近頃、小さな赤ちゃんを持つママさん達の間で心配の種となっている、揺さぶられっこ症候群ですが、とても不安になりますよね。
例えば…
「ブランコの様にスウィングしていたんだけど、こんな事も揺さぶられっこ症候群の原因になっちゃうの?」
「パパが高い高いをすると、赤ちゃんはとってもゴキゲン。だけど、私からするとパパの高い高いが激し過ぎて、揺さぶられっこ症候群になるんじゃないかととっても不安になってしまう。パパのこんな激しい遊びでも赤ちゃんは大丈夫なの?」
などなど、悩みはさまざまで尽きません。
情報を見ても、どれも何となく当てはまっている気もするし、少し心配な点はあるものの、大丈夫な様な気もしてくる。
こんな風に不安だらけの揺さぶられっこ症候群なのですが、そんなママさん達の悩みや心配事がひとつでも減ってくれたら、という思いを込めて色々とまとめてみました。
揺さぶられっ子症候群ってどの程度の揺れで発症するの?
あり得ないくらい極端に激しく揺さぶらない限り、滅多な事では揺さぶられっ子症候群にはなりません。
そこで、揺さぶられっ子症候群になるような極端に激しい揺さぶりってどの程度なのか?そこがママにとって一番知りたいところだと思うのです。
揺さぶられっ子症候群について、どうして多くのママ達が不安になり、何故こんなにも悩んでいるのかを考えてみますと、それは、赤ちゃんの頭の中がどんな状態になっているのかが見えないからではないでしょうか?
そこで今日は、どこのご家庭にもある物を使って、赤ちゃんの頭の中がどんな風になっているかを、目で見えるようにして調べてみました。
赤ちゃんの頭の中と似た動きを検証
用意した物は2つ。ビニール袋とタオルです。袋の中にタオルを入れて、その中に空気を入れて縛ります。
赤ちゃんの頭蓋骨は、生まれてから1年くらいの間に急激に大きくなる脳に備えてとても大きく作られているのです。その大きな頭の中に、小さな脳と弱い血管がスカスカとした状態でおさまっています。
この頭の中がスカスカしている新生児から6か月までが超危険な時期、更に1歳までが揺さぶられっこ症候群には危ない時期ということになります。
赤ちゃんの未熟な頭の中は、正に私が用意した袋の中と同じ様な状態になっているのです。
この袋を使って、赤ちゃんをあやすような動きをいくつかしてみたわけですが、このような結果になりました。
1.この袋を持って、赤ちゃんとブランコ遊びをするように、左右に大きくスウィングさせてみましたが、中のタオルは動きませんでした。
2.次に、赤ちゃんを抱っこして上下に揺れながら歩く、独特のママウォークを派手にやってみましたが、これも大丈夫でした。
3.この時、スリング(幅広の抱っこひものような物)に見立てた大きなストールの中に入れて揺れながら歩いてみましたが、同じくタオルは動きません。
4.今度は、赤ちゃんに高い高いをするように、ゆっくりと袋を両手で持ち上げて上下させたり、手から離して10センチほど宙に浮かせてから受け止めたりしましたが、これもタオルが動く事は有りませんでした。
5.普段高い高いをする時の何倍もの速さで、袋を持った手を思い切り素早く上に向かって伸ばした途端、タオルが動いたのです。この時は、タオルだけが袋の中で宙に浮いた状態になりました。
ネットの情報でよく目にする、『高い高いをした時に、素早く持ち上げゆっくり下ろす行為は危険』と云う言葉の意味が解りました。
これは、懐かしい言葉を使うなら、動いているものはその運動を続けるという『慣性の法則』に思い切り負荷をかけて自然の動きの邪魔をして止めているという事になります。
自然な上下運動に急ブレーキをかけている、という事ですよね。(念の為にお伝えしますが、高い高いは首の座っていない赤ちゃんにしてあげる遊びではありません。)
この他には、どうしたらタオルが動くのか。タオルの動き、これが、揺さぶられっ子症候群がどの程度の揺らしで発症するものなのかについての大きな鍵となる訳ですが、やってみてハッキリと実感する事が出来ました。
赤ちゃんを愛するママがいつもしているような、あやしや、揺れではタオルは動かず、つまりは、揺さぶられっ子症候群は、故意に激しく前後にシェイクするような揺さぶり方や、常識では考えられないくらいの速さで赤ちゃんを動かさない限り、日常生活において滅多な事では起こり得ないという事です。
私はこの後、袋と、今度は鈴を使って同じ事をしてみたのですが、大きな音がシャンシャンと鳴ったのは、やはり5のタオルが動いた時と同じ動きで超スピードで高い高いをした時です。
他は、鈴の音さえ鳴らない程で、普段のあやしの中には何も心配する行為はないのだと解りました。
バランスボールやバウンサーは大丈夫なの?
また、赤ちゃんを抱いてバランスボールで跳ねたり、バウンサーでの寝かしつけは大丈夫なの?といったお悩みも多くありますが、それに見立てた動きでも、袋を使ってやってみましたが、これも問題ありませんでした。
これは、5の超スピードの高い高いをした時だけタオルが動いた事を考えると納得のいく事です。
ボール運動は、慣性の法則にのっとった動きであり全く負荷がかかっていません。自然に上に上がったものが、自然に降りてくるのですから、無理矢理勢いよく高い高いをするのとはまるで違う動きです。
加えて言いますと、長時間の振動が赤ちゃんの脳に強い刺激を与えていると言われていますが、バランスボールで長時間の寝かしつけをする事は先ず有り得ませんし、バウンサーは深い専門知識の元で作られており、使用時間もキチンと定められています。
また、バウンサーは赤ちゃん自身が動く事で揺れるもので、ここにも無理な負荷は何もかかっていません。
バランスボールやバウンサーが、もしも脳に大きな衝撃を与える、赤ちゃんの苦痛を伴う動きだったとしたら、赤ちゃんが直ぐにスヤスヤと眠ってしまうような気持ち良い状態になるとは考えられません。
ここで知っておいて頂きたい事は、赤ちゃんの好きな「揺れ」と、それに対し揺さぶられっ子症候群の発症に至るような「揺する」と云う行為には大きな違いがあるという事です。
バランスボールやバウンサーなどは、赤ちゃんが気持ちよく揺れて眠ってくれる、とても素敵なママのお助けアイテムだと思いますし、何より1日中忙しいママには休み時間が必要です。
活用できるものは活用して、元気を回復したら、より一層赤ちゃんとの触れ合いが楽しくなるのではないでしょうか。
揺さぶられっ子症候群は車移動が原因で発症する事もあるの?
揺さぶられっこ症候群のお悩みの中には、車移動での心配も多くあります。
車移動で急ブレーキをかけたり、段差などではどうなの?
赤ちゃんを車に乗せて急ブレーキをかけてしまった、タクシーに乗っていたら急ブレーキをかけられた、など自分が気を付けていても問題が起きる場合があります。
しかし、急ブレーキや段差の衝撃を受けた時に、赤ちゃんの脳に損傷が発生する確率は非常に低く、とても稀なことです。
急ブレーキを踏んでしまった時や段差の衝撃を受けてしまった時に、赤ちゃんの様子に異変がなく、その後も普段と変わりなく過ごしているようであれば心配ありません。
ただ、車移動中の急ブレーキなどについては、何度も何度も急ブレーキをかけ続けたのでなければ、揺さぶられっ子症候群とはまた違った問題になり、どちらかというと事故が起きたととらえた方が良いです。
大人でも、急ブレーキをかけられた場合、頸椎(首の部分の骨)などを損傷する事が多くあります。
赤ちゃんの頸椎は柔らかいので、頚椎損傷はまぬがれたとしても、頸椎が柔らかいために今度は頭を大きく揺らす事になります。
赤ちゃんがぐったりしていたり、嘔吐や、けいれんなどの異変が見られた場合は、すみやかに病院へ連れて行く必要があります。
でも、何となく機嫌が悪いだけの様にも思えるし、ミルクを飲ませると少しだけ吐いているんだけど、これは家の赤ちゃんに時々ある事なのよね、大丈夫とは思うけどと、いつまでも心配しているのはママのストレスを増やすだけです。
大丈夫だとは思っていても、揺さぶられっ子症候群になっていたらどうしよう、と心にいつまでも不安を抱えているようであれば、病院に行ってお医者さまに診てもらうのも良いと思います。
ママがスッキリした気分で穏やかな日々を過ごす事は、赤ちゃんにとっても嬉しい事です。
また、長距離運転での車移動については、里帰り出産の方が多く悩んでおられます。親元で産んだはいいけど、生まれて間もない赤ちゃんを車に乗せて長時間車を運転して自宅に戻らなければならないのですから、心配は当然の事と思います。
長時間、赤ちゃんを車に乗せるのは危険なの?
車移動で受ける振動は、赤ちゃんが日常受けている振動とは異なるものですから、実際にガタガタ道を長時間走り、脳に損傷が残ってしまった例があるようですが、これは、月齢に合ったチャイルドシートを着用して、なるべく悪路を避け、時々休憩を取る事で回避できます。
長時間の運転は、事故にも繋がりかねませんので、赤ちゃんへの負担を減らしママの運転疲れを取るためにも時々休憩を取り、ゆっくり安全運転を心がけて下さい。
揺さぶられっ子症候群が発症するとどういった症状が出るの?
具体的には下記のような症状が出ます。
- けいれん
- 嘔吐
- 顔色が悪くなる
- ぐったりしている
- ミルクや母乳を飲まない
- 表情、反応がない、笑わない
- 長時間眠り続ける、月齢に合わない睡眠時間
- 今まで凄く泣いていたのに急に泣き止んだ
- 泣き続ける
- 視力の低下・目が合わせられない
- 聴力の低下・呼んでも反応しない
では、揺さぶられっ子症候群が発症すると、一体どうしてこのような症状が出るのか。
揺さぶられっ子症候群は、激しく揺さぶられた事で、頭蓋内(頭の中)で脳が激しく動かされた事により、強い衝撃を受けて傷付いている状態です。
急性の頭蓋内出血(クモ膜下出血)や、脳挫傷を起している場合もありますし、脳だけではなく、眼底出血などを引き起こしていることもあります。
そうなると、普段脳から送られてくる信号が、脳の激しい損傷により送られなくなるのです。
揺さぶられっこ症候群が発症すると赤ちゃんがよく眠るのはなぜ?
赤ちゃんは、お腹が空くと泣いてお母さんに知らせてくれますが、お腹が空いたという信号が脳に届かなかったり、発信する事が出来なかったり、理解できない状態になっているのです。
もちろん、深く脳に傷を負っているのですから、ダメージからくる眠りでもありますが、お腹が空いた事や、オムツが濡れても気持ち悪いという信号が行き来していませんから、いつまでも昏々と眠る事が出来てしまうのです。
脳が受けた衝撃の大きさの違いによって、揺さぶられっ子症候群の症状にも違いが出ますが、はっきり目に見えていつもと違う!と感じた場合はすみやかに病院に行って診て貰う必要があります。
後から発症する事もあるの?
この様に、直ぐに症状が現れる場合もありますが、現れていても赤ちゃんの月齢や症状によっては気付かないまま1、2か月過ぎていた、といったケースもあります。
それは、赤ちゃんが小さ過ぎた時などは、元々動きや表情が少ないため変化に気付き辛い点が多くある事と、出血の量が少なかった場合など、じんわりと脳を圧迫し続ける事があるので症状が遅れて出てくることがあるからです。
もしも、特別な理由で、日常的なあやしではないくらい赤ちゃんを強く揺さぶってしまったり、揺さぶられっ子症候群の事を知らずに、長い間(20分以上)振り回してしまったなど、はっきりと日常ではないあやしをしてしまった事に気付いた時は、安易な自己判断をせずに診察を受ける事も大切です。
まとめ
赤ちゃんを持つママにとって、噂で聞いている揺さぶられっ子症候群は、とても心配なものだと思います。
一般的なあやし方・安全な揺れ方
- 高い高いなどの上げ下げ(激しくしない)
- 横に揺らすスウィング(首とお尻をしっかりと固定して)
- ブランコのようにして縦に動かすスウィング(首とお尻をしっかりと固定して)
- 赤ちゃんを抱っこしてママが身体をひねるような半円運動
- 単に抱っこしてママが上下に揺れながら歩くママウォーク
- スリングなどの抱っこヒモをして揺れながら歩くママウォーク
これらが一般的なあやし方や安全な揺れ方ですが、揺さぶられっ子症候群が発症すると言われる揺さぶり方には、超スピードの高い高いの他に、もう1つ特異なものがあります。
それは、前後に赤ちゃんを揺する異様な行為です。前後に激しく揺すれば、最初にお伝えした袋とタオル・鈴の動きでも、難なく袋の中のタオルは揺れますし、鈴は前後に投げ飛ばされ壁に衝突でもするかのような勢いで動き、シャンシャンと大きな音を立てます。
果たして、赤ちゃんの肩や胸ぐらをつかむなりして、前後に激しく何度も揺さぶる事が日常の中であるでしょうか。
もしも、極度のイライラがつのって赤ちゃんを強く揺さぶってしまいたくなるような日があるのなら、ご主人の休日などはご主人に預けて、赤ちゃんと少し距離を置き、外に出てカフェに行くなどしてみるのも、大切な心のケアになりますよ。
揺さぶられっ子症候群は、2002年より母子健康手帳に記載されるまでになり、近年では、母親学級で助産婦さんが人形を使って実際に、揺さぶる所を実践して学ばせてくれるといった地域も増えてきました。
それはそれは、人形とは言え「止めてー!」と言ってしまいそうなくらい、目を覆いたくなるような激しさで揺すり続けるそうです。
母子手帳に記載されたり、母親学級で教えてくれるようになったほど多くのママが揺さぶられっ子症候群に不安を持っているということなのでしょうが、ネット社会になり情報だけが独り歩きをした部分も否めません。
落ち着いて、今一度赤ちゃんの様子を見てみましょう。その上で、赤ちゃんに今、特別な事が起きていないのならば、どうか安心して、赤ちゃんを抱きあげ、ふたり仲よくいつものように楽しく優しく揺れてあげて下さい。
ただ、何度も言いますが、色々と調べても、どうしても気になって気になって、心配でたまらないという場合は、ママの精神バランスの方が心配になってくるので、赤ちゃんの健康状態を見て貰うつもりで気軽にかかりつけの病院に行ってみるのも良いと思います。心を守る事も、大切な事ですから。
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