赤ちゃんの消化機能は未発達で、最初からは自分の力で食物を消化することはできせん。
お母さんがいったん消化してくれた食物を母乳からもらったり、赤ちゃん用に作られた消化しやすいミルクを飲んで栄養を得ています。
そんな赤ちゃんも、自分の力で食物を食べ始める時が来ます。自分の力で無理なく食べ、消化できるよう、徐々に慣れていかなければなりません。
また、母乳、ミルクはそれだけで栄養がとれていましたが、離乳食では栄養バランスを考えなければいけません。
食物アレルギーも心配です。離乳食をどのように与えていけばよいか、悩むお母さんもいらっしゃるでしょう。
今回は牛乳・乳製品について、離乳食の時期、与え方の注意点をまとめました。
離乳食で牛乳はいつから食べさせたらいいの?
離乳食の初期のタンパク質としては、消化のしやすいヨーグルトや鶏のささみや白身魚が推奨されています。
牛乳・乳製品の中では、離乳初期にはまず、ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品から与えていきます。牛乳は赤ちゃんが上記の食物に慣れてから、離乳食中期以降に始めましょう。
離乳食に使う牛乳とヨーグルトの違い
牛乳のタンパク質は分子が大きく、消化吸収がしにくいうえに、牛乳アレルギーの原因でもあります。
ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品では、牛乳のタンパク質は、乳酸菌などの酵素によって分解されて小さな分子のタンパク質に変わっているので、消化吸収がしやすく、牛乳アレルギーも起こりにくいのです。
アレルギー予防の観点で、牛乳を離乳期から与えるわけ
従来、食物アレルギーは未発達の消化機能に原因があると考えられてきました。それなら牛乳を与えるのは、子供がもっと大きくなってからのほうが安全なのでしょうか?
最近の研究から、別の仕組みで食物アレルギーが起こるのではないかと言われはじめています。
皮膚炎などで傷んだ皮膚にふれた食物が、食物アレルギーを引き起こす、「皮膚感作」という仕組みです。
たとえば、牛乳を食べたことのない赤ちゃんが、皮膚炎の起きている皮膚で牛乳に触れた場合、体内の免疫機能が過剰に反応して、牛乳アレルギーになってしまいます。
逆に、皮膚で触れるより先に口から食べていたら、牛乳アレルギーにならないというものです。
この皮膚感作を防ぐためには、むしろ早いうちに牛乳を食べるほうが望ましいということになります。また、皮膚を健康に保つことと、傷ついた皮膚で食物に触れないことも大切です。
関連記事:【管理栄養士がアドバイス】離乳食でのヨーグルトの進め方&レシピ
離乳食での牛乳の進め方は?
離乳食として、牛乳・乳製品を始める時期と量は、大体下のような目安になります。
ヨーグルト、チーズなどの乳製品(小さじ1~50g)
離乳中期(8、9か月)牛乳を少量(小さじ1~100g)、もしくは乳製品(80g~100g)
離乳後期 (10、11か月)牛乳(100g)、もしくは乳製品(100g)
離乳食で牛乳を与えるときは、下痢、便秘などの消化不良の症状が出ないか様子を見ながら行います。
アレルギーが心配であれば、ごく少量ずつ、皮膚炎や呼吸困難などのアレルギー反応が出ないか様子を見ながら、徐々に与えていきます。
いきなり大量に与えると、アレルギー反応が出た場合の症状も重いものになってしまうからです。
最初のころは、急なアレルギー反応が出たときに備えて、平日の昼間に与えます。1回に耳かきひと匙ほどを与えて、その後数日様子を見て、また耳かきひと匙あたえ、また数日様子を見ます。
食べ物でアレルギー反応を起こすのは、初めて食べた時ではなく2回目以降なので、2回目以降も注意して様子を見てください。アレルギー反応が起きた場合は医師に相談します。
ちなみに、牛乳を暖めることによって消化吸収の助けにはなりますが、アレルギーの元になるタンパク質が分解されることはありませんのでご注意ください。
9か月以降になると、母乳やミルクより栄養価の高いフォローアップミルクが推奨されています。
フォローアップミルクは、母乳やミルクよりも消化器官には負担がかかりますので、離乳食同様に気を付けて与えることが必要です。
関連記事:赤ちゃんに水道水でミルクや離乳食作りをすることによる影響と対策
離乳食に使う牛乳はどの種類でもいいの?
栄養補強牛乳、低脂肪乳、全粉乳、脱脂粉乳などの加工乳は、牛乳を基に栄養成分を調整して加工されています。
カルシウム、鉄分などが補強されている。
低脂肪乳牛乳から乳脂肪を取り除いている。牛乳に比べ味にコクがない。
全粉乳牛乳から水分を取り除いて粉末にしている。保存がきく。
脱脂粉乳牛乳から乳脂肪と水分を取り除いて粉末にしている。保存がきく。牛乳に比べ味にコクがない。
それぞれの特徴を生かして、離乳食づくりに利用しましょう。牛乳アレルギーに関して注意することは、牛乳と変わりません。タンパク質については加工乳は牛乳と同じだからです。
関連記事:離乳食に卵(卵黄、卵白)はいつから使えるの?与え方や注意点
まとめ
消化しやすく牛乳アレルギーの起きにくいヨーグルトやチーズは離乳初期から、牛乳は中期から徐々に試していくとよいでしょう。消化不良やアレルギーの症状に注意しつつ、慎重に進めましょう。
また、最近のアレルギーの皮膚感作の研究によると、アレルギー予防のために、離乳期に牛乳を除去するのではなく早い時期から口にすること、赤ちゃんの皮膚を健康に保つこと、傷ついた皮膚で食物に触れないことが大切です。
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