法から、その後の予防策もあわせてお伝えいたします。
押入れに生えたカビの取り方は?
カビを取る手順
カビを取るためには以下のような手順を踏む必要があります。
- 押入れの物を出す
- 押入れを掃除する
- カビの除去をする
- 押入れをしばらく乾燥させる
- 物をもとに戻す
特に、掃除後に乾燥させることがカビ対策には非常に重要となってきます。
カビを除去できてもすぐに物を押入れに戻してしまうと、湿気が取れないままで再びカビが生えることも。
また、押入れの大きさによっては半日以上かかることもあります。しっかりと時間を確保したうえでカビ取りに挑んでくださいね。
押入れに発生しやすいのは、アオカビ(ペニシリウム)という種類のカビで、青緑色の斑点が特徴で、パンやお餅などにつくカビを同じカビです。
カビの度合いによっては、漂白剤を遣わずとも手にも環境にも優しいお酢などで取れたりします。取りたいカビや状況によって使い分けてくださいね。
※カビを取るときには、窓を開けるなど換気をして、カビや消毒薬を吸い込まないようにマスクをつけてから行ってください。
ごく軽度の小さなカビの場合
お酢
1.ウエスやキッチンペーパーなどに小さじ1ほどつけてカビを叩きます。
2.使用済みの歯ブラシなどでカビをこすります。
3.カビが取れたら乾いたウエスなどでカビのあった場所をふき取ります。
4.カビのあった場所が乾くまで、1~3時間ほど通気を良くします。
扇風機などで1時間ほど風を当てておくのも効果的。
重曹
お酢のにおいが苦手な場合、軽度のカビなら重曹でも落とすことができます。
1.小さじ1ほどの重曹を少量のお湯または水でペースト状にしましょう。
2.ペースト状にした重曹を使用済みの歯ブラシなどにつけ、カビをこすります。
このときペースト状の重曹がポロポロとこぼれることがあるので、あらかじめ床に新聞紙などを敷いておくのがおすすめです。
3.以下、お酢と同じ手順となります。乾いたウエスなどでふき取り、カビのあった場所を乾燥させます。
白いカビの場合
木材や畳などに発生しやすい胞子のような白いカビで、他のカビと違って深くまで根を張らずに表面に発生していることが多いです。
表面についているので、掃除機で吸い取ってしまおうと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、カビの胞子をまき散らして広げてしまう可能性があります。
もし使うのであれば、コロコロなどで残った白カビなどをゆっくりと取り除くようにしましょう。
拭き取る場合は、殺菌効果の強い逆性石けんかエタノールを使って白カビを取り除いていきます。
※逆性石けんは、汚れを落とすものではなく、殺菌や消毒に有効な殺菌剤です。なので、洗剤コーナーには売っていません。
ベンザルコニウム塩化物液という商品名で売っています。中でも有名なのは、「オスバンS」という商品です。
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逆性石けん・エタノール
1.薬品による手荒れやカビの付着・吸引を防ぐため、ゴム手袋とマスクを装着します。
2.逆性石けん、もしくはエタノールを以下のように希釈します。
逆性石けんパッケージに記載されている倍数に希釈します。200倍であることが多いです。
消毒用エタノールそのまま使用できます。
無水エタノール無水エタノールと水を8対2の割合で希釈します。
3.2で希釈した液体をウエスやキッチンペーパーなどに軽く染み込ませます。
4.カビの胞子が飛散しないよう優しくふき取ります。
落ちなければ3と4の工程を何度か繰り返してください。
使ったウエスはカビの飛散を防ぐため、ポリ袋などに入れて捨ててくださいね。
5.お酢・重曹の手順と同じようにしっかり乾燥させてから物を元に戻してください。
上記で落ちなかった頑固なカビの場合
頑固なカビの場合、塩素系漂白剤を使うことになります。キッチンハイターなどの泡スプレータイプの塩素系漂白剤がおすすめです。
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ただし色落ちや押入れの壁が傷むことを考えると、なるべく避けたい方法です。
どうしてもカビを落としたいときの最終手段として参考にされてください。
また、塩素系漂白剤を使う場合は、まずは目立たないところで試して、問題なければ使うようにしましょう。
塩素系漂白剤
1.手荒れやカビの付着・吸引を防ぐためにゴム手袋とマスクを装着します。
2.2~3枚重ねたウエス、もしくは使い捨てできる雑巾に漂白剤を吹きかけ、カビをこすります。
3.10分ほど放置します。この間に水で濡らした雑巾を用意しておきましょう。
4.10分経過したら、漂白剤でこすった部分を水で濡らした雑巾で拭き取ります。
5.これまでと同じように、壁がしっかり乾いたのを確認してから物を元に戻してください。
※もし直接スプレーする場合は、目より上にスプレーしないようにしてください。目に入るお知れがあります。
また塩素系漂白剤と酸性洗剤を混ぜると、塩素ガスが大量に発生して危険です。絶対に混ぜて使わないようにしてください。
押入れのカビ臭いの取り方は?
押入れにカビが生えている状態のまま消臭したところで、根本的な解決にはなりません。
まずは上で紹介したカビ取りを行って乾燥させた後、再度押入れに入っていたものを戻すときに、消臭効果のある除湿剤などを入れておきましょう。
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重曹+アロマオイルも効果あり!
ジャムの空き瓶程度の容器に、重曹の粉を瓶の大きさの半分程度、消臭効果のあるアロマオイルを10滴ほど入れてかき混ぜます。
そして上にガーゼなどでフタをして、できれば押入れの下の方に置いておきましょう。重曹には消臭と吸湿効果がありますので、せひ試してみてください。
ちなみに消臭効果のあるアロマオイルは、以下の通りです。
押入れにカビが生えないための予防法は?
詰め込みすぎない
布団や洋服などは、ついつい詰め込みがちになりますが、空気の流れが悪くなりますので、湿気がこもってしまいます。
特に布団は、寝ている時間にかいた多量の汗が吸い込まれているので、すぐに押入れに入れると、さらに湿気がこもる原因になります。
なので、起きた時に押入れに布団を入れている方は、少し時間を置いてから収納するようにしましょう。
すのこを使う
すのこは押入れ収納の際に必ず使いたいアイテムのひとつです。すのこを使うことで押入れ全体を空気が循環しやすくなり、湿気がこもりにくくカビを防ぎます。
また、収納ボックスをキャスター付きに変える、またはキャスターを取り付けておけば、すのこ同様に空気の循環や移動もしやすくなるのでおすすめです。
収納物の配置を変える
湿気は下に溜まりやすいので、シーズンオフの洋服やあまり取り出さないものは、湿気の貯まりにくい上段に置いておき、普段使う衣類などは下段に置いておくとよいでしょう。
また、カビが発生しにくいプラスチック系の素材を下におき、カビ発生の原因となる布団などの布製のものを上に置くといった配置もおすすめです。
除湿剤を使う
すのこ同様、押入れ収納の定番アイテムである除湿剤。タンクタイプやシートタイプ、棒状タイプなど色々な種類はありますが、吸湿力はそれほど違いはありません。
除湿剤を使う際のポイントは、使用する場所によって使い分けること、湿気がたまりやすい下段に置くことが大切です。
特に梅雨などの時期、短期間に除湿したい場合は、除湿剤を増やしておくのが効果的です。
重曹をお持ちであれば、空き瓶などに入れて布でふたをしておくと除湿剤になります。
その他、新聞紙を丸めて押入れの隙間に差し込んでおくことでも、湿気取りとしての効果が期待できます。
収納する布類は必ず天日干し後に
衣類や布団など、押入れに収納することの多い布類。使ったあとそのまま収納してしまうと、湿気を含んだままなのでカビの元になることがあります。
しっかりと洗濯・天日干しした後に、布団の中に熱がこもらないように、部屋で広げて少しクールダウンさせてから、収納することでカビを防ぐことができますよ。
一度しか着ていない、汚れているように見えない衣類でも必ず洗濯と乾燥をさせてから収納しましょう。
ちなみに、布団を干すゴールデンタイムは、太陽が高くなる午前10時~午後3時ごろまでです。朝は湿度が高いことが多いので、避けた方がよいでしょう。
布団は圧縮する
布団専用の圧縮袋で圧縮して収納することで、カビ予防だけでなく省スペースにもなります。
さっきまで使っていた布団をそのまま圧縮してしまうと、カビやダニが発生する原因になりますので、先に天日干しをしてから掃除機をかけておきましょう。
そして圧縮袋に入れる時も、圧縮袋専用の無酸素状態で保管することができる脱酸素剤や、優れた防湿効果のあるシリカゲルという乾燥剤を布団と一緒に入れておくことで、よりいっそう清潔な状態を保つことができます。
ただし、布団をペラペラになるくらい圧縮してしまうと、布団の中に入っている素材が傷んで、いざ使う時に元に戻りにくくなってしまいます。
特に羽毛布団はフワフワ感がなくなるだけでなく、保温機能まで損なわれる可能性があります。
もし掃除機で圧縮するタイプの場合は、布団がペラペラになるまで圧縮せずに、通常の1/3程度で留めておきましょう。
定期的にふすまを開けて換気する
できれば1週間に1度、最低で1ヶ月に1度、ふすまを開けて換気するとカビを防ぐことができます。その際、扇風機などで風を当てると効果的です。
また、ふすまを片方だけ開けておくのではなく、左右両端を開けておくことで、空気の流れがよくなります。
我が家では週に1度換気をしていますが、実際に押入れにカビが生えたことはありません。
部屋のインテリアと合うのなら、ふすまを外してロールスクリーンに変えてしまってもいいでしょう。
しっかりと湿気を吸い込み乾燥させてくれる珪藻土ですが、実は押入れに使うことはできません。
カビを防ぐどころか湿気をどんどん吸い込んでしまい、押入れの中が常に湿気漂う空間になってしまうのです。
詳しくは以下の専門家によるブログで解説されています。非常に参考になりますので、珪藻土を使おうと考えていた方はぜひご一読くださいね。
防カビ工事専門業者の独り言

まとめ
もしカビに気づいたら、押入れに収納していたものにもカビがないかチェックをされてくださいね。
ご紹介した方法でカビが落ちず、どうしてもカビを落としたい場合はプロの清掃業者に連絡されることをおすすめします。
定期的な換気を忘れず、お住まいの環境に合った対策を行ってくださいね。