妊婦さんの内50%~90%は、つわりによる何らかの症状を経験します。
つわりの症状や時期は個人差がありますが、一般的には妊娠7~9週に症状はピークを迎え12~16週頃には落ち着く妊婦さんが多いとされています。
酷い吐き気や頭痛のせいで家事や仕事どころか、ひどい時には起き上るのすらままならなくなてしまう事もありますよね。
特に、夕方から夜にかけてつわりの症状が一層酷くなる人が多いようです。
夕方から夜にかけては家族が帰宅し家事が一番忙しくなる時間帯です、つわりを我慢して無理してしまう妊婦さんも多いはず。
また、仕事をしている方は、帰宅ラッシュの電車内でつわりに見舞われて苦労した事はありませんか?
何故夕方から夜という一番忙しい時間帯に限ってつわりはひどくなるのでしょうか?その原因とお風呂に入る際の対策、眠れない時の対処法を紹介していきます。
つわりが夜にひどくなる原因は?
そもそもつわりの原因は、まだはっきりと解明されていないのです。
そんな状況の中で有力とされている仮説が“hcg”という妊娠すると分泌されるホルモンが嘔吐中枢を刺激して嘔吐や眩暈が発生するというものです。
他にも半分が父親由来の赤ちゃんを異物とみなし、体がアレルギー反応を起こしている、赤ちゃんの居心地がよくなるように体が変化している、など様々ありますが、原因はすべて仮説なのです。
妊婦さんでなくても夜に体調が悪くなる人は多いです、これは人間の生理現象が原因しています。
夜につわりがひどくなると感じている原因は、つわりだけでなく夜になると体調が悪くなりやすくなる人間の性質も関係があるかもしれません。
ここでは人間の生理現象として起こる不調と、妊婦さん特有の不調、両方の可能性を併せて原因を考えていきます。
交感神経が切り替わるため
人間は夕方から夜にかけて交感神経から副交感神経への切り替わりが行われます。
この切り替わりがうまくいかないことが夕方から夜にかけての体調不良の原因の一つで、さらに悪化すると自立神経失調症となります。
切り替わりが上手くいかなくなる原因として、ストレス・生活リズムの変化・睡眠不足など・ホルモンバランス(月経前など)の変化が挙げられます。
もちろん妊婦さんもこの切り替わりは行われています。
妊娠を機に体や環境が変化したことにより身体的精神的ストレスを感じることが多くなり、交感神経の切り替わりに悪影響を与えているのかもしれません。
体温が上がるため
人間には「概日リズム」と言われる24時間単位での体温リズムがあります。この体温リズムは、早朝が一番低く、上昇し続け夕方頃にピークを迎えます。
さらに妊娠中は黄体ホルモンが常に分泌されていて平熱が高くなるため、妊娠中の夕方は特に体温が高くなりやすいと言えます。
いわゆる微熱っぽい、という症状が起きやすくなるのは上記の理由でしょう。
つわりの症状と微熱の症状は似ているので、はっきりとどちらに見舞われているとは分かりませんが、夕方から夜にかけての体調不良の原因が体温上昇である可能性は高いです。
低血糖になっている
夜から深夜にかけて吐き気やめまいがある場合は、低血糖に陥っている可能性があります。
深夜は最後に食事をとった時から時間が空きます。
さらに妊娠中の体は平常時より養分を必要としているので、とくに妊婦さんは夜から深夜にかけて低血糖になりやすいと言えます。
一日の疲れが出ている
日中活動して溜まった疲れが夕方から夜にかけあらわれて、体調を崩しているのかもしれません。
妊娠する前の事を考えてみて下さい、夕方くらいから疲れがでてぐったりとした経験はありませんか?
妊娠中は平常時よりも体に負担がかかっていますので、気づかない内に疲れが溜まりやすいので無理せず過ごしましょう。
つわりが夜にひどい時のお風呂対策は?
妊娠する前はお風呂に入るのは普通の事だったと思いますが、妊娠してからお風呂に入るのが憂鬱で不安になったいう方は多いです。
お風呂の密閉感や外との温度差、においが籠りやすいなどお風呂は妊婦さんにとって不安要素がいっぱいです。
とはいえ、妊娠中は汗をたくさんかきますし、手足もむくみやすいので、つわりがひどい時でもお風呂に入ってサッパリしたいし、湯船に浸かってリラックスしたいですよね。
そこでつわり中の妊婦さんが少しでも安心してお風呂に入れるように、簡単にできる対策を紹介します。
においが強いものは変える
シャンプーやボディソープ・入浴剤など、妊娠中に使用していたものの匂いが強すぎてつわりの原因になる事があります。
つわりによる匂いの志向の変化を感じたら、早めに違和感を感じない匂いに変えましょう。
家族が使っているものに違和感を感じる場合もあるので、家族の理解も必要です。
湯船には入らない
湯気でつわりがひどくなる妊婦さんは多いです、また、お湯の中と外との温度差で体調が悪くなったりお湯の臭いがダメになったりと、つわりがひどい妊婦さんにとって湯船に浸かることは意外とリスクが高いです。
つわりで体調がすぐれない時は、無理にお湯に浸からずに軽くシャワーだけにしておきましょう。
浸かり方を変える
冬はシャワーだけでは寒いのでなるべくお湯に浸かりたいし、むくみがひどい時は湯船でマッサージしたいものです。
それなら、つわりがひどくならないように工夫してみましょう。
お湯の温度は約36度と温め(自身が心地よいと感じる熱さにするのが良いです)、お湯はいっぱいまではらずに、上半身がリラックスできるくらいの水位にして、ゆったりと浸かりましょう。
脚のむくみが気になるけれどお風呂に入るのが不安な時は足湯がおすすめです。
入る時間を変える
夕方から夜にかけてつわりがひどくなる人は、無理に夜に風呂に入らず、つわりが軽くなる時間帯に入浴するように調整してみましょう。
二人目・三人目妊娠中の方は、つわりの辛さの中で上の子と一緒にお風呂に入るのはとても大変です。
つわりがひどい時期は、子供とのお風呂タイムを昼間にしてしまうのもよいでしょう。
湯船に入らない
つわりで日中ずっと辛かった夜、お風呂に入るのはとても勇気がいりますよね。そんな時は入らないという選択肢もあります。
一日や二日くらい風呂に入らなくても人間は生きていけます。デオドラントシートで気になる部分を清潔にすれば十分です。
上の子だけでもお風呂に入れないと…と無理をするのは禁物です、つわりの時くらい旦那様をはじめ家族に任せましょう。
つわりで夜眠れない時の対処法は?
日中仕事や家事をして疲れたはずなのに、布団に入っても落ち着かなくて眠りにつけず気分が悪くなってしまうと、不規則な生活がお腹の赤ちゃんに影響するのではないかと不安になりますよね。
寝不足はストレスの原因にもなり、心も体も不安定になってつわりがどんどんひどくなってしまう妊婦さんもいるようです。
ただでさえ疲れやすい妊婦さんです、休める時にゆっくり休んで頂きたいものです。ここでは眠れない時の対処法を紹介します。
抱き枕を使う
妊婦さんにとって一番楽な姿勢と言われている「シムスの体位」という姿勢があります、眠れない時はこのシムスの体位をとって深呼吸をしてみるとよいでしょう。
これは横向きになって膝を曲げるもので、抱き枕を使うと安定し、より楽になります。
授乳クッション兼抱き枕であれば赤ちゃんが産まれてからも使えます。
また、陣痛の時に抱き枕があってよかったという経験談も多くありますのでこの機会に買っておくと良いかもしれません。
寝具を調整・変えてみる
どうしても寝付けない原因は意外と寝具にあるかもしれません。枕の高さや布の素材・布団の枚数を変えただけですっと寝付けたなんて事もあります。
つわりによる不眠が連日続く場合は、寝具を新しいものに変えてみるとよいでしょう。
足元を高くする
血行不良やむくみによる息苦しさで眠りにつきにくくなっているかもしれません。
足元を高くする事によって、心臓まで血液が流れやすくなり息苦しさが解消されて寝つきがよくなります。高さは心臓よりも高いところに位置するように調整しましょう。
体の締め付けをなくす
ウエスト部分や首元のつまりがきついパジャマを着ていませんか?妊婦さんにとって体の締め付けは厳禁です。
冬は冷え防止のため過剰に厚着をしがちですが、かえって体調を悪くしているかもしれません。妊娠したら締め付けのないデザインのパジャマを選びましょう。
軽食をとる
空腹になるり低血糖になるとドーパミンが分泌されて脳が活性化し、目が覚めます。糖分を摂取することによって、ドーパミンの分泌が抑制されて脳が落ち着きますので、少量でよいので糖分を摂取するとよいでしょう。
一般的には牛乳やハチミツなどに安眠効果があるとされていますが、つわりの状態だと受け付けないこともあるはず、自分にとって負担にならない物を食べましょう。
食べ方としては少量ずつ、冷たいものより温かいものの方が消化しやすいと言われます。無理のない範囲で調整して食べましょう。
まとめ
妊娠すると今まで普通にできた事がなかなかできなくなりますよね、特につわりの時は自分の体の事なのに変化が多すぎて把握できなくて苦労するはずです。
無理せずに、家族の協力を得ながら自分にとってやりやすい方法を見つけていきましょう。