妊娠にともなって起こるつわりですが、困るのが吐き気です。吐き気によってまともな食事ができず、体力を消耗し、寝ているばかりになってしまいます。吐き気を軽減するための対策を試そうにも、起きていることが辛いときは何もできません。
そこでおすすめしたいのが、横になったままで取り組める対策です。ツボ押しや寝方、アロマなどを紹介いたします。
つわりによる吐き気を抑えるツボは?
内関(ないかん)
吐き気に効果のあるツボといえば、内関です。内関は内臓に深い関わりを持つツボで、腕の押しやすい場所にあり、寝たままで簡単に刺激できます。
吐き気をはじめ、乗り物酔い、二日酔い、しゃっくり、胃痛、胃の不快感といった消化器系に効果があります。
手のひらを仰向けにしたときに見える、手と手首の間にあるしわの中央がスタート地点です。そこから指を、ひじに向かって3本置いたところが内閣の場所になります。
指先をぐっと押し込むように刺激しましょう。ツボの刺激は親指で行うのがおすすめですが、他の指が押しやすければ当然そちらで構いません。
6秒から8秒ほどかけて、ゆっくり押すことを5回ほど繰り返しましょう。なお、ツボの押し方に決まりはありませんので、自分の好みに合わせて回数なども変えてください。
中院(ちゅういん)
腹部にあり、胃腸の働きを高めてくれるツボです。つわりによる吐き気だけでなく、食べづわりにも効果があります。
吐き気、消化不良、食欲不振、胃もたれ、胃痛、下痢など。
みぞおちとへその中央にあり、へそから指8本分ほど上に位置します。吐き気や痛みがひどいときは、指圧せず蒸しタオルなどで温めるだけでも効果的です。
中指を中心に、人さし指、薬指の三本を使い、やさしく指圧してください。吐き気がひどい場合は、撫でたりさすったりするだけでも効果があります。
裏内庭(うらないてい)
消化器系に効果のあるツボで、足の裏にあります。
代表的な効果は食あたりですが、吐き気や腹痛や下痢、腹痛からくる体調不良に効果があります。また、風邪や発熱にも効果があり、万能なツボです。
マジックやシールなどを使うとわかりやすいので、可能であれば用意しましょう。足の人差し指の腹をマジックで塗りつぶします。シールであれば貼り付けましょう。
印をつけた指を折り曲げ、インクがうつったところにあるのが裏内庭です。シールの場合、シールが当たる場所に再度貼りつけましょう。
なお、普段は押しても痛くない場所ですが、吐き気がある場合には痛みを感じることもあります。
少し強めに刺激し、痛いけど気持ちいいと思えるくらいに押しましょう。あぐらをかいて足の裏が見えるようにし、両手の親指を使うと押しやすいです。横になったまま、家族に押してもらうのもよいでしょう。
足の三里(あしのさんり)
体全体の治癒力を高めてくれる、胃と関係のあるツボです。足の疲れを取るだけでなく、胃もたれなどにも効果があります。
吐き気や腹痛や下痢といった胃腸の不振に効果があり、足のしびれや膝の痛みといった足の不調にも効きます。
ひざを立てて座ると探しやすいです。ひざの外側にあり、お皿の下から指4本分下がったくぼんでいる場所です。押すと奥のほうから響く感覚がしますので、押しながら探してみるとよいでしょう。
左右の親指を重ねてツボを押します。残りの指で足を軽く握り、支えにすることで力を込めやすいです。上体をやや前のめりに倒し体重を乗せると、無理なく押すことができます。
5秒ほど圧力をかけ、ゆっくり力を抜いてください。3回から5回ほど繰り返すことで血流を良くし、胃腸の筋肉にも刺激を与えることができます。
関衝(かんしょう)
指にあるので体勢を気にせず手軽に押せるツボです。
吐き気やめまいなどを予防し、落ち着かせる効果があります。そのほか頭痛や不眠や耳鳴りにも効果があり、気分を落ち着かせたいときにも活躍します。
薬指の爪の生え際の小指側が関衝です。触るとくぼみを感じられる、比較的わかりやすい箇所となっています。
反対の手の人さし指と親指で、関衝のある薬指をつまみます。指の腹を使い、小さな円を描くように動かして刺激しましょう。
ツボ押しグッズ
指ではうまく力を込めることができない場合や、継続的な指圧が難しいときに役立つのがツボ押しグッズです。
様々なメーカーから販売されている指圧リストバンドですが、なかでも「シーバンド」はおすすめです。内閣のように、手首にあるツボに効く仕組みとなっており、内側につけられた突起がツボを刺激してくれます。
体質によっては効果が得られないこともありますが、利用者の7割がつわりによる吐き気の軽減を実感している商品です。
出典:amazon.co.jp
体中のどこでも指圧できる便利な指圧器です。先端と柄で二種類の指圧を行うことができ、ツボによって使い分けることができます。
突起はいずれも硬めとなっていますので、しっかり刺激したいツボにぴったりなグッズです。
握っていたくなる形をした木製のマッサージグッズ。サイズはSとLの二種類があります。
ツボを優しく刺激することができるうえ、木の温かさが手に触れているだけで落ち着きます。
グッズを買いに行けない、注文したけどまだ届かない、そんなときに代用できるのが米粒です。刺激したいツボに米粒をテープで貼り付けるだけで、ツボ押しの効果を得ることができます。
もちろんグッズを使用するほうが効果的ですが、手を動かすのも辛いときにぴったりです。
つわりによる吐き気を軽減させる寝方は?
起きているのも辛く、横になったものの吐き気が治まらないとき、寝方を変えてみましょう。
横を向く
仰向けに寝てしまうと、胃液が逆流しやすくなってしまい、胸やけを起こすことがあります。寝るときは横向きになることで胃液の逆流を防ぐことができます。
医学的には体の右側を下にするのがおすすめですが、体質によっては左を下にするほうが楽なこともあるため、自分の体に合った向きを見つけましょう。
上半身を斜めにする
介護用のベッドのように上半身を少し起こして横になることで、胸やお腹への負担を減らすことができます。仰向けならクッションを背中に挟んだり、横向きで寝る場合は枕を高くしたり抱き枕を利用するなどして工夫しましょう。
うつ伏せになる
お腹を圧迫しないことが基本ですが、うつ伏せが楽に感じる人もいます。中院のツボのように、みぞおちや腹部周辺には吐き気に効果的なツボがあるため、落ち着くのではないかと言われています。
注意点つわりがひどいと食事によって吐き気が起き、横になってしまいがちです。しかし食後すぐに横になってしまうと、かえって吐き気を悪化させることがあります。クッションや背もたれに寄りかかるなどして、10分ほどは上体を起こしておきましょう。
つわりによる吐き気を軽減させるアロマは?
アロマにはリラックス効果があり、つわりの時期でもしっかりと効果が得られます。
アロマの種類
吐き気に最も効果的なのが、ペパーミントの清涼感あふれる香りです。メントールの香りが胸の不快感を追い払ってくれます。
しかしペパーミントは香りが強いので、少量から使って好みの強さに調整してください。
爽やかな香りが吐き気を軽減してくれます。気持ちの高ぶりを抑える効果も期待できるため、不快感から苛立つ際に使ってみましょう。
シトラスの香りが胃のもたれを軽減してくれるため、つわりの際にぴったりのアロマです。実際にグレープフルーツのアロマを持ち歩いている妊婦さんも多く、精油の小瓶をひとつ手元に置いておくのがおすすめです。
アールグレイの香りづけにも使用されており、苛立った神経を落ち着ける働きがあります。気分が落ち込んでしまうときや、食欲がないときにも活躍する香りです。
オレンジの花から抽出したアロマで、つわりや吐き気に効果があります。植物の生命力を感じられる香りとなっており、つわりで落ち込んだ気分を明るくさせてくれます。
使用方法
専用の加湿器やディフューザーがなくとも、身近なものでアロマを利用することができます。
1、2滴ほど落とし、顔に向けてあおって香りを堪能します。
1滴落としたティッシュペーパーを使い、マスクの外側の端にしみこませます。
マグカップにお湯を適量入れて、1、2滴落として香りをかぎます。
肌が直接触れない箇所に数滴、落とします。
手軽に効果を得られるアロマですが、肌につかないよう気をつけなければなりません。アロマには月経を促すものや、ホルモンに作用するものもあるからです。
妊婦さんの体は非常にデリケートですので、どの作用がどのような影響を及ぼすのか詳細は判明していません。万が一を避けるために、アロマを直接つけることは避け、香りだけを楽しみましょう。
まとめ
ツボは薬を使うことなく吐き気を治めることができるため、妊娠中のデリケートな体にとって安心な療法です。慣れるまではツボの場所や押し方に戸惑うこともありますが、効果を信じて一週間ほど続けてみましょう。
ツボによる影響など不安があれば、専門医に相談のうえ行ってください。