妊娠に伴い必要となる体重管理ですが、なぜ体重が増えるといけないのでしょうか。
赤ちゃんの分もしっかり食べなくちゃ…と思ってしまいがちですが、実は過度な体重増加はかえって赤ちゃんの将来によくない影響を与えることも。
体重管理はどうして必要なのか、体重管理に役立つ方法はないか、チェックしてみましょう。
妊婦さんの体重管理って必要なの?その理由は?
妊婦さんにとって体重管理は必要であり、必ず行うべきことです。適正でない体重のままだと、赤ちゃんの将来に影響を与えたり、妊婦さんが病気や難産になってしまうことも。
これらのリスクを避け、母子ともに健康なまま出産するためには体重管理が必要となってきます。しかし妊娠して間もないお母さんにとって、いずれもどのような症状なのか、どう影響してくるのかわからず、危機感を抱きづらいのが現状です。
そこで、それぞれのリスクについて以下にまとめました。
赤ちゃんの将来への影響
もし妊娠中に不要なダイエットをしてしまうと、赤ちゃんによくない影響を与えてしまいます。
二分脊椎症
妊娠中に欠かすことのできない葉酸ですが、体重管理ができずに不足すると、赤ちゃんが二分脊椎症という障害を持って生まれる可能性が高いです。脊椎がうまく発達しない先天性の障害で、うまく歩けなかったり、トイレが困難になったりします。
成人病
母体から栄養を得られず小さな体で生まれてしまうと、成人病にかかりやすくなります。「成人病胎児期発症説」と呼ばれ、成人病になってしまう要因が胎児期の栄養不足にあるとされる説です。
お腹の赤ちゃんは栄養不足に陥ると、自分の細胞を殺してしまいます。そうすることで、栄養不足でも生きていける体に作り替えてしまうのです。このような体質こそが成人病になりやすい体質であり、結果、将来的に成人病を発症する確率が高くなります。
妊婦さんへの影響
妊娠高血圧症
高血圧、尿タンパクの症状があった場合、妊娠高血圧症と診断されます。
妊娠中はもともと、赤ちゃんへ栄養を送るために血圧がやや高めになってしまいます。しかし体重増加によって高血圧が進むと、頭痛やめまいや倦怠感といった症状が現れ、尿タンパクを引き起こすようになります。
尿タンパクもしくはタンパク尿とは、本来なら体内に留まるはずのタンパク質が尿に混ざり、排出される状態をいいます。体内のコントロールができておらず、余分な塩分なども排出できないため、進行すると尿毒症を引き起こす恐れがあり注意したい症状です。
なお、妊娠高血圧症は治療法が「出産を終えること」であり、そのため未熟児での出産につながります。赤ちゃんを健康に出産するためにも、避けたい病気のひとつです。
妊娠糖尿病
妊娠中に血糖値が高くなる糖代謝異常のことを、妊娠糖尿病といいます。妊娠前から糖尿病だった方は当てはまりません。
妊娠高血圧症や早産につながる恐れがあり、新生児の低血糖や奇形といった影響もあるため、糖尿病にならないよう体重管理が必要です。
静脈瘤(じょうみゃくりゅう)
静脈にある逆流を防ぐための弁が、正常に閉じなくなることで血液がとどまり、血管がいぼのように膨らむことを静脈瘤といいます。足にできれば「下肢静脈瘤」、肛門付近にできれば「陰部静脈瘤」などと呼び、膣内にできることもあります。
いぼのように膨らむだけでなく、ふくらはぎや太ももなどに網目状に血管が浮き出ることも静脈瘤のひとつです。
静脈瘤による赤ちゃんへの直接的な影響はありません。しかし、静脈瘤ができた箇所によっては運動が困難になりますので、母子ともに健康を維持するためにも気を付けましょう。
妊婦さんの体重管理っていつからすればいいの?
体重管理が必要だとわかったものの、いつからすればよいのか悩んでしまいますね。
個人差の大きい点ですが、統計上では五ヶ月から赤ちゃんの体重も増え、それに従って母体の体重も増えるとされています。そのため、五ヶ月以前に体重の増加があった場合は、食べ過ぎによる体重増加と考えられます。
体重の増減でする
しかし先で述べたように、体重は個人差が大きいです。いつごろから、と考えるよりは、基準となる体重からどのくらい増えたかでするとよいでしょう。
妊婦さんの体重の基準は、妊娠に気づいて産婦人科へ行った際に量った体重が基準となります。もし二ヶ月で体重が増えていたなら、赤ちゃんの重さがおよそ3g、羊水も30ml程度と考えると、食べ過ぎや運動不足による体重増加の可能性が高いです。
このようにして、赤ちゃんの成長度合いと体重の増減を照らし合わせると、判断しやすいでしょう。
妊婦さんの体重管理の目安となる基準は?
目安となる基準を知るためには、BMIによる肥満度を出すことから始めましょう。
BMIの計算式は以下の通りです。
妊娠前の体重(kg)÷身長(m)×身長(m)=BMI
BMIが出たら、以下の体重増加目安を基準に体重管理を行っていきましょう。
- BMIが18.5未満:9~12kg
- BMIが18.5~25未満:7~12kg
- BMIが25以上:5~7kg
体重増加のペースとして、一週間に500gほどゆっくりと増やしていくのが健康的です。
アプリ
計算方法がわかったとしても、毎回、計算して出すのは手間も時間もかかります。そこで、体重管理におすすめのアプリを使ってみましょう。アプリの名前に★がついているものは無料です。
iPhone
デザインが見やすく、写真付きの日記も記録できるアプリです。また、二人目を妊娠したときに一人目のデータと比較できるなど、長期に渡って使い続けられるシステムとなっています。
もともとは基礎体温を記録するためのアプリですが、妊娠モードが搭載されており、体重や体脂肪も記録できます。
Android
検診の際の体重だけでなく、朝晩の体重やその日の食事も記録できるアプリです。
iPhone・Android
出典:nimpu.jp
産婦人科医が開発に関わったアプリだけあって、非常に豊富な機能と使いやすさに溢れています。体重だけでなく妊娠・出産に関するQ&Aコーナーやおすすめのレシピといった機能もあります。
シンプルな機能と画面デザインが見やすいアプリ。パスコードも設定できるため、人に見られることなく利用できます。
まとめ
体重管理は大変ですが、体調のよい日に近所を散歩したり、食事のバランスを整えるなどして気を付けていきましょう。
何事もお腹の赤ちゃんを優先する気持ちで取り組み、出産までの体重を適正に保ってください。