子供も2歳を過ぎるころになると、早寝早起きの生活リズムが身についてきます。ところが最近は、夜更かしをして「遅寝遅起きの子供が増えている」という調査結果が。
医学的にも、子供の夜更かしは発達上好ましくないことが指摘されているため「どんな影響があるのか」「どうしたら早く寝るようになるのか」と気にするママの声を多く耳にします。
そこで、夜更かしが子供に及ぼす影響、なぜ夜更かしをしてしまうのか、早く寝かせるためにはどうしたらよいのかについて、お伝えします。
子供の夜更かしにはどんな悪影響があるの?
子供が夜更かしをすると、次のような好ましくない影響があることがわかっています。
身長が伸びにくくなる
夜更かしをすると、子供の体の成長に関与する「成長ホルモン」の分泌に支障が出ます。そのため、身長が伸びにくくなるということに。
成長ホルモンは寝ている間に作られ、睡眠に就いて寝始めてからの最初の3時間がもっとも多く分泌されるので重要だといわれています。
夜の10時から深夜2時にかけてがゴールデンタイムで、一番成長ホルモンが多く分泌されるという情報もあります。
しかしこれは間違いで、この時間帯に睡眠していることで重要な意味は、体内時計を適切に保つためだからです。
もちろん身長が伸びない理由は、睡眠以外に主な原因はいくつかあります。
え?こんなことも関係していたんだ!といった情報も見つかるかもしれませんので、気になる方は下記のページも参考にしてみてください。
→ 小学生で身長が伸びない理由は?伸びる時期ってあるの?測り方は?
脳の働きが悪くなる
早寝早起きで得られる「質の良い睡眠」が取れないと、脳の働きが悪くなります。
脳は体全体の司令塔。脳の働きが悪くなると、さまざまな支障が出てきます。子供の成長に関わる主なものを挙げてみましょう。
寝るべき時間に寝て、年齢に合った質の良い睡眠をとらないと、学習能力が低下します。
私たちの脳は、寝ている間に記憶した情報の整理や定着を行います。また、脳自身も疲れを取るために休息をとります。
こういったことがきちんと行われないと、学んだことが記憶として定着しないということに。
質の悪い睡眠は、ぼーっとするなど思考能力や集中力にも影響を及ぼします。
夜更かしをして朝早く起きた場合、子供にとっては睡眠不足状態。脳がしっかり休みを取れていないということになります。
思考能力や集中力の低下は学習能力の低下にもつながり、悪循環を生み出してしまうことにも。
些細なことで癇癪を起す、我慢ができないなど、感情のコントロールに支障が出ることが指摘されています。脳は、感情のコントロールにも関わっているためです。
肥満になる
睡眠不足は肥満傾向につながることがわかっています。医学的にも、子供の肥満予防には「質の良い睡眠をとる習慣が重要」と言われているほど。
先ほどお話した「成長ホルモン」は、睡眠中に脂肪分解をするという役割を担っています。夜更かしをすると成長ホルモンの分泌が抑えられるため、脂肪分解にも支障が出てしまうのです。
そのほか、食欲に関するホルモンなど、食事に関するいくつかのホルモンに乱れが生じ、肥満につながるといわれています。
子供が肥満になることで、実は色々な影響が起こり得る可能性があります。特に精神面での影響は、子供にとっては特につらくなるかもしれません。
→ 小学生の子供が肥満になることによる生活面&健康面への影響まとめ
体内時計が乱れて生活に支障が出る
私たちの体は、朝日を浴びてから約14時間後に少しずつ眠気を感じるようにセットされています。これを体内時計といいますが、夜更かしをすると体内時計の働きに乱れが生じることに。
体内時計が乱れると質の良い睡眠が確保できず、脳の働きに影響が出ることをはじめ、食欲不振、気力の低下、疲れやすくなるなど、生活全般に支障が出てきます。
さまざまな睡眠障害を生じる
夜更かしは、子供にもさまざまな睡眠障害が生じさせることがわかっています。睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」もそのひとつ。
そのほか次のような多様な症例が報告されています。
- 睡眠時遊行症(夢遊病)
- 睡眠時驚愕症(夜驚)
- 夜尿症
- 不眠症
- ムズムズ脚症候群
- 概日リズム睡眠障害
睡眠障害は、生活習慣病やうつ病につながる危険因子といわれているものです。
心身の安定した成長に支障が出る
ここまでご紹介してきたことすべてと関わるとも言えますが、夜更かしをすると、心身の安定した成長に支障が出ます。
その鍵を握るのが、朝日を浴びることで分泌されるセロトニン、眠気を催すメラトニンです。
この2つのホルモンは、穏やかで不安のない心、体の性的な成長に関与するもの。早寝早起きの規則正しい睡眠をとることで正常に分泌されます。
ところが夜更かしで分泌に異常をきたすと、性的に早熟になる、キレやすくなるなどの症状がもたらされることもあるようです。
キレやすくなる子供は、睡眠不足以外に主な原因がまだ3つもあります。気になる方は下記のページでまとめていますので、参考にしてみてください。
→ キレやすい子供には何か原因があるの?対処法&対策法を紹介
子供が夜更かしをしてしまう原因は?
なぜ子供は夜更かしをしてしまうのでしょうか。アンケートの調査結果も参考にしながら見ていきましょう。
夜更かしの原因では、大好きなパパ、仕事を持っているママの遅い帰宅時間に合わせて夜更かしをしてしまうケースが、かなりの割合を占めています。
お昼寝の時間が長すぎる、あるいは午後の遅い時間にお昼寝をすると、夜になってもなかなか眠気を催さなくなってしまいます。
お昼寝をしてくれるとママの自由な時間が増えるため、つい長めに寝かせてしまうということはありませんか?
子供が録画やレンタルのビデオを見たり、ママやお兄ちゃん・お姉ちゃんが見ているテレビにつき合ったりして寝る時間が遅くなるというケースです。
日中、体を動かして遊ぶことが少ないと、なかなか寝つけなくなります。
疲労しなければ、体も睡眠を必要としなくなってしまいます。子供にとって体を思いっきり動かして遊ぶことは、ぐっすり眠るための条件といっても過言ではありません。
特に理由もなく夕食の時間が遅いと、必然的に寝る時間も遅くなってしまいます。食べてすぐは、体が消化活動に入るため、眠ろうとしても眠れなくなってしまうのです。
スマホやタブレットの強い光を浴びていると、眠りに就きにくくなることがわかっています。動画やゲームのアプリを子守り代わりにしているママも多いようですが、気をつけたほうがよいでしょう。
まだ子供にスマホを与えていない親御さんも、「子供にスマホってはいつからが適切?持たせている理由&影響は?」で、スマホを持たせることによる影響以外に、いつ頃から持たせるのがよいのかなどまとめていますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。
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ママが不機嫌でいると、子供は安心できず、眠れなくなってしまいます。
安眠のためには、安心感が必要です。なかなか寝ない子供にイライラして「早く寝なさい!」などと怒鳴るのは、逆効果ということに。
割合的にはさほど多くありませんが、遠方にお稽古事に通ったりしているため就寝時間が遅くなるというケースも見受けられます。
夜更かしをせずに早く寝るようにするための対策は?
早く寝るようにするための基本は「早く起きること」を習慣化すること。そのほか、できる対策はいろいろあります。
いっぺんにすべてをこなそうとすると無理がきてしまうので、取り組めるところから少しずつ進めてみましょう。
早く起きれば、早く寝るようになります。眠くないのに早く寝かせようとしても無理というもの。早寝の第一歩は「早起きから」です。
幼稚園や小学校に通うようになると、朝の6時~6時半くらいには起床する生活が始まります。
いきなり時間を早めるのは難しいかもしれませんが、そこを目標に少しずつ起床時間を早めてみてはいかがでしょうか。
早く起きたら、朝日を浴びて体内時計のリズムをととのえましょう。カーテンを開けて外を見るだけでも大丈夫。続けていくと、1~2週間ほどで、体内時計が朝型に変化するといいます。
「夜更かしの影響」の項目でもお伝えしたように、朝日をしっかり浴びると、夜には自然な眠気が訪れるようになります。カーテンを開けて、親子で太陽にご挨拶しませんか?
朝食をしっかり摂って、体を活動できる状態にもっていきましょう。
朝食のメニューにはトリプトファンが多く含まれているものを取り入れると、目覚めや寝つきがよくなるといわれています。
トリプトファンは、豆類、牛乳、バナナ、アボカドなどに豊富に含まれています。
子供が好き嫌いが多いので栄養をしっかりと摂れているか不安と言う方は、こちらのページ「子供の成長期におすすめサプリの選び方&人気商品ランキング」も参考にしてみてください。
お昼寝の時間は長くても3時間程度、午後3時半には起きられるように調整をしましょう。
頑張って早起きをしても、お昼寝でたっぷり寝てしまっては、早起きした甲斐がなくなってしまいます。
日中はできるだけ外に出て体を動かしましょう。体を適度に疲れさせることで、自然な眠気が促されるようになります。
外で体を動かせないときは、工作やパズルなど、手先を使った作業をして、脳を適度に疲れさせるとよいでしょう。
こちらのページ「幼児の運動によって期待できる効果は?年齢別の運動方法は?」では、特に幼児(1~6歳頃)に運動させる方法やポイントについてまとめていますので、参考にしてみてください。
夜は家で過ごし、体が眠る態勢に入れるようにしましょう。ショッピングセンターなど、人口の光が強い場所でいつまでも遊んでいると、脳の興奮状態が続き眠れなくなってしまいます。
寝る時間を決め、できるだけその2時間前には夕食、1時間前には入浴をすませるようにしましょう。
入浴の直後は体温が高いため寝つきにくいのですが、1時間ほど経って体温が下がってくると眠りに就きやすくなります。
食事の後すぐの入浴は胃腸の働きを悪くするので、食事と入浴の間には30分~1時間程度の休憩を入れることも大切です。
入浴をしたらテレビやゲームなどはつけず、眠るための準備をしましょう。テレビやゲームの光は、脳を興奮させてしまいます。
子供がゲームをやり始めると言うことを聞かないと悩まれている親御さんは、こちらのページ「子供のゲームによる影響は?ルール決め&やめない時の対処法」も参考にしてみてください。
「入眠儀式」とも言われますが、眠る前の行動パターンを習慣化していくと、体が自然に眠りの態勢に入っていきます。
入浴→歯磨き→トイレ→ふとんへ
読み聞かせ、親子でおしゃべり、ベビーマッサージなどを取り入れることもおすすめです。
部屋を暗くして眠りを促しましょう。真っ暗にせず、小さな灯りはつけておいても大丈夫。そのほうが子供も安心するようです。
ママやパパも子供の生活パターンに合わせて行動しましょう。ママ・パパが遅くまで起きていると、どうしても子供もつられてしまいます。
先ほどお話した「成長ホルモン」は、大人になっても分泌されるホルモンで、またの名を「若返りホルモン」といいます。大人にとっても早寝はいいことがあるようです。
もしも、子供が寝た後にしたいことがある場合は、子供が寝入ってからそっと起きるなどの工夫をしてみては?
まとめ
夜更かしは、子供の成長にさまざまな悪影響を与えることが、おわかりいただけたでしょうか。その上、子供のころの夜更かしの影響が、大人になってから出る懸念もあります。
子供の生活リズムを作り、健やかな成長を促すことは、親の務め。睡眠は、その基本です。
ぜひこの機会に生活習慣を見直し、早寝早起きの生活を実践していきませんか?