近隣が寝静まった時間に始まる夜泣きは、原因がわからず頭を悩ませるもののひとつです。あやしたりオムツを変えたりミルクをあげたりしても泣き続け、次第に不安や焦燥を感じるようになります。
病気ではないか、近所迷惑ではないかと心配が続き、気持ちの余裕が持てない状況に陥ることもあるでしょう。そのような場面で手早くご活用いただけるよう、夜泣きの様々な原因と対策をまとめました。
原因が判断しやすい夜泣き
お腹がすいている、オムツが汚れている、暑さや寒さを感じているための夜泣きは原因が明らかです。しかし単純な原因であるため、ささいな注意点を見逃しがちになります。
空腹じゃないけど満腹でもない
泣いている赤ちゃんにミルクをあげたところ、ごくごくと飲んだのに泣きやむ様子がありません。夜泣きの原因はお腹がすいているからではなかったのでしょうか。
実は赤ちゃんは、完ぺきに満腹にならない限り泣き続けてしまいます。ミルクを飲んで落ち着いたように思えても、あと少しほしくて泣いてしまうのです。
日頃どれだけミルクを飲んでいるか可能であれば記録し、赤ちゃんが満足できる量を把握しましょう。
発熱が起こる前ぶれ
泣き出したときには平熱でも、30分ほどすると熱が出ていることもあります。原因不明の夜泣きが続くとき、一度体温を測ってみるのも良いでしょう。
もし発熱していた場合は水分補給をしっかりと行い、首筋などを冷やしてください。ただし、39度を超える発熱の場合、できるだけ早く最寄りの医療機関で受診しましょう。
風邪をきっかけとした甘え
風邪をひいている赤ちゃんは普段以上に夜泣きをしますが、完治しても同じように夜泣きが続くことがあります。その場合、親の気をひきたくて泣いているのかもしれません。
風邪をひいて夜泣きをしたら優しく抱っこしてもらえた記憶は、風邪で体が辛くとも赤ちゃんにとっては幸せなことです。夜中に泣いたら以前のように抱っこしてもらえるかも、親と触れ合えるかもと期待して泣きます。
また、赤ちゃんは大人と違い、風邪が完治していることを主観的にしか理解できません。熱がさがっても咳が出なくなっても、体の調子がいつもとほんの少し違うだけで、まだ病気をしているように感じてしまいます。
医師から完治を告げられても、もう二、三日は風邪をひいていたときと同じように甘やかしてあげてください。それから徐々に、以前と同じ接し方に戻していきましょう。
暑さに弱い熱体質
体の内側に熱がこもりやすい、熱体質の赤ちゃんではありませんか?叫ぶように泣いたり、顔が真っ赤であったり、反り返るように泣いていたりする場合、熱体質かもしれません。
厚着しすぎではないか、エアコンの温度が高くはないか、毛布が多くないか、確認しましょう。
寒さを感じやすい冷え体質
熱体質とは反対に、体内が冷えやすい体質の赤ちゃんもいます。ぐずぐずといつまでも泣いたり、普段から手足が冷たかったり、背中を丸くして泣いていたりする場合、冷え体質かもしれません。
常温のミルクを与えることで体の内側から温めることができます。ミルクを飲まないときは、足や太ももなど下半身を中心にさすって温めてあげましょう。足元を温めてくれる靴下ですが、体温調節機能の発達を阻むおそれがあるので履かせないください。
原因が判断しやすい夜泣き:まとめ
以上、判断しやすい夜泣きの原因でした。こういった原因は、赤ちゃんの様子や顔色などを細かく観察することで気づくことができます。あれこれ手を打っているうちに気づけば泣きやんでいたということもあるでしょう。
次の項目からは、日頃の生活がおよぼす夜泣きの原因と対策について挙げていきます。
日頃の生活がおよぼす夜泣き
赤ちゃんはお腹の中で、朝や夜といった概念もなく過ごしていることをご存知でしょうか。それがお腹のそとに出たとたん、明るかったり暗かったりするのですから、慣れるまでたくさん戸惑い泣いてしまいます。
夜泣きは日頃の生活に深く関係しているのだと理解し、夜泣きが激しいのであれば生活リズムの改善につとめましょう。
お昼寝による影響
お昼寝をするとそのぶん夜に眠れなくなり夜泣きをしてしまう、ということはありません。もちろん、あまりに長時間のお昼寝だと夜に眠れなくなることもありますが、午前に一時間、午後に三時間といった一般的な時間であれば影響はないといえるでしょう。
しかし、夕方四時以降にお昼寝をさせてはいけないという点についてのみ注意しなければなりません。四時以降にお昼寝をさせてしまうと、就寝時間になっても赤ちゃんが眠ることができず、夜泣きにつながります。遅くとも、夕方四時には赤ちゃんを起こしましょう。
日中に起こる強い刺激
人の脳は眠っているあいだにその日の記憶を整理しますが、赤ちゃんも同様です。そのため日中に驚きや恐怖や興奮といった強い刺激を受けていると、脳の処理が追いつかず夜泣きしてしまいます。
脳が正常に機能し、成長している証なのだと前向きに受け入れましょう。あるいは、眠る数時間前から穏やかに過ごせる環境を作るなどの工夫が必要です。
生後六ヶ月未満で二時間以上起きている
生後六ヶ月に満たない赤ちゃんにとって、二時間以上起きていることは非常に負担がかかります。
夕方四時のタイムリミットに気を付けつつ、充分なお昼寝をさせてあげましょう。しかし昼間の刺激が少なすぎても夜泣きしますので、適度に遊ばせてあげることも重要です。
日頃の生活がおよぼす夜泣き:まとめ
大人でも、生活リズムが乱れているとストレスがたまったり体調を崩したりします。体ができていない赤ちゃんであれば尚更です。
自分で生活リズムを作ることのできない赤ちゃんのかわりに、周囲の大人が規則正しい生活を心がけてあげましょう。
夜泣き対策あれこれ・実践編
原因はわからない、でも早く泣き止んでほしいときもあります。そんなとき、すぐに試せる対策を行ってみてはいかがでしょうか。
音楽を聞かせたり、歌ってあげる
騒音が夜泣きの原因とならないよう静かな環境を作ってあげることも大切です。しかしお腹の中にいたときの赤ちゃんは、ずっと胎内で母親の体の音を聞いている状態でした。
音のない環境よりも、何か聞こえるほうが落ち着く赤ちゃんもいます。好きな音楽を聞かせてみたり、赤ちゃんがお腹にいたときに聞いていた曲を聞かせてみたり、あるいは歌ってあげるのも良いでしょう。
夜のドライブ代わりにバランスボール
車の振動はお腹にいたころの揺れと良く似ており、車に乗せるとぐっすり眠る赤ちゃんも多いです。
しかし一方で、ドライブの危険性を指摘する意見も出ています。対向車のライトやコンビニや街灯といった明かりが、赤ちゃんにとって刺激となり成長の妨げとなるという意見です。
また、深夜のドライブとなると運転手の集中力が眠気によって遮られ、事故の原因となりかねません。他に、夜泣きのたびにドライブに連れて行っていると、ドライブしなければ泣き止まなくなってしまうこともあります。
ではドライブにかわるものはないのでしょうか。車のような揺れを再現できるものとして、バランスボールが挙げられています。
赤ちゃんを抱っこしてバランスボールに座りゆらゆら揺れることで、赤ちゃんが泣き止み眠るというものです。膨らませるのが少々大変ですが、健康にも役立ちイスのかわりにもなりますので、一家にひとついかがでしょうか。
一度起こしてしまう
何時間も泣き止んでくれず、へとへとになって朝を迎えるよりは、いっそ起こしてしまうのも対策のひとつです。昼間と同じように室内で遊ばせるうちに、疲れて自然と眠りにつきます。
お父さんやお母さんへの負担が大きいのが難点ですが、時には開き直ることも必要かもしれません。
乳幼児用の医薬品に頼ってみる
何をしても夜泣きがおさまらないとき、薬に頼ってみてはいかがでしょうか。宇津救命丸も樋屋奇応丸も、乳幼児用の医薬品で安心して使用できます。夜泣きやひきつけ、風邪、寝冷え、消化不良、食欲不振、様々な症状に効果があります。
どちらも成分は違いますが効用に差はなく、どちらが確実に効くということはありません。赤ちゃんによって差が大きく、樋屋奇応丸が効く子もいれば宇津救命丸が効く子もいます。もちろんどちらも効かない赤ちゃんもいます。
ちなみに関東では宇津救命丸が、関西では樋屋奇応丸が一般的に知られており、地域や店舗によってはいずれか片方しか取り扱っていません。
夜泣き対策あれこれ・体質改善編
赤ちゃんによっては、体質が夜泣きの原因になっていることもあります。夜泣きを引き起こしにくい体質へ改善することで、根本的な対策となるでしょう。
体質が関係してるってどういうこと?
胃腸が弱いために夜泣きをする赤ちゃんがいることをご存知でしょうか。胃腸が弱いと、胃腸が冷えてお腹が痛くなったり苦しくなったりします。「寒さを感じやすい冷え体質」でも述べましたが、冷えは夜泣きの大敵です。
どれだけ常温のミルクを与えたり足をさすってあげても、冷えが改善されなければ、毎晩繰り返すことになります。ではどうすれば体質を改善できるのでしょうか、その方法を紹介します。
乳酸菌の一種、ロイテリ菌は赤ちゃんの味方
ロイテリ菌について、初めて耳にする方もいるかもしれません。ロイテリ菌は母乳に含まれている乳酸菌の一種であり、赤ちゃんはロイテリ菌の含まれた母乳を飲むことで免疫力がアップします。
悪玉菌やウイルスの働きを抑制し、免疫システムを良好に保つロイテリ菌は赤ちゃんにとって非常に重要です。赤ちゃんの身を守る、頼もしい味方だと考えてください。
しかし近年、ロイテリ菌を持たないお母さんが増えており、当然母乳にもロイテリ菌は含まれていない状態です。先進国ならではの生活習慣や食品添加物、そのほか様々な原因が考えられていますが明確にはわかっていません。
母乳からロイテリ菌を摂取できないと、赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか。すでにおわかりでしょう、胃腸の冷えからくる夜泣きです。
ロイテリ菌不足で胃腸が冷える、ということは
ロイテリ菌は乳酸菌の一種であり、乳酸菌といえばヨーグルトをはじめとした乳製品に多く含まれています。たくさんの働きをしてくれますが、主に腸内環境を整えてくれる優れた菌です。
「体質が関係してるってどういうこと?」でお伝えしましたが、赤ちゃんは胃腸の働きが弱いと夜泣きをしてしまいます。胃腸が弱いと満足に機能できず、冷えてしまいお腹が痛くなったり苦しくなったりするからです。
そこでロイテリ菌の出番となります。ロイテリ菌を摂取することで腸内環境を整え、冷えがもたらす弊害を取り除くことが、夜泣きをなくすことへと繋がるのです。
ロイテリ菌を補う方法
出典:amazon.co.jp
母乳にロイテリ菌が含まれていない場合、どのようにしてロイテリ菌を補えば良いのでしょう。
乳幼児向けに、ロイテリ菌を経口摂取できるサプリメントが販売されています。液体タイプのサプリメントがあり、スプーンで数滴飲ませたり、ミルクや離乳食に混ぜたり、乳首に塗って授乳したりできます。
夜泣きが続き、どんなにあやしても効果がないときは、このようなサプリメントの活用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
今までなかった夜泣きが1歳になって始まったら
これまで何事もなく安心して過ごしていたのに、1歳を過ぎたら突然夜泣きが始まることがあります。
原因や対策はこれまで述べたように赤ちゃんとほぼ同じですが、受ける刺激の大きさに関しては1歳児がより大きくなります。1歳になって以前より様々なことを感じ、考えられるようになると、そのぶん刺激も大きくなるのです。
「日中に起こる強い刺激」で述べたように、成長している証なのだと思い、ゆったりとした気持ちで構えていましょう。あまりにひどい夜泣きの場合、何らかの病気やストレスの可能性もありますので、専門医への相談をおすすめします。
まとめ
夜泣きで体力を削られると、気持ちの余裕まで削られてしまいます。そんなとき、少しでも良いので睡眠時間を確保できるよう周囲にかけあってみることも大切です。
人にはそれぞれ生活環境や事情がありますが、できればひとりで抱え込まず、様々なものを利用し頼って育児をされてください。
また、夜泣きは突然終わるといわれていますので、今の時期だけだと思って乗り切りましょう。
TOPICS:赤ちゃんに水道水でミルクや離乳食作りをすることによる影響と対策
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