お腹の中に赤ちゃんを授かって、10ヶ月をかけて育ててきたら、いよいよ臨月!赤ちゃんとの対面がもうすぐやってきます。
この時期になるとやはり気になるのが、「お産がどうやって始まるか」ですが、お産の始まりの兆候である「おしるし」がどんなものかわからなくて、不安に思っているプレママは多いようです。
今回は安心してお産を迎えるために、おしるしの症状や起きる時期、おしるしとそのほかの出血との見分け方や注意点などについて、詳しくご紹介していきます。
「おしるし」ってどんな症状をいうの?
「おしるし=産徴」とは、その名の通り、お産が始まるときに女性の体におきる少量の出血で、お産が始まることを知らせる役割を持っています。
生まれる準備が整った赤ちゃんが、「そろそろお外に出たいよ!」とママに教えてくれる大事なサインを見逃さないように、おしるしがどんなものかよく理解しておきましょう。
気になるおしるしの正体
赤ちゃんが生まれる時期が迫ってくると、ママの身体は徐々に前駆陣痛を起こしてお腹を収縮させ、お産に向けて子宮口を開かせようとします。
このとき陣痛によって赤ちゃんを包む卵膜が少しずつ子宮壁から離れていくのですが、その過程でわずかながら出血し、血液は子宮頸管の粘膜と混じりながら体外に排出されてきます。
これが、おしるしの正体です。
おしるしの色
おしるしは厳密には血液ではなく、卵膜や子宮頸管から出た粘液と血液が混じったものです。
生理の時の経血を薄くしたような色であることが多いのですが、なかには下記のような色の場合もあります。
- 鮮やかな鮮血
- ピンク色
- 乳白色
- 茶色がかった赤色
このような色の違いは、おしるしが体外に排出されてからの時間や粘膜の混じり方による違いで、色についてはそれほど神経質にならなくても大丈夫です。
おしるしの量や臭い
おしるしの量は生理の初日くらいの量があったという人もいれば、トイレットペーパーで軽くふいたくらいで治まったという人もいて、個人差があります。
一般的には、ナプキンを必要とするほどタラタラと出ることはなく、ごく少ないことが多いようです。
おしるしは少し粘り気があるのが特徴で、特別な臭いはないのですが、おりものなどとまじって臭いがきつくなることもあります。
おしるしはすべてのママに起きるとは限らない!
おしるしには個人差が大きく、1回だけあったという人もいれば、断続的に数回あっという人もいます。
おしるしを「お産の前に、必ずあるもの」と考えている人も多いのですが、おしるしが全く起きなかった、気が付かなかったというママも全体の半数以上います。
おしるしを「必ずあるもの」と考えるのはやめましょう。
おしるしはいつ起きるの?
おしるしは赤ちゃんがいつ生まれても大丈夫なほどに育った、妊娠36~39週であれば、いつ起こってもおかしくありません。
おしるしが出るまえにお腹のハリとともに軽い前駆陣痛の痛みを感じる人もいれば、全く前兆はなく、気がついたら下着が汚れてたという人も多いので、おしるしがいつ起きるのかは誰にも予測できません。
いざという時に慌てないためにも、臨月に入ったら、「そろそろ、おしるしが来るかな?」と考えて、着替えやトイレの際にちょっと気を付けておくといいでしょう。
おしるしは1回だけじゃない
おしるしは出産の前兆で、一度だけ起きるものと考える人は多いのですが、実はそうとも言えません。
おしるしが1度だけあったという人もいれば、出産前に断続的なおしるしを何回か経験したというママもいて、回数は人それぞれで違います。
なかには少量の出血が3日続いたという人もいますが、おしるしが起きればお産が近いので、お産に備えて様子をしっかり把握しておきましょう。
おしるしからお産までの期間
おしるしに気が付くと、「いよいよね!」といきごむ人も多いのですが、おしるしから3日で陣痛が始まったという人もいれば、1週間以上かかる人もいます。
一般的には、おしるしがでると数日から1週間前後で本格的な陣痛が始まり、お産が始まるとされていますので、おしるしが出たらもう一度、入院の準備は万端か確認しておきましょう。
おしるしと他の出血との見分け方は?
おしるしは妊娠中の女性の身体におきる、ごく自然な症状ではありますが、出産間近に出血があることは、やっぱり不安なものです。
危険な出血とおしるしは、どのように見分ければいいのでしょうか?
危険な出血の特徴
おしるしは人によって色や量がちがい、危険な出血と見分けるのは難しいのですが、異常な出血には次のような特徴があります。
- 色:鮮やかな赤色
- 量:半日以上継続して出る、ナプキンじゃ追いつかないくらいに大量にでる
- 粘り気:粘り気はなく、サラサラとしている
- 塊の有無:生理の時のような血の塊やレバー様の塊が含まれている
- おしるしにともなう症状:激しいお腹の痛みやお腹のハリ、めまい
色や量だけに注目するのではなく、これらの要件がいくつ当てはまるのかを確認して、異常な出血かどうかを判断し、危険な出血だと判断した場合には、すぐに産院へ向かいましょう。
自分で判断できないときも、もちろん産院に相談をして、安全を確認してください。
出血で考えられる危険
おしるしとは明らかに違う、激しいお腹の痛みやハリと共に、鮮血が大量に出る場合に一番心配なのは、胎盤の早期剥離です。
胎盤の早期剥離というと、転んでお腹を強く打った場合や交通事故にあった場合をイメージする人も多いのですが、下記のような症状で引き起こされることも多いです。
- 前置胎盤
- 妊娠中毒症
- 子宮筋腫
- 羊水過多症
- 子宮内胎児発育遅延
- 血栓
- 貧血
- 糖尿病
自分の妊娠経過はしっかり把握しておくとともに、鉄剤を飲んで貧血を改善するなど、医師の指導で早めに気になる原因は改善することを心掛けましょう。
赤ちゃんの動きにも要注意!
おしるしが起きる頃になると赤ちゃんはママの骨盤にまで下がり、羊水が減って動きが小さくなっていきますが、しっかりと胎動はあります。
ママの貧血による栄養不足や酸素不足などによって赤ちゃんの身に何らかの危険が及び、胎盤の早期剥離が起きることもあります。
おしるし様な出血があった場合は、色などをチェックするだけでなく、赤ちゃんの胎動が弱まっていないか、止まっていないかも確認をしておきましょう。
これまでの妊娠経過に問題はなく、赤ちゃんが順調に育ってきている場合でも、何が起きるの予想がつかないのが妊娠・出産です。
そういったリスクを避けるために、臨月近くになると検診の回数も増えてきます。
お腹が大きくなって外出が負担になってくる時期ではありますが、面倒くさがらずに、きちんと検診を受けて危険の回避をしておきましょう。
おしるしの際に現れやすい症状は?
おしるしは確かにお産の兆候ですが、「まだおしるしがないから、お産は来ないわ」と考えて、遠出の旅行を計画したり、入院準備を後回しにしていませんか?
おしるしは必ずしも「ある」ものではありませんので、おしるしだけを目安にお産の時期を考えていると、後で慌ててしまうかもしれません。
お産が近づいてくるときのサインは、おしるしだけではなく、赤ちゃんが出産準備を始めてママの骨盤内に降りてくることで、次のような症状が起こることがあります。
- トイレが近くなる
- 残尿感がある
- 恥骨や足の付け根が痛む
- 頻繁にこむら返りが起きる
- 大きな胎動が少なくなった
- 頻繁にお腹が張り、軽い痛みがある
- 胃や胸の圧迫感がスッキリし、食欲が出てきた
こういったおしるし以外のサインにも気を付けて、お産の準備を整えましょう。
おしるしと間違えやすい症状は?
おしるし以外の出血は、すべてが危険なわけではありません。なかにはすぐに対処を必要としない出血もありますので、よく理解しておきましょう。
内診による出血
臨月近くになると、膣内から子宮口の確認をする内診が増えてきますが、内診や経腟エコーをした際の刺激によって、出血することもあります。
妊娠中の膣内はとてもデリケートで、どんなベテラン医が診察をしても出血がおきることはありますので、次の内診による出血の特徴をよく理解しておきましょう。
- 内診をした後に起きる
- すぐに出なくなる
- 薄いピンク色の出血で、おりものに混じっている
内診による出血とおしるしを混同して、慌てて産院に戻ってくるプレママもいますが、内診による出血も、おしるし同様にママや赤ちゃんに危険が及ぶようなものではありません。
あまり慌てなくても問題はないのですが、量が多かったり、半日以上続く場合には、念のために産院に相談してみるといいでしょう。
痔による出血
もう一つ、おしるしと間違えやすい、危険の内出血は、痔による出血です。
妊娠中の女性は便秘になりやすく、妊娠中に自覚がないままに痔を患ってしまう女性も多く、肛門からの出血をおしるしと間違えてしまうプレママは結構います。
痔による出血の特徴には、次のようなことがあげられます。
- 鮮やかな赤色をしている
- お尻の部分が汚れる
- 用を足した後に出血する
妊娠中の痔は出産後に自然に良くなることも多いのですが、長引くと治療が必要になりますので、妊娠中は水分を多めに、食物繊維をタップリと摂って、便秘を予防して痔にならないように心掛けましょう。
まとめ
よく、「経産婦にはおしるしがない」なんて話を聞きますが、これは根拠のない話で、実際には経産・初産にかかわらず、誰にでも起きる可能性があります。
おしるしがいつ始まるか、どのようにお産に進んでいくのか気になってしまうところですが、お産に正解はありません。
おしるしばかりを気にして神経質にならないで、リラックスしてお産を楽しんでいきましょう。