不妊に悩む女性が最初に取り組む妊活が「タイミング法」です。
しかし、タイミング法を開始してもなかなか妊娠に至らず、このまま続けてもよいのか不安になる人も多いと思います。
自宅でタイミング法を実施している方は、まずは産婦人科を受診して、不妊の原因を調べるための検査をしてください。
既に医師からの指示でタイミング法を実施している方は、妊娠に至らないと更に不安になるかも知れません。
医師によって治療方針は様々ですが、一つの目安としてステップアップに移行する時期を把握しているとよいかも知れません。
今回はタイミング法で妊娠に至らない女性に参考になる情報をまとめました。
タイミング法で妊娠しない原因は?
タイミング法を実施しても妊娠に至らない場合、下記のような原因が考えられます。
自宅で実践している場合と、医療機関で医師の指示を受けている場合では原因が大きく異なります。
自宅で実践している場合に想定される原因
- 男性不妊:精子の数が少ない、運動していない、精子がない
- 無排卵:卵子が正常に成長しない、排卵しない
- 卵管の障害:卵管が詰まっている、狭くなっている
- 子宮筋腫:筋腫が邪魔をして受精卵が着床できない
- ホルモンの異常:黄体ホルモンの分泌不足、プロラクチンの過剰分泌など
- 機能性不妊:原因不明の不妊
自宅で実践している場合は、妊娠に関わる基礎的な検査をしていないので様々な原因が考えられます。
産婦人科や不妊治療専門機関で検査をすれば、すぐに原因が特定されるケースもあります。
医師の指示を受けている場合に想定される原因
医療機関で検査を受け、医師の指示に従ってタイミング法を実践していても妊娠しない場合、その原因のほとんどが機能性不妊となります。つまり、はっきりとした原因が特定できない不妊です。
そして機能性不妊の中で、高い確率で原因として疑われるのが「ピックアップ障害」です。
「キャッチアップ障害」とも呼ばれるこの症状は、排卵後に卵子を卵管に導き入れる機能の障害です。
通常は卵管の先にあるイソギンチャクのような形態をした卵管采が、卵胞から飛び出した卵子をキャッチして卵管に送ります。
しかし何らかの原因で卵管采が卵子をキャッチできない状態に陥ると、不妊を招くと言われています。
ピックアップ障害は現在の医療技術では検査で特定することができず、あくまで想定されている原因の一つとなります。
関連記事:タイミング法とは?どういった方法で行うの?間隔や時間帯は?
排卵誘発剤を使ったタイミング法とは?
医療機関でタイミング法の指示を受けている場合、排卵日をより確実に特定するために排卵誘発剤を使用するケースがあります。
人工的な排卵に拒否反応を起こす女性も多いですが、排卵誘発剤は上手に使用すれば妊娠の強い味方になってくれます。
排卵誘発剤のメリット
その名の通り排卵を誘発させる薬剤です。メリットは下記の通りで、排卵に何らかの障害がある女性には非常に効果があります。
- 未熟な卵胞を成熟させる
- 卵胞をたくさん育てて妊娠率を上げる
- 排卵を促す
- 狙った日に確実に排卵させる
排卵誘発剤のデメリット
一方デメリットは、薬剤なので副作用があることです。代表的な副作用は下記の通り。
- 卵巣が腫れる
- 腹水が溜まる
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 頸管粘液の減少
- 子宮内膜が薄くなる
- 多胎妊娠の可能性が上がる(双子や三つ子)
頭痛や吐き気といった身体的な症状から、不妊をより深刻にしてしてしまう頸管粘液の減少など、リスクは様々です。
全く副作用が出ない人もいますが、少なからずリスクはあると思っていた方が良いでしょう。
排卵誘発剤の種類
排卵誘発剤には経口剤と注射の2種類があります。
飲み薬
脳に作用して、卵胞を成熟させるホルモンの分泌を促す。
クロミッドよりも効果が弱く、副作用が少ない。
代表的な経口剤は上記の2種類。成分が卵胞に直接作用するわけではなく、ホルモンの分泌を促すだけなので自然な排卵に近いです。
ただし、長期間服用すると子宮内膜が薄くなり、流産のリスクが上がると言われています。
注射薬
卵胞刺激ホルモンと黄体ホルモンが含まれていて、直接的に卵子を成長させる。
黄体ホルモンを急増させて排卵を促す。
飲み薬での効果が充分でない場合に注射が用いられます。
効果が高い反面、卵巣への刺激も強く、卵巣が腫れることが多々あります。更に、流産や多胎妊娠の可能性も、飲み薬以上に高くなります。
排卵誘発剤の妊娠の確率
飲み薬の排卵誘発剤を使用しての妊娠率は、使用しない場合と比べて微増の25~30%。ただし、無排卵の女性が排卵する可能性は70~80%と高くなります。
注射の場合もあまり差はなく、30%前後の妊娠率と言われています。
排卵誘発剤を使用したからと言って劇的に妊娠率が上がるわけではありませんが、卵子の成長や排卵に障害がある方の可能性は確実に上がると言えます。
排卵誘発剤の費用
排卵誘発剤は飲み薬も注射も保健が適用されるので、そこまで高額になることはありません。
医療機関によって多少の金額の差はありますが、下記が平均的な金額となります。
- 飲み薬(1クール):500~1000円
- 注射(1回):500~2000円
1回のタイミングに対して5日間の服用が多いです。1ヶ月(1クール)単位で換算すると良いでしょう。
回数は卵胞の成長の具体やホルモンのバランスによって投与回数が異なります。1ヶ月(1クール)に1回の場合もあれば、10回程になる場合もあります。
医師の指示に従って治療を進めましょう。
タイミング法から人工授精へのステップアップはいつ?
5周期行っても妊娠に至らない場合は医療機関を受診してください。
その後、改めてタイミング法からスタートするか、人工授精にステップアップするかは検査結果と医師の判断に依ります。
5周期行って結果が出ない場合に人工授精にステップアップするケースが多いです。5周期以降に妊娠する確率が非常に低いからです。
しかし、医師の方針によっては、1年以上タイミング法を継続するケースもあります。
人工授精を飛ばすケース
タイング法の後に、人工授精を飛ばして体外受精に移行することをジャンプアップと言います。
タイミング法と人工授精の妊娠率はほぼ変わらないことから、人工授精で時間を使うよりも体外受精に移行した方が良いと考える医師も多いです。
タイミング法や人工授精を飛ばして、最初の治療から体外受精を推奨する医師もいます。
治療にかける時間と医療費のことを考えると、一番可能性の高い治療からスタートし、その後に人工授精、タイミング法と治療をステップダウンさせるのです。
特に体外受精専門病院では、タイミング法や人工授精の確率の低さから、ステップダウンを推奨する医師が多いです。
高齢の女性の場合、半年、一年という時間は非常に貴重なので、ステップダウンという考え方も頭に置いて正解かも知れません。
まとめ
自宅でタイミング法を行っている女性は5周期を過ぎたら産婦人科を受診することをおすすめします。
自然妊娠したい…と願う気持ちが受診を遅らせるケースが多いですが、根本的な原因がある場合はいくらタイミング法を実施しても、時間と労力の無駄になってしまいます。
病院でのタイミング法は医療費も高額ではないので、まずは受診をしてみましょう。
病院でのタイミング法で妊娠に至らない場合は、どのタイミングでどのように医師に相談するかがカギになります。
ご主人と事前によく相談をし、自分たちが次にどのような治療を望むのか、明確にしておくと良いでしょう。
場合によっては、セカンドオピニオンで色々な医師に相談することも有益です。