子育て関連の雑誌などを見ていると、褒めて育てる子育法のような特集をよく見かけます。確かに色々な行動に対して褒めてあげることは、自分自身が認められたと感じ、子供の自信に繋がっていくと思います。
ただ小学校の高学年にもなってくると、小さい時のように褒めてあげられることは、だんだんと少なくなってきますよね。(反対に叱ることの方が増えているかもしれません。)
また反抗期に近い年齢なので、ちょっとした事に対して、褒めたりすると、その行為自体を上から目線で評価されていると感じ、イラッとさせたりして、安易に褒めるという行為自体が逆効果になりかねません。
ではどうすればよいのか…、それは「ありがとう」という感謝の言葉も、常日頃から意識して伝えておくということです。
「ありがとう」という言葉なら、上から目線に感じられることは、あまりないですよね。状況によっては嫌味にとられることもあるかもしれませんが…。
多くの場合は、ちゃんと対等な立場として感謝されていると感じてもらえるでしょうから、特に親子の間でイラッとさせることはないと思います。
「うちの子はもう大きいから遅いわ」なんて思わないでください。ちょっとした生活環境の変化でも子供の心は敏感に反応します。
最初は少し恥ずかしい気持ちが出るかもしれません。でも、「ありがとう」の言葉がけは、褒める意義を越えて親子の信頼関係をより強くして子どもの心を育てていきます。また、親自身も感謝する心を再認識できますのでぜひ実践していきましょう。
ではどういった場面で、自然に「ありがとう」と伝えることができるのか、まとめておきましたので、参考にして頂ければと思います。
頼みごとをして「ありがとう」を伝える為のキッカケを作る
子供ができるような事を選んで頼む。
(参考例)
子供に選ばせる。
上記のやり方では、手伝ってくれないというケースも出てくると思います。そんな時は、子供でもできるような事を2つ用意してどちらか1つを選ばせてあげましょう。
自分で選んだことであれば、素直に行動に移してくれる傾向にあるようです。
(参考例)
条件を付けてみる。
時には条件を付けて、行動に移させるのも一つの手です。
(参考例)
子供の心に「ありがとう」を届ける為の5つのポイント
子供の目を見て「ありがとう」を!
何か用事をしている時であっても、10秒でいいので手を止めて、子供の目を見て「ありがとう」と伝えてあげましょう。
ちゃんと目を見て伝えることで、感謝の言葉や気持ちが子供の心により届きやすくなります。
役に立ててよかったと思える言葉を添えて「ありがとう」を!
ただ単に「ありがとう」と伝えるよりも、何かお手伝をした事に対して、役に立てた、助けてあげられたと、思わせられるような言葉を一言添えれば、子供はより嬉しくなり、やる気や自信にもつながります。
子供の名前を言ってから「ありがとう」を!
たとえお母さんと子供だけしかいなかったとしても、子供の名前を言ってから「ありがとう」と感謝の言葉を伝えてあげれば、子供は自分だけへの感謝の言葉だと理解し、より伝わりやすくなります。
行動後1分以内に「ありがとう」を!
心理学では、人はその行動をしてから1分以内に褒められると、モチベーションのアップにつながると言われているようで、これは「ありがとう」という感謝の言葉でも当てはまるような気がします。
しかも大好きなお母さんやお父さんから、お手伝いなどの行動に対して、すぐに「ありがとう」と言われれば、後で言われるよりも何倍も嬉しく感じ、より自信にもつながることでしょう。
「ありがとう」を伝えるときは笑顔で!
子供は、お母さんやお父さんの顔色にとても敏感で、無意識に表情から、機嫌が良いのか、悪いのか、喜んでいるのか、怒っているのかを探っていますので、「ありがとう」と伝えるときは、笑顔で伝えてあげれば、子供はより嬉しい気持ちになります。
こんなときに心に響く「ありがとう」の言葉がけ
- そこの荷物片付けてくれたの?助かったわ。●●くん、ありがとう。
- 今日は早く起きてくれたの?ママ時間がなかったから助かったわ。●●くん、ありがとう。
- お茶碗とコップ、後片付けしてくれたの。●●くん、助かったわ。ありがとう。
- 靴を揃えてくれたの?すごく綺麗になったわ。●●くん、ありがとう。
- ペットにご飯(ドッグフード)あげてくれたの。時間がなかったから助かったわ。●●くん、ありがとう。
- 弟の面倒見てくれたの。ご飯の用意をしていたから助かったわ。●●くん、ありがとう。
- テレビのチャンネル変えてくれる?●●くん、変えてくれてありがとう。
- お風呂のボタンを押してくれる?●●くん、押してくれてありがとう。
- 新聞持ってきてくれたの。今取りに行こうと思っていたから助かったわ。●●くん、ありがとう。
- ゴミ拾ってくれたの?掃除しようと思っていたから助かったわ。●●くん、ありがとう。
- その他、自宅に来客を教えてくれた時や、子供から(体調不良などで)やさしい言葉をかけてもらった時など。
子供のお手本となって「ありがとう」の意味を理解させてあげる
「子供は親の真似をする」と言いますよね。親がよく言っている言葉や行動を、子供はドンドンと吸収して真似をしていきます。
例えば外食に行った時に、子供にお料理を持ってきてくれたから「ありがとうっていいなさい。」と強制的に言わせようとしても、子供はその意味をちゃんと理解していないので、まずは親がお手本となって行動に移してみてはいかがでしょうか。
外食に行った時なら、店員さんが頼んだお料理を持ってきてくれた時に、「ありがとう」、レジでお会計の際に、店員さんに「ごちそう様、ありがとう」という風に親が普段から言っておくということです。
子供はそういった行動も見ているので、お食事を持ってきた時に「ありがとう」と言った時の店員さんが笑顔などを見て、「ありがとう」という感謝の言葉の意味を自然と理解し、自分も言ってみようとなるのではないかなと思います。
効果的な「ありがとう」のオウム返しテクニック!
実は子供に「ありがとう」の使い方を理解させるのに、私が実際に実践してすごく効果的だったテクニックがあります。
それが「ありがとう」のオウム返しテクニックで、子供からありがとうを言われた時に、気持ちを込めて笑顔で、「こちらこそありがとうって言ってくれてありがとう!」とオウム返しのように伝えるのです。
子供はちゃんと受け止めてくれたという安心感と同時に、ありがとうと言われると嬉しいという気持ちをストレートに伝えることができます。そうすると、小さな子でもスッとありがとうの使い方が理解できやすいんです。
他の人とのやりとりよりも、俄然心に響く様で、やっぱり親子感のコミュニケーションが実社会での心を形成していくのだなと思いました。
さらに私の経験上、ありがとうだけで終わらず、そこから会話をつなげていくことで、 コミュニケーション能力も上がっていくと確信しています。
例えば、先だって長男とのやりとりのなかでこんなことがありました。
そこで私はすかさず
「ありがとう、お母さん全然気づかなかったから助かったわー」
とありがとうの言葉がけをしてから
「やっぱりお兄ちゃんはちゃんと家のことよく見てくれてるよね!」
とお兄ちゃんの良い所を彼自身に認識させるみたいな繋がりで会話をしてみたんです。
そうしたら、ちょっと照れくさそうに
「当たり前のことだから」
そして小声で
「なんか僕にできることあったら何でも言って」
と言ってくれました。
子どもは年齢が上がるにつれて、家の中での存在感や自分の役割のようなものに敏感になってきます。いつまでも子どもではない、親と対等な立場を求めるようになるのです。それを認めることに発展できる手段の一つが、ありがとうのオウム返しだと感じています。
「ありがとう」を伝える意識変えによる親のメリット
実は「ありがとう」を伝える側の親にもメリットがあります。
イライラや怒りを和らげてくれる
「ありがとう」って感謝の言葉を言うだけで、これまでイライラしたり、怒っていたりしていた気持ちが和らいだり、許してあげようという気持ちに変わったり、周りにも優しく接することができるようになります。
また子育てに対してイライラしていると、子供が何かいたずらや悪いことをしないか、ばかり目がいきがちになりますが、「ありがとう」を伝える意識に変えることで、子供の良い部分にも目がいくようになり、イライラが和らいで、穏やかな気持ちになりやすくなります。
楽しい事が見つかりやすくなる
子供に「ありがとう」を伝える為に何かないかなと、意識しておくだけで、意外と楽しいことや嬉しいことなど、新たに発見しやすくなります。
人間関係が良くなる
子供に対して「ありがとう」を伝える為に意識しておくと、ママ友など周りの人たちのよい部分が見つけられやすくなり、それを伝えていくことで良い関係を築けやすくなりますし、さらに笑顔で接することで、相手にその印象が残りますので、声をかけてもらいやすくなります。
まとめ
如何だったでしょうか。「ありがとう」という言葉が自然と出てくるような環境づくりをしておけば、子供の自信に繋がったり、子供が大きくなった時に、より良い関係を築けていけるのではないかなと思います。
また子供だけでなく、「ありががとう」を伝える側のお母さんやお父さんにも、よい変化をもたらしてくれると思いますので、ぜひ意識して伝えていってください。
TOPICS:幼児のうちから色々な経験をさせてあげたいとお考えの親御さんへ