「切迫早産」という言葉を聞いたことはあるけど…。具体的にどんな状態なのか、どういった症状が出るのか、あまりピンと来ない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、切迫早産とはどういうものなのか、症状や原因について紹介します。
切迫早産とは?
切迫早産とは、一言で言うと“まだ分娩の時期ではないのに分娩してしまいそうな状態”のことです。
切迫早産と診断される時期
妊娠22週から36週までの期間に、胎児が生まれそうな状態になると切迫早産と診断されます。
この時期の胎児は、まだまだ発育も十分ではありません。そのため、この期間の分娩を「早産」と呼び、生まれた赤ちゃんは医療的な措置が必要になります。
つまり、切迫早産とは胎児にとって、早産一歩手前の危険な状態だと言えるでしょう。
切迫早産と診断されたら
切迫早産と診断された場合は、早産をしないような治療を施し、絶対安静を言い渡されます。少しでも長く母体に胎児を留めて、十分な発育ができるようするためです。
現代は医療の発達により、早産で生まれた赤ちゃんでも無事に育つことがほとんど。とは言え、生期産と呼ばれる妊娠37週から40週の間まで、母体でしっかりと発育するに越したことはありません。
切迫早産によって現れやすい症状とは?
出産時のような症状が現れます。
お腹の張り・痛み
お腹の張りと痛みは、切迫早産で一番現れやすい症状。ただ、お腹が大きくなってくると、切迫早産ではなくても、ちょっと動いたり疲れたりすると張りや痛みを感じるものです。問題のない張り・痛みと、切迫早産につながるものとは区別がつきにくいので、注意が必要です。
もしも次のような特徴があるようならば、危険信号。すぐにかかりつけの産婦人科に相談、受診するようにしてください。
- 規則的な張りや痛みを感じる
- 安静にしていても張りや痛みが治まらない
逆に、しばらく横になったり安静にしてるうちに張りや痛みがなくなっていくようであれば、問題ないと言えるでしょう。
出血
切迫早産の危険があると、出血がみられる場合があります。この場合の特徴としては、鮮血であること。
もし鮮血が出た場合は、たとえ下着にほんの少量の出血をしただけであっても、切迫早産の兆候であることも。「これくらいなら大丈夫」だと自己判断せず、迷わず産婦人科を受診してください。
破水
卵膜が破れ、羊水が流れ出てしまうのが破水。破水が起きると、早産につながってしまいます。赤ちゃんへの細菌感染の危険性があるため、すぐに病院に連絡してください。
破水で出る液体の特徴は次のとおり。
- 水っぽい、サラサラとしている
- 無色か、薄い黄色
- 無臭
- 力んでいないのに、ダラダラと流れてくる
ちなみに、卵膜のどこが破れたかによって、破水の仕方が違います。
- 卵膜の下の方が破れた場合は、量が多く一気に羊水が出る
- 卵膜の上の方が破れた場合(高位破水)は、少量がちょろちょろと流れ出る
特に高位破水は尿漏れと区別がつきにくい、といった体験者の声も。少しでもおかしいと思った時は、病院に相談すると安心です。
切迫早産は何が原因なの?
切迫早産の原因には、様々なことが考えられます。母体側と胎児側とに分けて、原因の一部を紹介します。
母体側の原因
卵膜や羊水が細菌に感染し、炎症を起こすと切迫早産の原因になると考えられています。
中でも、卵膜が炎症を起こしてしまう「絨毛膜羊膜炎」は、切迫早産の原因として一番多いと言われるもの。「絨毛膜羊膜炎」になると、子宮伸縮や破水を起こしやすくなってしまいます。
陣痛もないのに子宮頸管が緩み、突然子宮口が開いてしまうのが「子宮頸管無力症」。子宮頸管というのは、子宮の外と中を結ぶ管のこと。
通常はしっかりと閉じて胎児を支え、分娩になると開いて産道になります。この子宮頸管が、体質的に緩い場合などは切迫早産の原因となります。
「妊娠高血圧症候群」になると、全身の血管が縮み、高血圧になります。子宮動脈も縮むため、胎盤に血液が十分に行き渡らなくなることも。結果的に切迫早産を引き起こす場合があります。
羊水は多すぎても少なすぎても、切迫早産の原因となります。多すぎる場合は、子宮が圧迫され、伸縮が起こりやすくなります。一方、少なすぎる場合でも切迫早産の危険性は高まります。
喫煙、冷え、動きすぎ、ストレスなども切迫早産の原因となることがあります。
胎児側の原因
何らかの原因により胎児の低酸素状態が続き、弱ってしまうことを「胎児機能不全」と呼びます。
切迫早産の危険性があり、かつ胎児の状態によっては医師の判断で、人工的に早産にする場合もあります。
双子や三つ子などの多胎妊娠は、お腹が大きく重い分、張りや子宮伸縮を引き起こしやすくなってしまいます。そのため、切迫早産の危険性は高いと言えます。
まとめ
切迫早産と診断されたら、何よりも安静が第一。軽い場合は自宅での安静となりますが、状態次第では入院をすることもあります。いずれにしても医師の管理の元、しっかりと安静に過ごせば、早産を避けることは可能です。
また、切迫早産を防ぐためにも、普段から「お腹に力を入れること」や「冷え」には注意して過ごすといいでしょう。
細菌感染や子宮頸管無力症などは防ぐのは難しいですが、動きすぎや疲れすぎ、ストレスなどは回避することができます。妊娠中は、心も体もゆったりと過ごすことが切迫早産の予防には大切と言えます。