妊娠すると、赤ちゃんは最初は胎芽と呼ばれ、その後に胎児と呼び名を変えてお腹の中でどんどん大きくなって行きます。
胎児の成長の為に食生活を気を付けるという人も多いと思いますが、一体どの時期から食生活に気を付ければ良いのか、またどんな栄養素が胎児の脳の発達に効果的なのか気になるところですよね。
今回は胎児の脳の発達のメカニズムと、発達促進に効果的な栄養素などについてまとめました。
胎児の脳が発達し始める時期は?
最初にエコーで赤ちゃんが確認できたと実感できるのは、妊娠6週~8週あたりで心拍が確認できた時という人が多いと思います。実は、この時期には既に脳が作られ始めています。
脳の発達のメカニズムについて
妊娠検査薬で陽性が確認できるのは妊娠4週頃です。この頃、一番最初に作られるのが中枢神経で、脳や脊髄、心臓などの神経が急激に発達する時期でもあります。
妊娠2ヶ月にあたる7週末には脳や脊髄の神経細胞の約80%がつくられ、この時期は『器官形成期』とも言われており、脳が著しく発達している時期とも言えます。
妊娠6週には、『味蕾(みらい)』という味を感知する器官が作られるので、脳では味を感じる事ができます。
妊娠6ヶ月を迎える頃には脳の神経細胞は更にピッチを上げてつくられるので、お腹の中にいる間に一生分の神経細胞ができ上がるとも考えられています。
五感の1つである聴覚は、妊娠7ヶ月頃に神経回路ができはじめるので、「お腹の中の赤ちゃんに声が聞こえる」というのも事実です。
脳の発達に影響する絶対敏感期
脳やその他の器官が急速に発達する妊娠2ヶ月は、器官形成期の他に絶対敏感期とも呼ばれます。その為、この時期に妊婦さんが薬を服用してしまうと、細胞分裂に影響を及ぼす恐れがあります。
細胞分裂が正常に行われないと、胎児の形態異常が起こる可能性があるので、この時期の薬の服用は必ず医師に相談する事が大切です。
胎児の脳の発達を促す方法は?
生まれた後の赤ちゃんと違い、胎児の脳の発達促進は母体を通じて行います。脳の発達に効果的な方法を『栄養素』と『胎教』に分けてお伝えします。
栄養素
妊娠中に摂りたいと言われる栄養素は沢山ありますが、その中でも効果的な栄養素は次の通りです。
妊娠初期に一定量の摂取を推奨されている葉酸ですが、神経や脳の発達のサポートをする大切な栄養素です。細胞分裂や細胞の成長も助け、細胞内の遺伝情報を収める役割を持つ『核酸』を正常につくる事にも一役かっています。
この葉酸が不足すると、脳神経の先天性異常のリスクが高まるともされているので、胎児の脳の発達には欠かせない栄養素です。
葉酸の多く含まれる食材は牛レバーや豚レバーですが、味のクセも強く苦手な人も多いので、ホウレン草やさつまいも、オレンジ等で摂取しましょう。また、つわりで思うように食事が摂れない場合は、サプリメントで摂取するのもオススメです。
神経伝達物質の元となる栄養素で、脳を活性化させて集中力を高める効果もあります。納豆やたけのこの表面に付いている白い粒状のものがチロシンです。
青魚からしか摂取できず、脳細胞を増やしたり、脳細胞同士の情報のやり取りにも必要不可欠な栄養素です。DHAが不足すると情報伝達がうまくいかなくなり、記憶能力などに影響が出る可能性があるので注意して摂りたい栄養素です。
直接的に脳の神経に影響を与えるわけではありませんが、栄養や酸素を母体から胎児に送る為に必要な栄養素です。母体が貧血気味になってしまうと胎児への栄養の運搬がスムーズに行かなくなってしまうので、鉄分も意識して摂るようにしましょう。
細胞同士をつなぐコラーゲンを作り、葉酸や鉄分の吸収力を上げる効果もあります。ビタミンCが欠乏することで、大脳辺縁系の一部にある『海馬』の発達が10%~15%減少するとも言われており、記憶能力に影響を及ぼす事があります。
いちごやレモンなどのフルーツからも摂取できますし、サプリメントでも効率的に摂取する事ができます。どの栄養素も摂り過ぎはよくないので、バランスよく摂取するようにしましょう。
胎教
胎児は妊娠7ヶ月頃になると体全体の機能をコントロールできるようになると言われているので、そこの時期から胎教を行う事が脳の発達に効果的です。
妊娠7ヶ月頃には、胎児も耳が聞こえています。お腹の中に向けて絵本を読んであげたり、話しかけてあげることによって聴覚に刺激を与えてあげられます。
胎教といえばモーツァルトが良いとされていますがクラシック以外でも音楽は右脳を活性化させる効果があります。母体がリラックスした状態で音楽を聴いているという事が大切です。
まとめ
胎児の脳は妊娠初期から出産するまでの間ずっと発達し続けています。
脳の発達を促進できるように、必要な栄養素を含んだ食材を食べる事を心がけ、バランスの良い食生活ができるようにしましょう。