今や日本人の5人に1人は何らかの睡眠トラブルを抱えているとも言われています。疲れているのにぐっすり眠れない、たくさん寝たつもりでもちっとも疲れが取れないとお悩みではありませんか。
睡眠は時間さえ確保すればいいというものではなく、「質」がとても大切です。短い時間であったとしてもぐっすり眠ることが出来れば疲れも取れるでしょう。
今回は睡眠の質を上げる方法についてご提案します。
自分なりのリラックスタイムを作る方法
忙しくても寝る前には少しほっとできる時間を作りましょう。自分なりのリラックスタイムを作ることで、ぐっすり眠れるようになります。
1.リラックスできるハーブティーを飲む
寝る前に温かいハーブティを飲むと、気持ちがリラックスしてぐっすり眠れるようになります。ハーブティーにはカフェインが含まれていないので寝る前に飲んでも安心です。
2.アロマテラピーを利用する
ハーブは飲むだけでなく、香りを楽しむことも出来ます。アロマテラピーで使う精油の香りは直接脳に作用するので、リラックス効果も高いもの。安眠効果のあるアロマをご紹介します。
ティッシュに数滴たらして枕元に置くだけでより良い眠りのサポートをしてくれます。
自律神経のバランスを取る働きに優れたアロマです。ストレスが続いていると、自律神経の交感神経が活発になってしまい、眠りたいのに眠れないという状態になります。
マジョラムには交感神経と副交感神経のバランスを上手にとってイライラを鎮めてくれる働きがあります。
3.音楽をかけて眠る
テンポがゆったりとした音楽を聴くとリラックスしてα波が出てくるので、睡眠の質が上がるとされていますが、音楽なら何でもいいわけではありません。
歌詞が入っていると無意識のうちにその言葉が頭の中で巡ってしまうのでよくないのです。
寝る前におすすめなのは、ゆったりとしたテンポのクラシック音楽。クラシックのコンサートでつい眠くなってしまうのは、リラックス効果があるからかもしれません。
小鳥のさえずりや川のせせらぎなど自然の音が入ったヒーリングミュージックでもいいでしょう。かといって、一晩中音楽がかかっているとリラックスできません。できれば、タイマー機能などで自然にオフできるようにしておくことをおすすめします。
4.軽くストレッチをする
寝る前の軽いストレッチは全身の血行を良くしてリラックスさせる効果があるので、睡眠の質を上げるのに役立ちます。
激しい運動は逆に目がさえてしまいますから、身体をほぐす程度、筋肉が伸びて気持ちがいいというくらいの強度のストレッチで十分です。
冷え性の方は手足が冷たくて眠れないこともあると思いますが、血行が良くなることで冷え性の改善にもつながり、ぐっすりと眠れるようになるでしょう。
5.ツボを押す
ツボを押すことで血行が良くなったり、リラックスできたりするので、不眠の解消にも役立ちます。よく眠るためのツボをご紹介します。
足の裏、かかとの膨らんだ部分の中央にあるツボです。垂直に上から押すためにはツボ押しグッズがあると便利です。
頭頂部、耳からの線と鼻からの線を結んだ中央にあるツボです。親指では押しづらいので、中指か人差し指の腹で押してみてください。
首の後ろ、毛の生え際の少し下にあるくぼんだところにあるツボです。両手で後ろから頭を抱えるようにして、親指で少し上に向かって押すようにすると気持ちがいいです。
眠るための環境を整える方法
寝室を快適な環境に整えるのも、睡眠の質を上げるのに役立ちます。
6.エアコンの温度を調整
エアコンの温度は夏は低すぎず、25〜29度くらいに保つのが理想とされています。冬は高すぎず、15〜19度くらいが気持ちの良い温度です。
つけっ放しだと温度が下がりすぎたり、逆に上がりすぎて眠れないので、タイマー機能を上手に利用しましょう。冬は割と布団の中の温度が上がりやすいので、1時間程度ついていれば大丈夫でしょう。
夏はあまり早く消してしまうと夜中に室温が上がって目が覚めてしまうので、3時間くらいつけておくといいでしょう。
7.遮光カーテンにする
普通のカーテンですと日の出とともに外の光がうっすらと差し込んでしまいます。冬はまだいいのですが、夏は4時台に太陽が昇り始めますから、光に敏感な方は眠いのに目が覚めてしまうということがあるでしょう。
遮光カーテンにすればそんな心配もなくなります。遮光カーテンは光を遮るだけでなく、熱や紫外線もカットするので、エアコン代の節約にもなります。
8.空気清浄機で部屋の空気をキレイにする
寝室は日中も人の出入りがあまりなく、空気が淀みがちな場所です。毎日布団を干して掃除機もかけていれば別ですが、ダニやホコリも多い場所なので意外と空気が汚れているのです。
都会のビルの谷間よりも森林の中にいた方が呼吸も深くなりリラックスできるのと同じで、寝室の空気をキレイにすることで、睡眠に質を上げることが出来ます。リビングだけでなく寝室にも空気清浄機を置いて、寝る前に空気を浄化しておきましょう。
睡眠の質を上げる寝具と寝方
ぐっすり眠るには寝具選びも大事なポイントです。また、寝る姿勢はどのようにしているでしょうか。
9.枕
枕は高すぎず、低すぎず、立っている時と同じように、首が自然なS字カーブを描いている状態が理想です。
柔らかすぎる枕は頭が沈み込んでしまい寝返りが打ちにくくなりますし、枕をしないと顎が下がってしまい、呼吸を妨げる可能性もあります。仰向けになった時に少し後頭部が下がるくらい、横になった時は首の骨と背骨が真っ直ぐになっているくらいの高さが理想の枕です。
10.布団・ベッド
寝具は固すぎず、柔らかすぎず、寝返りを打ちやすい適度な固さが良いといわれています。眠りのサイクルが切り替わる時に寝返りをスムーズにできると睡眠の質が高まるのです。
ソファなど寝返りが打てない場所で一晩寝ると疲れが取れないのは、うまく睡眠を切り替えられていないからだと考えられます。一晩に寝返りを打つ回数は、個人差があるもののおよそ20~30回。これをスムーズに行うためには、寝た時に腰が沈みすぎない固さの布団(またはベッド)が理想です。
11.よく眠れる姿勢を見つける
寝る時はどんな姿勢で寝ていますか?その姿勢によっても熟睡度が変わってきます。
軌道が確保できる姿勢なので、いびきをかきやすい人は仰向けよりもうつ伏せ寝がおすすめです。また、腰痛のある人も腰に負担がかかりにくいので眠りやすい姿勢です。
呼吸が苦しくならないように、顔は左右のどちらかに向けて寝ます。正面を向きたい場合は真ん中に穴の開いた枕もおすすめです。
睡眠の質を上げるためのグッズ
眠る時に睡眠をサポートするグッズも使ってみましょう。
12.アイマスクをする
お部屋の環境によっては、電気をすべて消してもほんのり明るくて眠れないという場合があるでしょう。そんな時はアイマスクを使いましょう。光を遮断できますし、アロマスプレーなどを吹きかけておくとリラックスしながら眠れて一石二鳥です。
13.耳栓をする
疲れて神経が過敏になっている時は、ちょっとした音でも気になって眠れないものです。でも耳栓をするとそれも遮断できるので、ぐっすり眠れます。
耳栓をすると全く音が聞こえなくなって、何かあったとき困るのでは?と思うかもしれませんが、完全に、何も聞こえなくなるほどの遮断性はありません。目覚ましの音などは聞こえますが、細かい音は気にならなくなるので、睡眠の質は格段に上がるでしょう。
14.マウスピースを使う
いびき、睡眠時無呼吸症候群、歯ぎしりなどは周りの人に迷惑をかけるだけでなく、自分自身の安眠の妨げにもなっているのです。
マウスピースを使うとのどの奥の空間を広げて呼吸を改善することと、歯ぎしりによる歯への圧力も防止できます。原因によっては保険治療の一環としてマウスピースを作ることも出来ますが、自由診療でも作れます。料金は自費で2万〜3万円程度です。
睡眠の質を上げるための生活習慣
よく眠るためには普段の生活習慣がとても大切です。規則正しい生活をしてオンとオフの切り替えが上手にできるようになると睡眠の質も上がっていくでしょう。
15.朝しっかり太陽の光を浴びる
人の体内時計は約25時間なので、不規則な生活をしていると段々体内時計がずれていき、眠りたい時間に眠れなくなっていくのです。
朝は必ず決まった時間に起きてカーテンを開け、しっかり太陽の光を浴びること。これがとても大切で、太陽の光を浴びることで体内時計をリセットすることが出来ます。
16.日中軽い運動をする
昼間軽い運動をして適度に疲れておくと、寝つきも良くなり睡眠の質が向上します。運動を良くする人は不眠になりにくいという調査結果もありますから、日中適度に身体を動かしておくことが大事です。
運動する時間がなければ、家の中を雑巾掛けするとか、ランチの後に散歩をするなど少しの時間でも動きを増やす工夫をしてみましょう。
17.寝る前のスマホをやめる
夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されてくるので段々眠くなってきます。このメラトニンは目から受ける光の刺激によってコントロールされているので、夜遅くまでスマホを見ていると、ブルーライトの刺激でメラトニンの分泌量が減少し、睡眠障害の原因となります。
テレビも同様ですから、寝る前は少し灯りを落とした暗めの部屋で過ごすことが良い眠りをサポートします。
18.寝る前のアルコールは避ける
寝酒といいながら、寝る前にお酒を飲むのは実は逆効果です。寝る前のアルコールは中途覚醒や早朝覚醒の原因となるので、ぐっすり眠れず起きた時に疲れが残ります。
また、アルコールの利尿作用でトイレも近くなるので目を覚ます回数も増えてしまいます。寝る前のアルコールは控えましょう。
19.夕方以降はカフェインを摂らない
よく眠れないのに、寝る前にコーヒーを飲む人はいないと思いますが、カフェインの持続時間は意外と長いのです。
カフェインは摂取してから半減するまでに2〜4時間もかかります。その持続時間は8時間以上とも言われていますから、朝やランチの後にコーヒーを飲むのはいいですが、夕方以降は避けた方がいいでしょう。
カフェインはコーヒーやお茶だけでなく、コーラなどの清涼飲料水、チョコレート、栄養ドリンクなどにも含まれているので注意してください。
20.夕食は寝る3時間前までに済ます
食べてすぐ寝ると胃腸が消化活動中で活発に動いているので寝つきが悪く、睡眠の質も低下します。夕食は寝る3時間前までに済ませておくようにしましょう。
21.ぬるめのお風呂につかる
お風呂はシャワーだけで済ませてしまっていませんか。寝つきが悪い、よく眠れないときほど、湯船にしっかり入りましょう。お湯の温度はあまり熱すぎないように、38〜40度くらいがおすすめです。
ぬるめのお風呂に入ることで自律神経の副交感神経を優位にして、眠気を誘います。熱いお風呂は自律神経の交感神経を刺激して身体が活動状態になってしまいますから注意してください。
22.自分だけの「入眠儀式」を作る
例えば寝る前はパジャマを着て歯を磨くなど、毎日同じ行動を繰り返すことで、脳が「そろそろ寝る時間だ」という認識をするようになります。
ですから、寝る前には「必ずこれをする」という、自分なりの習慣付けをすることで眠りにつきやすくなります。
23.ゴールデンタイムに寝る
同じ睡眠時間を取っても、22時から6時間眠るのと2時から6時間眠るのとでは疲労度が全く違いますが、これは就寝時間と関係があります。
睡眠のゴールデンタイムは22時〜2時だといわれています。この時間に寝ることで睡眠の質を上げることが出来るのです。22時に就寝するのが理想ですが、遅くてもその日のうちには横になるようにしましょう。
この時間に眠りにつくことで眠りが深くなるので、成長ホルモンもしっかり分泌され疲労も回復しやすくなります。
眠りをサポートする食べ物&サプリメント・漢方
睡眠の質を上げるための食べ物や、食事からは摂りきれない栄養素を補うためのサプリメントなどをご紹介します。
24.睡眠の質を上げる栄養素と食べ物を摂る
睡眠の質は栄養バランスとも密接な関係がありますから、食べるものから見直してみましょう。
トリプトファンはアミノ酸の一種ですが、セロトニンという神経伝達物質の元となり、さらにセロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンに変化します。トリプトファンを摂ることで間接的に睡眠の質を上げることが出来るのです。
トリプトファが多く含まれている食べ物としては、バナナ、牛乳、蜂蜜、大豆製品などがあります。
寝る前のホットミルクは気持ちを落ち着ける効果もあるのでおすすめです。ほんの少し蜂蜜を入れてもいいでしょう。
ビタミンB1は糖質の代謝などに関わる栄養素ですが、疲労を回復し、精神を安定させる効果があります。
ビタミンB1が多く含まれている食べ物としては、豚肉、うなぎ、大豆製品、玄米などがあります。
ビタミンB12は脳に働きかけて体内時計を調整する働きがあるので、昼夜のリズムをつけにくい人に摂って欲しい栄養素です。
ビタミンB12が多く含まれている食べ物としては、レバー、牡蠣、さんま、あさりなどがあります。
25.サプリメントを利用する方法
なかなか自炊する時間がない人、生活が不規則で思うように食事が取れない人はサプリメントを上手に利用しましょう。
グリシンとはアミノ酸の一種で、体内でも合成できる非必須アミノ酸です。グリシンには血流を良くする働きがあります。
寝る前に全身の血流が良くなると、身体の深部の熱が手脚にもまんべんなく運ばれるので深部体温が下がるとともに、脳も休息することが出来るので、よく眠れるようになるのです。
エビやホタテなど魚介類に多く含まれているので、栄養バランスの良い食事をしていればそれなりに量もとれるのですが、睡眠の質を上げるためには「寝る前」に3g摂る必要があるといわれています。
それにはやはりサプリメントを利用した方がいいでしょう。グリシンはコラーゲンを作るアミノ酸の3分の1を占めていますから美肌効果も期待できます。
ストレス対策にもよく使われるギャバですが、神経伝達物質の一つです。興奮した神経を鎮めて、ドーパミンなどの過剰分泌を抑えることから気持ちをリラックスさせる効果があるのです。
日中に強いストレスを感じると、夜眠りたいのに眠れないという状態になることがありますが、そんな時に役立つのがギャバ。寝る前に30mg以上、疲れている時は50〜100mgくらい摂ると効果的です。
オルニチンはしじみに含まれる成分で、二日酔いに良いと人気がありますが、睡眠の質を高めて翌朝の目覚めをすっきりさせるという働きもあります。
毎日しじみを大量に食べるのも難しいので、サプリメントでとるといいでしょう。
26.漢方を利用する方法
慢性的な睡眠障害で悩んでいる方は、漢方薬局で相談してみてはいかがでしょうか。漢方は「眠れない」というその症状だけにフォーカスするのではなく、体全体を見ていきます。
よりよい眠りを妨げているものが何なのかわかれば、睡眠の質も上がっていくでしょう。ここでは不眠によく使われる漢方をご紹介します。
まとめ
睡眠は生きていくために必要不可欠です。しっかり眠れていないと疲れが取れないばかりか、体調を崩す原因にもなります。
ぐっすり眠れると朝もスッキリ目が覚めて1日気分よく過ごせるでしょう。今回ご紹介した方法を、出来るものから試してみてください。