私たちの周りで頻繁に目にする「吉」の漢字は、身近なところで様々な形で使われています。
吉田や吉川などの苗字、運勢を示す小吉・中吉・大吉や、広く知られる𠮷野家など、日々の生活の中で頻繁に登場します。
特に、𠮷野家のロゴに使われているのは、一般的な「吉」ではなく、下部が延びた独特の形をした『𠮷』という漢字である点が興味深いです。
この『𠮷』漢字は、「士」ではなく「土」を部首としており、そのため「つちよし」とも呼ばれています。
この記事では、『𠮷』という漢字をどのようにして入力するか、「吉」と「𠮷」の違いや、読み方や意味について詳しく解説していきます。
パソコンで𠮷(つちよし)を入力する方法
パソコン(windows10やwindows11)で𠮷(つちよし)を表示させるには、4つの方法があります。
以下で、その方法について具体的に解説していきます。
「きち」や「よし」とタイピングして変換されるか確認する
実は、多くのパソコンで𠮷(つちよし)が含まれているようです。
なので、「きち」や「よし」とタイピングして変換候補に表示されるか確認してみてください。
僕のパソコン(windows11)だと、変換候補に「𠮷」が表示されました。
もし表示されない場合は、「よしだ」「よしむら」「よしかわ」など、実際に苗字で使われているパターンで入力して変換するのがおすすめです。
姓には「異体字」が使われることが多く、この方法で変換候補に出やすくなります。
例えば「よしだ」と打つと、「吉田」と「𠮷田」が候補として出てきます。
文字コードを使って𠮷(つちよし)を入力する方法
変換して表示されなかった場合は、「文字コード」の利用が有効です。
すべての漢字は特定の「文字コード」を持っており、𠮷(つちよし)も例外ではありません。
以下の文字コードをWordなどのテキストエディタに打ち込み、キーボードの「F5」キーを押すことで、異体字を表示することが可能になります。
𠮷(つちよし)を入力する手順
今回試しにWindows10や11に入っているメモ帳で入力する手順を紹介します。
メモ帳を開いて、「ひらがな入力モード」で「20BB7」と入力して、「F5」キーを押します。
「20BB7」のコードは大文字でも、「20bb7」と小文字で入力しても構いません。
また
「直接入力」モードである「アルファベット入力モード(A)」では変換が行えないため、「ひらがな入力モード(あ)」にして入力する必要があります。
文字コードに対応したソフトやアプリであれば、変換候補に【𠮷】が表示されますので、選択してクリックすれば入力できます。
IMEパッドを使って𠮷(つちよし)を入力する方法
𠮷(つちよし)は、IMEパッドの手書き機能でも入力することができましたので、ご紹介しておきます。
タスクバー上にあるIMEのアイコン(例えば「A」や「あ」などが表示されている部位)を右クリックし、「IMEパッド」をクリックします。
IMEパッドが開いたら、手書き機能を使って、「吉」という漢字を手書きします。
そうすると、書いた文字に似た候補が画面右側に現れます。
表示された文字候補から「吉」を見つけ、右クリックで「異字体の挿入」を選択します。
これにより、「𠮷」が表示されますので、クリックすることで、指定した箇所に入力することができます。
ただし利用環境によっては、表示されない可能性があります。
IMEパッドを使用する方法は少々時間がかかるかもしれませんが、読み方がわからない漢字などにも使えますので、便利ですよ。
𠮷(つちよし)をMicrosoft IMEに登録して入力する方法
𠮷(つちよし)が変換操作で表示されなかった場合、毎回文字コードを入力する手間を省くためにも、Microsoft IMEに「単語登録」しておくのがおすすめです。
登録自体は少し手間がかかるかもしれませんが、一度設定してしまえば、後は変換キーを押すだけで異体字を簡単に表示できるようになります。
単語を登録する手順は、以下の通りです。
まず以下の漢字をコピペするか、先ほど紹介した指定の文字コードを利用し、表示させてからコピペしてください。
【𠮷】
その後、タスクバーにある日本語入力のシンボル(「あ」または「A」のマーク)を右クリックします。
出てきたオプションから「単語の追加(D)」をクリックします。
そうすると、単語を登録するためのウィンドウが表示されます。
「単語(D)」のフォームに、先程コピーした「𠮷」の漢字をペーストします。
「よみ(R)」のフォームには、その漢字の読みである「よし」や「よ」などを入力します。
最後に、「登録(A)」ボタンをクリックして完了します。
そして作業が終わりましたら、「閉じる」で単語登録の画面を閉じてください。
これで設定は完了です。WordやExcelなどで「よし」と入力し、変換キーを押してみてください。
変換候補の中に、「𠮷」の漢字が表示されれば、設定は成功しています。
スマホで𠮷(つちよし)を入力する方法
「つちよし」とタイピングして変換されるか確認する
「つちよし」とタップして変換候補に表示されるか確認してみてください。
僕のスマホ(iPhone11のiOS16.3.1)だと、変換候補に「𠮷」が表示されました。
ちなみに「よし」や「きち」、「よしだ」などでは、変換候補に「𠮷」は表示されませんでした。
もしスマホで「つちよし」を変換して「𠮷」が表示されない場合は、ユーザー辞書に登録することで、変換候補に表示されるようになります。
スマホのユーザー辞書へ追加する
スマホで髙(はしごだか)を入力するには、基本的に次の2つのステップを踏む必要があります。
- 文字をスマホのユーザー辞書に追加する
- 追加した文字「𠮷」を活用する
初めに、スマホのユーザー辞書にこの特殊な文字を追加し、それから実際に使用します。
文字のユーザー辞書への追加
髙(はしごだか)をスマホのユーザー辞書に追加する手順はこちらです。
例として、iPhoneを挙げてみましょう。
ユーザー辞書に追加する操作は、以下の手順でタップします。
そして画面右上の「+」ボタンをタップします。
登録画面が表示されますので、単語欄に「𠮷」をコピーしてペースト、よみ欄に「よし」や「よ」などと入力して、画面右上の「保存」をタップすればユーザー辞書に追加されます。
そして「よし」や「よ」と入力して変換候補を見ると、「𠮷」が表示されるようになります。
以上で、𠮷(つちよし)をスマートフォンで使う方法について説明しました。
ただし、これらの方法については、登録した端末だけで𠮷(つちよし)が表示されるだけで、ネットに投稿すると字形が変わる可能性がありますので、その点は注意が必要です。
つまり、𠮷(つちよし)に対応しているフォントかどうかで、表示のされ方が違ってくるということになります。
「吉」と「𠮷」の違い
「吉」は私たちが普段使っている常用漢字の一つで、人名にも頻繁に使われています。
例として、ロック歌手の矢沢永吉や、1万円札に描かれる福沢諭吉、歴史上の人物豊臣秀吉などが挙げられます。
一方で、「𠮷」は人名には使われない漢字です。
一見すると「吉」が旧字で「𠮷」が新字であることに違和感を覚えるかもしれませんが、実は両者は意味や読み方が同じです。
「𠮷」の読みと意味
「𠮷」は、音読みで「きち」「きつ」、訓読みで「よ(い)」と読むことができます。
名のりは、「き」「さち」「とみ」「はじめ」「よ」「よし」というように、多様な読み方があります。
「𠮷」が持つ意味は、「めでたい」「運がよい」「縁起がよいこと」「幸運」といった、良いことや幸運を象徴するポジティブな意味合いを含んでいます。
まとめ
パソコン(windows10やwindows11)とスマホ(アイフォン)上で𠮷(つちよし)を表示する方法について解説しました。
主に「苗字を用いた変換」「文字コードの使用」「IMEパッドでの手書き入力」という3つの方法があります。
そして、一度うまく打てたら、「単語登録」をすることで、次回からの入力が格段に楽になります。
また「つちよし」とも呼ばれる「𠮷」の漢字は、例えば吉田茂元首相のように歴史的に重要な名前に使われたり、𠮷野家のような人気のある牛丼チェーンの看板に使われたりしています。
全国約600箇所にある住吉神社の中にも「住𠮷」と表記されている場所があります。
もし近くに神社があれば、この機会に訪れてみてはどうでしょうか。