最近芸能人も取り入れるようになったことで話題の「水中出産」。名前は聞いたことがあるという方でも、実際にどのようなものかきちんと理解していることは少ないのではないでしょうか。
別名「無痛分娩」とも呼ばれ一見楽な出産方法にも思えますが、もちろんメリットもあればデメリットもあるのです。
そこで今回はそんな水中出産の詳しいやり方や、メリットデメリット、実際にかかる費用までご紹介していきます。これから出産を控えている方、水中出産を検討している方は是非参考にしてください。
海外では定番の水中出産とは?
日本ではあまり知られていませんが、海外では定番の出産方法の一つなのです。ヨーロッパでは妊婦さんの約3割が水中出産を選択しているというデータもあるほど。最近ではモデルの長谷川潤さんや山田優さんなどが水中出産をしたことでも話題になっています。
ルーツは古く欧米やアフリカなどの出産方法
水中出産のルーツは古く、アフリカやハワイの一部などでは昔から行なわれている出産方法の一つです。実際に「水中出産」として浸透したのは1970年代で、フランスの産科医オダン博士が提唱したといわれています。
水中出産のやり方
水中出産は羊水と同じ温度、同じ塩分濃度のお湯の入ったプールの中で出産する方法です。プールに37度くらいのお湯を張り、自然塩を溶かして入ります。
ずっとお湯の中にいるのではなく、時間を決めて出たり入ったりするのが一般的です。通常分娩との違いは「水の中か空気の中か」ということと「どんな姿勢で産むか」ということくらいです。
「無痛分娩」は無痛ではない
水中出産は友情分娩よりも陣痛が和らぐので「無痛分娩」と言われています。しかし実際に無痛でできる出産などありません。それどころかただ分娩台に横になって赤ちゃんが出てくるのを待つ通常分娩とは違い、水中出産は自ら動いて積極的に赤ちゃんを出産する「アクティブバース」の考え方に則っています。
陣痛の痛みも通常より和らぐだけで、全く痛みを感じないということはないのです。あくまで痛みを和らげる、母子の負担を軽減するという認識を持っておくと良いでしょう。
水中出産のメリットは?
水中出産がトーロッパで定番となり、日本でも少しずつ浸透してきているのには訳があります。そこで、水中出産のさまざまなメリットをご紹介いたします。
通 常分娩との違いはなんといっても簡単に「フリースタイル分娩」ができるということです。陸の上でのフリースタイル分娩は、畳の上で天井から吊られたロープ などにつかまりながら行うのが一般的です。フリースタイルといっても重力があるために、その体勢には限界があるのです。
しかし水中出産ならば浮力があるために産みやすい体勢で出産に臨むことができるのです。分娩は長時間に及ぶため、お母さんが楽な体勢で出産できるというのは大きなメリットでしょう。
水中出産は、お風呂に入っているようなリラックス感を味わいながら出産することができます。ちょうど人肌ほどに温められたお湯の中にいるので、筋肉もほぐれ余計な力を使う必要もありません。
筋肉や緊張がほぐれることで、陣痛の痛みが軽減されることもあります。分娩台では同じ体勢でいきもうとするのでどうしても全身に力が入ってしまいます。
そのため膣も固くなって分娩にも時間がかかってしまうのです。水中出産では、陣痛の痛みが軽減されることで分娩時間も短く済むというメリットもあるのです。
筋肉や膣に余計な力が入らないことで、会陰切開のリスクを軽減することもできます。水温で血液のめぐりもスムーズになり、体が温められて膣内を傷つけることが少なくなるのです。
会陰切開のリスクが軽減されるということは、赤ちゃんの負担も軽くなるということです。ただでさえ狭い道を通る赤ちゃんが、緊張した膣内で締め付けられたり傷ついてしまったりする可能性が少なくなるのです。
また体外に出るときに、通常の出産方よりも水中の方が体に傷がつきにくいことも分かっています。
赤ちゃんは出産によって体外に出てくると同時に初めて空気に触れることになります。しかし水中出産の場合出産直後は羊水と同じお湯を感じることになります。
そのため通常の出産よりも赤ちゃんにかかるストレスが少ないと言われているのです。また水中出産ならば、赤ちゃんを1番に抱っこできる可能性もあるのです。
今回、いくしゃあ運営事務局で独自調査を行い、水中出産をされた方に、経験してわかったメリットについて答えて頂きました。
水中出産のデメリットは?
陣痛の痛みや赤ちゃんへの負担が軽減できて良いこと尽くしの水中出産ですが、リスクはあるのでしょうか?そこで日本や海外で水中出産を行うリスクやデメリットについてご紹介いたします。
水中出産が日本でそこまで浸透しない理由は、やはり衛生管理の難しさにあります。水の中での出産は水質管理を徹底しなければ感染症の原因にもなるのです。これはお母さんだけでなく、生まれてくる赤ちゃんへのリスクにもなります。
人肌と同じ37度という水温は、最も雑菌が繁殖しやすい温度でもあるのです。日本のしっかりした病院ならばそこまで心配する必要はありませんが、海外で水中出産を行う場合にはしっかりとした施設を選んで行うことをオススメします。
日本で水中出産を行う場合、産科医のいない助産院で出産することがほとんどです。そのため助産院で会陰切開などの医療行為を行うことができないのです。
万が一トラブルがあった場合、産科医のいる病院へ緊急搬送されることになります。受け入れ先を探している間に最悪の事態にもなりかねませんので、こうした危険性もしっかり考慮しておくべきでしょう。
水 中出産はストレスなく、すぐに出産できると考えている方も多いようですが、それは大きな間違いです。水中出産は「アクティブバース」と呼ばれ、「積極的に 産む」という考え方から生まれた代表的な出産方法なのです。水圧がかかることにより、通常分娩よりも多くの負担がかかります。
プールに行くと、歩いたり泳いだりしているだけなのに体力を消耗しますよね。水中出産もこれと同じで、その場に留まっているだけで体力を消費してしまうのです。途中で体力がなくなり、出産が困難と判断されるケースも多いようです。
そのため水中出産に挑む妊婦さんは出産前に体力トレーニングなどで出産に耐えられる体力をつけておかなければならないのです。
今回、いくしゃあ運営事務局で独自調査を行い、水中出産をされた方に、経験してわかったデメリットについて答えて頂きました。
水中出産できない妊婦さんは?
水中出産にはさまざまな制限や条件があるために、出産前から水中出産は不可能だと判断されてしまう場合もあります。水中出産ができないと判断されるケースには以下のようなものがあります。
- 双子以上の赤ちゃんを妊娠している場合
- 逆子の場合
- 早産の場合
- 水に対して恐怖心を抱いている場合
- エイズや心臓病などの持病がある場合
- 妊娠高血圧症候群の場合
- その他医師が危険と判断した場合
水中出産を希望する際には事前の説明会や検査などを受け、適正と判断された場合に限るのです。また例え直前であっても、医師の判断で中止になることもあるので注意が必要です。
水中出産を行う際の費用は?
では実際に水中出産を選択しようとした場合にかかる費用や病院選びのポイントについてご紹介いたします。
費用は通常分娩+数万~数十万円
費用は通常分娩からプラス5万~10万円程度です。水中出産だからといって、特別高いということはありません。しかし水中出産ができる病院自体が少ないので、施設によっては高額になってしまう場合もあるのです。きちんとした相場が決められていない、というのが現状のようです。
今回、いくしゃあ運営事務局で独自調査を行い、水中出産をされた方に、水中出産にどのくらいの費用がかかったのかについて答えて頂きました。
病院選びのポイント
水中出産する病院を選ぶ際には、施設がしっかりしているかを自分の目で確かめてみることが大切です。大事な母子の体を預けるので、信頼できるスタッフが揃っているかなども大事なポイントです。
具体的には個室に専用のプールがあり、水質管理を徹底しているところを選ぶのが良いでしょう。病院によっては説明会や勉強会が積極的に行われているので、参加することで雰囲気を掴めるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?水中出産は「自ら進んで出産する」というアクティブバースの考え方を持っています。そのため分娩時間も短く母子への負担も少なく済みます。
しかし日本ではまだまだ浸透していないために、万が一の時への対応が遅れる危険性もあるのです。水中出産を検討している方は、メリットもデメリットもしっかり受け止めて後悔のない選択をしましょう。