梨は90%が水分から成り、ビタミンやミネラルはあまり含まれていないのですが、クエン酸、リンゴ酸、アスパラギン酸という体内でエネルギーをつくる際に必要な有機酸を含んでいます。
また、梨には食物繊維が多く含まれており、さっぱりとした甘さはソルビトールという糖質成分によるもので、どちらにも腸内環境を整える効果が期待できます。
梨はそのまま食べることが多いと思いますが、たんぱく質(特に肉類)を消化しやすくする働きをしてくれるので、肉料理の下ごしらえに使うのもお勧めの果物なのです。
甘みがあり水分が豊富なため食べやすく、腸内環境を整える効果やたんぱく質を消化しやすくしてくれる働きのある梨は、離乳食におすすめできる食材の一つです。
梨を使う際のポイント
いつから食べさせていいの?
梨のシャリシャリとした食感は食物繊維の塊によるもので、すりおろしても口あたりがあまり良いものではありません。
果汁は初期から与えることは可能ですが、果実の部分は消化の面と口あたりから考えると中期以降に与えるのがお勧めです。
また、1歳未満の場合は果汁であっても家庭で調理する場合は加熱するように心がけます。
選び方は?
甘く鮮度の高い梨を選ぶポイントは次の通りです。軸がしっかりして実の形が横に広がってどっしりとしたものが甘みが強いとされています。
皮に透明感があり、黄緑の間に黄色がまだらに混ざった色が含まれているものは「虎熟れ」と呼ばれる甘い証拠です。
少し赤みがかっているものが食べごろの証です。
下ごしらえは?
梨は食物繊維が多いので、中期~後期にかけてはペーストにすることをお勧めします。
材料
- 梨 1/4個
作り方
- 梨の皮をむいて芯を摂り、すりおろします。
- 1を耐熱皿に入れ、ふんわりとラップをかけ、電子レンジ500Wで1分加熱します。
材料
- 梨 1/2個~1個
作り方
- 梨の皮をむいて芯を摂り、すりおろします。
- 1を小鍋に入れ、弱火でトロトロになるまで煮詰めます。
電子レンジの方が簡単に調理できますが、ゆっくりと加熱する小鍋での調理の方が甘く舌触りも良いペーストに仕上がります。
保存はできるの?
梨をラップで密封し、ビニール袋に入れ、野菜室に入れることで1週間程度保存できます。数日中に食べる場合は常温保存も可能です。
ペースト状のものを1回分ずつに製氷器やラップで小分けし、ジップロックなどの密封袋に入れ、冷凍することができます。冷凍保存した場合は2週間を目安に使い切るようにします。
梨と相性のいい食材は?
豆腐やヨーグルトといった口当たりがなめらな食材と合わせるのがお勧めです。
完了期以降は、梨に含まれるたんぱく質分解酵素による肉類を柔らかくする効果を用いて、肉類の下ごしらえや味付けに使うのもお勧めです。
関連記事:離乳食でりんごはいつから使えるの?与え方や冷凍保存のやり方は?
月齢別の進め方
梨には食物繊維が多く含まれるので、最初は加熱した果汁からのスタートがお勧めです。離乳食を開始し、1か月程度経過し、色んな食材に慣れてきた頃から梨ペーストを与えます。
梨ペーストを食べ慣れたかぼちゃや豆腐、ヨーグルトといった口当たりのよい食材と組み合わせるのがお勧めです。
よく噛んで食べることで、梨の甘みが口の中に広がるようなメニューに使うのがお勧めです。また、つかみ食べに興味がでるような形状にするようにします。
活動が活発になるので、たんぱく質食材を積極的に食べさせてあげたい時期です。梨を肉類の下ごしらえや味付けに使うことでメニューのバリエーションを広げていきます。
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月齢別のおすすめ簡単レシピ
離乳食初期(5~6ヶ月)
加熱済みの梨ペーストの水分だけを与えます。
離乳食中期(7~8ヶ月)
材料
- かぼちゃ 30g
- 梨ペースト 小さじ1/2
作り方
- かぼちゃは皮をむいてラップに包み、電子レンジ500wで40秒加熱します。
- 1をつぶし、梨ペーストを合わせます。
口当たりの良いかぼちゃと梨の水分により、甘く食べやすいペーストに仕上がります。パン粥の副菜としてもお勧めです。
材料
- 豆乳 大さじ2
- 片栗粉 小さじ1
- 梨ペースト 5g
作り方
- 耐熱皿に豆乳と片栗粉を入れてダマがなくなるまで混ぜ合せます。
- 1を電子レンジ500wで10秒加熱し、取り出して混ぜ合わせます。
- 2を再び電子レンジ500wで20秒加熱し、取り出して練り合わせます。
- 器に3を流し入れ、梨ペーストをかけます。
豆乳プリンのなめらかさで梨ペーストのつぶつぶ感をあまり感じなくなり食べやすく仕上がります。乳アレルギーの心配がない場合は豆乳プリンはヨーグルトで代用できます。
中期では人肌程度の温度で与えますが、完了期頃からは冷やし固めておやつとして与えるのもお勧めです。
離乳食後期(9~11ヶ月)
材料
- 薄力粉 18g(大さじ2弱)
- ベーキングパウダー:アルミフリーのもの 0.8g(小さじ1/5)
- 絹ごし豆腐 15g
- 梨ペースト 20g
作り方
- 薄力粉、ベーキングパウダーをナイロン袋か小さい蓋つきタッパーに入れてふり混ぜます。
- ボウルに絹ごし豆腐をいれ、泡立て器でなめらかにます。
- 2に梨ペーストを加えて混ぜ、1を加えてダマにならないように混ぜ合せます。
- 耐熱容器に③を流し入れ、電子レンジ500Wで1分加熱します。
砂糖を使わず、梨の甘みを活かした蒸しパンです。器から取り出せば、手づかみ食べの練習にもなります。
材料
- 食パン(8枚切り) 1/2枚
- 梨ペースト 20g
作り方
- 食パンは軽くトーストして耳を取り除き、8cm程度に切ります。
- 1に梨ペーストを添えます。
食パンはそのままでは口の中でダマになりやすいので軽くトーストします。つかみ食べに興味がでてきたら、赤ちゃん自身にスティックパンを持たせ、練習に役立てます。
離乳食完了期(12~18ヶ月)
材料
- 鶏むね肉 20g
- 梨 10g
- 醤油 少々
- ブロッコリー 10g
作り方
- ブロッコリーはラップに包み、電子レンジ500Wで30秒加熱します。
- 梨をすりおろします。
- 鶏むね肉を赤ちゃんの一口大のそぎ切りにし、2に10分漬けます。
- フライパンに薄く油を敷き、3を焼き、最後に醤油をかけます。
梨に漬け込むことで鶏むね肉を柔らかくし、噛みやすくすることでができます。また、梨は下ごしらえだけでなく、味付けとしても使うことができます。大人用にもおすすめのレシピです。
材料
- 豚ひき肉 20g
- れんこん 10g
- にんじん 5g
- 梨 10g
- 小麦粉 小さじ1/2
- 醤油 小さじ1/5
作り方
- れんこんは皮をむいてすりおろし、人参は皮をむいてみじん切りにします。
- 梨は皮をむいて、すりおろし、2等分します。
- 2の半分と醤油を混ぜあわせ、ソースを作ります。
- ボウルに豚ひきにく、1、2の残り半分、小麦粉を加えて混ぜ合わせます。
- 4を赤ちゃんの一口サイズに成型します。
- フライパンにサラダ油を薄く敷き、5を弱火で両面3分ずつ焼きます。
- 6に3のソースをかけて、蓋をして1分蒸し焼きにします。
梨で豚肉を柔らかくし、卵の代わりにつなぎとして使うれんこんの効果でふわふわに仕上がります。また、梨の酸味と甘みを活かした、手作りのウスターソース風の味付けは大人にもお勧めです。
梨を使う際の注意点
生の梨は完了期ごろから
消化機能が未熟な赤ちゃんにとって、食物繊維が多く含まれる梨は生のままでは負担が大きくなっています。
生の梨は完了期ごろから手づかみ食べの練習として、誤飲しないように1/8スライス程度のやや大きめにカットして与えるのがお勧めです。
与えすぎに注意
梨には食物繊維とソルビトールという腸の活動をサポートする栄養が含まれているので、大量に食べるとおなかが緩くなることがあります。
梨は甘くて食べやすいので、赤ちゃんがうっかり食べ過ぎてしまわないように注意が必要です。
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まとめ
梨は水分が豊富で甘みがあるので、赤ちゃんに受け入れられやすい食材の一つです。
梨に含まれるたんぱく質分解酵素の働きを活かすことで、肉類を赤ちゃんにも食べやすくするためにも役立ちます。
また、梨の甘みと酸味を活かして、砂糖などの代わりに調味料としても使うことができるので離乳食だけでなく大人用のメニューにも使ってほしい食材です。
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