集計時に見かける「延べ人数」と「実人数」の差とは?その意味や読み方を紹介

集計時に見かける「延べ人数」と「実人数」の差とは? 雑学・豆知識

メディアでしばしば目にする「延べ人数(のべにんずう)」という用語。

通常の人数のカウントとは何が違うのでしょうか?

また、対照的な概念である「実人数(じつにんずう)」とはどのような数値を指すのか、その違いについてご紹介します。

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「実人数」と「延べ人数」の定義と使い方

よく耳にする「延べ人数」という言葉ですが、ビジネスやイベントなどの集計時にも使われます。

これに対してあまり一般的ではないかもしれない「実人数」という言葉もありますが、両者はどのような意味で区別されるのでしょうか?

たとえば、自治体が発表する観光地の入込客数には、「延べ人数」と「実人数」または「実人員」という、2つの異なる数値を示すデータが存在します。

これらは統計を取る上でよく使用される単語であり、正確な情報を伝えるためには、それぞれの言葉の意味を正しく理解し、適切に使い分ける必要があります。

それぞれの定義と使い方を解説します。

「実人数」と「延べ人数」の違い

実人数

個々の存在としての具体的な人数を指し、たとえ複数回活動しても1人としてカウントされます。

延べ人数

一人が何度も参加した場合も含め、その都度カウントすることで総活動回数を示します。

例を挙げると、Aさんが1つのイベントに10回参加した際、実人数では1人と見ますが、延べ人数では10人と数えることになります。

同様に、5人がそれぞれイベントに10回ずつ参加した場合、実人数は5人ですが、延べ人数では50人として計算されます。

実人数

5人×1回(イベントに参加した個々の人数)=5人

延べ人数

5人×10回(イベントに参加した個々の合計参加回数)=50人

一般的に、「延べ人数」はイベントなどへの合計参加回数「実人数」は実際に参加した個々の個人の数を意味します。

イベントの成功をアピールする際には、数字が大きくなる「延べ人数」を用いることが一般的です。

研究やデータ分析では、これら二つの数値は異なる側面を示すため、適切に区別して使用することが重要です。

そのため、どちらの概念も理解し、状況に応じて正しく使い分けることが、実態把握と分析においては欠かせません。

「実人数」と「延べ人数」の違いをわかりやすくした例文

様々なシチュエーションでの延べ人数と実人数の例文をご紹介します。

1. カフェの週末来店客数

カフェの店内

  • 土曜日の来店客:木村さん、高橋さん、小林さん、岡田さん
  • 日曜日の来店客:木村さん、高橋さん、小林さん、岡田さん、佐々木さん
延べ人数(9名)

土曜4名(木村、高橋、小林、岡田)+日曜4名(木村、高橋、小林、岡田、佐々木)=9名

実人数(5名)

土曜日と日曜日で重複する人を除く5名(木村、高橋、小林、岡田、佐々木)

2. オンラインセミナーの参加者数

オンラインセミナー

  • 初日の参加者:田中さん、佐藤さん、鈴木さん
  • 二日目の参加者:田中さん、佐藤さん、伊藤さん、山本さん
延べ人数(7名)

初日3名(田中、佐藤、鈴木)+二日目4名(田中、佐藤、伊藤、山本)=7名

実人数(5名)

2日間で重複する人を除く5名(田中、佐藤、鈴木、伊藤、山本)

3. スポーツクラブの参加者数

スポーツクラブ

  • 月曜日の参加者:松田さん、小島さん、安部さん、野口さん、有村さん
  • 水曜日の参加者:松田さん、小島さん、有村さん、石井さん、
延べ人数(9名)

月曜5名(松田、小島、安部、野口、有村)+水曜4名(松田、小島、有村、石井)=9名

実人数(6名)

月曜日と水曜日で重複する人を除く6名(松田、小島、安部、野口、有村、石井)

これらの例を通じて、「延べ人数」とは活動や参加の総回数を、一方で「実人数」はその期間内で実際に異なる個人の総数を指すことが理解できます。

「延べ人数」の表記に潜む警告

報道や情報発信で頻繁に目にする『延べ』という言葉ですが、これが意図せず誤解を招くこともあり得るため、注意が必要です。

『延べ』という言葉の使用には、数字を巧みに扱い、受け手に実際以上の数値を感じさせることが可能です。

これはポジティブな内容に使われる場合は良いですが、情報の発信者が意図的に強調したいメッセージを持っている場合には、特に慎重になるべきです。

例えば、特定の場所での抗議行動を取り上げる際、実際には10人の参加者がいるだけでも、彼らが10日間にわたって活動を続けた場合、延べ人数では100人が参加したことになります。

このように、『延べ』という表現は数字を操作し、実際よりも多く見せかける手法として使われることがあります。

批判的な視点を持って記事を書く際には、「延べ100人がこの場所で抗議した」と表現することで、より大きな影響を与えようとする場合があります。

読者としては、『延べ人数』という言葉を目にした時は、その背後にある意図や実際の状況を理解するために、より詳細な情報を求める姿勢が求められます。

まとめ

「延べ人数」と「実人数」の違いについて解説しました。

再度まとめますと、以下のようになります。

実人数:個別の人物を一度だけカウントする。

延べ人数:同一人物が複数回参加した場合でもその都度カウントする。

簡単に言うと、実人数は「何人の異なる人が参加したか」を、延べ人数は「合計で何回参加があったか」を表します。