飽食の時代と呼ばれる現代の日本。スーパーやコンビニにはたくさんの食べ物が並び、栄養失調とは無縁の社会のように思えます。
ところが最近、3食きちんと食べていても“新型栄養失調”になる人が増えています。
新型栄養失調とは、カロリーは十分なのに栄養が足りていない状態のこと。高齢者や若者、子供に至るまで全年代で増えていて、さらに太った人にも多いというから驚きです。
今回は、子供の新型栄養失調の症状や原因、そして対策についてまとめました。
新型栄養失調の子供に現れやすい症状は?
新型栄養失調は、体を健康に維持するための栄養が足りていない状態。そのため全身に様々な症状を引き起こします。ここでは、子供に現れやすい症状の一部を紹介します。
発達の遅れ
子供ならではの症状の一つに、発達の遅れがあります。発育に必要な栄養が足りないため、身長と体重が増えない状態が続きます。
また脳や神経の発達も遅れるため、後々運動能力や思考能力にも影響が出る可能性があります。歯が抜け変わらない、生理が来ないなど、年齢に応じた体の発育を迎えられない場合も。
免疫力の低下
十分な栄養が取れていないと体の免疫機能がしっかりと機能せず、風邪や感染症にかかりやすくなってしまいます。
免疫力の低下は病気にかかりやすくなるだけでなく、アレルギー体質を招くこともあります。
粘膜や皮膚の荒れ
粘膜や皮膚の荒れも症状の一つ。例えば口内炎なども、数が多い・ずっと治らないなどの場合は新型栄養失調の症状と考えられます。
また爪が反り返っていたり、ささくれが多くできていたりするのも、たんぱく質やビタミンが足りていない証拠です。
筋肉量の低下
子供が転びやすかったり、疲れやすかったり、それが長期間続くのも新型栄養失調の症状です。
いずれも栄養不足による筋肉量の低下によるもの。体の疲れとともに無気力さを見せる子供もいるでしょう。
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子供が新型栄養失調になってしまう原因は?
偏った食生活が、子供の新型栄養失調の大きな原因となります。
ジャンクフードが多い
ハンバーガーやフライドポテトなどのジャンクフードを食事にする機会が多いと、新型栄養失調になる危険が高まります。
ジャンクフードはカロリーや脂質は高くても、ビタミンやミネラル、食物繊維などその他の栄養が圧倒的に足りません。毎日のようにジャンクフードで食事を済ませるのはやめましょう。
菓子パンやスナック菓子の過剰摂取
間食に菓子パンやスナック類を食べてしまうと、食事の時間にお腹が空かず栄養を十分に摂取できません。
あるいは、お腹に溜まるからといってこれらを食事代わりにするのは新型栄養失調の原因になります。
菓子パンやスナック類はカロリーと脂質がほとんど。子供がほしがることも多いと思いますが、避けた方がいいでしょう。
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炭水化物メインの食事が多い
チャーハンやラーメン、パスタなど炭水化物メインのメニューばかりを食べていると、栄養は偏ります。
白米や麺類は、もともと栄養豊富だった玄米や全粒粉を精製し、栄養をそぎ落とした状態のもの。
そのため炭水化物メインの食事のみでは、カロリーはしっかり取れても、ビタミン、ミネラル、タンパク質が足りなくなってしまいます。
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子供が新型栄養失調にならない為の対策は?
新型栄養失調を防ぐためには、いろいろな栄養をバランス良く取ることが重要です。子供が口にするものに、ちょっと気遣いをするだけで新型栄養失調への対策となります。
たんぱく質をしっかり取る
肉、魚、卵、大豆などのたんぱく質を毎食しっかり取る習慣をつけましょう。たんぱく質は不足すると発育に大きな影響が出てしまいます。
肉だけ、卵だけ…など一日に同じものが偏らないよう、数種類のたんぱく質をバランスよく配分してください。
一汁三菜を心掛ける
栄養バランスに優れた一汁三菜スタイルは、新型栄養失調の対策としてぜひ取り入れたいものです。
一汁三菜とは、ご飯などの主食の他に、主菜・副菜2品・汁物で構成されたメニューのこと。品数を多くすることで、たくさんの栄養素を取ることができます。
とは言え忙しいと、毎食一汁三菜を用意するのは大変なもの。そんな時は次のような工夫をしてみてください。
「チーズを乗せる」「ゴマをかける」など、食材をトッピングするだけでも取れる栄養が増えます。
一汁三菜のスタイルにこだわりすぎず、少しでも多くの食品を取るよう工夫することが、新型栄養失調への対策の第一歩です。
忙しくて一汁三菜の献立を作ることができない…。そんな時は、食事全体の色バランスを取るのを心掛けてみてください。
赤、緑、黄、白、とたくさんの色があることで自然に食品数が増え、栄養バランスが理想的なものに近づきます。
外食をする際も、一汁三菜を頭に思い浮かべてメニュー選びをするといいでしょう。
一汁三菜を再現できなくても、小鉢やサラダといった一品を追加することで、より多くの栄養を取ることができます。
おやつを栄養のあるものにする
おやつは、栄養のある食品が望ましいでしょう。果物やナッツ類がビタミンやたんぱく質、ミネラルを補えるので最適です。焼き芋やトウモロコシなど季節に応じたおやつも喜ばれます。
甘いお菓子やスナック類は、栄養はないに等しいので避けるのがベスト。どうしてもお菓子をほしがる時は、豆やイモ類など栄養のある食材を使っている和菓子がおすすめです。
まとめ
塾や習い事で忙しい現代の子供は、食事内容が偏りがち。
また両親が共働きなどで忙しいと、毎日食事バランスを考えるのも一苦労という状況もあります。そのため、想像以上に新型栄養失調になっている子供は多いようです。
慣れてしまった食生活を変えるのは大変なものです。でも「夕飯だけでも一汁三菜にする」「おやつを変える」など、できる範囲で少しずつ多くの栄養を取れるように工夫してみてください。