心が痛むような連れ去り事件が相次いで起こっており、今では高校生にまで連れ去りの魔の手が及んでいる時代だけに、子育てがひと段落ついた家庭でも気が抜けない世の中に変貌しています。
少子化で未成年者を巻き込む事件が減ったともいわれますが、昨年では100件、一昨年の2013年には94件もの連れ去りがあったことが警視庁の統計でわかっています。
しかし、この件数はあくまでも認知数なので実際には倍を上回る被害があったのでなないかと推測されます。
わが子を連れ去りから守るために、どのようなアクションを起こすべきか考えてみましょう。
怖いことが起こった時、何もできない子供
地域のパトロールや子供かけこみSOSハウスなど、子供を悪質な犯罪から守る手立てが各地域で取り組まれています。そして、学校などでも繰り返し指導されているのが、怪しい人を見たら防犯ブザーを鳴らす、大声を出す、逃げるといった回避法です。
しかし、実情としては頭でわかっていても、これらのことが実際にはできない子供たちが多いのです。
年末に放映されたNHKクローズアップ現代で子供の連れ去りについての特集が組まれていましたがその中で連れ去りにあった子供たちが回答したアンケート結果に驚くべき事実が浮上していました。
怖いことが起こった時
走って逃げた 46.4%
大声を出した 2.5%
防犯ブザーを鳴らした 0.8%
何もできなかった 19.7%
同席していた専門家は安全教育が機能していないことを強く懸念しています。大人が指導しているつもりでも子供にはいざというときに、回避法である対策が活かされていないのです。
※クローズアップ現代 どう守る?子どもの安全 ~相次ぐ“連れ去り”事件~
疑似体験を通して実践的に対策を身につけさせる
子供の連れ去り対策にはいくつかありますが、やはり子供の目線に立つことが重要です。子供の目を通してみる現実世界はユニークな反面、純真がゆえ犯罪に対する危機意識が薄いからです。
有効な対策に疑似体験をして耳から聞いたことを実践するという方法があります。一部の地域ではすでに導入されていますが、お家の方が実践することも可能です。
ポイントは結果論を押し付けないことです。危険だという認識力をつけることが大切です。
実践例
家族以外の人と二人きりになってはいけないことを教えます。 それはどうしてなのか?子供に答えを求めたうえで、大人が答えを告げます。
そして回避法を教えておきます。 例えば道で知らない人に何か尋ねられたら「わかりませ」んと謝ってすぐに逃げるなど。
そして、実際に同じようなシチュエーションを想定して体で覚えて、しっかり頭に入れていくのです。
地域安全マップに学ぶ対策法
地域安全マップ協会という、連れ去りなどの犯罪防止を防ぐ非営利活動法人があります。
犯罪が起こりやすい場所を風景写真を使って解説した地図を子供たちに作らせ、フィールドワークを通じて物理的に危険な場所、落書きなどが多くて人が近づかないような心理的に危険な場所を認識する力をつけるものです。
連れ去りが多いのは登下校です。地域安全マップを見習って、犯罪が起こりやすい場所を実際の通学路でも考えてみましょう。
春から学校に通うお子さんがいる家庭では、今の内から通学路を親子で実際に何度も歩いて、危険な場所を子供に教えていくことが連れ去り対策に繋がります。
地域安全マップでのポイント
・人が入りやすく、見えにくいという条件を満たした場所が連れ去りが発生しやすい場所。
・景色から常に危険を察知する力を高める。
子供を巻き込んだ犯罪は巧妙化しています。そして怪しい人の見わけが付かず、見かけで不審者が判断できないことも連れ去り件数を増やしている要因の一つといえます。
セコムの連れ去り対策に、逃げる・ことわる・近づかないの三か条があります。危機意識を認識する力とセットにして子供に覚えてもらいましょう。
※子どもの安全ブログ
セコム運営のサイトで子供の防犯に関する色々な役立つ情報が紹介されています。